外国人の内定取り消しは違法なのか?注意点を解説
日本では高齢化や少子化のあおりを受け、労働力が低下していると言われている一方で、従来の産業ではなく、IT関連に従事する労働者が増加傾向にあります。
そのため、従来の産業を営む企業では、人件費の高い日本人ではなく、人件費の安い外国人雇用を進めています。
かつて中国の人件費が安かったときには、中国人の雇用が盛んに行われていました。
しかし、中国の経済発展により人件費が高騰したため、現在ではミャンマ―やベトナム、フィリピン、インドネシアなどにシフトしています。
また、外国人労働者を採用すると生活習慣や言葉など、あらゆるトラブルが頭をよぎります。
その中でも一番の問題は言葉の壁であり、新卒者を採用したものの考え直したらトラブルが煩わしくなり、内定を取り消せるのか不安になる方もいらっしゃるかと存じます。
そこで本記事では、外国人の内定取り消しはできるのか、できるとすればどのようなケースなのか、注意点も合わせて解説します。
目次[非表示]
- 1.外国人の内定を取り消すことができるのか
- 2.外国人の内定取り消しが認められるケース
- 2.1.外国人が学校を卒業できなかった
- 2.2.外国人がケガや病気で働けなくなった
- 2.3.外国人の経歴詐称が判明した
- 3.外国人の内定を取り消す際の対処法
- 3.1.就労ビザ申請中に内定を取り消す場合
- 3.2.就労ビザの許可後に内定を取り消す場合
- 4.外国人の内定を取り消す際の注意点
- 4.1.注意点① 解雇と同様の手続きが必要になる
- 4.2.注意点② 企業名を公表されるかもしれない
- 4.3.注意点③ 会社の悪評が立つ可能性がある
- 4.4.注意点④ 訴えられるおそれがある
- 4.5.注意点⑤ 外国人の受け入れができなくなる可能性がある
- 5.外国人採用にあたりトラブルを防ぐためにも「人材紹介サービス」がおすすめです
- 6.まとめ
外国人の内定を取り消すことができるのか
「内定」とは、求職者と企業間で行われる「労働契約が成立」した状態を指します。
そのため、外国人であっても合理的かつ合法的で明確な理由がない限り、原則として企業側(雇用主)が一方的に内定を取り消すことはできません。
例えば、以下のような理由の場合では、内定を取り消すことは認められません。
【内定取り消しが認められないケース】
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上記内容は、企業側の一方的な都合であり、内定取り消しの正当な理由には該当しません。
ただし、企業の業績悪化によって、在籍従業員も含めて人員削減する場合は、内定取り消しが認められるケースがあります。
なお、企業側が知ってか知らずか、「在留資格」を持たない外国人を雇用すると「不法就労助長罪」に問われます。
不法就労助長罪とは、「出入国管理及び難民認定法」で定められた法律です。
外国人に不法就労活動をさせる行為や不法就労をあっせんした者は、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」が科せられます。
参考元:e-eov法令検索 出入国管理及び難民認定法 第73条の2
関連記事:人手不足になってしまう原因は?問題解決につながる外国人人材の採用
外国人の内定取り消しが認められるケース
外国人の内定取り消しが認められるケースを3つご紹介します。
外国人が学校を卒業できなかった
外国人でも学校を卒業できなかったときには、内定取り消しを認められる可能性があります。
学生の場合は、在学中の就職活動において、企業の新卒採用枠で内定通知が出されることが多いです。
これは、学生が「確実に卒業することを前提」にした内定であり、万が一、卒業できなかったときには内定取り消しが認められるケースがあります。
最近では人材確保のため、内定を取り消すのではなく、学生の事情を考慮して入社日を延期する措置などを講じる企業も存在します。
外国人がケガや病気で働けなくなった
内定が決まっていた外国人が、ケガや病気で働けなくなった際には、内定取り消しが認められる傾向にあります。
また、ケガや病気を理由に内定取り消しを行う場合は、「就労に影響を及ぼすケガや病気」に限られます。
たとえば、以下のような場合は内定取り消しが認められやすいです。
重い病を患った影響による手の震えで、手先を使った緻密な作業に従事できない場合
事故が原因で脳性麻痺になり、人間の判断力が必要になる業務や危険な仕事に従事できない場合
突然、難病を発症し、長期入院や在宅療養を余儀なくされたことで、いつ仕事ができるのか不透明な場合
このように、ケガや病気の状態によっては、内定を通知しても該当する仕事に従事できないケースがあります。
ただし、風邪や擦り傷のような「軽度のケガや病気」の場合は、仕事に影響しないので内定取り消しは認められません。
また、「該当する仕事に影響のないケガや病気」の場合も同様に、内定取り消しは認められません。
関連記事:特定技能外国人を雇用する場合は保険の加入も必要?任意保険も確認
外国人の経歴詐称が判明した
外国人が経歴詐称をしていたことが判明した場合には、内定取り消しが認められます。
たとえば、以下のような経歴詐称が該当します。
学歴を偽っていた
就業に必要な資格を虚偽申告した
ただし、経歴詐称でも「就業に関係がない」場合は、内定取り消しが認められないケースもあるので、採用する際にはしっかり事実確認を行いましょう。
関連記事:外国人採用の必要書類は?雇用前に確認しておくべきポイントや注意点
外国人の内定を取り消す際の対処法
外国人の内定を取り消す際には、就労ビザの申請状況によって対処法が異なるため、状況別に詳しく解説します。
関連記事:特定技能のビザ申請に必要な書類と国内・国外それぞれの手続き詳細
就労ビザ申請中に内定を取り消す場合
就労ビザの申請中に内定取り消しを行う場合は、「出入国在留管理局」に対して、取り下げに関する所定の手続きを行う必要があります。
取り下げは、電話やメールでは行えず、必ず「書面」でなければなりません。
また、書類の提出方法は、出入国在留管理局に出向いて窓口で渡すか、郵送で行います。
取り下げに関する書面(申請取下書)は、具体的に以下の内容を記載します。
【申請取下書の記載内容】
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参考元:法務省 申請取下書 参考様式
様式に決まりはありませんが、上記内容は必ず記載する必要があります。
また、書き方が分からない場合は、法務省の参考様式をご活用ください。
申請取下書の他に、以下のものが必要になるので、提出する際には事前に確認しておきましょう。
【申請取下書以外に必要なもの】
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関連記事:就労ビザは全16種類!それぞれの特徴と取得方法などのまとめ
就労ビザの許可後に内定を取り消す場合
就労ビザの許可後に内定取り消しを行う場合は、在留資格の返却手続きが必要です。
管轄している出入国在留管理局に対して、在留カードを持参して返却するか、もしくは下記住所まで送付すれば返却できます。
〒135-0064 東京都江東区青海2-7-11 |
出典:出入国在留管理庁
関連記事:在留資格とは?代表的な種類と外国人を雇用する場合の注意点
外国人の内定を取り消す際の注意点
外国人の内定取り消しを行うと、企業にとって不利益になることがあるので、以下に主な注意点を5つご紹介します。
注意点① 解雇と同様の手続きが必要になる
内定取り消しは、解雇と同様に「内定取り消し日の30日前には対象者に通知する」ことが原則です。
もし、30日より短い期間で通知した場合は、30日に満たない日数分の平均賃金を支払う必要があります。
補足として、内定取り消しを行った際には、ハローワークへ連絡する義務があることを忘れないようにしましょう。
関連記事:外国人労働者に関わるトラブルとその解決法
注意点② 企業名を公表されるかもしれない
外国人の内定取り消しを行うと、厚生労働大臣によって企業名が公表されることがあります。
企業名が公表されるケースは、以下の内容に該当するときです。
【企業名が公表されるケース】
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参考元:厚生労働省
内定者が納得する合理的な理由があれば、公表されることもないと思います。
しかし、企業側の正当な理由(業績悪化による人員削減など)であっても、説明不足だったり、相手が納得していなかったりすると企業名を公表されるかもしれません。
国が違えば考え方も異なるので、日本人と同じように「ここまで言えばニュアンスで理解できるだろう」という考えは外国人には通用しないので注意しましょう。
注意点③ 会社の悪評が立つ可能性がある
企業名が公表されると、「内定取り消しを行った企業」として悪評が立つ可能性があります。
内定を取り消された外国人は、SNSを通じて「内定を取り消された」ことだけをクローズアップして拡散される可能性があります。
そのため、外国人同士でうわさが広まり、翌年以降の新卒採用者にも影響を及ぼしかねないので注意が必要です。
注意点④ 訴えられるおそれがある
内定取り消しが不当な場合は、内定者から訴えられる可能性があります。
万が一、裁判で内定取り消しに不当性が認められた場合は、内定者を雇用する必要があります。
また、内定取り消しによって就業できなかった期間の賃金支払や慰謝料を請求されるかもしれません。
注意点⑤ 外国人の受け入れができなくなる可能性がある
外国人の内定取り消しを行うと、外国人の受け入れができなくなるかもしれません。
内定取り消しによる在留資格の取り下げ申請を行った場合、「入国管理局」に報告されます。
そのため、企業側の信頼性に疑念を抱かれる可能性があり、結果的に新たな外国人雇用にも影響を及ぼしかねません。
外国人の内定取り消しを行う際には、今後のことも考慮し、合理的かつ合法的に検討することが求められます。
外国人採用にあたりトラブルを防ぐためにも「人材紹介サービス」がおすすめです
ここまで外国人の内定取り消しについて解説しましたが、外国人を採用する際には言葉や文化の違いを踏まえた取り組みが必要です。
とはいっても、取り組み方が分からないケースや、自社なりに取り組んでみたものの思い通りにいかないことが多々あります。
そこで外国人採用に関するトラブルを未然に防ぐためには、人材紹介サービス「スタッフ満足」をご利用することをおすすめいたします。
「スタッフ満足」の外国人材紹介サービスについて
「スタッフ満足」では、日本における労働力の減少を補うため、外国人材紹介サービス
をご提供しております。
各種支援サービスの主な概要は以下の通りです。
サービス内容 |
概要 |
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特定技能外国人の採用支援 |
世界5カ国の外国人コーディネーターが在籍しており、企業様のデメリットである言葉の壁を払拭し、外国人就労者の生活面や仕事面など、あらゆる相談に対応しつつ、企業様と就労者が安心して仕事に従事できるようにサポートいたします。 |
登録支援機関 業務委託 |
政府が定める10項目の義務的支援を一律料金でご提供しており、就労後に手間のかかる就労ビザの切り替えから書類対応に至るまで、煩雑な業務負担をお手伝いいたします。 |
在日外国人の人材紹介、人材派遣 |
日本語レベルの高い在日外国人も在籍しているため、正社員や短期アルバイト、専門性の高い業種など、企業様のあらゆるニーズに対応しうる最適な人材を派遣することが可能です。 |
外国人教育支援プロジェクト |
医療・介護現場で外国人労働者を雇用しても、言葉の壁や生活習慣の違いにより上手く指導できないという課題に対し、専門の外国人リーダーを派遣してOJTのお手伝いをいたします。 |
留学生プロジェクト |
海外在住の外国人を採用し、日本で就労するために必要な専門教育を経て、企業様に役立つ人材を育成します。 |
特定技能外国人の人材・採用支援
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【特定技能外国人の人材紹介・採用支援サービス内容】
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スタッフ満足では、教育方法やサポート体制、おもてなしの接客や接遇に至るまで、外国人の新人教育にも力を入れており、企業様にも安心していただけるサービスを提供しています。
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【登録支援機関サービスの特徴】
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まとめ
内定を取り消す場合は、合法的で確固たる明確な理由がなければ認めてもらえません。
また、内定は「雇用契約」が成立した状態を指し、解雇と同様、内定者に対して内定取り消
し日の30日前までに通達する必要があります。
そのため、企業側の思い付きなどで自由に内定を取り消せるものではありません。
過去に外国人労働者を採用してトラブルが起きた経験がある方、採用を見送っている方、採用したくても、どの国の労働者が勤勉で実働にマッチしているのか判断できない方など、さまざまな悩みを抱えていらっしゃるかと存じます。
煩わしい就労ビザ関係の書類手続きや言語の違いによる指導不足など、支援サービスを活用すれば、外国人雇用のお悩みや問題を解決できます。
外国人採用をご検討中の方は、「スタッフ満足」までお気軽にお問い合わせください。