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外国人労働者受け入れ可能な業種と多い業種について紹介

日本の労働力不足が深刻化する中、外国人労働者の受け入れが注目を集めています。
しかし、どの業種で雇用できるのか、外国人労働者が多い業種は何なのかなど、疑問を持っている方は少なくありません。

この記事では、外国人労働者の現状や受け入れ可能な業種、多い業種などを詳しく解説します。
外国人採用のメリット・デメリットも知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次[非表示]

  1. 1.外国人労働者の現状
    1. 1.1.国籍別の現状
    2. 1.2.在留資格別の現状
  2. 2.外国人労働者の割合が多い業種
    1. 2.1.製造業
    2. 2.2.サービス業
    3. 2.3.卸売業、小売業
  3. 3.「特定技能」と「技能実習」で受け入れ可能な業種
    1. 3.1.特定技能
    2. 3.2.技能実習
  4. 4.外国人採用のメリット・デメリット
  5. 5.外国人採用の費用
  6. 6.外国人採用の流れ
  7. 7.まとめ

外国人労働者の現状

外国人労働者の存在感は、日本の労働市場で急速に高まっています。
厚生労働省によると、2023年10月末時点での外国人労働者数は204万8,675人に達し、過去最高を更新しました。
 
前年同期比では22万5,950人(12.4%)の増加が見られ、日本の労働力不足を補う役割を果たしています。
 
過去5年間の外国人労働者数の推移は、以下のとおりです。

外国人労働者数
前年比増加率
2019

1,658,804人

13.6%

2020

1,724,328人

4.0%

2021

1,727,221人

0.2%

2022

1,822,725人

5.5%

2023

2,048,675人

12.4%

外国人材を雇用する事業所数も31万8,775か所と、前年同期比で1万9,985か所(6.7%)増加しています。
この数値は多くの企業が、外国人労働者を積極的に採用している現れです。
 
外国人労働者数の需要は、主に製造業、サービス業、建設業などの分野で高まっています。
日本の少子高齢化と労働力不足を背景に、今後も高まっていくでしょう。
 
政府は外国人材の受け入れ拡大に向けた施策を進めており、2024年には技能実習制度に代わる育成就労制度を創設するなど、制度面での整備が進んでいる状況です。
 
参照元:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)

国籍別の現状

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると、2023年10月末時点での国籍別外国人労働者数は以下のとおりです。

順位
国籍
労働者数
割合
1
ベトナム

518,364人

25.3%

2
中国

397,918人

19.4%

3
フィリピン

226,846人

11.1%

4
インドネシア

121,507人

5.9%

5
ネパール

145,887人

7.1%

ベトナムが全体の4分の1と最多で、上位3か国が全体の55.8%を占めています。
 
注目すべきは、インドネシアの労働者数が前年比56.0%増という点です。
要因は、インドネシアの豊富な労働力や日本との良好な関係、両国の賃金格差などが考えられます。
 
また、ミャンマーからの労働者も前年比49.9%増で、アジア諸国からの労働力の流入は顕著です。
 
一方、従来では多かった中国からの労働者の割合は、相対的に低下傾向です。
外国人雇用状況からは、労働者における出身国の多様化が見て取れます。
 
参照元:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和5年 10 月末時点)

在留資格別の現状

2023年10月末時点での在留資格別外国人労働者数は、以下のとおりです。

在留資格

労働者数

割合

前年比増加率

身分に基づく在留資格

615,934人

30.1%

1.8%

専門的・技術的分野の在留資格

595,904人

29.1%

24.2%

技能実習

342,501人

16.7%

-0.2%

資格外活動

418,270人

20.4%

17.9%

特定活動

71,676人

3.5%

-2.3%

専門的・技術的分野の在留資格は、前年比24.2%と増加傾向です。
高度人材の受け入れが進んでいる現状がわかります。
 
特定技能の増加率は、前年比75.2%増の138,518人です。
この数値は、2019年に創設された在留資格への期待の高さを示しています。
 
また、資格外活動も17.9%と大きく増加しており、留学生のアルバイトなどの増加が推測されます。
 
一方で、技能実習は減少傾向です。
特定技能への移行が進んでいる可能性が考えられます。
 
在留資格別の現状からは、外国人労働者の受け入れ政策が、単純労働力の確保から専門性の高い人材の獲得へとシフトしているのが読み取れます。
今後は、特定技能や専門分野での外国人材の活用がさらに進んでいくでしょう。

参照元:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和5年 10 月末時点)

外国人労働者の割合が多い業種

外国人労働者の割合が多い業種は、3つあります。 

  • 製造業
  • サービス業
  • 卸売業、小売業

それぞれが雇用できる業務と、外国人材に人気の理由を詳しく解説します。

製造業

製造業は外国人労働者の雇用がもっとも多い業種で、全体の27.0%を占めます。
主に食品製造や電子部品製造、自動車部品製造などの分野で多くの外国人材が働いています。
 
雇用できる業務は、以下のとおりです。

業務内容

必要な在留資格

生産ライン作業

技能実習、特定技能

品質管理

技術・人文知識・国際業務

機械オペレーション

技能実習、特定技能

製品開発

技術・人文知識・国際業務

工程管理

技術・人文知識・国際業務

サービス業

サービス業は外国人労働者の割合が2番目に高く、全体の15.7%を占めます。
特に、宿泊業や飲食サービス業、ビルメンテナンス業などで多くの外国人材が働いています。
近年では、観光地や都市部で多言語対応のできる外国人スタッフの需要が高まっています。
 
雇用できる主な業務は、以下のとおりです。

業務内容

必要な在留資格

ホテルスタッフ

特定技能、技術・人文知識・国際業務


レストラン接客

特定技能、技術・人文知識・国際業務

清掃業務

特定技能

介護職

介護、特定技能

通訳・翻訳

技術・人文知識・国際業務

卸売業、小売業

卸売業、小売業は外国人労働者の割合が3番目に高く、全体の12.9%を占めます。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット、アパレルショップなどで働く外国人が多いです。

近年はインバウンド需要の増加に伴い、多言語対応のできる外国人スタッフの重要性が高まっています。
したがって、外国人労働者からすると魅力的な就業先といえるでしょう。
 
雇用できる主な業務は、以下のとおりです。

業務内容

必要な在留資格

店舗スタッフ

資格外活動(留学生のアルバイト)

販売員

技術・人文知識・国際業務

在庫管理

特定技能

通訳・翻訳

技術・人文知識・国際業務

マーケティング

技術・人文知識・国際業務

「特定技能」と「技能実習」で受け入れ可能な業種

特定技能と技能実習は、日本の外国人労働者受け入れに欠かせない役割を果たしています。
 
特定技能は深刻な人手不足に対応するため、介護や建設、農業など16分野で外国人材の受け入れを可能としている在留資格です。
技能実習制度は開発途上国への技能移転を目的とし、農業、漁業、建設、食品製造など91職種167作業で受け入れが行われています。
 
企業は自社のニーズに合わせて、適切な選択をしなければいけません。
 
特定技能と技能実習の目的、分野と従事できる業務を詳しく見ていきましょう。

特定技能

特定技能は、深刻化する人手不足に対応するため、2019年4月に創設された在留資格です。
目的は、一定の専門性・技能を有する外国人材の受け入れを拡大し、中小企業や地方の人手不足を解消することです。
 
特定技能には1号と2号があり、それぞれ特徴が異なります。

項目

特定技能1号

特定技能2号

技能水準

相当程度の知識または経験が必要

熟練した技能が必要

日本語能力

日常会話レベル以上

要件なし

在留期間

通算で5年まで

更新回数の制限なし

家族の帯同

基本的に不可

可能

対象分野

16分野

2分野(建設、造船・舶用工業)

特定技能1号では、介護、建設、農業など16分野で外国人材の受け入れが可能です。
今後、さらなる拡大が見込まれています。

技能実習

技能実習制度は、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)受け入れ、OJT(職場で実務を通じて技能を学ぶ教育手法)を通じて技能を移転する制度です。
目的は、日本の技能・技術・知識を開発途上国等に移転し、その国の経済発展を担う人材育成を支援することです。
 
技能実習で受け入れ可能な職種は、以下のとおりです。

分野
主な職種

農業関係


耕種農業、畜産農業

漁業関係

漁船漁業、養殖業

建設関係

建築大工、左官、とび

食品製造関係

缶詰巻締、食鳥処理加工業

繊維・衣服関係

染色、ニット製品製造

機械・金属関係

鋳造、金属プレス加工

その他

印刷、プラスチック成形

技能実習制度は、2024年度に就労育成制度へ移行されると発表されました。
新制度では、技能実習生の保護や待遇改善が図られる見込みで、日本語教育の充実や転職の自由化などが検討されています。
 
企業は、新制度に備えて受け入れ体制の見直しを検討する必要があるでしょう。

参照元:育成就労制度の概要

外国人採用のメリット・デメリット

外国人採用には、さまざまなメリットとデメリットがあります。

メリット
デメリット
  • 人手不足の解消
  • グローバル化への対応
  • 多様性の促進
  • 新しい視点や発想の獲得
  • 優秀な人材の確保
  • 言語や文化の違いによるコミュニケーション障害
  • 在留資格の管理や手続きの煩雑さ
  • 教育・研修にかかるコストと時間
  • 労務管理の複雑化
  • 文化摩擦や職場環境の変化

外国人採用は、人手不足解消やグローバル化対応など多くのメリットがある一方で、言語や文化の違いによる課題もあります。
しかし、適切な受け入れ体制を整備し、外国人材の特性を活かせば、企業の成長や競争力の強化につながるでしょう。
 
参照元:外国人採用のメリット・デメリットと外国人労働者を採用する方法

外国人採用の費用

外国人を採用する費用は、企業の対応方法によって異なります。

項目
費用

人材紹介手数料

30万円〜60万円

在留資格申請費用

10万円〜20万円

渡航費用

5万円〜15万円

住居準備費用

20万円〜50万円

支援計画作成費

5万円〜10万円

日本語教育費

10万円〜30万円/年

健康診断費用

1万円〜3万円​​​​​​

保険加入費用

月額1万円程度

特定技能外国人の場合、支援に関する費用は原則として企業側が負担しなければいけません。
ただし、渡航費用や住居費用は、本人が負担します。
 
企業はこれらの費用を事前に把握し、適切に予算を組む必要があります。
 
参照元:特定技能外国人の採用にかかる費用を解説

外国人採用の流れ

外国人を採用する際の一般的な流れは、以下のとおりです。


流れ

内容

注意点

1

採用計画の策定

必要な人材像、人数、採用時期の決定

在留資格に応じた採用計画が必要

2

求人活動

求人広告の掲載、人材紹介会社の利用


外国人向けの求人サイトの活用も検討

3

書類選考・面接

履歴書、職務経歴書の確認、面接実施

言語や文化の違いに配慮が必要

4

採用条件の提示

給与、勤務条件等の提示と合意

日本人と同等以上の待遇が原則​​​

5

在留資格の確認・申請

現在の在留資格確認、必要に応じて変更申請

専門家への相談を推奨

6

雇用契約の締結

雇用条件の詳細を記載した契約書の作成

母国語と日本語の併記が必要

7

入社準備

住居の手配、各種保険加入手続き

支援計画の作成(特定技能の場合)

8

入社・オリエンテーション

業務説明、社内ルールの説明

文化の違いに配慮した丁寧な説明が重要

9

就労開始後のフォロー

定期面談、生活支援等

問題の早期発見と対応が重要

採用では、在留資格や出身国によって必要な手続きが異なる場合があります。
外国人を初めて採用する企業は、専門家や登録支援機関のサポートを受けると、スムーズな雇用ができるでしょう。
 
参照元:外国人採用の方法や手順を徹底解説!必要な手続きや注意点も確認

まとめ

外国人労働者の受け入れは、日本の労働市場において重要性を増しています。
製造業やサービス業、卸売・小売業を中心に、多くの業種で外国人材が活躍し、特定技能や技能実習制度を通じてさらなる拡大が見込まれています。
 
外国人の採用には言語や文化の違いによる課題もありますが、適切な受け入れ体制を整備すれば、人手不足の解消やグローバル化への対応など多くのメリットが得られるでしょう。
 
採用を検討する際は、費用や手続きの流れを十分に理解し、計画的に進めなければいけません。
 
外国人材の活用は、多様化する労働市場において企業の競争力を強化するために欠かせない戦略です。
自社の状況や業界の特性を踏まえ、採用の可能性を積極的に検討しましょう。

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