外国人労働者に関わるトラブルとその解決法
国内の外国人労働者が増加する一方で、言語の壁や文化・価値観の違いに起因するトラブルは、依然として多くの企業を悩ませています。
健全な組織を維持するという観点でも、このようなトラブルの発生は最小限に留めたいところです。
この記事では、外国人労働者が関わる、よくあるトラブルの例やその原因、そして解決策もお伝えします。
健全な職場環境を整えるためにも、ぜひ最後までお読みください。
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外国人労働者が関わるトラブル件数の推移
少子高齢化に伴う深刻な労働力不足打開の一手として、日本では特定技能をはじめ、外国人労働力の受け入れを積極的に行っています。
これらの政策により、労働力不足が解消されるのは喜ばしい反面、外国人労働者が起こすトラブルの数々も見て見ぬふりはできません。
東京都を例に挙げると、幸い、外国人労働者に関わるトラブルの報告件数は平成25年度から令和3年度にかけて概ね2,000件台と横ばいです。
しかし、今後、外国人労働者の受け入れ数が増えるにつれ、トラブル件数が増加することは十分に考えられます。
そのため、労働現場で起こりうるトラブルを把握しつつ適切な予防策を講じることが、雇用主に強く求められているといえるでしょう。
参照元:東京都産業労働局『外国人労働相談』
職場において外国人労働者によるトラブルが発生するシーンとその対処法
外国人労働者が勤務する労働現場においては、下記のようなトラブルが発生します。
外国人労働者のいる労働現場で起こりうるトラブルの例
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ここでは、これらのトラブルの具体例、解決策をお伝えします。
在留資格のトラブルの例
外国人労働者が関わるトラブルの筆頭として、在留資格関連のトラブルが挙げられます。
在留資格は、入管法上の資格の一つであり、外国人に対して、一定の身分および地位を有しつつ就労することを許可するものです。
在留資格に関する、よくあるトラブルには以下のようなものがあります。
よくあるトラブルの例【在留資格関連】
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留資格を有していなかったり、有効期限が切れてしまっていたりする場合は、理由のいかんにかかわらず、不法就労と見なされます。
原因
在留資格を有していない、あるいは有効期限が切れているなどのトラブルの原因は、外国人労働者と雇用主双方の確認不足にあります。
対処法
外国人労働者の採用時には、資格の保有有無や有効期限を入念に確認しましょう。
そのうえで、本人が従事する予定の職種と、在留資格の区分が一致しているかどうかも、忘れずにチェックする必要があります。
また、適切なタイミングでの、在留資格の更新も必須です。
本人の結婚、あるいは離婚などによって、在留資格が定める登録内容に変更が生じた際は、遅滞なく届け出てください。
契約時のトラブルの例
外国人労働者の採用に際して締結する、雇用契約を巡るトラブルも少なくありません。
よくあるトラブルの例【契約時】
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働条件に関わる内容だけに、外国人労働者と雇用主側のあいだでひとたびすれ違いが起こると、最悪の場合、後々訴訟されるおそれもあります。
原因
このトラブルの主な原因として、“言語の壁”が挙げられます。
外国人労働者にとって、日本語は母国語ではありません。
雇用契約書に日本語で記載されている条件や各説明には法律用語が使われることも多く、内容を理解できなかったり、勘違いしてしまったりするという事態が起きるのです。
外国人労働者が契約書の内容を理解しているかどうかを確認せずに、説明や手続きを一方的に進めてしまうことでも、両者のあいだに認識のズレが生まれます。
対処法
解決策としては、雇用契約書を可能な限り簡単な日本語で作成する、あるいは外国人労働者の母国語で作成してあげるといった工夫が有効です。
本人の日本語習熟度が高くない場合は、必要に応じて通訳の同席も検討してみてください。
そして、なにより肝心なのは、本人が理解しやすいよう説明の内容やスピードに配慮したうえで、不明点の有無を適宜確認する思いやりの精神をもつことです。
関連記事:特定技能の雇用契約書・雇用条件書とは?作成時のポイント&注意点
勤務時間内のトラブルの例
無事、外国人労働者の入社が決まったとしても、油断はできません。
外国人労働者の起こす業務中のトラブルは、数多く報告されています。
よくあるトラブルの例【勤務時間内】
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外国人労働者同士の喧嘩を発端とした、傷害事件をニュースで耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
従業員同士の喧嘩のほか、顧客とのトラブルや窃盗、器物損壊なども、就業時に起こりうる看過できないトラブルとして挙げられます。
原因
異なる文化や宗教、価値観といった外国人労働者それぞれのもつバックグラウンドの違いは、従業員同士、ときに顧客とのトラブルの火種になります。
また、異国という慣れない環境で働くことにより、心理的なストレスが積み重なり、窃盗や器物損壊などの犯罪へつながるケースもあります。
対処法
従業員同士のトラブルを避けるために、「それぞれの国の政治や宗教など、センシティブな話題に関する議論は避ける」といったルールの制定が有効な場合があります。
顧客対応に関しては、日頃からの基礎的なビジネスマナーの指導はもちろん、研修や、接客のロープレを実施することも効果的です。
母国と日本とでは文化や価値観が異なり、顧客対応や接客のスタイルにも違いがあるという事実を、本人にしっかりと認識してもらう必要があるのです。
この点を十分に理解してもらうことで、これらのトラブルの多くを未然に防止できます。
ルール制定や教育を徹底したうえで、個々の従業員のフォローも行いつつ、彼らの状況をできる限り把握するよう努めてください。
勤務時間外のトラブルの例
業務終了後や休日など、プライベートにおいては、下記のような問題が起こるケースも存在します。
よくあるトラブルの例【勤務時間外】
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務時間外であっても、外国人労働者が上記のようなトラブルを起こせば、雇用主のイメージは失墜しかねず、また、法的な責任を問われないとも限りません。
そのため、業務外といえど、雇用主側もこれらの点に注意を払っておく必要があります。
原因
外国人労働者への日本のマナーやルールの周知不足は、私生活における、いらぬトラブルの原因となってしまいます。
同様に、各種保険や税金の支払い手続きに関して説明していなかった場合も、未払いや滞納といった問題へ発展します。
対処法
外国人労働者の採用時には、日本での生活におけるマナー・心得なども、研修時にあわせて教えておきたいところです。
保険料や税金に関しては、特段の理由がない限り、雇用主側で給与から天引きする方式が無難でしょう。
もし、外国人労働者本人が手続きならびに支払いを行う場合は、丁寧にサポートしてあげてください。
解雇時のトラブルの例
やむを得ない理由で外国人労働者を解雇する場合、慎重な対応を心がけてください。
雇用主としては正当な理由であっても、本人が納得せず議論に発展することは十分に予想されます。
議論が紛糾すれば、訴訟に発展しかねません。
原因
入社時の就労規程、条件に関する説明が不十分であった、あるいは認識の齟齬が尾を引いて、解雇時にトラブルとして表面化することもしばしば起こります。
また、解雇の理由を一方的に説明してしまうと、本人も状況を理解できず不満が募り、いらぬ軋轢を生みかねません。
対処法
入社時には就労規定や条件を、わかりやすく説明して、本人の懸念や認識の齟齬、疑問点を解消しておきましょう。
先述したように、雇用契約書は母国語で作成するか、簡単な日本語で作成することで、本人が内容を正確に理解するための助けとなります。
やむを得ず本人を解雇する場合は、就労規定や条件と、本人の就労実態とを照らし合わせながら、その理由を明確に示さなくてはなりません。
そのうえで、議論の収拾がつかない場合は、顧問弁護士や各都道府県の労働局へ相談するのが賢明です。
また、外国人労働者に特化した人材紹介会社を利用している場合は、担当のエージェントに相談することで、解決の糸口が見つかる場合もあります。
外国人労働者とのトラブルに関する相談先
外国人労働者がトラブルを起こした場合、必要に応じて第三者機関へ相談してみることをおすすめします。
下記はカテゴリーごとの相談先の一例です。
外国人労働者に関わるトラブルが発生した際の相談先
相談内容・カテゴリー |
名称 |
ホームページ |
在留資格関連 |
外国人在留総合インフォメーションセンター |
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人権関連 |
外国語人権相談ダイヤル |
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就労関連 |
外国人労働者相談コーナー |
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ハローワーク |
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職場のハラスメント関連 |
各都道府県労働局内の雇用環境・均等部(室) |
詳しくは、下記資料を参考にしてみてください。
法務省・出入国在留管理庁『困ったときの問合せ先』
トラブルの防止・解決を図るために
お伝えしてきたように、外国人労働者に関わるトラブルを避けるためには、採用時のミスコミュニケーション防止や入社後の継続的なフォローが欠かせません。
しかし、雇用主側が講じられる対策に限界があるのも、また事実です。
そこでおすすめするのが、外国人人材に特化した人材紹介サービスです。
人材紹介サービスを利用することで、トラブルの発生リスクを最小化できるとともに、万が一問題が起こった際も、事態の収束を効果的に図ることができます。
このサービスは、外国人求職者と雇用主両者の相性を鑑みた、マッチング精度の高い人材紹介を行います。
さらに、就労開始後も外国人労働者に対して手厚いフォローを実施するため、雇用主側としても、トラブルの芽を早い段階で摘んでおくことができるのです。
雇用主として、外国人労働者と適切にコミュニケーションをとることはもちろん、人材紹介サービスも利用するなどして、トラブルのない健全な職場環境を整えましょう。
スタッフ満足では、外国人採用から就労開始後まで、一気通貫での徹底したサポートを提供しております。
ぜひ弊社サービスを、貴社の労働力不足の解消および、健全な組織運営にお役立てください。
関連記事:外国人採用の方法や手順を徹底解説!必要な手続きや注意点も確認
外国人労働者が関わるトラブルへの適切な予防・対策法を知っておきましょう
今回は、外国人労働者が働く現場で起こりやすいトラブルと、その解決策をお伝えしました。
在留資格の期限切れといったものから従業員同士の喧嘩、騒音問題まで、外国人労働者が関与するトラブルは多岐にわたります。
これらのトラブルを避けるには、本人と丁寧にコミュニケーションをとることが第一です。
また、外国人労働者に特化した人材紹介サービスを利用してミスマッチを減らせば、トラブル発生防止のみならず短期離職の抑止も叶います。
スタッフ満足では、外国人労働者の採用をお手伝いしております。
アフターフォロー体制も整えているので、外国人労働者の採用にご不安をお抱えのご担当者様はお気軽にご相談ください。