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送り出し機関とは?目的や利用する際に確認すべき選び方のポイント

海外在住の外国人を雇用したいと考えた際に確認しておきたいのが、送り出し機関についてです。
「技能実習や特定技能について調べていると送り出し機関について目にするけれど、よくわからない」と感じている方のため、送り出し機関の概要や目的、特定技能外国人を採用するにあたり確認しておきたいポイントなどを解説します。
 
この記事を読むことによって送り出し機関について理解が深まり、選び方のポイントなどもわかるようになるので、ぜひ参考になさってください。



目次[非表示]

  1. 1.送り出し機関について
    1. 1.1.技能実習制度に対する送り出し機関の役割
    2. 1.2.特定技能制度に対する送り出し機関の役割
  2. 2.送り出し機関の目的
    1. 2.1.送り出し機関の認定要件
  3. 3.送り出し機関の仕事内容
    1. 3.1.技能実習希望者の募集・選抜
    2. 3.2.技能実習生への教育
    3. 3.3.送り出し時の手続き・サポート
    4. 3.4.技能実習生滞在中の監督
    5. 3.5.技能実習生帰国時の受け入れ
  4. 4.送り出し機関のある国・地域
  5. 5.送り出し機関が抱える課題
  6. 6.送り出し機関を選ぶ際のポイント
    1. 6.1.政府認定かどうかを確認する
    2. 6.2.フォロー体制をチェックする
    3. 6.3.違法行為・トラブル履歴の有無を確認する
  7. 7.外国人採用時は送り出し機関について理解を深めておこう

送り出し機関について

送り出し機関とは、日本で働きたい外国人を現地で募集し、日本に送客する役割を持った外国の機関のことをいいます。
外国人を現地から採用するといっても、担当者が直接現地に足を運び、日本で働きたい人に声をかけて回るのはなかなか現実的なことではありません。
 
企業の外国人雇用をサポートする役割を持つのが送り出し機関です。
送り出し機関が持つ具体的な役割は、技能実習制度と特定技能制度で異なるので、それぞれ解説します。

関連記事:外国人採用の方法や手順を徹底解説!必要な手続きや注意点も確認

技能実習制度に対する送り出し機関の役割

技能実習制度における送り出し機関は、技能実習生と監理団体を結び付ける役割を持っています。
監理団体とは、法務大臣・厚生労働大臣によって認められた非営利団体であり、企業からの依頼に基づいて海外で技能実習生の募集・受け入れに関する各種手続きや、受け入れ先企業への指導・監査などを行なう組織のことです。
 
技能実習生を受け入れるパターンとして「企業単独型」と「団体監理型」の2つがあります。
企業単独型とは、受け入れを希望する日本の企業・団体が自社とつながりのある海外の組織などから直接受け入れる方法です。
一方、監理団体が海外で技能実習生を募集し、企業に紹介するのが団体監理型となります。
 
海外から人材を紹介可能な組織とつながりがない場合は、基本的に団体監理型で技能実習生を採用する形になるでしょう。
この2つのケースのうち、団体監理型と送り出し機関が関係しています。
送り出し機関は現地で求人し、各企業が求めている人材を選抜する形で送り出すのが主な役割です。
また、入国時や日本滞在時、帰国時などのサポートも行います。

特定技能制度に対する送り出し機関の役割

役割は、基本的に技能実習制度と同様です。
ただ、特定技能制度は必ずしも送り出し機関を利用しなくても問題ありません。
 
注意点として、国によっては政府が認定している送り出し機関の利用を必須としているところもあります。
必須としていない国であれば、企業が現地から直接採用することも可能です。
 
また、技能実習制度では海外から外国人を呼び寄せる方法しかありませんが、特定技能制度の場合は日本に在留している方に在留資格を変更してもらい、特定技能の在留資格で採用することもできます。
何らかの在留資格で日本に在留している外国人を採用する場合、すでに日本に送り出されたあとの人材を採用する形となるので、送り出し機関との関わりは基本的にありません。

送り出し機関の目的

送り出し機関が用意されているのは、日本と現地の橋渡しのためです。
日本で働きたい外国人と外国人を採用したい企業や団体が直接やりとりするのは簡単なことではありません。
この両者をつなぐ目的で送り出し機関があります。

送り出し機関の認定要件

送り出し機関として政府に認定されるためには、以下を満たさなければなりません。

【第25条における外国の送出機関の要件(概略)】

  • (1)所在する国の公的機関から技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐことができるものとして
  • 推薦を受けていること
  • (2)制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者のみを適切に選定して、日本への送出しを行うこと
  • (3)技能実習生等から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表するとともに、
  • 当該費用について技能実習生等に対して明示し、十分に理解をさせること
  • (4)技能実習を修了して帰国した者が、修得した技能を適切に活用できるよう、就職先のあっせんその他の必要な支援を行うこと
  • (5)フォローアップ調査への協力等、法務大臣、厚生労働大臣、外国人技能実習機構からの要請に応じること
  • (6)当該機関又はその役員が、日本又は所在する国の法令に違反して、禁錮以上の刑又はこれに相当する外国の法令による刑に処せられ、
  • 刑の執行の終了等から5年を経過しない者でないこと
  • (7)所在する国又は地域の法令に従って事業を行うこと
  • (8)保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、技能実習生の日本への送出しに関連して、
  • 技能実習生又はその家族等の金銭又はその他の財産を管理しないこと
  • (9)技能実習に係る契約不履行について、違約金を定める契約や不当に金銭その他の財産の移転をする契約を締結しないこと
  • (10)技能実習生又はその家族等に対して(8)(9)の行為が行われていないことを技能実習生から確認すること
  • (11)過去5年以内に偽造・変造された文書の使用などの行為を行っていないこと
  • (12)その他、技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐために必要な能力を有すること


出典:法務省入国管理局 厚生労働省人材開発統括官:新たな外国人技能実習制度について

上記を満たしている場合は、技能実習制度の送り出し機関認定を受けることが可能です。
 
送り出し機関は国ごとに一つだけ用意されているものではなく、認定を受けた団体が複数あります。
国際人材協力機構(JITCO)が発表している2024年3月18日時点の二国間協力覚書に基づく認定送出機関数の一例は、インドネシアが440、ミャンマーが445、フィリピンが252などです。
一方で、ウズベキスタンが8、ブータンが1など、二国間協力覚書に基づく認定送出機関数が少ない国もあります。

参考:JITCO:外国人技能実習制度とは

送り出し機関の仕事内容

送り出し機関は、さまざまな仕事を行ってくれます。
代表的な内容は以下の5つです。

  • 技能実習希望者の募集・選抜
  • 技能実習生への教育
  • 送り出し時の手続き・サポート
  • 技能実習生滞在中の監督
  • 技能実習生帰国時の受け入れ

技能実習希望者の募集・選抜

日本で働きたい外国人を募り、その中から各企業の希望に合った人物を選抜します。
外国人を採用したいものの現地と全くつながりがない企業の場合、どのように求人活動を行えば良いのかわからず、困ってしまうこともあるでしょう。
送り出し機関は企業の代わりに求人活動を行ってくれます。
 
企業によって求める人材の条件は異なります。
求めている人材の性別や年齢、学歴、性格などを伝えてそれに沿った形で該当する人物を紹介してもらいましょう。
 
自社で求人活動を行う場合は条件に合っているか自社で判断する必要がありますが、こういったものも代わりに行ってくれます。
技能実習生だけではなく、送り出し機関の利用を必須と定めている国の場合は特定技能外国人も送り出し機関を通じて募集・選抜される形となります。

技能実習生への教育

単純に条件に該当する人物をそのまま企業に推薦するわけではありません。
必要となる教育を行った上で日本に送り出す形となります。
 
例えば、日本で働く以上、日本の基本的な文化やマナー、日常生活を送る上で必要となる最低限の日本語能力を身につけるための教育などを行っています。
そのため、送り出し機関を通して紹介された人材は初めからある程度コミュニケーションが取れるのも特徴です。
 
なお、紹介を受けたからといって必ずしもその人材を採用しなければならないわけではありません。
面接をした上で判断が可能です。
 
面接は現地で行うこともあれば、スカイプやZoomなどを使ってオンラインで行うものもあります。
 
もし、紹介される人材が求めているのと全く異なる場合は、自社で希望している人材の詳細が正しく伝わっていない可能性があるので、見直してみましょう。

送り出し時の手続き・サポート

事前教育を終えた外国人に対し、必要な手続きのサポートを行います。
 
例えば、健康診断や監理団体への結果報告、パスポートの申請手続き、入国に必要な書類の作成補助などです。
日本に入国する際はさまざまな手続きが必要になりますが、そういったものの中には外国人本人だけで行うのが難しいものもあります。
 
送り出し機関がサポートすることにより、日本へのスムーズな入国が可能になります。

技能実習生滞在中の監督

送り出し機関は、日本滞在中の技能実習生を監督し、現状を把握しておかなければなりません。
また、必要に応じて支援を行います。
例えば、現状把握のためのヒアリングや、メンタルケア、何らかのトラブルに巻き込まれた際のサポートなどです。

技能実習生帰国時の受け入れ

技能実習生が帰国する際は、送り出し機関による受け入れのサポートがあります。
もともと技能実習は母国に日本で学んだ技術や知識を持ち帰るための制度です。
 
国に帰ることが前提となっているため、帰国時に必要な手続きなどもしっかりサポートされています。
手続きだけではなく、母国にいる家族への連絡や帰国後の際就職支援などもサポートの対象です。
 
また、外国人であっても日本で働く以上年金保険料を支払わなければなりませんが、帰国した後に脱退一時金の払い戻しとして払い込んだ年金保険料の額に応じて一定額の払戻請求が行えます。
申請することなく2年が経過すると掛け捨てになってしまうので、これを防ぐため、脱退一時金の払い戻しに関連する手続きなども送り出し機関が支援します。

送り出し機関のある国・地域

技能実習制度で送り出し機関のある国・地域は以下の通りです。

【国・地域】

  • インド
  • インドネシア
  • ウズベキスタン
  • カンボジア
  • スリランカ
  • タイ
  • 中国
  • ネパール
  • パキスタン
  • バングラデシュ
  • フィリピン
  • ブータン
  • ベトナム
  • ペルー
  • ミャンマー
  • モンゴル
  • ラオス

日本と外国人を送り出す国々間の取り決めとして「二国間協定」と呼ばれるのが取り決められている国があります。
これは、外国人の円滑な受け入れや、保護を目的としたものです。
 
ネパールは2024年1月1日に二国間協定覚書が締結されたので、2024年6月以降に認定送出機関が公表される予定となっています。
また、中国とは二国間協力覚書が締結されていないことから、協定に基づく認定送出機関は明らかになっていません。
 
ただ、中国は旧制度においてJITCOとの送出し国政府機関と討議議事録を締結しており、一般的には中国政府によってライセンスを与えられた送出機関を通す形で送り出されます。
ペルーに関しては旧制度下での送出機関は確認中とのことです。
 
特定技能に関しては、以下の国で送り出し機関の利用を必須としています。

【利用が必須の国】

  • カンボジア
  • フィリピン
  • ベトナム
  • ミャンマー

インドネシアは利用が必須ではないのですが、IPKOLと呼ばれるインドネシア政府によって管理される求人・求職のための労働市場情報システムの利用を強く推奨しています。

送り出し機関が抱える課題

日本で働きたい外国人と、外国人を採用したい企業をつないでくれることもあり、送り出し機関の利用はメリットが大きいと感じる方もいるでしょう。
ですが、費用や手数料に関する課題があります。
 
企業のほか、監理団体や人材紹介会社は手数料を支払わなければなりません。
それだけではなく、外国人労働者本人からも費用を徴収しています。
 
具体的にいくらの費用がかかるかは利用する期間や契約内容によって変わるのですが、中には必要以上に高額な手数料を請求するケースがあるとされています。
出入国在留管理庁が発表したデータがあるので紹介しましょう。
 
来日前の費用に関するアンケートでは、来日前に母国の送り出し機関またはそれ以外の仲介者に支払った費用の総額平均値が542,311円であることがわかりました。
また、送り出し機関に支払った費用の平均値は521,065円であり、技能実習生のうち約85%が何からの費用を支払っているとの結果です。
これらの費用を用意するため、借金する方も少なくありません。
実際に、来日前に母国で借金をしている技能実習生は約55%いて、平均値は547,788円です。(※1)
 
返済のことを考えると生活が厳しい外国人も多く、より高い報酬を得るために失踪してしまうケースもあります。
技能実習生失踪の裏側には送り出し機関に対する支払いが高額である問題が隠れており、これも送り出し機関に関する課題の一つといえるでしょう。

※1 参考:出入国在留管理庁:技能実習生の支払い費用に関する実態調査について(結果の概要)[PDF]

送り出し機関を選ぶ際のポイント

送り出し機関にはさまざまな選択肢があります。
どの機関を選ぶのかによって受けられる支援の内容や質が変わってくる可能性が高いため、選び方のポイントを確認しておきましょう。
 
ここでは、送り出し機関を選ぶ際におさえておきたい3つのポイントを解説します。

政府認定かどうかを確認する

送り出し機関の中には政府の認定を受けていないところもありますが、やはり認定済みの機関を選択した方が良いでしょう。
認定を受けている機関は、国が設けている条件を満たしており、業務を適正に行っていることが証明されている機関ともいえます。
このことから、認定を受けていない機関を選択するよりも信頼度が高いです。
 
日本と二国間協力覚書を締結している国で政府認定の送り出し機関が用意されていることになるのですが、中国とネパールは日本と二国間協力覚書を締結していません。
そのため、これらの国は政府認定の送り出し機関がないので、当該送り出し国や、公的機関などによって認められているところを選ぶと良いでしょう。

フォロー体制をチェックする

具体的なフォロー体制を確認しておくことをおすすめします。
入国後のフォロー体制もよく確認が必要です。
 
送り出し機関のサポートが必要になるのは、主に何か困ったことやトラブルが発生した際といえるでしょう。
その際に適切なフォローが受けられるかは特に重視しておきたいポイントです。
 
例えば、当該外国人との間でトラブルが起こってしまった時や、日本で災害が起こり迅速な情報共有が必要になった時のために、どういったフォロー体制を築いているか確認しておきます。
 
また、受け入れ先となる企業だけではなく、外国人に対してどのようなフォローを行っているのかも確認しておきましょう。
 
例えば、日本語教育に関することです。
教育担当者の日本語スキルが低い場合、その担当者から教育を受けた外国人の日本語スキルが十分に磨かれていない可能性があります。
また、中には日本での就労経験がない教育担当者もいるので、日本に精通している人材が教育担当になっている送り出し機関を選ぶと良いでしょう。
 
どの程度の意欲を持って日本語教育を行っているのかも機関によって違いが大きいです。
同じ技能実習生であったとしても、どの送り出し機関を利用するのかによって日本語のレベルは異なります。
例えば「他社と比較するとうちで働いてくれている外国人は日本語が下手な気がする」と感じているのであれば、契約している送り出し機関に問題がある可能性も高いです。
 
それから、何らかのトラブルが発生した時のことを考えると、日本国内に支社がある送り出し機関だと、素早い対応が期待できます。
支社に母国出身の職員が常にいる環境を整えている送り出し機関だと、外国人も母国語での相談が可能であることから心強いです。
 
技能実習制度の場合、何かトラブルなどが起こった際は送り出し機関と協力しながら問題を解決していく形になります。
ただ、特定技能外国人の場合は日本国内でのフォローを基本的に行っておらず、詳細なフォローは登録支援機関が行うことも多いです。

違法行為・トラブル履歴の有無を確認する

過去に何らかの違法行為を行っていないか、トラブルが起こっていないかなども確認しておきたいポイントです。
これらの問題を起こしていても送り出し機関が自ら積極的に情報を発信していることは少ないので、広く情報収集を行いましょう。
 
一般的に政府から認定を受けている送り出し機関であれば違法行為のリスクは少ないといえます。
 
送り出し機関が行う違法行為として特に大きいのが、外国人に対し、多額の金銭を支払わせているケースです。
また、外国人を受け入れている監理団体に対してキックバックを行う行為は違法なのですが、実際にこういった行為を行っている送り出し機関もあります。
 
外国人技能実習機構が取り締まりを行っていることもあり数は減っているようですが、ゼロになったとはいえません。
なかなか利用開始前に送り出し機関を正しく評価するのは難しいことではありますが、他の利用者の口コミ評判などの情報も収集しながら信頼できる送り出し機関を探しましょう。
過去に違法行為やトラブルが確認された機関は避けておいた方が良いです。

外国人採用時は送り出し機関について理解を深めておこう

いかがだったでしょうか。
送り出し機関について解説しました。
 
役割や目的、選ぶ際にはどのようなことに注意すれば良いのかなどがご理解いただけたかと思います。
信頼できる送り出し機関を選択し、できるだけリスクを避けましょう。

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