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特定技能「建設」とは?創設背景や採用のポイントも解説

特定技能は、外国人向けの在留資格の一つです。
2024年1月現在、12の産業分野が対象となっており、建設業も含まれています。
特定技能「建設」は、比較的新しい制度であるため、条件等についてはしっかりと把握しておきたいところです。
 
この記事では、特定技能「建設」に関する情報を網羅的に紹介します。
人手不足から、特定技能「建設」の人材を採用したいとお考えの担当者様は、ぜひ本記事を最後までお読みください。

特定技能・外国人採用に関するお役立ち資料はこちら

目次[非表示]

  1. 1.特定技能とは?
  2. 2.特定技能「建設」の概要
  3. 3.特定技能「建設」が創設された背景
  4. 4.特定技能「建設」の対象職種
  5. 5.特定技能「建設」1号と特定技能「建設」2号の違い
  6. 6.特定技能「建設」1号の取得に必要なルートとその条件
    1. 6.1.ルート➀ 特定技能評価試験・日本語能力試験の双方に合格する
    2. 6.2.ルート② 技能実習「建設」2号・3号を修了する
  7. 7.特定技能「建設」2号の取得に必要な条件
  8. 8.特定技能「建設」の試験の概要
  9. 9.特定技能「建設」を有する外国人を採用する際の受け入れ側の条件
    1. 9.1.条件➀ 建設業許可を取得する
    2. 9.2.条件② 国土交通省による建設特定技能受入計画認定を受ける
    3. 9.3.条件③ 一般社団法人建設技能人材機構へ加入する
    4. 9.4.条件④ 建設キャリアアップシステムへ登録する
    5. 9.5.条件⑤ 支援体制の義務を果たす
  10. 10.特定技能「建設」を有する外国人を採用する流れ
  11. 11.特定技能「建設」の採用にあたっての諸費用
  12. 12.特定技能「建設」の人材を採用して人材不足の解消に役立てよう!

特定技能とは?

特定技能とは、特定の産業分野の業務に従事できる、外国人に向けた在留資格です。
日本国内の深刻な人材不足を緩和すべく成立した改正出入国管理法によって、在留資格である特定技能が創設され、2019年4月から順次受け入れが始まりました。
企業は、指定の条件を満たすことで特定技能を有する外国人の採用を行い、人材不足の解消に役立てることができます。

なお、特定技能で定められているものには、建設業をはじめ、「宿泊」「介護」など12の分野があり、業種は合計14となります。
 
詳しくは下記をご覧ください。
 
【特定技能が定める12の産業分野】

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 建設
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 造船・船舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造
  • 外食業

産業分野ごとに認定要件や試験の内容、受け入れ側の条件も異なるので、自社が該当する分野の要項に目を通しておきたいところです。

また、特定技能には「1号」と「2号」があり、待遇に差があります。
建設業における「1号」と「2号」の違いについては後述します。

関連記事:特定技能とは?採用方法や企業にとってのメリットを解説

関連記事:特定技能の12分野(14業種)の職種一覧を解説

特定技能「建設」の概要

特定技能「建設」とは、国が定めた特定技能のうち、建設業に携わるための資格を指します。
認定された外国人は、建物の建設や電気通信工事、配管工事などに従事できます。
 
雇用形態や報酬、受け入れ人数については、下記の表を参考にしてみてください。

【特定技能「建設」の概要】


雇用形態

報酬

受け入れ人数
(5年間の最大)

特定技能「建設」

直接

月給制

40,000人

特定技能「建設」の雇用形態や報酬は、そのほかの11種の特定技能と同様です。
政府は、受け入れ計画として5年間で最大40,000人を見込んでいます。
 
なお、特定技能「建設」と「介護」に限っては、企業が受け入れられる人数にも制約がある点に注意が必要です。
特定技能「建設」では、受け入れ企業の常勤職員と同数までしか、外国人を採用できません。
たとえば、社長を含めて常勤社員が10名の会社であれば、採用できる外国人の人数の上限は10名となります。

特定技能「建設」が創設された背景


特定技能「建設」が創設された背景には、建設業界を取り巻く深刻な人手不足があります。
ほかの業界の例に漏れず、建設業界にも高齢化の波が押し寄せているのです。
 
総務省は、各業界における労働の実態を明らかにすべく、「労働力調査」を実施しました。
同調査から、建設業における年齢別就業率を見ると、65歳以上の方の割合は、2009年の8.1%から2019年には16.4%へと、10年間で10%近く上昇しています。
 
建設業は「昔ながらの労働習慣」「体力的に過酷」というイメージから、若い年齢層に人気がなく、これが人手不足や高齢化に拍車をかけています。
 
こうした建設業界特有の問題の解決とともに、新たな労働力の確保も急がれており、その一環として特定技能「建設」が創設されたのです。
慢性的な人材不足にあえぐ建設業界への、強力な助っ人として大きな期待が寄せられています。
 
参照元:総務省統計局「労働力調査」

特定技能「建設」の対象職種

特定技能「建設」は、「土木区分」「建築区分」「ライフライン・設備区分」の3つの区分に分かれており、それぞれ対象職種が定められています。
 
土木区分とは、一般的に地面ないし、地面より下の工事を指します。
一方で建築区分は、地面より上の建物部分の工事を指す場合が多く、この点が土木区分との主立った違いです。
また、電気通信、ガス、水道、電気などのライフラインや、設備の整備・設置、修理に関わる工事は、ライフライン・設備区分となります。
 
それぞれの対象職種は下記をご確認ください。
 
【特定技能「建設」の対象職種】

区分
対象職種

土木区分

型枠施工・鉄筋施工・コンクリート圧送・トンネル推進工・建設機械施工・土工・とび・海洋土木工

建築区分

型枠施工・左官・コンクリート圧送・屋根ふき・土工・鉄筋施工・鉄筋継手・内装仕上げ・表装・とび・建築大工・建築板金・吹付ウレタン断熱

ライフライン・設備区分

型枠施工・鉄筋施工・コンクリート圧送・トンネル推進工・建設機械施工・土工・とび・海洋土木工

当然ではありますが、上記の指定職種以外に労働者を従事させることはできません。

自社で人材が不足している業務と、特定技能「建設」が許可する業務のあいだに、ミスマッチがないかを確認したうえで、採用活動をスタートさせたいところです。

特定技能「建設」1号と特定技能「建設」2号の違い

先述した通り、特定技能「建設」には1号と2号があり、それぞれ、迎え入れの条件が異なります。
 
詳しくは下記の表を参考にしてみてください。
 
【特定技能「建設」1号と2号の違い】


特定技能「建設」1号

特定技能「建設」2号

在留期間

1年・6か月・4か月ごとの更新 (通算5年まで)

3年・1年・6か月ごとの更新(更新の制限なし)

技能水準

相当程度の知識・経験を必要とする技能

熟練した技能(各分野の技能試験で確認)

外国人支援

必須、支援計画の策定実施は義務

支援計画の策定実施は不要

家族の帯同

不可

条件を満たせば可能

日本語能力水準試験の有無

試験の実施状況

国内外で実施中

2024年以降の開始予定

1号より2号のほうが熟練した技能が求められるため、外国人本人への待遇がより厚く、また、企業側に求められる受け入れ準備にも違いがあります。

なお、特定技能「建設」2号に関しては、2024年から順次試験が実施される予定です。
建設以外の分野での特定技能2号の試験はすでに開始されており、建設もこれに続くかたちとなりました。

特定技能「建設」1号の取得に必要なルートとその条件

特定技能「建設」1号と同2号の違いを押さえたところで、まずは1号について、その取得に向けた2つのルートを紹介します。

ルート➀ 特定技能評価試験・日本語能力試験の双方に合格する

1つ目のルートは、特定技能「建設」の取得に必要な試験を突破することです。
特定技能「建設」の取得に必要な試験には、「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の2つがあります。
 
特定技能評価試験とは国土交通省が定めた技能試験であり、学科試験だけでなく、実技試験も課せられます。
 
また、特定技能評価試験とは別に、日本語の語学レベルを計る試験である、「JLPT」のグレードN4以上への合格、あるいは国際交流基金日本語基礎テストへの合格も必須です。
 
なお、特定技能評価試験の詳細は後述します。

ルート② 技能実習「建設」2号・3号を修了する

 2つ目のルートとして、技能実習「建設」2号もしくは3号を修了するというものもあります。
“特定技能「建設」”の修了ではない点にご注意ください。
 
技能実習とは、日本の技術を母国に持ち帰り広めてもらうことを目的とした、国際貢献のための制度です。
有する経験、習熟度によってグレードが下から1号・2号・3号と分かれています。
技能実習「建設」2号以上を修了していれば、通常必要な試験がすべて免除され、特定技能1号へ移行できます。
 
特定技能1号は単体で最長5年間の就労が認められていますが、技能実習と組み合わせれば、さらに長期間の滞在が可能です。
たとえば、技能実習「建設」3号の在留期間はもっとも長い5年であり、これと組み合わせることで最長10年間の在留が叶います。

特定技能「建設」2号の取得に必要な条件

特定技能「建設」2号を取得する方法は、2024年1月現在、特定技能「建設」1号からの移行のみです。

熟練した技能が求められる特定技能2号を取得するハードルは決して低くはなく、在留外国人にとって狭き門と言えます。
 なお、1号からの移行に際しては、下記に挙げる3つの要件を満たしている必要があります。
 
【特定技能「建設」1号から2号へ移行するための3つの要件】

  • 試験へ合格する
  • 班長としての実務経験を有している
  • 業務区分ごとに定められた期間の実務経験を積んでいる

特定技能「建設」2号の取得にあたっては、「建設分野特定技能2号評価試験」「技能検定1級」「技能検定単一等級」のいずれかの試験への合格が必須です。
また、建設における3つの区分である、「土木」「建築」「ライフライン・設備」のすべてにおいてで、各現場の工程を管理する班長としての経験が求められます。
 
さらに、業務区分ごとに定められた年数の実務経験を積むことも必要です。
求められる具体的な年数は、各業務区分によって異なるため、詳しくは国土交通省が公開している下記の指針をご覧ください。
 
参照元:国土交通省『建設分野の2号特定技能外国人に求める「建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験」について』

特定技能「建設」の試験の概要

特定技能「建設」を取得するためには、特定技能評価試験に合格する必要があります。
ここでその内容も知っておきましょう。

先述した通り、特定技能「建設」における特定技能評価試験は、学科試験と実技試験に分かれています。
 
学科試験の試験時間や形式は、下記を参考にしてください。
 
【学科試験】

  • 試験時間:60分
  • 問題数:30問
  • 出題形式:○×形式および選択式
  • 実施方法:CBT方式
  • 合格基準:合計点の65%以上

なお、実技試験に関しては、従事予定の職種ごとに異なります。

特定技能「建設」を有する外国人を採用する際の受け入れ側の条件

ここまでは、特定技能「建設」に認定されるためのルートや条件を紹介しました。
一方で、特定技能「建設」に認定された人材を採用するには、企業側にもクリアすべき条件があります。
 
ここからは、企業側が満たすべき条件、心得を5つ挙げ、それぞれ解説します。

条件➀ 建設業許可を取得する

ご存じの通り、軽微な建設工事を請け負う場合、建設業許可は不要です。
しかし、外国人を採用するのであれば、いかなる場合においても建設業許可が必要です。
 
なお、建設業許可の職種は、必ずしも外国人が従事する予定の職種に合わせる必要はありません。
どの職種の建設業許可であっても有効です。

条件② 国土交通省による建設特定技能受入計画認定を受ける

出入国在留管理局への書類申請の提出に際し、国土交通省による「建設特定技能受入計画」の認定も必須です。
建設特定技能受入計画は、外国人就労管理システムを利用して、オンラインで申請できます。
 
なお、申請を出してから、認定結果が出るまでの審査期間は2か月前後です。
審査は細かく行われ、場合によっては修正対応も発生するため、スケジュールに余裕を持って対応することをおすすめします。

条件③ 一般社団法人建設技能人材機構へ加入する

JAC(一般社団法人建設技能人材機構)への、会員、または賛助会員としての加入も必要です。
 
いずれも費用が発生する点は覚えておいてください。
なお、費用の詳細については後述します。

条件④ 建設キャリアアップシステムへ登録する

外国人の受け入れにあたっては、一般財団法人建設業振興基金の「建設キャリアアップシステム」への事業者登録の義務もあります。
さらに、在留外国人を特定技能として受け入れる場合、外国人本人も同システムへの技能者登録を行う必要がある点を知っておきましょう。
 
なお、登録申請は認定登録機関窓口のほか、インターネットでも行えます。

条件⑤ 支援体制の義務を果たす

特定技能を有する外国人本人への支援体制を整えることも、義務の一つです。

支援の内容は、「義務的支援」と「任意的支援」の大きく2つに分かれており、前者は受け入れ企業が必ず守らねばならないものです。
ただし、これらの支援義務は、必ずしも企業が行う必要はなく、状況に応じて登録支援機関に委託できます。
 
企業に課された義務的支援の10項目は下記をご覧ください。
 
【特定技能外国人への義務的支援10項目】

  • 事前のガイダンス提供
  • 出入国の際の送迎
  • 住居確保・生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーションの実施
  • 公的手続等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援(人員削減等を行った場合)
  • 定期的な面談・行政機関への通報

生活オリエンテーションでは、医療機関・交通機関などの利用方法や、行政手続き、生活マナーや防犯に関する注意など、日本国内での生活に不可欠な事項を共有します。
 
上述したのは「義務的支援」ですが、「任意的支援」の項目も義務的支援と大差ありません。
任意的支援は在留外国人に対するより広く、手厚い任意のサポート内容がまとめられたものです。
 
在留外国人への支援は、特定技能を有する外国人の長期的な定着をサポートしつつ、トラブルや失踪といった問題を未然に回避するうえで大切なものです。
受け入れ企業はこの点を理解したうえで、受け入れ前はもちろん、受け入れ後も継続的に本人たちのサポートに徹してください。

特定技能「建設」を有する外国人を採用する流れ

実際に、特定技能「建設」を有する人材を採用するには、定められたステップを踏みます。
ただし、「日本国内に在住する外国人を採用する場合」と「日本国外の外国人を採用する場合」でフローに違いがあるため注意が必要です。

詳しくは下記をご覧ください。
 
【特定技能「建設」を有する人材を採用するステップ】

採用手順

日本国内の外国人を採用する場合

日本国外の外国人を採用する場合

ステップ➀

建設業許可の取得

建設業許可の取得

ステップ②

建設キャリアアップシステムの登録

建設キャリアアップシステムの登録

ステップ③

JACへの加入

JACへの加入

ステップ④

特定技能雇用契約に係る重要事項の説明

特定技能雇用契約に係る重要事項の説明

ステップ⑤

特定技能雇用契約の締結

特定技能雇用契約の締結

ステップ⑥

国土交通省への受け入れ許可の申請

国土交通省への受け入れ許可の申請

ステップ⑦

特定技能外国人への支援計画の策定

特定技能外国人への支援計画の策定

ステップ⑧

出入国在留管理局へ申請

出入国在留管理局へ申請

ステップ⑨

就労開始

在外公館で査証申請

ステップ⑩

-

特定技能として日本へ入国

ステップ⑪

-

就労開始

 
日本国外の外国人を採用する場合は、査証(ビザ)を取得する必要があり、そのぶんだけ手順が増えます。

また、採用から実際に就労できるまでには4~6か月ほどかかります。
そのため早めの準備が大切です。

関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説

特定技能「建設」の採用にあたっての諸費用

ここからは特定技能「建設」を有する外国人人材の採用にかかる費用を解説します。

費用は登録する団体や、申請方法により上下するので、総額にも少なからず違いが出てきます。
なかでも、費用に開きが出るのが、特定技能外国人の紹介費用です。
 
下記表をご確認のうえ、採用の予算立てにご活用ください。
 
【特定技能「建設」の採用にかかる諸費用】

費用の項目

費用

JAC年会費

賛助会員:24万円
正会員の会員:所属する団体により異なる

JAC受け入れ負担金

1人あたり年額15万~24万円
※技能評価試験の受験有無などにより異なる

建設キャリアアップシステム

事業者登録料:~24万円(5年有効)
※資本金により異なる
技能者登録料:2,500~4,900円(9年有効)
※申請方法により異なる
管理者ID利用料:1IDあたり年額1万1,400円

特定技能外国人の紹介費用相場

1人あたり10万~60万円

出入国在留管理局への申請代行費用相場

1申請あたり10万~20万円

国土交通省申請費

1申請あたり4万〜8万円

登録支援機関への支援委託料相場

1人あたり月額1万5,000~3万円

 
これらの費用項目を総計して、特定技能「建設」の採用には、1人あたりおおよそ65万~170万円ほどの費用がかかると思っておけば問題ないでしょう。

関連記事:特定技能外国人受け入れにかかる費用相場とコストダウンのポイント

特定技能「建設」の人材を採用して人材不足の解消に役立てよう!

いかがでしたでしょうか。
今回は12業種ある特定技能のなかから「建設」に絞ってお伝えしました。
 
建設業界は、とりわけ高齢化と人材不足が深刻な業界であり、この問題の解決を目的として特定技能人材の受け入れが開始されました。
 
特定技能「建設」を有する人材は、現場で「建築大工」や「土工」など、定められた職種に従事させることが可能です。
また、特定技能「建設」を有する人材の採用にあたっては、企業側もいくつかの受入条件を満たし、支援義務を果たす必要があります。
 
スタッフ満足では、採用から定着、教育にいたるまでトータルでサポートを行っています。
豊富な知見とノウハウを持っているので、初めて特定技能外国人の採用を検討している方も、お気軽にお問い合わせください。

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