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特定技能「自動車整備」とは?基礎情報と採用の流れを解説

近年、多くの業種が人手不足に陥っており、自動車整備業においても、整備士の不足が問題となっています。
 
そのようななか、日本国内の労働力不足を補うために新設された特定技能制度は、人材不足に悩む企業にとって、一筋の光明です。
 
本記事では、特定技能「自動車整備」の基礎情報と、特定技能外国人を採用するまでの流れを解説します。
特定技能外国人を採用して、人材不足の解消を目指しているご担当者様は、ぜひご覧ください。

目次[非表示]

  1. 1.特定技能とは?
  2. 2.特定技能「自動車整備」の概要
  3. 3.特定技能「自動車整備」が創設された背景
  4. 4.特定技能「自動車整備」を取得することで従事できる業務
  5. 5.特定技能「自動車整備」の区分
    1. 5.1.特定技能「自動車整備」における1号と2号の違い
  6. 6.特定技能「自動車整備」を有する外国人を雇う際の要件
    1. 6.1.地方運輸局長の認証を受けている
    2. 6.2.自動車整備分野特定技能協議会へ加入し、適宜協力を行う
    3. 6.3.適正な支援を実施する
  7. 7.特定技能「自動車整備」1号の取得に必要な条件
    1. 7.1.条件① 特定技能評価試験と日本語試験に合格する
    2. 7.2.条件② 「自動車整備」分野における技能実習2号からの移行
  8. 8.特定技能「自動車整備」2号の取得に必要な条件
  9. 9.特定技能「自動車整備」の試験の概要
  10. 10.特定技能「自動車整備」を採用する流れ
  11. 11.特定技能「自動車整備」の採用にあたっての諸費用
  12. 12.特定技能「自動車整備」を有する人材を採用して人材不足解消につなげよう

特定技能とは?

そもそも特定技能とは、どのような在留資格なのでしょうか。
 
特定技能とは、日本国内で深刻な人材不足に陥っている業種において、外国人を雇用するための制度です。
特定技能は12分野(14業種)に分かれており、従事できる職種は分野によって異なります。
幅広い業務が可能な特定技能外国人を採用することが、企業にとっては、人材不足の解消につながるのです。
 
なお、特定技能には1号と2号があり、いずれの場合も取得するためには、試験に合格する必要があります。

特定技能「自動車整備」の概要

特定技能外国人を雇う前に、特定技能「自動車整備」の概要を確認しておきましょう。
 
特定技能「自動車整備」は、自動車整備業における人材不足を解消する目的で、国が定めた特定技能の分野の一つです。
主に、自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備などの基本業務を行います。
 
特定技能外国人を雇用する際の、雇用形態や報酬、受け入れ人数は、以下の表をご覧ください。
 
【特定技能「自動車整備」の概要】


雇用形態

報酬

受け入れ人数

特定技能「自動車整備」

直接雇用

日本人労働者と同等

6,500人

雇用形態は、ほとんどの業種と同様に直接雇用のみです。
報酬に関しては、同じ業務に従事する日本人と同等以上の額が求められます。
また、特定技能「自動車整備」における、特定技能外国人の受け入れ目標人数は、2019年からの5年間で6,500人です。
 
現在、自動車整備業では、企業ごとに受け入れられる特定技能外国人の人数に制限はありません。
そのため、1社で何人でも採用することが可能です。

特定技能「自動車整備」が創設された背景

特定技能「自動車整備」の概要がわかったところで、次は創設された背景を見ていきましょう。
 
自動車整備業における人材不足は、年々深刻化しています。
特に有効求人倍率に関しては、その影響が顕著に見られます。
自動車整備業における有効求人倍率は、2011年は1.07%ですが、2019年には4.77%まで上昇しているのです。
2019年の全職種平均の有効求人倍率が1.41%であることを考えると、その3倍以上にあたる4.77%という数値は、危惧すべき状況と言えます。
 
自動車整備業における人材不足の理由として、若年層の車離れにより、自動車整備士を目指す若者が減ったことが考えられます。
くわえて、高齢化を理由に引退を迎える整備士の増加も、有効求人倍率の上昇に少なからず影響しているでしょう。
 
このような状況を踏まえて、国は、自動車整備業においても人材の確保が不十分であると判断し、特定技能制度の対象業種に選びました。
 
参照元:国土交通省 人材確保に関する関東運輸局の取組と外国人等の人材確保に関する諸制度について

特定技能「自動車整備」を取得することで従事できる業務

特定技能「自動車整備」を取得した外国人が従事できる業務は、主に3つの区分に分かれます。
 
【特定技能「自動車整備」の業務区分と業務内容の例】

カテゴリー

主な業務内容の例

日常点検整備

以下の確認

  • ブレーキオイルやエンジンオイルの劣化
  • ブレーキやエンジンの正常性
  • タイヤの損傷や亀裂の有無

定期点検整備

以下の装置の点検

  • ステアリング装置
  • ブレーキ装置
  • 走行装置
  • 動力伝達装置

分解整備

以下の重要部品を取り外して整備

  • エンジン
  • ブレーキ
  • クラッチ
  • トランスミッション

日常点検整備は、一般的な車の所有者でもできる、簡単な点検です。
対して、定期点検整備は、車の装置の不具合を防止するために行う作業で、高度な技術が必要です。
また、重要な部品を取り外して整備を行う分解整備においても、専門的な知識と技術が求められます。
 
特定技能「自動車整備」を有する外国人は、自動車整備に関わる、関連業務にも従事可能です。
具体的には、洗車業務や部品の運搬作業などが挙げられます。
ただし、関連業務のみに携わらせることはできないので注意してください。

特定技能「自動車整備」の区分

特定技能2号に指定されている業種は「造船・舶用工業」と「建築業」の2分野のみでしたが、2023年6月から「介護」を除く11分野に拡大されました。
自動車整備業も、その11分野の一つです。
そのため、自動車整備業においても、経験豊富で高度な技術を有する、特定技能2号の受け入れが可能になります。
 
ここからは、特定技能1号と2号にどのような差異があるのか、具体的に解説します。

特定技能「自動車整備」における1号と2号の違い

特定技能1号と2号には、在留期間や待遇に差があります。
 
以下に、表でまとめたのでご確認ください。
 
【特定技能「自動車整備」における1号と2号の違い】


特定技能1号

特定技能2号

在留期間

1年・6か月・4か月ごとの更新
(上限5年)

3年・1年・6か月ごとの更新
(上限なし)

技能水準

相当程度の知識、経験を必要とする技能

熟練した技能
(各分野の技能試験で確認)

外国人支援

支援計画の策定、実施は必須

支援計画の策定、実施は不要

家族の帯同

不可

条件を満たせば可能

日本語能力試験

特定技能外国人の在留期間は、特定技能1号の上限が5年であるのに対し、特定技能2号を取得すると上限がなくなります。
また、特定技能2号を取得した場合、条件を満たせば家族の帯同が許可されるので、家族と日本で暮らしながら、長期にわたって就労することが可能です。
 
なお、自動車整備業における特定技能2号には、自動車の点検、整備に関する熟練した知識や技術が必要なだけではなく、ほかの従業員に対し、適切な指導を行う能力も求められます。

特定技能「自動車整備」を有する外国人を雇う際の要件

特定技能「自動車整備」を有する外国人を雇うために、受け入れ企業が満たさなければならない要件があります。
 
以下に、主な要件を解説します。

地方運輸局長の認証を受けている

受け入れ企業は、特定技能外国人を雇う際、道路運送車両法に基づき、地方運輸局長から認証を受けた、「認証工場」を有していることが求められます。
 
認証工場のうち、地方運輸局長が、一定の基準を満たす設備や技術、管理組織を有すると認めた工場を「指定工場」と言います。
特定技能外国人を雇う場合、指定工場である必要はなく、認証工場であれば問題ないので覚えておきましょう。

自動車整備分野特定技能協議会へ加入し、適宜協力を行う

特定技能「自動車整備」を有する外国人を雇うには、自動車整備分野特定技能協議会の構成員となり、協議会に適宜協力する必要があります。
 
この協議会は、特定技能「自動車整備」制度を、適正かつ円滑に運用するための組織で、受け入れ企業や自動車整備事業者団体、関係省庁などで構成されています。
協議会の主な活動は、各地域における人材不足の状況の把握と分析、外国人の受け入れに係る人権問題への対応策の検討などです。

適正な支援を実施する

受け入れ企業が特定技能外国人を採用する際、外国人が日本で問題なく生活していけるよう、適正な支援を実施することが義務づけられています。
 
詳しい内容は、以下の通りです。
 
【受け入れ企業に義務づけられている支援内容】

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保・生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続きへの同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援(人員整理などの場合)
  • 定期的な面談・行政機関への通報

主たる業務を行いながら、上記の支援を実施するのが困難な場合、登録支援機関に委託する方法もあります。
委託費用がかかりますが、多くの支援業務の負担が軽減されるので、検討してみてください。

関連記事:登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容や役割、選び方を解説 

特定技能「自動車整備」1号の取得に必要な条件

特定技能「自動車整備」の概要は把握できたでしょうか。
 
ここからは、特定技能「自動車整備」1号を取得するための条件を説明します。
特定技能「自動車整備」1号を取得するためには、2つの条件のうち、どちらかを満たさなければなりません。

条件① 特定技能評価試験と日本語試験に合格する

特定技能「自動車整備」1号の取得を目指す外国人は、「特定技能評価試験」「日本語試験」に合格する必要があります。
 
自動車整備分野における特定技能評価試験は、日本自動車整備振興会連合会が行う試験で、学科試験と実技試験の2つで構成されています。
特定技能1号の取得を希望する外国人は、この試験に合格して、一定以上の専門技能を有していることを証明しなければなりません。
 
あわせて、日本語試験に合格することが必須条件です。
日本国内での生活や就業を、支障なく行えるだけの日本語能力を持ち合わせているかが問われます。
 
試験の詳しい内容は後ほど述べるので、そちらもご覧ください。

条件② 「自動車整備」分野における技能実習2号からの移行

自動車整備分野において、技能実習2号を良好に修了した場合、試験を受けずに、特定技能1号に移行できます。
技能実習2号を経た外国人は、就労するうえで欠かせない技能水準、日本語能力を有していると認められるため、先述した技能試験と日本語試験の受験は不要です。

特定技能「自動車整備」2号の取得に必要な条件

次に、特定技能「自動車整備」2号の取得を目指す場合の条件を説明します。
 
「自動車整備」における特定技能外国人が、特定技能2号を取得するためには、以下の試験のどちらかを突破する必要があります。
 
【特定技能2号の取得に必要な試験】

  • 自動車整備分野特定技能2号評価試験
  • 自動車整備士技能検定試験2級

特定技能2号を取得するには、試験への合格にくわえて、地方運輸局長が認める認証工場での、3年以上の実務経験が必須です。

特定技能「自動車整備」の試験の概要

ここでは、特定技能「自動車整備」における、試験の概要を説明します。
 
日本国内で受験する場合は、試験日において17歳以上であり、在留資格を有していることが必要です。
試験には学科試験と実技試験があり、それぞれ合格基準が異なります。
以下が、特定技能「自動車整備」の試験の主な内容です。
 
【特定技能「自動車整備」における試験の概要】


学科試験

実技試験

出題形式

〇×式

作業試験、判断等試験

問題数

30問

3課題

試験時間

60分

20分

合格基準

65%以上

60%以上

試験で使用される言語は日本語ですが、漢字にふりがなを振ってあるので、問題が読めずに解答できないということはないでしょう。
 
なお、合否の結果は、日本自動車整備振興会連合会のWebサイトで公表されます。

特定技能「自動車整備」を採用する流れ

受け入れ企業が、特定技能外国人を雇うためには、採用までの流れを具体的につかんでいることが重要です。
また、日本国内に在留している場合と、日本国外から迎え入れる場合で、採用までの手順が異なるので、下記の表を参考にして、手順を確認しましょう。

なお、採用面接から入社までは、少なくとも4~6か月はかかるため早めの準備が大切です。
 
【特定技能「自動車整備」を有する外国人を採用するまでの流れ】

採用フロー

日本国内の外国人を採用する場合

日本国外の外国人を採用する場合

ステップ①

受け入れ企業が人材を募集し、対面もしくはオンラインで面接を行う

ステップ②

受け入れ企業が外国人と雇用契約の締結を行う

ステップ③

受け入れ企業が支援計画を策定する

ステップ④

外国人が「在留資格変更許可申請」を
​​​​​​​行う

受け入れ企業または外国人が「在留資格認定証明書交付申請」を行う

ステップ⑤

就労開始

外国人がビザの申請を行う

ステップ⑥

-

外国人が来日して就労開始

上記の通り、受け入れ企業が支援計画の策定を行うまでの手順は、外国人がどの国にいても、同様に進められます。
次に、在留資格の申請ですが、外国人が日本国内に在留している場合は、在留資格変更許可申請が必要です。
対して、外国人が来日する場合は、在留資格認定証明書交付申請を行います。
特定技能外国人を雇うなら、在留資格の申請内容に差異がある点を考慮して、適切な対応ができるよう準備しておくことが大切です。
 
なお、在留資格の申請は、許可が下りるまでに1~2か月程度の時間がかかります。
そのため、いち早く就労してもらいたいのであれば、採用が決まり次第、早めに申請を行いましょう。

関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説

特定技能「自動車整備」の採用にあたっての諸費用

特定技能外国人を採用する際、実際にどの程度の費用がかかるのか、気になるところですよね。
主な費用は、特定技能外国人を採用するために必要な、各社、各機関への手数料と委託費用です。

以下の表で、具体的な内容を見ていきましょう。
 
【特定技能「自動車整備」を有する外国人を採用する際にかかる費用】

主な費用

日本国内の外国人の場合

日本国外の外国人の場合

人材紹介会社への手数料

30万~60万円

-

送り出し機関への手数料

-

20万~60万円

登録支援機関への委託費用

一人あたり2~3万円/月

在留資格申請に関する委託費用

10万~20万円

在留期間更新申請に関する委託料

5万~15万円

人材紹介会社の手数料は、会社によって異なります。
特定技能外国人を採用するごとに固定の手数料が発生する、あるいは、特定技能外国人の年収の20~30%にあたる費用を、手数料として徴収する場合があります。
 
日本国外から外国人を受け入れる場合、複数の国で送り出し機関の利用が必須となっており、同機関への手数料は切り離せない費用です。
 
また、支援、申請業務を委託するための費用は、特定技能外国人を雇うなら、あらかじめ用意しておくことをおすすめします。
平常業務を行いながら、支援活動や申請書類の作成が困難な場合、始めから委託することを見据えて、予算を組むとよいでしょう。
 
なお、表に記した金額は、あくまでも概算です。
人材紹介会社や、委託先の企業によって金額は前後するので、詳細な金額は個別に確認するのが賢明です。

関連記事:特定技能外国人受け入れにかかる費用相場とコストダウンのポイント

特定技能「自動車整備」を有する人材を採用して人材不足解消につなげよう

今回は、特定技能「自動車整備」に焦点をあてて、基礎情報と採用の流れをお伝えしました。
 
自動車整備業において、深刻化する人材不足の問題を解消するためには、特定技能外国人を積極的に採用する必要があります。
さらに、特定技能2号の受け入れが始まり、有能な人材の確保が可能になったことにくわえて、長期雇用も不可能ではなくなりました。
 
人材不足の解消を目指すなら、特定技能の基礎情報を把握し、長期的な雇用を視野に入れて採用活動を進めましょう。
 
スタッフ満足では、国民性や文化を踏まえて、企業に合った人材を紹介し、長期雇用を支援します。
採用後も継続的なサポートを行うので、ぜひ安心してお問い合わせください。

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