
特定技能でスリランカ人を採用する方法|採用の流れや費用を紹介
特定技能でスリランカ人を採用したいと考えているものの、方法や手順がわからずに悩んでいる企業は少なくありません。
スリランカ人の特徴や採用に関する制度がわからないために、躊躇している方もいるでしょう。
スリランカ人材の活用は、多様性が豊かな職場環境の構築や、グローバルな視点の導入につながる可能性を秘めています。
適切な手順を踏めば、優秀な人材をスムーズに確保ができるでしょう。
この記事では、特定技能制度の概要をはじめ、スリランカ人の特徴や採用の流れなどを解説します。
特定技能制度を活用したスリランカ人採用の全体像を把握したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.特定技能とは
- 2.スリランカ人の特徴
- 2.1.日本語に慣れ親しんでいる
- 2.2.家族や友人との交流を大切にする
- 2.3.上下関係を大切にする
- 2.4.平和主義
- 2.5.時間に少しルーズ
- 3.スリランカ人を採用する際の”二国間協定”とは
- 4.特定技能でスリランカ人を採用する流れ
- 5.特定技能でスリランカ人を採用する際の費用相場
- 6.まとめ
特定技能とは
特定技能は、2019年4月に創設された在留資格です。
深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性と技能を有する外国人材の受け入れを目的としています。
種類は2つあります。
種類 |
対象となる外国人材 |
特定技能1号 |
相当程度の知識、または経験が必要な技能を要する業務に従事する外国人が対象 |
特定技能2号 |
熟練した技能を要する業務に従事する外国人が対象 |
特定技能1号の在留期間は通算で5年までですが、特定技能2号には在留期間の上限がなく、家族の帯同も認められています。
特定技能制度の対象になる分野は、16分野です。
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求められる技能水準や日本語能力水準は各分野によって異なるほか、要件を満たす必要があります。
特定技能制度は、技能実習制度からの移行が容易になるだけでなく、同一の業務区分内であれば転職できる点が特徴です。
これにより、外国人材は柔軟なキャリアパスが実現でき、企業側は多様な人材を確保しやすくなります。
参照元:在留資格「特定技能」とは
スリランカ人の特徴
スリランカ人を特定技能で採用する際は、彼らの特徴を理解する必要があります。
主な特徴は5つです。
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国民性や文化的背景を知れば、採用活動や職場環境の整備をスムーズに実施できます。
スリランカ人の特徴を理解し、採用のミスマッチを防ぎましょう。
日本語に慣れ親しんでいる
スリランカの義務教育には、日本語学習が取り入れられています。
そのため、多くのスリランカ人が日本語に親しみを持っており、習得に対する抵抗がほとんどありません。
また、日本文化や習慣に対する理解が深く、日本での生活や仕事に適応しやすい傾向にあります。
スリランカでは日本語能力試験の受験者数も増加傾向にあり、日本語学習への意欲の高さがうかがえます。
この優位性は、職場でのコミュニケーションをスムーズにし、業務効率の向上にもつながるでしょう。
さらに、日本語を通じて日本文化への興味関心が高まり、日本社会への適応力が向上する可能性もあります。
家族や友人との交流を大切にする
スリランカ人は頻繁に家族や友人と連絡を取り合い、互いの生活や仕事について話し合うのが一般的です。
この文化は、職場でのチームワークやコミュニケーションにも良い影響を与える可能性があります。
特に、家族的な雰囲気の職場環境を好む傾向があるため、同僚との良好な関係構築に積極的です。
また、スリランカ人の価値観は、長期的な人間関係の構築や維持にも反映されます。
職場での人間関係においても、仕事上の付き合いにとどまらず、深い信頼関係を築こうとする傾向があります。
スリランカ人の特性は、職場の雰囲気を和やかにし、協力的な環境づくりに貢献してくれるでしょう。
上下関係を大切にする
スリランカの社会では、
目上の人には敬意を表すのが大切とされています。
上下関係を重んじる点は日本の企業文化との親和性が高く、上司や先輩の指示に従順で、組織の秩序を乱しません。
この特性は、職場での円滑なコミュニケーションや業務の遂行に貢献する可能性があります。
また、年長者の意見を尊重する傾向も強く、経験豊富な社員からの学びを大切にする姿勢が見られます。
ただし、過度な上下関係の重視が、個人の意見表明を抑制するケースも珍しくありません。
したがって、バランスの取れた職場環境の構築が求められます。
平和主義
スリランカは長年の内戦を経験した国として、平和の尊さを深く理解している国民が多い傾向です。
平和主義を大切にする国民性は、職場での対立や摩擦を避け、協調性を重視する姿勢につながります。
問題解決でも、対話や妥協を通じた平和的な方法を好む人が多いです。
この特性はチーム内の調和を保ち、建設的な議論を促進する上で有益です。
顧客対応でも、穏やかで丁寧な態度を維持しやすいメリットがあります。
さらに、多様性を受け入れる寛容な態度にもつながり、多国籍の職場環境でも適応しやすいと言えるでしょう。
時間に少しルーズ
スリランカの文化では、約束の時間や締め切りにはやや柔軟な態度を取る場合があります。
この特徴は、職場での時間管理や納期の遵守において注意が必要です。
適切な指導と環境整備を行い、日本の時間感覚に順応させる取り組みをしましょう。
ただし、柔軟な時間感覚はデメリットばかりではありません。
急な変更や予期せぬ事態への対応力として、活かせる可能性があります。
また、顧客のニーズに合わせた柔軟なサービスの提供など、状況に合わせた対応ができるスキルとしてプラスに働く場合もあるでしょう。
スリランカ人を採用する際の”二国間協定”とは
スリランカ人を特定技能で採用する際に重要になるのが、二国間協定です。
日本とスリランカの両国政府間で締結された取り決めで、特定技能外国人の適正な受け入れと保護を目的としています。
二国間協定は2019年6月19日に締結され、両国の役割を明確にし、制度のスムーズな運用を支援しています。
主な内容は、以下のとおりです。
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スリランカ側の役割を担っているのは、海外雇用促進・市場多様化担当国務省海外雇用局(SLBFE)です。
特定技能外国人として来日を希望するスリランカ人の海外労働登録を管理しています。
日本側の受入れ機関は、スリランカの送出機関を通じた人材の受け入れも、雇用契約の直接締結も可能です。
これにより、企業は自社のニーズに合わせて柔軟な採用方法を選択できます。
また、協定は特定技能外国人の権利保護や、適切な労働環境の確保にも貢献しています。
二国間協定は、特定技能制度の信頼性と透明性を高め、両国間の人材交流を促進する枠組みです。
企業は協定内容を理解し遵守をすれば、スリランカ人材の円滑な受け入れができると共に、彼らの能力を最大限に活かす職場環境の構築を実現できます。
関連記事:特定技能における二国間協定とは ?目的や各国の手続きも解説
特定技能でスリランカ人を採用する流れ
国内採用 |
国外採用 |
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1 |
人材選定 |
人材選定 |
2 |
雇用契約締結 |
雇用契約締結 |
3 |
特定技能外国人の支援計画策定 |
特定技能外国人の支援計画策定 |
4 |
在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局に提出 |
在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局に提出 |
5 |
「特定技能1号」へ在留資格変更 |
在留資格認定証明書受領・送付 |
6 |
海外労働登録(SLBFE) |
特定技能外国人が在外公館にビザ申請を提出 |
7 |
就労開始 |
海外労働登録(SLBFE) |
8 |
‐ |
出国前オリエンテーション受講(2日間程度) |
9 |
‐ |
入国 |
10 |
‐ |
就労開始 |
国内で採用する場合は、すでに日本に在留しているスリランカ人を雇用するため、手続きが簡素化されています。
国外で採用する場合は、在留資格認定証明書の取得やビザ申請などのステップが必要です。
それぞれのケースを理解し、スムーズな採用を目指しましょう。
国内で採用する場合
日本でスリランカ人を特定技能で採用する場合は、主に4つのステップを踏みます。
ステップ |
内容 |
1.人材選定・雇用契約締結 |
日本国内に在留するスリランカ人から候補者を選定し、雇用契約を締結 |
2.在留資格変更許可申請 |
候補者が地方出入国在留管理官署に「特定技能」への在留資格変更許可申請を行う |
3.海外労働登録 |
候補者がSLBFEに対し、オンラインで海外労働登録を行う |
4.就労開始 |
在留資格変更許可後、特定技能外国人として就労を開始 |
まずは日本国内に在留するスリランカ人から適切な人材を選定し、雇用契約を締結します。
次に、候補者が地方出入国在留管理官署に、特定技能への在留資格変更許可申請を行います。
受入れ機関の企業側も必要書類を準備し、申請をサポートしましょう。
その後、候補者はスリランカ海外雇用局(SLBFE)に対して、オンラインで海外労働登録を行います。
在留資格変更許可が下りると、特定技能外国人として就労を開始できます。
国内で採用するメリットは、すでに日本に滞在している人材を採用するため、比較的スムーズに進行できる点です。
国外で採用する場合
国外からスリランカ人を特定技能で採用する場合は、主に6つのステップがあります。
ステップ |
内容 |
1.人材選定・雇用契約締結 |
スリランカ国内の候補者を選定し、雇用契約を締結 |
2.在留資格認定証明書交付申請 |
受入れ機関が地方出入国在留管理官署に申請 |
3.査証発給申請 |
候補者が在スリランカ日本国大使館に特定技能査証の発給申請を行う |
4.海外労働登録 |
候補者がSLBFEに対し、オンラインで海外労働登録を行う |
5.出国前オリエンテーション |
候補者が出国前オリエンテーション(2日間程度)を受講 |
6.入国・在留 |
日本での上陸審査後、特定技能外国人として入国・在留 |
まずはスリランカ国内で候補者を選定し、雇用契約を締結します。
日本の受入れ機関は、地方出入国在留管理官署に在留資格認定証明書の交付を申請しなければいけません。
次に、候補者が在スリランカ日本国大使館で特定技能査証の発給申請を行います。
続いて、SLBFEにオンラインで海外労働登録を行い、出国前オリエンテーション(2日間程度)を受講します。
最後に、日本での上陸審査を経て、特定技能外国人として入国・在留します。
国外採用は国内と比べると複雑で時間がかかりますが、広範な人材プールから選択できるのがメリットです。
特定技能でスリランカ人を採用する際の費用相場
特定技能でスリランカ人を採用する際にかかる費用は、採用方法や状況によって異なります。
一般的な費用相場は、以下のとおりです。
費用項目 |
費用相場 |
備考 |
送り出し機関への手数料 |
20〜60万円 |
国外採用の場合のみ |
人材紹介の手数料 |
30〜60万円 |
紹介会社利用時 |
渡航費用 |
4〜10万円 |
国外採用の場合 |
在留資格申請費用 |
10〜20万円 |
認定証明書交付または変更許可申請 |
住居準備費用 |
家賃による |
初期費用全般 |
事前ガイダンス等の費用 |
1.5〜4万円 |
支援計画に基づく |
支援委託費用 |
2〜4万円/月 |
登録支援機関利用時 |
在留資格更新費用 |
4〜10万円 |
更新時 |
実際の金額は、状況によって変動する可能性があります。
また、企業側で負担すべき費用と、特定技能外国人本人が負担する費用を明確に区別しなければいけません。
渡航費用や住居費用は、事前に取り決めを行う必要があります。
支援委託費用は、自社で支援を行うか外部委託するかによって異なるため注意が必要です。
費用を抑えるには、リファラル採用の活用や人材紹介と支援業務を一括で行う委託先の選択がおすすめです。
ただし、コスト削減のみを優先せず、質の高い人材確保と適切な支援体制の構築のバランスを取りましょう。
参照元:特定技能外国人受け入れの費用相場とコストダウンのポイント
まとめ
特定技能でのスリランカ人の採用は、日本語の親和性や協調性など、多くのメリットがあります。
二国間協定の枠組みで適切な手順を踏めば、スムーズな採用が可能です。
スリランカの人材は、貴社の成長と多様性の向上に貢献する可能性を秘めています。
国内外での採用手順の違いや費用面を理解し、長期的な視点で人材育成を考えましょう。