ネパール人を特定技能で受け入れる前に確認しておきたいポイント
日本では多くの外国人が働いており、労働者不足を支えています。
労働者不足に悩んでいる企業に選ばれているのが、一定の専門性・技能を有する外国人の採用が可能な在留資格「特定技能」です。
さまざまな国籍の方が特定技能で働いており、例えばネパールもその一つです。
ここでは「ネパール人の採用を検討しているけれどわからないことが多い」といった企業さまのため、おさえておきたいポイントを解説します。
この記事を読むことによってネパール人の性格にはどういった特徴があるのか、採用するメリットや流れはどのようになっているかなどがわかるのでぜひご覧ください。
目次[非表示]
- 1.「特定技能」のネパール人の割合
- 2.ネパール人の性格の特徴
- 2.1.助け合い精神が根付いている
- 2.2.多様な文化や価値観を受け入れる
- 2.3.時間に対する感覚が日本よりも寛大
- 3.ネパール人を採用するメリット
- 3.1.母国語の言語的性質が日本語に近い
- 3.2.英語が話せる
- 3.3.若い人材が多い
- 3.4.出稼ぎで家族を養いたいという意欲が高い
- 4.ネパール人を「特定技能」で採用する流れ【国外在住】
- 4.1.流れ①求人情報を公開
- 4.2.流れ②雇用契約の締結
- 4.3.流れ③在留資格認定証明書交付申請を実施
- 4.4.流れ④査証発給申請を実施
- 4.5.流れ⑤健康診断や出国前オリエンテーションの実施
- 4.6.流れ⑥海外労働保険への加入・海外労働者社会福祉基金への支払い
- 4.7.流れ⑦海外労働許可証の発行を申請
- 4.8.流れ⑧入国・就業開始
- 5.ネパール人を「特定技能」で採用する流れ【日本在住】
- 6.「特定技能」でネパール人を採用する際の費用
- 6.1.送り出し機関への手数料
- 6.2.登録支援機関の支援委託料
- 6.3.人材紹介会社に支払う紹介手数料
- 6.4.特定技能協議会加入費用
- 6.5.渡航費や給与など外国人本人へ支払う費用
- 7.さまざまな分野で活躍が期待されているネパール人
「特定技能」のネパール人の割合
日本に在留しているネパール人の中には、特定技能の在留資格を取得して働いている方もいます。出入国在留管理庁が発表している令和5年6月末時点での特定技能1号在留外国人数を見ていきます。
ネパール人全体での総数は、3,428人です。
最も多いのがベトナム人で97,485人であることを考えると、全体的にみて少ない数字といえます。
その他を除くと最も人数が少なく、特定技能1号在留外国全体でみると2.0%をネパール人が占めている形です。
続いて、どの分野で働いているネパール人が多いのか見ていきましょう。
最も多いのは介護分野で、1,862人が働いています。続いて外職業分野が721人、農業分野が437人と続きます。
働いている人数が少ない順に見ていくと、造船・舶用工業分野と漁業分野は0人、自動車整備分野は3人でした。
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野、航空分野、宿泊分野も2桁止まりの採用となっています。
ネパール人の性格の特徴
一緒に働いていくことになるので、ネパール人の性格について理解しておくことは欠かせません。個人差はもちろんありますが、ここでは代表的な性格の特徴を解説します。
助け合い精神が根付いている
海外の中には困っている人がいても我関せずの態度をとる国もありますが、ネパール人には助け合い精神が根づいています。
そのため、他の外国人とはもちろんのこと、日本人の従業員とも協力しながら業務に取り組んでくれるでしょう。
これには、ネパールがそれほど資源に恵まれている国とはいえず、助け合いながら生活してきた国であることが関係しています。
また、カースト制度もあることから仲間意識は高いです。
多様な文化や価値観を受け入れる
ネパールは、インドや中国などの国境に接している国です。
そのため、古くから多様な文化が入ってきやすい環境にありました。
これにより、さまざまな文化・価値観に対して寛容な方が多いです。
また、これにはネパール人が穏やかであること、楽観的な考えを持つ方が多いことなども関係しています。
日本にも日本ならではの文化や価値観がありますが、こういったものも受け入れてもらいやすいでしょう。
時間に対する感覚が日本よりも寛大
時間に対する感覚は、日本人よりも寛大であり、ルーズともいえます。このあたりは仕事に影響を与えてしまう可能性もあるため、十分に理解しておくことをおすすめします。
悪気があって時間を守らないといったわけではなく、ゆったり構えている国民性ととらえましょう。
遅刻などが多くなってしまう可能性もあるので、対応について検討が必要です。
関連記事:ネパール人の特徴と性格をチェック!雇用時の注意点とは?
ネパール人を採用するメリット
特定技能でネパール人を採用することにより、どういったメリットがあるのでしょうか。
主なメリットは以下の4つです。
母国語の言語的性質が日本語に近い
外国人を採用するにあたり、言葉が通じないことを不安に感じている企業さまは多いでしょう。
ですが、ネパールの母国語での語順は主語・目的語・述語によって構成されています。
日本と言語的性質が近しいとも言えるので、語順が異なる国と比較するとスピード感をもって日本語を覚えてくれるでしょう。
英語が話せる
外国でも英語は苦手としている国はありますが、ネパールの場合は私立学校では小学校から英語教育を受けているのが特徴です。
ネパール語はわからなくても、英語が話せればコミュニケーションが取れるのは大きなメリットといえるでしょう。
また、近年日本は海外からの観光客が増えていますが、英語を話せるネパール人を採用すれば観光客への対応も可能です。
特定技能の分野によっては外国人観光客に接することが多いものもあるので、自社で外国人対応に苦戦している場合は心強い存在になってくれるでしょう。
若い人材が多い
ネパールは、日本と比較して男女ともに若年層が多いです。
そのため、若い人材の採用に力を入れたいと考えている企業にぴったりだといえるでしょう。
日本は高齢者社会の影響もあり、若い労働力が不足しています。
求人を出してもなかなか若い方からの応募が集まらず悩んでいる場合は、特定技能での採用を検討してみるのがおすすめです。
出稼ぎで家族を養いたいという意欲が高い
ネパールから日本に働きにくるのは、ネパールと比較すると日本の方が給与相場が良いためです。ネパールはそれほど給与相場が高くないことに加え、開発が遅れていることからなかなか国内で魅力的な仕事が見つかりません。
裕福とはいえず、貧しい生活を送っている方も多いです。
そのため、特定技能で日本に来る外国人の多くは、出稼ぎで家族を養いたいと考えています。
仕事において評価が悪ければ解雇されてしまう可能性があるので、ほとんどのネパール人はまじめに仕事に取り組んでくれるのがメリットです。
日本人の中には勤労意欲が低い方が増えており、やる気が感じられないケースもあるでしょう。
やる気のある人を採用したいと考えている場合にもネパール人の採用が向いています。
ネパール人を「特定技能」で採用する流れ【国外在住】
国外在住のネパール国籍の方を特定技能で採用したい場合、全体の流れを把握しておきましょう。
以下のような流れとなります。
流れ①求人情報を公開
求人方法は、大きく分けると2つです。
1つ目は、受け入れ機関が直接採用活動を行う方法です。こちらは無料で行えます。
2つ目は、受け入れ機関が駐日ネパール大使館に求人申込を提出する方法です。
こちらは有料となり、求人情報は同大使館からネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門に送られて求人者に開示される形となります。
流れ②雇用契約の締結
採用したい人物が見つかれば、特定技能に係る雇用契約を結びます。
特定技能の資格で採用可能なのは、技能実習2号または3号を良好に修了した方、または特定技能試験に合格した方です。
関連記事:特定技能を取得するための試験とは?試験内容を詳しく解説
流れ③在留資格認定証明書交付申請を実施
地方出入国在留管理官署に特定技能に係る在留資格認定証明書の交付を申請します。
在留資格認定証明書は外国人側の手続きで必要になるため、交付されたあとは原本を当該ネパール人に郵送しましょう。
流れ④査証発給申請を実施
当該ネパール人は、受け取った在留資格認定証明書の原本を提示し、特定技能に係る査証発給申請を行います。
手続き先は在ネパール日本国大使館です。
流れ⑤健康診断や出国前オリエンテーションの実施
ネパールでは、特定技能外国人として来日する場合、指定の医療機関で健康診断と出国前オリエンテーションを受けなければならないと定めています。
出国前オリエンテーションにかかる時間は2~3日程度です。
流れ⑥海外労働保険への加入・海外労働者社会福祉基金への支払い
ネパールでは、特定技能外国人として来日する場合、ネパール出国前に海外労働保険へ加入することと、一定額を海外労働者社会福祉基金に対して支払うことを定めています。
なお、加入する保険内容は指定されていません。
流れ⑦海外労働許可証の発行を申請
当該ネパール人はネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門に対して海外労働許可証の発行を申請しなければなりません。申請はオンラインで行います。
ネパールを出国する際に行われる出国審査で海外労働許可証を確認されることになるので、事前に申請して取得しておかなければなりません。
流れ⑤~⑦の手続きにかかる所要日数は10日間程度です。
流れ⑧入国・就業開始
上記ですべて問題がなければ、入国が可能です。
その後、就業開始となります。
ネパール人を「特定技能」で採用する流れ【日本在住】
日本には、特定技能以外の在留資格で在留しているネパール人もいます。そういった方を特定技能で採用するため、まずは求人を出すか人材紹介会社を利用して採用するネパール人を探しましょう。
技能実習2号または3号を良好に修了している人、または特定技能試験に合格した人でなければ在留資格「特定技能」では採用できません。
採用する方が見つかったら当該ネパール人と雇用契約を締結し、本人が地方出入国在留管理官署に対して在留資格変更許可申請を行います。
在留資格の変更が許可されれば特定技能の在留資格で就業が可能です。
なお、在留資格変更が許可されたあとに本人が特定技能の在留資格を保有したまま再入国許可制度で一時帰国する場合は、海外労働許可証の発行を申請し、取得しなければなりません。
申請はネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門に対して行います。
関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説
「特定技能」でネパール人を採用する際の費用
特定技能でネパール人を採用する場合は、どの程度の費用がかかるのかよく確認が必要です。
以下のような費用がかかります。
費用項目 |
費用相場 |
概要 |
送り出し機関への手数料 |
0〜60万円 |
現地で外国人を募集し、日本へ送り出す支援を行う機関へ支払う手数料 |
登録支援機関の支援委託料 |
2〜4万円/月 |
受入れ機関から委託を受けて在留期間の支援計画作成、実施を行う機関 |
人材紹介会社に支払う紹介手数料 |
30~60万円 |
特定技能資格で働きたい日本国内・海外居住者の外国人材を紹介するサービス |
特定技能協議会加入費用 |
加入する協議会により異なる |
特定産業分野ごとに設置されている協議会の加入に必要な費用 |
渡航費や給与など外国人本人へ支払う費用 |
渡航費は利用する航空会社や時期によって、給与は企業によって異なる |
渡航のためのフライト代、給与など |
それぞれ解説します。
送り出し機関への手数料
送り出し機関とは、現地において日本で働きたい人を募集し、日本に対して送客する役割を持った機関のことです。費用側は20~60万円となります。
ただ、国によっては利用が必須なのですが、ネパールの場合は送り出し機関を通すことなく採用が可能です。
そのため、送り出し機関の手数料はかからないと考えて良いでしょう。
登録支援機関の支援委託料
登録支援機関とは、外国人を採用する受け入れ機関に代わり、各種必要な支援を行える機関です。業務・日常生活が円滑に行えるようにサポートします。
国が定めている基準を満たしている機関のみが登録支援機関になれますが、利用する機関によって対応などは異なるので良く確認が必要です。
関連記事:登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容や役割、選び方を解説
人材紹介会社に支払う紹介手数料
自社で人材を見つけるのが難しい場合は、人材紹介会社から紹介を受けると良いでしょう。
利用のための手数料がかかります。
特定技能協議会加入費用
特定技能では全部で12の分野があり、分野ごとに設置されている協議会に加入しなければなりません。
特定技能協議会は、特定技能外国人の受入れに関する制度の趣旨・優良事例の周知や、何か問題が発生した際の対応策の検討など、さまざまな対応を行っています。
関連記事:「特定技能協議会」の活動内容・目的・加入方法と問い合わせ先
渡航費や給与など外国人本人へ支払う費用
渡航費は本人負担でも良いのですが、多くの企業で企業負担としていることから本人負担とすると求人面で不利になる可能性があります。
渡航費は利用する航空会社、時期によって変わります。
給与も企業によって異なりますが、自社の日本人と同等か、それ以上の給与を設定しなければなりません。
関連記事:特定技能の賃金・給与の相場と決め方・賃金に関する注意点
さまざまな分野で活躍が期待されているネパール人
いかがだったでしょうか。特定技能でネパール人を採用する前に確認しておきたい性格の特徴や採用のメリット、流れなどを紹介しました。
自社で採用する場合のイメージが見えてきたかと思います。
特定技能外国人の中ではそれほど数が多くないものの、日本語に対応しやすい、若い人材が多いなどの魅力があり、ネパール人の採用を検討する企業も多いです。
スタッフ満足でもネパール人の採用に関して支援が可能です。
採用から定着、教育まで総合的にサポートをしているので、自社にとって適した人材を見つけたいと考えている方は、ぜひご相談ください。