人手不足になってしまう原因は?問題解決につながる外国人人材の採用
十分な数の従業員を確保できず、人手不足に悩んでいる担当者の方もいるのではないでしょうか。
「求人情報を出しても応募がない」「人手不足で業務が滞っている」と、困ってしまうことも多いです。
団塊の世代に生まれた人がすべて後期高齢者となることで人手不足がさらに深刻化すると考えられている2025年問題も目前に迫っています。
そこで、人手不足問題を何とかしたいと考えている方のため、根本的な原因や解決策を紹介します。
この記事を読むことで日本における人手不足の現状や、どのような方法で対応すれば良いかがわかるのでぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.日本の人手不足の原因
- 1.1.原因① 少子高齢化の進行
- 1.2.原因② 若者の仕事に対する価値観や考え方の変化
- 1.3.原因③ 人材のミスマッチの発生
- 2.日本が抱える「人手不足」問題の実態
- 3.業界・職種別に見た人手不足の状況
- 4.人手不足によって起こるデメリット
- 5.人手不足解決の方法
- 5.1.解決法① 外国人人材の受け入れ
- 5.2.解決法② 労働環境・条件の整備・改善
- 5.3.解決法③ 採用戦略の見直し
- 5.4.解決法④ イメージアップ戦略
- 5.5.解決法⑤ 外部人材の利用
- 5.6.解決法⑥ 現場のフォロー・カウンセリング
- 5.7.解決法⑦ DX・AIの活用
- 5.8.解決法⑧雇用形態のフレキシビリティを上げる
- 6.特定技能とは
- 7.外国人人材の採用が人手不足解消につながる
日本の人手不足の原因
近年はかなりの好条件で求人情報を出したとしても、簡単に応募は集まりません。
なかには、人手不足が原因で事業を継続できなくなったような事例もあるほどです。
この日本の人手不足には、何が関係しているのでしょうか。
代表的な原因として、少子高齢化の進行と若者の仕事に対する価値観や考え方の変化、人材のミスマッチの発生が挙げられます。
それぞれ解説します。
原因① 少子高齢化の進行
現在、日本では少子高齢化が進行しています。
この少子高齢化が日本における人手不足問題に大きく影響しているのは間違いありません。
総務省によると、65歳以上の高齢者は1950年以降増加していたものの、2023年の前年比は1950年以降初めて減少しました。
ですが、2023年に減少したといっても少子高齢化の改善とまではいえず、10人に1人が80歳以上の状況です。(※1)
また、少子高齢化が進行することで、2050年には生産年齢人口(15~64歳)が2021年から29.2%減となる5,275万人になると見込まれています。(※2)
さらに2045年時点の地方の少子高齢化予想についてみてみると、65歳以上の割合が首都圏では30%台なのが、地方だと40%を超えると考えられているとのことです。(※3)
この先さらに少子高齢化が進むことで生産年齢人口は現在より減り、ますます人材の確保が難しくなってしまいます。
(※1)参考:総務省統計局:統計トピックス No.138 統計からみた我が国の高齢者 -「敬老の日」にちなんで-[PDF]
(※2)参考:総務省:第1部 特集 情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~
(※3)参考:総務省:第1部 特集 情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~
原因② 若者の仕事に対する価値観や考え方の変化
今と昔では、若者の仕事に対する価値観や考え方といったものが大きく異なります。
仕事に対して何を求めているかは人それぞれです。
しかし、昔はプライベートと仕事では仕事を優先する人が多かったのに対し、近年はプライベートを優先する若者が増えています。
例えば、昔は職場内で出世したいと考える人が多く、そのために努力する方も多くいました。
ですが、近年は出世したくないと考えている若者が多く、その理由として「責任が重くなる」「プライベートが重視できなくなる」「労働時間が長くなる」などの利用があります。
昔と比べてプライベートを優先的に考える人が増えているのも大きな特徴です。
重労働であったとしても給与条件がよければ求人に応募が殺到するようなことは少なくなり、特に労働環境が厳しくなりやすい職場では若者を採用するのが難しくなっています。
原因③ 人材のミスマッチの発生
人材のミスマッチが発生してしまうと採用された側はやる気が出なかったり、自分には合わないと感じたりしてすぐに退職してしまうことがあります。
離職率が高い職場は人手不足につながりやすいので、注意しなければなりません。
例えば、求人の内容が正しく伝わっていなかったり、採用された人材のスキルを活かしきれないような職種・職場だったりした場合は離職につながりやすいです。
日本が抱える「人手不足」問題の実態
現在、日本はどのような形で人手不足が問題になっているのでしょうか。
ここでは、人手不足問題の事態を解説していきます。
事態① 非正規雇用の割合が増加している
非正規雇用は正規雇用と比較して不安定になりやすいため、できれば正規雇用として働きたいと考えている方が多いでしょう。
非正規雇用は賃金が安いことに加え、一般的に賞与はありません。
ですが、近年はこの非正規雇用の割合が増加しています。
統計局のデータを見てみると、2023年平均の正規の職員・従業員数は18万人増加しているのに対し、非正規の職員・従業員は23万人も増加したとのことです。
増加率だけを見てみても正規雇用よりも非正規雇用が大幅に多いことがわかります。
同調査では、非正規の職員・従業員についた理由として「自分の都合のよい時間に働きたいから」と答えた人が最も多い結果となりました。
次に続くのが「正規の職員・従業員の仕事がないから」です。(※4)
つまり、仕事がないから仕方なく非正規を選んでいる人よりも、自分の都合の良い時間に働くために非正規を選んでいる人が多いといえます。
また、企業側としても正規労働者を継続して雇うと費用がかかってしまうため、人件費を抑える目的で非正規労働者を増やしているケースも少なくありません。
(※4)参考:総務省統計局:労働力調査(詳細集計)2023年(令和5年)平均結果の概要[PDF]
事態② 中小企業ほど深刻な人手不足となっている
人手不足が特に深刻化しているのが、中小企業です。
求職者に自社を選んでもらうためには、魅力的な求人情報を出さなければなりません。
ですが、中小企業の場合は大企業ほど条件を整えることは難しく、どうしても大企業に人が流れてしまいます。
待遇を整えようにも、人手不足の問題もあってなかなかそれができないようなケースもあるでしょう。
例えば、宿泊業では外国人観光客が増えているものの、休みが少ない、お客さんが多い土日祝日の勤務が当たり前といった状況であることから、なかなかプライベートを重視する若者の採用につながりません。
飲食業に関しても仕事が過酷になりやすいわりに賃金が低いため、不満を感じる若者が多く、求人情報を出しても応募につなげるのが難しい状況です。
大企業と比べると経営が不安定になりやすく、安定性を求める人が転職・早期退職しやすいのも中小企業の人手不足が深刻化している理由といえます。
事態③ 地方企業の人手不足問題がより深刻になっている
都心と比べて地方企業は人手不足になりやすいといえます。
理由はいくつかありますが、そのうちの一つが大都市に人口が集中していることです。
多くの人材が東京などの大都市に集まっており、その結果、地方にとどまる人材が少なくなっています。
地方には都心よりも大型の工場が置かれやすく、より多くの人材が必要です。
また、競合企業が多い地域では人手不足の問題がさらに深刻化しやすくなります。
地方は都心と比較して働き方改革や、デジタル化が遅れているケースも多いでしょう。
すると求職者にとっては労働環境が過酷な職場となってしまい、なかなか求人情報に応募する気になりません。
都心の条件が整った求人のほうが魅力的に見えることも、地方企業が人手不足に陥りやすい大きな理由です。
業界・職種別に見た人手不足の状況
業界・職種別に見てみると、日本の人手不足はどのような状況になっているのでしょうか。
労働経済動向調査を元に解説します。
労働経済動向調査では、「D.I.(Diffusion Index)」と呼ばれる指標で労働者の過不足をはかっており、D.I.の値が大きいほど人手不足感が高い状況です。
令和6年5月の調査を見てみると、各産業別のD.I.は以下の通りでした。
産業・業種 |
正社員等労働者 |
パートタイム労働者 |
建設業 |
60 |
12 |
学術研究/専門・技術サービス業 |
57 |
16 |
運輸業/郵便業 |
55 |
30 |
情報通信業 |
53 |
5 |
医療/福祉 |
52 |
29 |
宿泊業/飲食サービス業 |
49 |
67 |
サービス業(他に分類されないもの) |
46 |
47 |
製造業 |
43 |
16 |
不動産業/物品賃貸業 |
37 |
24 |
金融業/保険業 |
36 |
11 |
生活関連サービス業/娯楽業 |
34 |
49 |
卸売業/小売業 |
26 |
40 |
参考:厚生労働省:労働経済動向調査(令和6年5月)の概況[PDF]
正社員等労働者でいうと、建設業は特に人手不足の状況に陥っていることがわかります。
最もD.I.が低いのは卸売業/小売業ではありますが、それでも十分人手が足りているとはいえません。
また、パートタイム労働者を見てみると、宿泊業/飲食サービス業が最も人手不足であることがわかりました。
宿泊業や飲食サービス業は非正規雇用者に頼っている部分が大きいため、人手不足が目立っているようです。
人手不足によって起こるデメリット
そもそも、人手不足になると、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
代表的なこととして、以下が挙げられます。
【主なデメリット】
|
人手不足の状況になると、少ない従業員で現場を回さなければなりません。
結果として、1人当たりの負担が増えます。
毎日忙しく働かなければならないので、余裕がなくなり、サービス品質が低下してしまうこともあるでしょう。
そのような状況が続くと、従業員のモチベーションが低下してしまうことは避けられません。
これは生産性の低下や離職者の増加を招きます。
企業としては今のままでは事業を継続するのが難しく、事業の拡大ができないのはもちろんのこと、場合によっては事業縮小も考えなければなりません。
さらに人手不足が続いてしまうと倒産のリスクも高まります。
このように、人手不足が事業に与える影響は計り知れません。
現段階ですでに人手不足の状況に陥っているのであれば、早急な対策が必要です。
人手不足解決の方法
人手不足対策をしなければならないことはわかっているものの、具体的なにをすれば良いかわからない、対策を取っているもの効果がないと悩んでいる方もいるはずです。
実践したい解決方法として、以下の7つが挙げられます。
【効果的な7つの方法】
|
それぞれ解説します。
解決法① 外国人人材の受け入れ
日本人の採用だけでは十分な人手を確保できないのであれば、外国人人材の受け入れが効果的です。
日本で働きたいと考えている外国人は多く、実際にたくさんの企業が外国人人材に助けられています。
外国人を採用するにあたり、言葉やコミュニケーションの壁など、大変なことが多いのではないかと不安に感じることもあるでしょう。
ですが、政府でも日本の人手不足問題解消のためには外国人時代の採用が重要であると考え、さまざまな対策を取っています。
例えば、日本で働きたい外国人向けの在留資格を整備したり、日本語教育の数字を向上させるために体制を強化したりするなどの取り組みです。
ハローワークや生活相談窓口は多言語化が進められているため、何か困ったことがあった際にサポートを受けられます。
ただし、日本にいる外国人であれば誰でも採用できるわけではありません。
就労可能な在留資格を持った外国人を採用しなければならない点には注意しておきましょう。}例えば、人手不足を解消する目的で創設された「特定技能」などの在留資格を持っている外国人を採用するといった選択肢があります。
関連記事:外国人採用の方法や手順を徹底解説!必要な手続きや注意点も確認
解決法② 労働環境・条件の整備・改善
現在の労働環境や条件が良くないために、求人情報を出しても応募がないケースもあるでしょう
こういった場合は、各種環境や条件を整備したり、改善したりすることを考えていかなければなりません。
ただし、何か対策を取ろうにも人手不足で余裕がないと着手することが難しくなってしまいますそういった場合は、政府が各種助成金を用意しているので、こういったのも活用してみてはいかがでしょうか。
雇用環境を整備した場合に助成金が受けられるほか、各種相談窓口が用意されています。
解決法③ 採用戦略の見直し
現在行っている採用戦略に問題があると、いくら労働環境や条件を整えたとしても効果的な採用活動にはつながりません。
重要なのは、現在の採用市場がどのようになっているのか、新卒採用をする場合は学生がどのようなことを就職先に求めているかを知ることです。
それに沿った形で採用戦略を検討できると効率の良い採用活動ができるようになります。
また、採用戦略を立てることによりミスマッチを防ぐこともできるようになるので、採用できたもののすぐに辞められてしまったといったリスクを抑えることも可能です。
解決法④ イメージアップ戦略
誰でもイメージの悪い企業よりも、良い企業で働きたいと考えているものです。
どれだけ給与条件が良かったとしても、企業としてのイメージが悪い場合はなかなか就職先の選択肢になりません。
そのため、イメージアップ戦略は非常に重要になります。
採用活動に関するイメージアップ戦略として実践したいのが、採用ブランディングです。
この会社で働きたいと思ってもらえるような、自社ならではの魅力を伝える施策を実施していきます。
自社ではどのような人物を求めているのか明確にしておき、ペルソナに対するメッセージを作成しましょう。
作成したメッセージをどのような媒体で発信するかも重要です。
解決法⑤ 外部人材の利用
一時的に人手が必要になるようなケースでは、外部人材を活用するのも一つの方法です。
内部の人材はコア業務にあたれるようになるので、作業効率も良くなります。
近年は副業者やフリーランスとして働く方も増えているので、自社に合った外部人材を見つけるのは難しくありません。
専門性の高い業務を担当できるような人材を外部人材で探すことも可能です。
解決法⑥ 現場のフォロー・カウンセリング
働きやすい職場づくりをするために、現場のフォローや定期的なカウンセリングは欠かせません
近年は転職への抵抗が弱まっており、自分に合わないと感じた職場はすぐに退職する考え方をする方が増えました。
現場でのフォローが行き届いていないと自分には合わないと判断され、退職されてしまう恐れがあります。
先輩の社員が新入社員をしっかりフォローできるような体勢を築いておくことが重要です。
また、カウンセリングも定期的に行いましょう。
現在の業務で困っていることはないか、どのようなサポートが必要かなどを聞くための機会を設けます。
ただ、職場に関する悩みは自分の上司や先輩には伝えにくいものです。
心理カウンセリングなど、専門家を置くのも一つの方法といえます。
解決法⑦ DX・AIの活用
人手不足解消のための取り組みと、現場で働く従業員の負担軽減のどちらにもつながるのが、DXやAIの活用です。
最新の技術を活用することにより、業務効率が改善します。
また、人の手で行わなければならない作業を自動化できるようになるので、働きやすい職場づくりも可能です。
導入には費用がかかりますが、長い目で見た時にコストダウンにつながることが多いといえます。
解決法⑧雇用形態のフレキシビリティを上げる
フレキシビリティとは、柔軟性を意味します。
つまり、雇用形態にも柔軟性を持たせましょう。
例えば、フルタイムの募集で応募がない場合は短時間採用を増やす、できるだけ求職者の希望に合わせた形で採用するなどの方法です。
雇用形態のフレキシビリティを上げることで、これまでは条件が合わず応募できなかった求職者からの応募につなげることもできます。
ただし、フレキシビリティを上げて採用した従業員のほうが既存従業員よりも好条件な働き方となってしまうと、既存従業員の不満につながってしまう可能性があるので注意が必要です。
特定技能とは
外国人人材の受け入れを検討するにあたり、おさえておきたいものに「特定技能」があります。
特定技能は、日本で働きたい外国人を受け入れる目的で作られた在留資格の一つです。
日本ではさまざまな産業において人手不足の状況が続いており、日本人の採用だけでは十分な人材を確保できない分野において特定技能外国人の採用が認められています。
特定技能1号・特定技能の2種類があり、特定技能1号は特定の産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
2号は1号よりも求められる知識・経験が多く、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格となっています。
1号で認められている受け入れ分野は以下の通りです。
【特定技能1号の受け入れ分野】
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もともと12分野で認められていましたが、新たに自動車運送業、鉄道、林業、木材産業といった4分野が追加され、16分野で特定技能が認められることになりました。
2号は、新たに追加された自動車運送業、鉄道、林業、木材産業と以前からある介護以外の分野が対象です。
関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説
特定技能の資格を持つ外国人を採用するメリット
特定技能の資格を持つ外国人を採用することにより、以下のようなメリットがあります。
【主なメリット】
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近年は外国人観光客が増えていますが、外国語対応ができず苦戦している企業もあるでしょう。
外国人の採用で多言語対応ができるようになれば、外国人観光客にも対応しやすくなります。
また、海外についての理解が深まるため、海外進出のきっかけになることも珍しくありません。
それから、外国人が特定技能の在留資格を取得するためには、日本語試験や産業ごとに設けられている試験に合格する必要があります。
日本語を一から教えるところから始める必要がないのもメリットといえるでしょう。
1号は通算で上限5年までしか働けませんが、2号に移行すれば更新の上限がなくなるので、条件さえ満たせば永住権を得ることも可能です。
そのため、自社で長く働いてくれる外国人を求めている場合にも向いています。
関連記事:特定技能のメリットとは?注意すべきデメリットや採用方法も確認
外国人人材の採用が人手不足解消につながる
いかがだったでしょうか。
現在日本が人手不足の状態になっている原因や人手不足問題の実態、対策などを解説しました。
少子高齢化や若い方の価値観が変化している影響もあり、新規採用は簡単なことではありません。
日本人に限定するのではなく、外国人雇用も選択肢に入れると良いでしょう。
初めての外国人雇用で不安を感じているのであれば、スタッフ満足までご相談ください。
特定技能外国人の採用・支援を行っています。
紹介から定着までワンストップ対応が可能なので、雇用に関する不安や疑問もまとめてご相談いただけます。