catch-img

フィリピン人を採用する際のPOEAとは?フィリピン人採用時のルールについて解説

フィリピンの政府機関POEA(現DMW)は、海外で働く自国民を保護するため、海外企業による直接雇用を原則として禁止しています。
雇用契約は、適切な手続きを踏まないと無効になる可能性があります。
 
国内外に暮らすフィリピン人の採用を検討している日本企業は、適切な知識と手順を把握した上で、採用活動を進めなければいけません。
 
この記事では、フィリピン人を採用する際のルールや手続き方法などを詳しく解説します。採用活動のトラブルを避けながら、優秀な人材を確保するための道筋を明確にしましょう。

​​​​​​​

目次[非表示]

  1. 1.フィリピン人を採用する際は直接雇用は禁止されている
  2. 2.適正にフィリピン人採用を実施しないとどうなる?
  3. 3.フィリピン人採用時のルールについて
    1. 3.1.POEA
    2. 3.2.DOLE
    3. 3.3.POLO
  4. 4.現地に住むフィリピン人の採用の流れ
  5. 5.日本在住のフィリピン人を採用
  6. 6.直接雇用禁止が免除できるケース
  7. 7.特定技能でフィリピン人を採用するなら人材紹介がおすすめ
  8. 8.まとめ

フィリピン人を採用する際は直接雇用は禁止されている

フィリピン人の直接雇用は、フィリピンの政府機関DMW(Department of Migrant Workers)によって禁止されています。
海外で働く自国民を保護するために設けられた、厳格なルールのひとつです。
 
2017年以降、現地エージェントを介さない雇用は認められておらず、DMW(旧POEA)認定の送り出し機関を通じた手続きが必須です。
 
この制度は、労働者が不当な労働条件や搾取から守られることを目的としています。
なかには直接雇用が認められるケースもありますが、高度な専門性や厳しい条件を満たさなければいけません。
 
日本企業がフィリピン人を採用する際は、送り出し機関との連携や適切な手続きを行う必要があります。
正しい手順を踏めば、労働者の権利を守りながらスムーズな採用活動ができます。

適正にフィリピン人採用を実施しないとどうなる?

フィリピン人を採用する時に適切な手続きを怠ると、企業と労働者の双方に深刻な問題が生じます。
 
フィリピン政府の認可を得ずに雇用した場合、労働者は海外就労許可証(OEC)を取得できません。
これにより、フィリピンから出国できないだけでなく、一時帰国後の再入国も難しくなります。
 
また、日本国内で在留資格を取得しても、不正手続きが発覚すれば雇用契約は無効となり、企業側は法的責任を問われる可能性があります。
 
採用におけるトラブルは、企業の信用失墜につながりかねません。
 
さらに、適正な手続きにはMWO※1 やDMW※2 への登録と審査が必要です。
これらの機関は労働契約内容や福利厚生の適正性を確認し、不当な条件での雇用を防ぐ役割を担っています。
 
適切なプロセスを経れば、トラブルを回避できるほか、労働者との信頼関係の構築にもつながります。
企業は法令遵守と労働者保護への配慮を徹底し、安全かつスムーズな採用活動を実現しなければいけません。

(※1)フィリピン人労働者とその家族の福祉を保護し支援するための移住労働者事務所(Migrant Workers Office)の略称
​​​​​​​
(※2)フィリピンの移民労働者省(Department of Migrant Workers)の略称で、海外で働くフィリピン人の権利保護や福利厚生を目的とした政府機関

フィリピン人採用時のルールについて

フィリピン人を採用する時は、3つの機関が定めたルールに従う必要があります。

機関名

役割・特徴
主な業務内容
日本企業への影響

DOLE (フィリピン労働雇用省)

フィリピンの労働政策を統括し、国内外の労働者の権利を保護する機関

労働規制の策定・監督、労働問題の解決支援、海外就労者の保護

労働者保護の観点から、問題が発生した場合に厳しい対応を取る可能性がある

POEA (フィリピン海外雇用庁)

海外で働くフィリピン人労働者を保護するための中心的機関

就労先企業や送り出し機関の審査、海外雇用許可証(OEC)の発行

日本企業はPOEA認定の送り出し機関を利用し、審査を受ける必要がある

POLO (駐日フィリピン海外労働事務所)

DOLEとPOEAの出先機関として、日本国内でフィリピン人労働者に関する手続きを担当

雇用契約書の確認・認証、労働者相談窓口、在留資格関連手続き支援

日本企業はPOLOで書類審査や面接を受ける必要があり、採用活動において重要な窓口となる

それぞれの役割や手続きについて詳しく解説します。

POEA

POEA(Philippine Overseas Employment Administration)は、フィリピン政府が設置した、海外で働くフィリピン人労働者の権利保護と適正な雇用環境の確保を目的とする機関です。
送り出し機関の認定や雇用契約内容の審査を行い、不当な労働条件での就労を防ぐ役割を担っています。
 
日本企業がフィリピン人を採用する場合は、POEA認定の送り出し機関と契約し、同機関による審査を受けなければいけません。
 
また、労働者が海外で就労するには、海外雇用許可証(OEC)が必要です。
許可証の発行も、POEAによって管理されています。
 
この制度により、労働者は不当な搾取や違法な就労から保護されます。
 
※POEAは2022年より、DMW(Department of Migration Workers)へ名称が変更されました(組織再編による統一)

DOLE

DOLE(Department of Labor and Employment)は、フィリピン国内全体の労働政策を統括する省庁です。
DMW(旧POEA)やMWO(旧POLO)などの関連機関を監督し、国内外問わずすべての労働者が適正な条件で働けるよう規制や支援策を策定しています。
 
また、雇用主と労働者間で発生するトラブル解決にも関与し、公平性と透明性を確保する役割も果たしているのが特徴です。
 
DOLEは、国内外で活動するフィリピン人労働者に対する保護政策を実施しています。
その一環として、日本企業にも適正な手続きと法令遵守が求められています。
 
※DOLEは2022年より、DMW(Department of Migration Workers)へ名称が変更されました(組織再編による統一)

POLO

POLO(Philippine Overseas Labor Office)は、日本国内に設置されたフィリピン政府の出先機関です。
日本企業とフィリピン人労働者との間で締結される雇用契約書の確認や、認証を担当します。
 
主な役割は、日本企業が提出した雇用契約書が適正かどうか審査し、不備があれば修正指示を出すことです。
 
また、労働者への面接や相談窓口としても機能しており、日本国内で発生する問題解決にも対応しています。
 
機関での認証手続きが完了しない限り、DMW登録や在留資格の申請手続きは進められません。
そのため、日本企業はPOLOとの連携を強める必要があります。
 
※POLOは2022年より、MWO(Migrant Workers Office)へ名称が変更されました

現地に住むフィリピン人の採用の流れ

現地に住むフィリピン人を採用する際は、フィリピン政府が定めた手順に従わなければいけません。
採用までのステップは以下のとおりです。


流れ

内容
ポイント
1

送出機関との契約締結

フィリピン政府認定の送出機関(エージェント)と契約を結ぶ

認定エージェントを選定し、「募集取決め」を締結。日本の公証役場で公証が必要

2

POLOへの申請

必要書類をPOLO(駐日フィリピン海外労働事務所)へ提出

書類審査と英語による面接が行われる。通訳の同席は可能

3

POEAへの登録

POLO承認後、書類をPOEA(フィリピン海外雇用庁)に提出し登録

POEAで求人情報が登録され、正式な人材募集が可能になる

4

人材募集・選考

送出機関が求人票をもとに人材を募集し、企業が面接を実施

面接で候補者を選定し、雇用契約を締結する

5

在留資格の申請

日本での在留資格認定証明書(COE)を取得

出入国在留管理庁へ申請し、認定証明書を発行

6

ビザ申請とOEC発行

フィリピン国内でビザ申請と海外雇用許可証(OEC)の発行手続き

OEC発行後、60日以内に出国手続きを進める必要あり

7

日本への渡航・就労開始

労働者が日本に渡航し、業務開始準備を整える

オリエンテーションや住居準備などのサポートが必要

法令遵守と労働者保護の観点から、専門家やエージェントとの連携を強化しましょう。

日本在住のフィリピン人を採用

日本在住のフィリピン人を採用する場合は、在留資格に応じた手続きが必要です。
一方、永住者や定住者などの身分系の在留資格を持つフィリピン人は、フィリピン政府機関での手続きが不要なため、スムーズに採用できます。
 
しかし、技能実習や特定技能などの就労目的の在留資格を持つ場合は、フィリピン政府が定めるPOLO(旧MWO)やDMW(旧POEA)での手続きが必要です。
雇用主はPOLOで雇用契約書を認証し、DMWを通じて正式な登録を行います。
 
また、日本国内で直接雇用する場合でも、送り出し機関を経由しなければいけません。
 
これらの手続きを怠ると、労働者が一時帰国した際に再入国できなくなる可能性があります。
適切な手続きを踏み、労働者の権利保護と企業のコンプライアンス遵守を両立させましょう。

直接雇用禁止が免除できるケース

フィリピンでは、原則として直接雇用が禁止されています。
しかし、例外的に免除されるケースがあります。
 
免除の対象は、以下のとおりです。

  • 受け入れ企業が法人格を有し、1年以上安定した経営実績がある
  • 管理職やエンジニアなどの高度な技術職
  • 労働者は大学卒業以上の学歴や関連分野での実務経験が必要
  • 給与や福利厚生がDMW(旧POEA)の基準を満たしている

企業はこれらの条件を満たした上で、DMWに免除申請書を提出し、審査と承認を受けなければいけません。
 
ただし、免除制度はあくまで特例措置であり、許可される人数は1法人につき最大5人までと制限されています。
適用条件は厳しいため、送り出し機関を介した採用を検討すべきでしょう。

特定技能でフィリピン人を採用するなら人材紹介がおすすめ

フィリピン政府は、自国民の海外就労を保護するために複雑な手続きを義務付けているため、フィリピン人の採用には人材紹介会社の活用がおすすめです。
 
人材紹介会社を活用しないと、送り出し機関との契約締結やDMW(移住労働者省)への登録、POLOでの書類審査などが必要です。
これらの手続きは専門知識が求められるため、企業が自力で対応すると負荷がかかります。
 
人材紹介会社を利用すれば、煩雑なプロセスを代行してもらえるほか、適切な人材のマッチングを実現できます。

まとめ

フィリピン人の採用には、独自ルールや多くの手続きがあります。
しかし、それらは労働者保護と適正な雇用環境確保のために設けられたものです。
 
採用におけるルールと流れを把握すれば、安全かつ効率的な採用活動を進められます。
信頼できる人材紹介会社を見つけ、スムーズな雇用を実現しましょう。

株式会社スタッフ満足 新井 宏典
株式会社スタッフ満足 新井 宏典
当サイトの運営・記事執筆を担当しております。外国人採用、特定技能に関するご相談はぜひスタッフ満足まで!

外国人採用にお悩みですか?

あなたの現場にマッチする人材をご支援します

サービス・料金がわかる!

お問い合わせはこちら

おすすめの資料

サイドバナー

スーパーホテルグループとして外国人を雇用してきた経験をもとにつくられた
特定技能外国人の採用支援サービス

気になるキーワードで検索してみましょう

人気記事ランキング

分野別おすすめ記事

国別おすすめ記事

新着記事

タグ一覧