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特定技能外国人の年末調整や税金は?必要書類や流れを解説

特定技能制度は、人手不足が深刻な産業分野で外国人材を受け入れる制度です。
介護や建設、飲食料品製造業など16の分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が就労できます。
 
また、日本人従業員と同様に所得税や住民税の納付が必要ですが、年末調整では扶養控除に注意しなければいけません。
 
この記事では、特定技能外国人の税金と年末調整に関する基本と、実務上の注意点などを詳しく解説します。
外国人材の年末調整や税金について理解したい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次[非表示]

  1. 1.特定技能外国人も税金の支払いが必要
    1. 1.1.所得税(国税)
    2. 1.2.住民税(地方税)
  2. 2.特定技能外国人の税金が免除されるケース
  3. 3.年末調整に必要な書類
  4. 4.特定技能外国人の年末調整の流れ
  5. 5.特定技能外国人の年末調整時の注意点
    1. 5.1.扶養親族の要件
    2. 5.2.扶養控除の必要書類
  6. 6.まとめ

特定技能外国人も税金の支払いが必要

特定技能外国人は、日本人と同様に納税の義務があります。
所得税は給与から源泉徴収され、住民税は特別徴収されるのが一般的です。
 
税金の種類や計算方法も、日本人従業員と変わりません。
基礎控除や配偶者控除なども、同じ条件で適用されます。
 
雇用主は特定技能外国人が確実に納税できるよう、制度の説明と手続きのサポートが求められます。
 
まずは、特定技能外国人も支払いが必要な所得税(国税)と住民税(地方税)の理解を深めましょう。

所得税(国税)

特定技能外国人の所得税は、日本人従業員と同様の計算方法で課税されます。
給与所得控除をはじめ、基礎控除や配偶者控除、扶養控除などの各種控除も同じ要件で適用できます。
 
給与の支払者には源泉徴収義務があり、毎月の給与から所得税を天引きして納付しなければいけません。
 
年末調整では1年間の所得税額を精算し、不足額の徴収や過納額の還付を行います。
給与所得が2,000万円を超える場合は確定申告が必要のため、その旨を外国人材の母国語で説明する義務があります。
 
また、扶養控除を受ける際は、海外在住の扶養親族に関する証明書類も必要です。
所得税の納付状況は在留資格の更新にも影響するため、適切な管理が求められます。
 
参照元:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

住民税(地方税)

住民税は、地方自治体に納める税金で、1月1日時点で日本に住所がある人に課税されます。
 
特定技能外国人も、一定額以上の給与がある場合は納税しなければいけません。
税額は前年の所得に基づいて計算され、6月から翌年5月までの12回に分けて納付します。
 
給与支払者は、特別徴収義務があります。
毎月の給与から住民税を天引きし、市区町村に納入しなければいけません。
 
1月2日以降に出国した場合でも、前年の所得に対する住民税の納付が必要です。
住民税の未納は、在留期間の更新に影響する可能性があるため注意しましょう。
 
外国人材が転居する際は、住所変更の届出と共に住民税の納付先の変更を行います。
年度途中で帰国する場合は、残りの住民税を一括納付するなどの対応が必要です。
 
参照元:外国人の方の個人住民税について

特定技能外国人の税金が免除されるケース

特定技能外国人の税金免除は、非居住者に該当する場合と租税条約による免除があります。
 
非居住者とは日本国内に住所を持たず、過去1年以上日本に居所を持たない人です。
ただし、特定技能1号の在留資格で働く外国人は居住者として扱われるため、原則として適用されにくい状況です。
 
租税条約による免除は、出身国と日本との間で締結された条約に基づいて適用されます。

出身国

免税の対象

ベトナム

原則通りの課税

中国

生計や教育、訓練のために受け取る給付や所得

フィリピン

年間1,500米ドルを超えない所得に限り、3年間の免除

インドネシア

年間60万円を超えない所得に限り、5年間の免除

タイ

5年を超えない期間内の実習に関する所得(※生計および教育に必要な収入を構成する場合に限る

スリランカ

年間36万円を超えない所得

免除を受けるには、所得税と住民税にあわせて書類を提出しなければいけません。
 
所得税は、租税条約に関する届出書を給与支払者を通じて税務署に提出します。
住民税は、各地方公共団体に必要書類を提出する手続きが必要です。
 
また、ミャンマーやカンボジア、モンゴル、ラオスなどの租税条約を締結していない国の出身者については、原則通りの課税です。
 
参照元:税金の免除に関するお知らせ

年末調整に必要な書類

年末調整に必要な書類は、以下のとおりです。

必要書類
提出時期
記載内容

給与所得者の扶養控除等申告書

12月初旬まで

扶養親族情報、配偶者情報、本人情報

給与所得者の基礎控除申告書

12月初旬まで

合計所得金額の見積額、他社の給与所得の有無

給与所得者の配偶者控除等申告書

12月初旬まで

配偶者の合計所得金額の見積額、生年月日

保険料控除申告書

12月初旬まで

生命保険料、地震保険料の支払証明書を添付

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)申告


12月初旬まで

住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書を添付

在留カードのコピー

申告書提出時

氏名、在留資格、在留期間を確認


特定技能外国人の年末調整では、在留カードに記載された正式な氏名をすべての書類で統一して使用します。
 
扶養控除等申告書には、海外在住の扶養親族に関する証明書類の添付が必要です。
親族関係証明書や送金証明書は、外国語の場合は日本語訳を付けなければいけません。
 
また、各種控除を受けるための証明書類は原本が必要です。
 
保険料控除や住宅ローン控除の申告には、日本国内の金融機関等が発行する証明書が求められます。
 
書類の記入方法や必要な添付書類は、特定技能外国人が理解できる言語での説明資料を用意し、記入のサポートをしましょう。
加えて、マイナンバーの記載漏れがないよう、提出前に確認してください。

特定技能外国人の年末調整の流れ

特定技能外国人の年末調整の流れは、以下のとおりです。

時期
実施内容
注意点

10月下旬

年末調整の案内

多言語での説明資料を準備

11月中旬

各種申告書の配布

記入方法の説明会を実施

11月下旬

申告書の提出期限

記載内容の確認と不備対応

12月上旬

年末調整の計算開始

控除額の確認と計算

12月中旬

過不足税額の確定

還付・追徴税額の通知

12月下旬

給与支払報告書作成

マイナンバーの記載を確認

1月中旬

税額の精算

最終給与での調整

特定技能外国人の年末調整は、日本人従業員と同じスケジュールで進めます。
10月下旬から準備を始め、必要書類の説明や記入方法のサポートをします。
 
扶養控除等申告書の提出期限は11月末までですが、海外在住の扶養親族がいる場合は証明書類の準備に時間がかかるため、早めの案内が必要です。
 
12月に入ると、本格的な計算作業が始まります。
所得税の過不足を確定するほか、給与からの源泉徴収税額と年税額を比較し、不足額は追徴、過納額は還付処理を行います。
 
最終的な精算は、1月の給与で行うのが一般的です。

特定技能外国人の年末調整時の注意点

特定技能外国人の年末調整では、海外在住の扶養親族に関する確認が欠かせません。
要件と必要書類を理解し、スムーズな年末調整を実現しましょう。
 
それぞれの注意点を詳しく解説します。

扶養親族の要件

扶養控除を受けるには、親族関係と経済的依存関係の両方を満たさなければいけません。
 
親族関係は6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族に限定されます。
経済的依存関係は、扶養親族の年間所得が48万円以下が要件です。
 
また、扶養親族の居住地でも要件が異なります。
 
海外に居住する扶養親族(30歳以上70歳未満の親族)の場合は、年間38万円以上の送金実績が必要です。
送金額は為替レートの変動を考慮しつつ、送金を継続的にしている証明をしなければいけません。
 
扶養親族が日本国内で働いている場合は、給与所得の源泉徴収票や所得証明書で所得金額を確認します。
複数の事業所で働いている場合は、合算した所得金額で判断するのが一般的です。

扶養控除の必要書類

扶養控除の必要書類は、以下のとおりです。

書類の種類
提出時期
条件
有効期限

親族関係証明書

扶養控除申告時

外国語の場合は日本語訳が必要

発行から3ヶ月以内

出生証明書

扶養控除申告時

配偶者・子がいる場合に必要

発行から3ヶ月以内

結婚証明書

扶養控除申告時

配偶者がいる場合に必要

発行から3ヶ月以内

送金証明書

年末調整時

38万円以上の送金実績を証明

当年分のみ有効

所得証明書

年末調整時

扶養親族の収入を証明

当年分のみ有効

在学証明書

扶養控除申告時

学生の場合に必要

発行から3ヶ月以内

在留カードコピー

申告書提出時

有効期限の確認

在留期間内

扶養控除の申請には、親族関係と経済的扶養関係を証明する書類が必要です。
すべての証明書類は原本の提出が原則で、外国語で作成された書類には日本語訳を添付しなければいけません。
 
翻訳は、公的機関や翻訳会社によるものが望ましいです。
本人訳の場合は、内容の正確性を確認する必要があります。
 
送金証明書は、海外送金の際の銀行発行の証明書や送金依頼書のコピーを用意します。
送金額は38万円以上(日本円に換算した時点での金額)が求められ、定期的な送金実績を示さなければいけません。
 
所得証明書は、扶養親族の収入が48万円以下であることを証明するものです。
したがって、現地の公的機関が発行したものを提出する必要があります。
 
参照元:国税庁|国外居住親族に係る扶養控除等の適用について

まとめ

特定技能外国人の年末調整と税金の手続きは、日本人従業員と同じ流れで進めます。
ただし、海外在住の扶養親族がいる場合は、親族関係証明書や送金証明書など追加の書類が必要です。
 
扶養控除の申請では、38万円以上の送金実績と48万円以下の所得制限を確認し、必要書類をすべて揃える必要があります。
外国語の証明書には日本語訳を添付し、在留カードの有効期限も確認してください。
 
適切な納税管理は、在留資格の更新に影響するので、丁寧な説明とサポート体制を整えましょう

株式会社スタッフ満足 新井 宏典
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