在留資格とは?代表的な種類と外国人を雇用する場合の注意点
労働力が不足している場合、外国人雇用を検討してみると良いでしょう。
そのためには、在留資格について正しく理解しておく必要があります。
本記事では、外国人を雇用するにあたり在留資格がどういったものなのかわからず困っている方のため、おさえておきたい概要やビザとの違いなどを解説します。
この記事を読むことによって在留資格に関する基本や、外国人を雇用する際に注意しておきたいポイントなどがわかるようになるので、ぜひご覧ください。
目次[非表示]
- 1.在留資格について
- 1.1.在留資格を確認する方法
- 1.2.ビザとの違い
- 2.就労可能な在留資格の種類
- 3.就労不可の在留資格
- 4.在留資格の申請手続きのやり方
- 4.1.国外在住の外国人を採用する場合
- 4.2.国内在住の外国人で、在留資格を変更する場合
- 4.3.在留期間を更新する場合
- 5.外国人を雇用する場合の注意点
- 6.在留資格で認められていない活動を行った場合
- 7.在留資格が取り消されるケース
- 8.在留資格について理解を深めておくことが重要
在留資格について
在留資格は、外国人が日本に滞在する上で取得しなければならない許可のことです。
外国人は在留資格を申請して取得することで、日本に在留し、何かしらの活動を行えるようになります。
在留資格を得るためには、日本に入国する前に必要書類をそろえて出入国在留管理庁へ申請しなければなりません。
在留資格は2024年4月時点で29種類あります。
例えば、日本を観光で訪れる場合は「短期滞在」の在留資格が必要です。
他にもよく耳にするところだと「技能実習」も在留資格の一つです。
在留資格ごとに在留期間が定められています。
また、日本で就労が可能かについても取得する在留資格によって異なります。
具体的な取得の要件は在留資格によって異なりますが、以下に該当する場合は取得できません。
【上陸許可が下りない条件】
|
これらに該当しないかよく確認が必要です。
在留資格を確認する方法
外国人が取得している在留資格は、入国管理局によって発行される在留カードで確認可能です。
日本に90日以上を滞在する場合に身分書として発行されます。
携帯が義務付けられていることから、外国人は常に在留カードを持ち歩かなければなりません。
在留カードには在留期間も記載されているので、外国人を雇用する際は忘れずに在留カードを確認しましょう。
ビザとの違い
在留資格は、ビザ(査証)とは異なります。
混同しないようにそれぞれどういったものなのか確認しておきましょう。
在留資格 |
ビザ(査証) |
|
目的 |
外国人が日本で暮らすことと一定の活動を認める資格 |
日本への入国を許可する証明書 |
発給発行場所 |
出入国在留管理局 |
在外日本国大使館・領事館 |
期限 |
在留資格によって異なる(3カ月~5年) |
発給の翌日から3カ月 |
ビザは日本への入国を認める証明書であるため、入国審査が済んだ後は無効となります。
在外日本国大使館・領事館に対して申請を行い、その人物が日本へ入国・滞在するのが適切であると判断された場合に発行されるものです。
就労可能な在留資格の種類
在留資格の中には、就労ができるものと、できないものがあります。
外国人を雇用しようと考えている場合は、当該外国人が取得している在留資格で就労が可能なのか必ず確認しなければなりません。
就労可能な在留資格は、就労系と身分系の2つに分れます。
それぞれ該当する在留資格や特徴は以下の通りです。
就労系
就労系に該当するのは、以下の19種類です。
在留資格 |
該当する |
在留期間 |
特定技能 |
1号:特定産業分野に関して相当程度の知識または経験を要する業務に従事する人 2号:特定産業分野に関して熟練した技能を要する業務に従事する人 |
1号:1年を超えない範囲で法務大臣が個々に定める期間 2号:3年、1年または6カ月 |
技能実習 |
技能実習法上の認定を受けた技能実習計画に基づき講習を受け、技能等に係る業務に従事する人 |
1号:1年を超えない範囲で法務大臣が個々に定める期間 2号:2年を超えない範囲で法務大臣が個々に定める期間 3号:2年を超えない範囲で法務大臣が個々に定める期間 |
外交 |
外国政府の大使、公使など、外国政府の外交使節団としての活動をする人やその家族 |
外交活動の期間 |
公用 |
外国政府の大使館・領事館の職員など、政府承認の外国政府若しくは国際機関の公務に従事する人やその家族 |
5年、3年、1年または3カ月 |
教授 |
大学教授など高度専門学校で研究や教育をする人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
芸術 |
作曲家、画家などの収入を伴う芸術上の活動をする人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
宗教 |
外国の宗教団体から派遣される宣教師など、宗教上の活動をする人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
報道 |
外国の報道機関の記者、カメラマンなど外国の報道機関に所属し日本で取材報道上の活動をする人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
高度専門職 |
外国の報道機関の記者、カメラマンなど外国の報道機関に所属し日本で取材報道上の活動をする人 |
1号:5年、2号:無期限 |
経営・管理 |
企業等の経営者・管理者など、貿易やその他の事業の経営や管理をする人 |
5年、3年、1年、6カ月、4カ月または3カ月 |
法律・会計業務 |
弁護士、公認会計士など、法律上の資格持ち、法律または会計に係る活動をする人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
医療 |
医師、歯科医師などの資格を持ち、医療に係る業務にあたる人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
研究 |
政府関係機関や私企業等の研究者など、契約に基づいて研究活動をする人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
教育 |
中学校・高等学校等の語学教師など教育機関で語学教育、その他教育をする人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
技術・人文知識・国際業務 |
機械工学等の技術者、通訳など、人文科学の分野に属する技術・知識を必要とする業務や外国の文化に基盤を有する思考、感受性を必要とする業務に従事する人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
企業内転勤 |
外国の事業所からの転勤者など、技術・人文知識・国際業務で掲げる活動をする人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
介護 |
俳優、歌手など、興行に係る活動をする人 |
5年、3年、1年または3カ月 |
興行 |
俳優、歌手など、興行に係る活動をする人 |
3年、1年、6カ月、3カ月または30日 |
技能 |
外国料理の調理師、スポーツ指導者など、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する人 |
5年、3年、1年または3カ |
就労系の在留資格は、どの在留資格に該当するのかによって就労できる範囲が決められています。
そのため、取得している在留資格で認められていない職業に就くことはできません。
なお、在留資格の中には在留期間の更新が可能なものもあります。
こういったものに関しては、更新を申請し、それが許可された場合に限り更新可能です。
最初は短い期間が認められ、更新を繰り返すことで徐々に長い期間が付与されることになります。
ただ、例えば就労系のビザなのに何度も転職をしている、留学生なのに授業の出席率が低いなどの場合は素行が悪いと判断され、短い在留期間しか認められないケースも多いです。
身分系
身分系は、以下の4種類が該当します。
在留資格 |
該当する人 |
在留期間 |
永住者 |
法務大臣から永住の許可を受けた人 |
無期限 |
日本人の配偶者等 |
日本人の配偶者や子供、特別養子に該当する人 |
5年、3年、1年または6カ月 |
永住者の配偶者等 |
永住者・特別永住者の配偶者や日本で生まれ引き続き在留している人 |
5年、3年、1年または6カ月 |
定住者 |
第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人など |
5年を超えない範囲で5年、3年、1年、6カ月または法務大臣が個々に定める期間 |
身分系の在留資格は日本人と同様の働き方ができ、就労の範囲制限が設けられていません。
就労不可の在留資格
在留資格の中には、日本での就労が認められないものもあるので、外国人を雇用する際は注意が必要です。
以下の在留資格が該当します。
【非就労資格】
|
このうち、文化活動、留学、家族滞在については「資格外活動の許可」を得れば1週間あたり28時間以内など一定の範囲内の就労が認められます。
許可を得ていることが前提であることから、該当する外国人を採用する場合は応募時に資格外活動の許可を得ているか必ず確認が必要です。
ここでは、就労不可の各在留資格に関して解説します。
文化活動の資格
文化活動とは、日本文化の研究者などが該当する在留資格です。
収入を伴わない学術上・芸術上の活動や、日本特有の文化・技芸に関する専門的な研究部を行うか、専門家指導のもとこれらを修得するための活動をする人が対象となります。
在留期間は3年、1年、6ヶ月または3カ月です。
日本特有の文化・技芸には、生花のほか、茶道、柔道、日本建築、日本画、日本舞踊、日本料理、邦楽などが該当します。
また、日本固有のものではなくても、日本がその形成や発展において重要な役割を果たしている禅、空手なども対象です。
資格外活動の許可が得られた場合は、週28時間以内のアルバイトができます。
留学の資格
留学は、大学や短期大学、高等専門学校などで教育を受けるために日本に滞在することが認められる資格です。
在留期間は4年3カ月を超えない範囲で、法務大臣が個々に定める期間が認められます。
資格外活動許可の申請ができるため、日本で学びながらアルバイトで収入を得ている方も多いです。
家族滞在の資格
家族滞在とは、就労ビザで滞在する在留外国人が扶養している配偶者や子どもが該当します。
在留期間は5年を超えない範囲で法務大臣が個々に定める期間です。
資格外活動の許可が得られれば週28時間以内のアルバイトができます。
研修の資格
日本の公私の機関で受け入れられて行う技能などを取得するための活動をする研修生を対象とした在留資格です。
在留資格は1年、6カ月または3カ月です。
アルバイトは禁止されているため、働くことはできません。
短期滞在の資格
短期滞在の在留資格は、観光や会議に参加するなどの目的で日本を訪れている方が対象となります。
在留期間は90日か30日、または15日以内の日を単位とする期間です。
アルバイトは認められません。
在留資格の申請手続きのやり方
国外在住の外国人を採用する場合、国内在住の外国人が在留資格を変更する場合、在留期間を更新する場合について解説します。
国外在住の外国人を採用する場合
現在はその他在留資格を取得しておらず、国外に住んでいる外国人を採用する場合の流れは以下の通りです。
【流れ】
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国内にいる外国人を採用するのとは違い時間がかかります。
働き始めて欲しいタイミングが決まっているのであれば、余裕をもって行動しましょう。
国内在住の外国人で、在留資格を変更する場合
現在、何らかの在留資格で日本に住んでいる外国人に対し、在留資格を変更した上で働いてもらう場合、以下の流れで申請手続きを行います。
【流れ】
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必要な書類は、在留資格によって異なります。
詳細は出入国在留管理庁のページから確認可能です。
在留期間を更新する場合
残りの在留期間が少ない場合は、期間の更新が必要です。
以下の流れで行いましょう。
【流れ】
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現在取得している在留資格で引き続き働ける職業に就く場合は、こちらを選択することになります。
在留期間が6ヶ月以上あれば、在留期間満了の3ヶ月前から更新手続きが可能です。
なお、結果が出るまでに長くて1ヶ月程度かかることもあります。
ただ、在留期間の満了日までに申請が完了している場合は、最長で在留期間の満了日から2カ月間は日本の滞在が可能です。
関連記事:外国人採用の方法や手順を徹底解説!必要な手続きや注意点も確認
外国人を雇用する場合の注意点
外国人を雇用する場合、いくつか注意しなければならないことがあります。
特に在留資格の交付に時間がかかること、取得する在留資格によって従事できる業務が異なることこの2つを確認しておきましょう。
注意点① 在留資格の交付に時間がかかる
在留資格は、申請してすぐに交付されるものではありません。
期間を更新する場合でも長くて1カ月程度、新規に申請する場合は長くて3カ月程度かかることもあります。
これは、書類などに不備がなかった場合の話です。
もしも書類に不備があり修正や追加で書類を提出しなければならない状況になると、さらに期間が延びてしまいます。
そのため、新規で外国人を採用したいと考えているのであれば、3~4カ月程度はかかると考えておきましょう。
注意点② 在留資格によって従事できる業務が異なる
在留資格は2024年4月時点で29種類あり、日本で認められる活動別に在留資格が用意されています。
そのため、在留資格で認められる範囲内の業務にしか従事できません。
例えば、在留資格「特定技能」では、人員が不足している介護やビルクリーニング、航空、宿泊など12の分野が設定されています。
各分野で異なる試験を受けて在留資格が認められる形になるので、例として特定技能「宿泊」を取得した方が、特定技能「航空」の業務に従事することはできません。
在留資格で行えることは各資格で細かく決められているので、よく確認しておきましょう。
また、取得している方が多い在留資格である「技術・人文知識・国際業務」では、単純労働が認められません。
単純労働とは、専門的な知識や技能といったものを必要とすることなく、短期間の訓練でできるようになる作業のことです。
単純労働の人手が足りないために外国人を採用したいと考えている場合は注意しましょう。
なお、特定機能であれば付随的な業務として単純労働が認められています。
ただ、あくまで付随的な業務として認められるものなので、その単純労働のみに従事させることはできません。
特定技能1号の場合は特定産業分野に関して相当程度の知識や経験を有する業務、特定技能2号の場合は熟練した技能を要する業務につくことが前提です。
在留資格で認められていない活動を行った場合
認められていない業務に従事してしまった場合、外国人本人だけではなく、その業務を任せていた企業も処罰の対象となります。
当該外国人は不法就労の扱いとなり、企業は不法就労助長罪に問われる形です。
不法就労助長罪となった場合、3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
中には外国人を雇用する際に不法就労者であることを知らなかった場合もありますが、こういったケースであっても在留カードを確認しておかなかったなどの過失があった場合は処罰の対象です。
このような事態に陥らないために、その在留資格で何ができるのか、できないのかよく理解しておかなければなりません。
在留資格が取り消されるケース
取得していた在留資格が取り消されてしまうケースがあります。
どのようなケースで取り消される可能性があるのか確認しておきましょう。
ここでは、代表的な3つのケースを解説します。
認められていない業務範囲に従事したケース
繰り返しになりますが、在留資格で認められていない業務を行った場合は在留資格が取り消しになる可能性が高いです。
在留資格とは「この活動を行うのであれば日本在留を認める」もののことです。
例えば、医師、歯科医師、看護師として働くことを認められ「医療」の在留資格で日本に在留している方が、教育機関で語学教師として働いて報酬を得ることはできません。
特に注意しなければならないのが、単純労働です。
単純労働が禁止されている在留資格で採用する場合は、そもそも何が単純労働に該当するのかよく確認しておきましょう。
単純労働には、以下のようなものが該当します。
【代表的な単純労働】
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人手不足のために外国人の採用を検討しているのであれば、外国人を採用した後に依頼しようと思っている作業が単純労働ではないか確認しておいてください。
在留資格に基づく活動を行っていないケース
在留資格は外国人に対し、日本で行えることを限定して認めるものであると同時に、行わなければならないことを示すものでもあります。
例えば、就労系の在留資格の場合、その就労を行うことが日本に在留できる条件です。
仮に仕事を辞めた場合、正当な理由なく3カ月以上就労せずにいると在留資格が取り消されてしまいます。
正当な理由があれば取り消しの対象にはなりません。
ここでいう正当な理由とは、前の職場は退職していたとしても、再就職に向けて具体的な就職活動を行っている場合などをいいます。
正当な理由として認められるか個々に判断される形です。
中長期在留者が正しい手続きをしないケース
中長期にわたって日本に滞在する外国人は、法律で定められている正しい手続きを行わなければなりません。
例えば、上陸の許可や在留資格の変更許可といったものを取得して新たに中長期在留者となった場合は、これらの許可を得てから90日以内に出入国在留管理庁長官に住居地の届出をしなければなりません。
また、日本在留中に引越しをする場合、出入国在留管理庁長官に届け出た住居地から退去したことを出入国在留管理庁長官に報告し、新しい住所地を届け出る必要があります。
こちらは、以前の住居地から退去した日より数えて90日以内が期限です。
90日以内というと余裕があるように感じますが、就職や転職、引越しなどが重なると忙しくなり届け出を忘れてしまうこともあります。
いずれも在留資格の取り消しにつながる可能性があるため、注意が必要です。
また、出入国在留管理庁長官に対して正しい住所を届け出なかった場合も、在留資格が取り消されてしまう可能性があります。
在留資格について理解を深めておくことが重要
いかがだったでしょうか。
在留資格の概要や種類、外国人を採用するにあたりおさえておきたいポイントなどを解説しました。
外国人を採用する場合は、当該外国人が取得している在留資格をよく確認し、どのような業務を任せられるのかもしっかり理解しておく必要があります。
特に新規に外国人を採用する場合は専門的な手続きなども必要で難しいと感じることがあるので、ぜひ人材紹介サービス「スタッフ満足」までご相談ください。
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