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特定技能の12分野(14業種)の職種一覧を解説

企業で人材不足に悩んでいる場合の選択肢の一つに外国人の採用が挙げられます。中でも「特定技能」に注目している方もいるのではないでしょうか。
ただし特定技能は分野・業種が定められており、該当する企業でなければ選択できません。
 
そこで「特定技能で採用できる分野を知りたい」と考えている方のため、該当する分野と特徴を紹介します。

この記事を読むことによって自社で特定技能の採用を検討できるか、特定技能1号・2号にはどういった違いがあるのかなどがわかるので、ぜひご覧ください。

目次[非表示]

  1. 1.特定技能とは
    1. 1.1.特定技能1号・2号の違い
  2. 2.特定技能1号の12分野(14業種)
    1. 2.1.介護
    2. 2.2.ビルクリーニング業
    3. 2.3.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
    4. 2.4.建設
    5. 2.5.造船・舶用工業
    6. 2.6.自動車整備
    7. 2.7.航空
    8. 2.8.宿泊
    9. 2.9.農業
    10. 2.10.漁業
    11. 2.11.外食業
  3. 3.特定技能2号の分野
  4. 4.今後追加される可能性がある職種
  5. 5.特定技能外国人を採用する流れ
  6. 6.人材不足なら特定技能外国人採用を検討してみるのがおすすめ

特定技能とは

特定技能とは、在留資格の一つです。
同じく在留資格である「技能実習」は開発途上国への国際協力を目的としているのに対し、特定技能は人材不足解消のための制度になります。
 
日本では生産性の向上や国内人材の確保を進めたとしても人材不足が問題となっている産業上の分野があります。
これは「特定産業分野」と呼ばれ、国が定めている特定産業分野が特定技能制度の対象です。
 
働きたい外国人は特定技能の資格を取得することになるのですが、各分野で取得する資格が異なるので、働けるのは資格を取得している分野のみとなります。また特定技能には、1号・2号があり、それぞれ該当する分野が異なります。

関連記事:特定技能とは?

特定技能1号・2号の違い

特定技能1号・2号の代表的な違いは以下の通りです。


特定技能1号

特定技能2号

在留期間

1年・6ヶ月・4ヶ月ごとの更新で通算5年

3年・1年・6ヶ月ごとの更新で更新上限はなし

永住権の取得

できない

取得要件を満たせる可能性がある

技能水準

特定産業分野に関する相当程度の知識または経験を必要とする技能

特定産業分野に関する熟練した技能

対象となる分野

12分野

11分野

外国人支援

対象

対象外

家族の帯同

認められない

条件を満たせば可能

日本語能力水準試験

ある
ない

特定技能2号になると在留期間の上限がなくなること、家族の帯同が可能になるのは大きな違いです。技能水準はそれぞれ試験などによって確認される形となります。
 
日本語能力水準についても違いがあります。
1号は試験などで日本での業務・生活に必要とされる日本語能力があるか判断される形です。
なお、技能実習2号を良好に修了している場合は試験が免除されます。
また、2号の場合は原則試験などでの日本語能力水準の確認は不要です。
 
特定技能を取得するためには特定技能測定試験に合格するか、技能実習から移行する方法が一般的となります。
また特定技能1号より特定技能2号の方が上位資格となるため、基本的には特定技能1号の修了者が希望した場合に特定技能2号へ移行するのが一般的です。
試験を受けて2号取得を目指します。
 
なお、特定技能2号の取得に1号の取得では必須ではないため、高い技能が認められれば特定技能2号からの取得も可能です。
ただし、現状では1号からの移行しかできないので、まずは特定技能1号の取得を目指すことになります。

関連記事:特定技能1号と2号のビザの違いは?採用前に知りたい注意点を解説

特定技能1号の12分野(14業種)

人材不足のため、在留資格の特定技能が認められている分野は、特定技能1号と2号で異なります。なお、すべての分野で雇用形態は直接雇用となりますが、農業、漁業は派遣での雇用も認められています。
 
1号の対象分野は以下の12です。

介護

身体介護などに関連する業務に従事するものです。
利用者の心身の状況に応じた形で入浴や食事、排泄といったものの介助を行います。
また、他にもレクリエーションの実施や機能訓練の補助といった身体介護に付随している支援業務を行うことが可能です。
 
その他の特定技能は技能試験と日本語試験(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験)を受けて合格すれば認められますが、介護の場合はこれらに加えて「介護日本語評価試験」への合格が求められます。
 
所管は厚生労働省です。なお、訪問系のサービスは介護施設側からの要望が多いのですが、制度の対象外です。

関連記事:特定技能「介護」とは

ビルクリーニング業

建築物内部の清掃に関連する業務を行う分野です。
清掃には汚れの原因や、清掃する部分の素材などに合わせた方法で行うための専門的な知識が必要になります。
 
ビルクリーニングなので、ハウスクリーニングの扱いとなる住宅内部の清掃は対象外です。機器や設備の内部の清掃作業も対象外となります。
 
床や浴室、トイレ、洗面台の清掃、アメニティの補充、ベッドメイク作業などはメインの業務ではなく付随的であれば従事可能です。
 
技能試験では「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」を受けることになります。所管は厚生労働省です。

関連記事:特定技能「ビルクリーニング」とは?採用の要件や費用を解説

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

素形材とは、素材に熱や力を加えることによって加工された部品や部材のことをいいます。
機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理といった3つに従事する分野です。

それ従事可能業務は以下となります。

機械金属加工

・鋳造
・ダイカスト
・金属プレス加工
・工場板金
・鍛造
・鉄工
・機械加工

・仕上げ
・プラスチック成形・溶接
・塗装
・電気機器組立て
・機械検査
・機械保全
・工業包装

電気電子機器組立て

・仕上げ
・プラスチック成形
・電気機器組立て
・電子機器組立て

・プリント配線板製造
・機械検査
・機械保全
・工業包装

金属表面処理

・めっき
・アルミニウム陽極酸化処理

技能試験は「製造分野特定技能1号評価試験」で、所管は経済産業省です。

関連記事:特定技能「産業機械製造業」とは?受け入れ企業の要件も解説

建設

土木、建築、ライフライン・設備といった3つの区分に該当する業務を行う分野です。
もともと業務区分が19区分と細分化されていたのですが、業務範囲が限定的になってしまうことから見直しされ、3区分に結合されました。
 
従事可能な範囲は、それぞれ以下の通りです。

土木

・さく井工事業
・舗装工事業
・しゅんせつ工事業
・造園工事業
・大工工事業
・とび・土工工事業

・鋼構造物工事業
・鉄筋工事業
・塗装工事業
・防水工事業
・石工事業
・機械器具設置工事業

建築

・大工工事業
・とび・土工工事業
・鋼構造物工事業
・鉄筋工事業
・塗装工事業
・防水工事業
・石工事業
・機械器具設置工事業
・内装仕上工事業
・建具工事業

・左官工事業
・タイル・れんが・ブロック工事業
・清掃施設工事業
・屋根工事業
・ガラス工事業
・解体工事業
・板金工事業
・熱絶縁工事業
・管工事業

ライフライン・設備

・板金工事業
・熱絶縁工事業
・管工事業
・電気工事業

・電気通信工事業
・水道施設工事業
・消防施設工事業

技能試験は「建設分野特定技能1号評価試験等」で、所管は国土交通省です。

関連記事:特定技能「建設」とは?創設背景や採用のポイントも解説

造船・舶用工業

溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立てを行う分野です。さまざまな関連業務が可能です。
 
例えば、読図作業、清掃作業工程管理、機器・装置・運搬機の運転、資材の材料管理・配置、廃材処理、清掃などが挙げられます。
ただし、関連業務として認められるのは当該業務に従事する日本人が通常従事することになる関連業務で付随的に従事する形しか認められません。
 
技能試験は「造船・舶用工業分野特定技能1号試験等」で、所管は国土交通省です。

関連記事:特定技能「造船・舶用工業」とは?

自動車整備

自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備のほか、特定整備に付随して行う業務が対象となる分野です。
メインの業務とすることはできませんが、整備内容の説明及び関連部品の販売、部品番号検索・部内発注作業、ナビ・ETC等の電装品の取付作業、洗車作業、下廻り塗装作業なども行えます。
 
技能試験は「自動車整備分野特定技能評価試験等」で、所管は国土交通省です。

関連記事:特定技能「自動車整備」とは?基礎情報と採用の流れを解説

航空

空港グランドハンドリングと呼ばれる地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務などのほか、機体、装備品等の整備業務等の航空機整備といった業務を行う分野です。
 
関連業務としては、事務作業や作業場所の整理整頓・清掃、積雪時における作業場所の除雪などが挙げられます。他の分野と比較すると受け入れられている特定技能外国人が少ない分野です。
 
技能試験は「特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング、航空機整備)」で、所管は国土交通省です。

宿泊

フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供業務を行う分野です。
 
メイン業務にはできませんが、当該業務に従事する日本人が通常従事するような関連業務に付随的に従事することはできます。
旅館、ホテル施設内の土産物等売店における販売業務や備品の点検・交換業務などです。
またベッドメイキングなども対象となります。
 
技能試験は「宿泊業技能測定試験」で、所管は国土交通省です。

関連記事:特定技能「宿泊」とは?概要と採用活動時におさえておくべきポイント

農業

栽培管理、農産物の集出荷・選別といった耕種農業全般、飼養管理、畜産物の集出荷・選別といった畜産農業全般の業務を行う分野です。
耕種農業と畜産農業では異なる試験が行われることになります。
 
農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業といったものでも、日本人が通常従事している関連業務であれば行えます。
どの範囲の業務を担当してもらえるのかについては事前によく確認が必要です。
 
技能試験は「農業技能測定試験(耕種農業全般、畜産農業全般)」で、所管は農林水産省です。

関連記事:特定技能「農業」とは?概要や採用の流れについて解説

漁業

漁業と養殖業の2種類がある分野です。試験はそれぞれ別のものが用意されています。

従事可能な範囲詳細は以下の通りです。

漁業

・漁具の製作・補修
・水産動植物の探索
・漁具・漁労機械の操作

・水産動植物の採捕
・漁獲物の処理・保蔵
・安全衛生の確保等

養殖業

・養殖資材の製作・補修・管理
・養殖水産動植物の育成管理

・養殖水産動植物の収獲(穫)・処理
・安全衛生の確保等

現状日本は高齢労働者の割合が多いことから、今後はさらに人材が不足する可能性が高いと考えられます。
漁業のその傾向が強く、技能試験外国人の活躍が期待されている分野です。
 
技能試験は「漁業技能測定試験(漁業、養殖業)」で、所管は農林水産省です。

関連記事:特定技能「漁業」とは?概要や雇用形態を徹底解説

飲食料品製造業

飲食料品のうち酒類を除く飲食料品製造業全般の製造・加工、安全衛生などに従事する分野です。
特定技能外国人全体でみると最も多くの方が働いている分野でもあります。
 
飲食料品製造分野は人の手で柔軟に対応しなければならないことが多いため、自動化が難しく、人材不足につながりやすいです。
技能試験は「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」で、所管は農林水産省です。

関連記事:特定技能「飲食料品製造業」とは

外食業

飲食物調理、接客、店舗管理といった外食業全般に従事する分野です。
人材不足が続いている分野であることから、特定技能外国人の受け入れが進められています。
 
付随する業務として、店舗で原材料として使用する農林水産物の生産や、客に提供する調理品等以外の物品の販売なども行うことが可能です。
 
技能試験は「外食業特定技能1号技能測定試験」で、所管は農林水産省です。

関連記事:特定技能「外食業」の概要と受け入れ企業側の要件・取得要件を解説

特定技能2号の分野

上記に挙げた分野のうち、特定技能2号は介護以外の11分野が対象です。
 
もともと、特定技能2号の対象となるのは「建設」と「造船・舶用工業」の2職種のみでした。
ですが、2023年に介護以外の全業種に拡大されています。
 
この背景にあるのが、特定技能で在留している外国人の在留期限です。特定技能は2019年から制度が始まりましたが、特定技能1号では通算で5年までと在留期限が定められています。
そのため、期限切れを迎える外国人が特定技能へ移行できるようにするため、2号の対象分野が拡大されました。
 
なお、対象分野に介護が入っていないのは、在留資格「介護」があるからです。

今後追加される可能性がある職種

在留資格である特定技能は、人材不足に苦しんでいる産業上の分野の採用をサポートするための制度です。そのため、今後人材不足が認められるその他の分野が追加されていく可能性があります。
 
例えば、自動車運送業もその一つです。運送業界では2024年4月から運転手の時間外労働が年に960時間までに制限されることから、物流の停滞が起こる「2024年問題」が指摘されています。
 
それから、観光地でのタクシー不足の問題もあるため、トラックやタクシー、バス、その他送迎サービスなどの分野が追加される可能性は高いです。
 
日本経済新聞によると自動車運送業を追加する検討に入ったと報道されています。[1]
 
また、朝日新聞によると2020年に自民党が政府に対して特定技能の対象業務にコンビニを追加するように提言しました。[2]
ただ、こちらはまだ実現に至っていません。
 
他にも人材不足が問題となっている分野は多々あるため、追加が検討される可能性はあります。

新たに「自動車運送業」、「鉄道」、「林業」、「木材産業」の4分野が特定技能制度の受け入れ対象に追加されることが決定しました。
現在の12分野から16分野に拡大し、令和6年度より今後5年間で最大82万人の受け入れを見込んでいます。
早くても5月から関係する省令・告示を改正、試験の作成をする予定となります。※3月29日時点

[1] 参考:日本経済新聞:「特定技能」にトラックなどの運転手 国交省が追加検討(書籍・研究論文名称)

[2] 参考:朝日新聞:「特定技能にコンビニ追加を」 自民、外国人在留で提言

特定技能外国人を採用する流れ

特定技能外国人を採用する場合、現在留学や技能実習などの在留資格で国内に在留している外国人を採用するか、海外から新規で外国人を採用する方法の2種類があります。
 
それぞれの採用の流れは、以下の通りです。
 
【国内在留の外国人を採用】

  1. 外国人が試験に合格するか技能実習2号を修了する
  2. 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
  3. 特定技能外国人の支援計画を策定
  4. 地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請を行う
  5. 在留資格を特定技能1号に変更する
  6. 就労開始

【海外から外国人を採用】

  1. 外国人が試験に合格するか技能実習2号を修了する
  2. 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
  3. 特定技能外国人の支援計画を策定
  4. 地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請を行う
  5. 在留資格認定証明書を受領する
  6. 在外公館にビザを申請する
  7. 入国
  8. 就労開始

どちらの方法を選択する場合も、まずは受け入れ要件を確認しておきましょう。
特定技能外国人交際をするためには、前述した特定12分野(14業種)に該当していることが大前提です。

関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説


 この他にも以下が定められています。
 
【受け入れ機関が満たすべき要件】

  1. 労働、社会保険、租税関係法令を遵守している
  2. 1年以内に非自発的離職者や行方不明者を発生させていない
  3. 5年以内に出入国・労働法令違反がない

海外から外国人を採用する場合はステップが多いので、時間がかかりやすくなります。
なお、技能実習2号を良好に修了してから帰国した方の場合、試験が免除されます。
 
内定を出すタイミングは特に決められていないため、試験前でも可能です。
ただし、試験に合格できなければ特定技能として採用はできない点にご留意ください。

人材不足なら特定技能外国人採用を検討してみるのがおすすめ

いかがだったでしょうか。特定技能で対象となっている部分や業種について解説しました。
自社で採用を検討できそうかご理解いただけたかと思います。

特定技能外国人を採用することによって人材不足問題解消が期待できます。採用の流れなども確認し、特定技能外国人の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

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