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特定技能「飲食料品製造業」の概要と企業が確認しておきたいこと

日本では、少子高齢化の影響もあり、さまざまな分野で人手不足となっています。
日本人労働者が確保できず、外国人の人材を採用しようと考えている企業さまもいるのではないでしょう。
 
そこで注目したいのが、在留資格「特定技能」です。
ここでは、中でも特定技能「飲食料品製造業」を有する人材の採用を検討している方のため、制度の概要や採用において必要なことなどを紹介します。

この記事を読むことによって採用のポイントや企業がおさえておくべき要件などがわかるようになるので、ぜひご参考ください。

特定技能・外国人採用に関するお役立ち資料はこちら

目次[非表示]

  1. 1.特定技能について
    1. 1.1.対応する業種・業務
  2. 2.飲食料品製造分野において特定技能が許可された背景
  3. 3.特定技能「飲食料品製造業」を有する外国人を採用するために必要なこと
    1. 3.1.農林水産省が課している受け入れ要件を満たす
    2. 3.2. 支援体制を整備する
  4. 4.特定技能「飲食料品製造業」を有する外国人を採用するポイント
    1. 4.1.求人広告を他社と差別化する
    2. 4.2. 住環境やその他福利厚生を充実させる
  5. 5.特定技能「飲食料品製造業」資格を取得する要件
    1. 5.1.試験
    2. 5.2. 技能実習2号または3号を良好に修了する
    3. 5.3.HACCP(ハサップ)を含む衛生管理の知識
  6. 6.外国人の採用で人材不足対策が可能


特定技能について

特定技能とは、在留資格の一つです。特定技能1号、2号の2種類があります。
 
1号は特定の産業分野に属する相当程度の知識、または経験を必要としている技能を有する業務に従事する外国人に向けた資格です。
2号は、特定の産業分野に属する熟した技能を有している外国人向けの在留資格となります。
 
資格を取得するためには、日本語試験と技能試験を受けて合格しなければなりません。
そのため、特定技能を有している外国人を採用する場合、日本語が話せることに加えある程度各分野に関する知識を持った人材の作用が可能です。
 
特定技能は、日本人の雇用だけだと不足してしまう労働力を補うために活用可能です。
 
同じく、外国人向けの在留資格である技能実習は受け入れ人数の制限がありますが、特定技能の場合、建設と介護分野を除いて人数制限がありません。
また、直接雇用が可能なのも特徴です。

関連記事:特定技能1号と2号のビザの違いは?採用前に知りたい注意点を解説

関連記事:特定技能外国人を採用する流れ

特定技能「飲食料品製造業」とは

特定技能による在留資格で外国人の採用が可能な分野は、全部で12種類です。
このうちの一つが「飲食料品製造業」となります

各分野でそれぞれ試験が行われる形となり、特定技能「飲食料品製造業」の資格を取得した外国人は、その他の分野に関連する業務は行えません。

概要は、以下の通りです。

雇用形態
直接雇用
報酬要件
日本人と同等か、それ以上
受け入れ人数
上限はなし

各企業での受け入れ人数は制限されていないため、人材不足問題解消のために役立ててみてはいかがでしょうか。
 
なお、国で定めている「飲食料品製造業」の受け入れ人数の上限は、87,200人です。
もともと34,000人だった上限が大幅に増えています。
見直しは2022年に行われ、令和6年3月までの受入れ人数となります。

大幅に受け入れ人数が増加しているということは、それだけ需要が高くなっているともいえます。これは、全16分野の中でも最も多い受け入れ人数です。
 
参考:法務省:特定技能ガイドブック 

対応する業種・業務

行える業務内容は、酒類を除く飲食料品製造業全般及び当該業務に関する管理業務です。
製造や加工、安全衛生などに関する業務が行えます。
 
具体的にいうと、以下が飲食料品製造業に該当する職種です。
 
【該当する職種】

  • 食料品製造業
  • 清涼飲料製造業
  • 茶・コーヒー製造業
  • 製氷業
  • 菓子小売業(製造小売)
  • パン小売業(製造小売)
  • 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業

参考:LAPITA(JTB):よくあるご質問(FAQ)

ただし、酒類、塩、香料、ペットフード等の製造は特定技能の受入れができないので、注意が必要です。
 
また、食料品製造には、以下が該当します。
 
【食料品製造】

  • 畜産食料品製造業
  • 水産食料品製造業
  • 野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
  • 調味料製造業
  • 糖類製造業
  • 精穀・製粉業
  • パン・菓子製造業
  • 動植物油脂製造業
  • その他の食料品製造業(でんぷん、めん類、豆腐・油揚、あん類、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品など)

参考:総務省:大分類E-製造業
 
飲食料品製造業といっても範囲が幅広いので、どのような業務なら任せられるのかわかりにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。
 
対象となる業務は細かく定められているので、事前に良く確認しておかなければなりません。
 
例えば、ブロック肉やハムを仕入れ、精肉加工を行っているケースの例です。
消費者に直接販売するのではなく、小売業者や卸事業者等向けに納品するため精肉加工を行っている場合は受け入れ対象となります。
ですが、その業務の売り上げは事業所全体の売上げの2分の1を超えていなければならないと定められています。
 
単純に食料品を取り扱っていればすべて対象となるわけではないため、注意が必要です。
 
具体的にどういったケースで対象となるのか、ならないのかについては、LAPITA(JTB)が公開している外国人材受入総合支援事業の「よくあるご質問(FAQ)」で紹介されているので、こちらをチェックしてみるとわかりやすいです。
参考:LAPITA(JTB):よくあるご質問(FAQ)

飲食料品製造分野において特定技能が許可された背景

特定技能が許可されているのは、人手不足が問題となっている分野です。
飲食料品製造業の分野は現状人手不足の状態であり、今後はさらにそれが悪化していくと考えられているため、特定技能の対象となりました。
 
人手不足になっているのには、いくつか理由があります。
 
まず、自動化が難しいからです。製造する製品によっては時期によって作るべき製品が変わるケースも多いです。ですが、コストや設置場所などの関係もあるので、それら一つひとつに対応できるような自動製作機械を導入するのは現実的ではありません。
一方、人の手であれば柔軟に対応できることから、機械による自動化が難しい分野といえます。これにより、多くの人員を必要とします。
 
また、工場を海外に移転すれば現地の労働者を確保しやすくなりますが、飲食料品製造業では難しいです。これは賞味期限があるためで、鮮度のことを考えると日本に工場を置かなければなりません。
 
衛生管理の国際的な手法である「HACCP」を含む衛生管理の知識を有する人材を確保しなければならないのも、課題の一つといえるでしょう。
なお、試験ではHACCPによる衛生管理に関する問題も出されることから、特定技能「飲食料品製造業」を有する外国人を採用すればHACCPに沿った衛生管理が可能です。

特定技能「飲食料品製造業」を有する外国人を採用するために必要なこと


特定技能「飲食料品製造業」を有する外国人を採用するにはどうすれば良いのでしょうか。

以下が条件です。

農林水産省が課している受け入れ要件を満たす

農林水産省では、受け入れ要件として以下を定めています。
 
【受け入れ要件】

  • 食品産業特定技能協議会の構成員になること
  • 協議会が行う調査、情報の共有その他の活動に対して必要な協力を行うこと
  • 農林水産省が行う調査、指導その他の活動に対して必要な協力を行うこと

外部に対して支援を委託する場合も、上記を満たしている登録支援機関への委託が求められます。
 
食品産業特定技能協議会とは、飲食料品製造業分野と外食業分野が共同で設置しているものです。制度や情報を周知したり、法令遵守の啓発を行ったりしているほか、各地域での人手不足状況を把握し必要とされる対応を行う目的があります。
 
特定技能「飲食料品製造業」を有する外国人を採用する場合、食品産業特定技能協議会への加入は必須です。
1人目を受け入れたタイミングで加入が求められ、2人目以降の受け入れ時に改めて加入する必要はありません。
もしも初めて特定技能外国人を受け入れてから4ヶ月以内に協議会に加入しなかった場合、特定技能外国人の受け入れができなくなってしまいます。
 
特定技能外国人を受け入れたらすぐに加入しましょう。入会金や年会費などは当面の間徴収しないと発表されています。

関連記事:「特定技能協議会」の活動内容・目的・加入方法と問い合わせ先

支援体制を整備する

特定技能「飲食料品製造業」を有する外国人を採用するにあたり、必要となる支援体制を整備しておきましょう。
 
例えば、事前ガイダンスの準備です。事前ガイダンスとは、雇用契約や活動内容に関すること、日本に在留する際の注意点など、さまざまなことを事前に説明する目的で行います。
メールや文書での説明は認められず、対談かWeb会議ツールなどで本人確認をした上で行わなければなりません。
 
それから、生活オリエンテーションも必要です。これは入社後に行う情報提供のことをいいます。日本で生活するにあたり必要な知識を提供し、国内で安定的、かつ円滑に生活できるようにサポートしましょう。
 
この他にも日本語学習など、多くのことを支援しなければなりません。
自社で対応が難しい場合は、専門的な知識を持って対応してくれる登録支援機関に委託する必要があります。
関連記事:登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容や役割、選び方を解説

特定技能「飲食料品製造業」を有する外国人を採用するポイント

外国人を採用したいと考えても、なかなか人材が見つからないことがあります。
そこで、自社を選んでもらうためには以下の2点に注目してみましょう。

求人広告を他社と差別化する

魅力的な求人広告を作り、他社との差別化を目指すことは欠かせません。
募集を出したからといってすぐに人材が見つかるものではなく、競争率は高いです。
 
まずは、他社がどのような求人広告を出しているのか調べてみると良いでしょう。
その上で自社ならではの魅力を盛り込むことが重要です。
 
やはり給与を重視して職場を選択する方が多いので、可能な限り給与面で好条件を設定しておく必要があります。
給与は最低賃金以上であれば問題ないのですが、日本人と賃金水準を採用したいところです。
ライバル他社が人件費を抑えるために最低賃金を設定している場合、それよりも高めに設定しておけば大きな差別化ポイントになります。
 
また、すでに外国人が働いているかを重視している方も多いので、該当する場合はこちらもアピールポイントにしましょう。

関連記事:特定技能の賃金・給与の相場と決め方・賃金に関する注意点

住環境やその他福利厚生を充実させる

魅力的な求人・会社だと感じてもらうためには、住環境やその他福利厚生を充実させることも重要です。

以下のような方法があります。
 
【充実させたいポイント】

  • 家賃補助や寮の提供
  • まかないや社員寮が利用できる
  • 自転車や車の貸与
  • 複利手当・能力手当の支給
  • レクリエーションの実施
  • 日本語検定合格に対する手当の支給
  • 食事会の開催
  • 買い物や通院のフォロー

特に住環境については1人部屋を希望する方が多いので、会社で寮などを用意する場合は1人部屋を用意できると理想です。

他にも考えられる福利厚生があれば、充実させましょう。

特定技能「飲食料品製造業」資格を取得する要件

外国人の方が特定技能「飲食料品製造業」資格を取得するには、どうすれば良いのでしょうか。
大きく分けると、試験を受けて資格を取得する方法と、技能実習からの移行のいずれかとなります。
 
ここでは、それぞれの詳細と、おさえておきたいHACCPについて解説します。

試験

試験は「飲食料品製造業技能測定試験」と「国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)」です。2つとも合格する必要があります。

飲食料品製造業技能測定試験

試験の概要は以下の通りです。

試験時間・科目

80分40問
学科試験:30問 100点満点
実技試験(判断・計画立案試験等):10問50点満点

出題範囲
  • 食品安全・品質管理の基本的な知識
  • 一般衛生管理・製造工程管理の基礎
  • HACCPによる製造工程の衛生管理・労働安全衛生に関する知識
受験資格

国外試験:試験日において満17歳以上(インドネシアは満18歳以上)
国内試験:在留資格を有する者で、以下両方を満たすもの

  • 試験日において満17歳以上
  • 退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限ある機関の発行したパスポートを所持していること(イラン、イスラム国以外の国)
受験料

国内試験:8,000円
国外試験(フィリピン、インドネシア):約3,500円

合格基準

65%以上

国内・国外ともに試験は日本語で行われることになります。
学科試験問題例が公開されているので、事前に確認しておくと難易度などを理解しやすいです。

関連記事:特定技能を取得するための試験とは?試験内容を詳しく解説

「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」

日本語能力水準を認定する「国際交流基金日本語基礎テスト(略称:JFT)」または「日本語能力試験(JLPT)」の合格が必要です。
いずれも日本語能力のレベルを評価するための試験となっており、どちらかを選んで受験する形です。
試験会場は日本国内外に用意されています。
 
それぞれの違いは、以下の通りです。


国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)

日本語能力試験(JLPT)

テストの形式

CBT方式(コンピューターを使用した回答)

マークシート方式

内容

文字と語彙、会話と表現、聴解、読解

言語知識(文字・語彙・文法)、読解、聴解

受験料

7,000円

7,500円

開催数

年6回

年2回(海外は都市によって年1回の場合もある)

レベルの目安

A2:ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力

N4以上:基本的な日本語を理解できる程度の能力

JFTの問題文は英語で書かれていますが、現地語で読めるボタンもあります。
現地語で問題が読めるのはJFTのみです。

関連記事:JLPTの日本語能力試験とは?N1レベルの難易度と採用時の注意点 

技能実習2号または3号を良好に修了する

飲食料品製造業分野の技能実習として2号または3号を良好に修了していれば、特定技能への移行が可能です。

技能実習2号を良好に修了しているとは以下のことをいいます。
 
【技能実習2号を良好に修了しているもの】

  • 技能実習を計画に従って2年10ヶ月以上修了している
  • 技能検定3級技能実習評価試験の実技試験に合格しているか評価調書などで出勤状況・技能の修得状況が良いと認められている

技能実習3号の場合は、実習計画の修了後あるいは実習計画の中止後に技能実習への移行が可能です。
 
また、技能実習で修了した技能実習において習得した技能は、就労予定の業務と関連性がなければなりません。条件に該当する方は試験がどちらも免除されます。
 
以下の表で2号が○になっている業種である場合、直接特定技能1号への移行が可能です。
3号が○になっている業種については、技能実習で5年、1号特定技能で5年で計10年間雇用ができます。

業種

特定技能1号

技能実習2号

技能実習3号

缶詰巻締

食鳥処理加工業

加熱性水産加工食品製造業

非加熱性水産加工食品製造業

水産練り製品製造

牛豚食肉処理加工業

ハム・ソーセージ・ベーコン製造

パン製造

そう菜製造業

農産物漬物製造業

×

医療・福祉施設給食製造【※1】

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めん類製造業

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×

冷凍調理食品製造業

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菓子製造業

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※1 医療・福祉施設給食製造については、第2号技能実習まで修了すると外食業で働けるようになります。

HACCP(ハサップ)を含む衛生管理の知識

衛生管理の国際的な手法であるHACCP(ハサップ)を含む衛生管理の知識が必要です。
特定技能「飲食料品製造業」資格で働くためには、以下のHACCAPに沿った衛生管理のための知識・技能を有していなければなりません。
 
【HACCPに沿った衛生管理】

  • 主な食中毒菌や異物混入に関する基本的な知識・技能
  • 食品等を衛生的に取り扱う基本的な知識・技能
  • 施設設備の整備と衛生管理に関する基本的な知識・技能

 安全に飲食料品を製造するために必要な知識です。

外国人の採用で人材不足対策が可能

いかがだったでしょうか。特定技能「飲食料品製造業」の概要や資格を有する外国人を採用するためにおさえておきたいことを紹介しました。採用のポイントや要件などについてご理解いただけたかと思います。
外国人を採用することになるため、手続きは複雑です。育成などの問題もあるので、自社で対応が難しいと感じることもあるでしょう。
 
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