ビルクリーニング業界の人手不足の原因と解消法を解説!
ビルクリーニング業界は少子高齢化や女性の社会進出、労働環境の悪化により、慢性的な人手不足に陥っています。
追い打ちをかけるように、インバウンドによるホテル業界の景気が回復基調や、定期清掃を義務付けられた特定建築物が毎年500件前後増加しています。
本記事では、ビルクリーニング業界の人手不足の現状と原因、特定技能”ビルクリーニング”に関する情報を分かりやすく解説します。
ビルクリーニング業界の人手不足を解消する打開策の一つとして、参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.ビルクリーニング業界の人手不足の現状
- 2.ビルクリーニング業界の人手不足の原因
- 3.ビルクリーニング業界の人手不足の解消方法
- 3.1.外国人労働者を受け入れる
- 3.2.業務を効率化する
- 3.3.労働環境を改善する
- 4.特定技能“ビルクリーニング”とは?
- 5.特定技能1号・2号とは
- 6.特定技能“ビルクリーニング”が従事できる業務
- 7.技能外国人を受け入れるための準備
- 7.1.建築物清掃業もしくは建築物環境衛生総合管理業の登録
- 7.2.支援体制の義務を果たす
- 7.3.特定技能協議会へ加入する
- 8.特定技能外国人を受け入れることのメリット
- 8.1.メリット① コストを抑えられる
- 8.2.メリット② サービスの質が向上する
- 8.3.メリット③ 従業員のモチベーションが上がる
- 8.4.メリット④ 24時間体制を実現できる
- 9.ビルクリーニングの特定技能外国人採用なら「スタッフ満足」にお任せください。
- 10.まとめ
ビルクリーニング業界の人手不足の現状
ビルメンテナンス業界(清掃業・警備業・設備管理業)の業務における悩みごとに関して、公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が行った調査データは以下の通りです。
【「ビルメンテナンス業界の業務に関する悩みごと」に関する調査データ】
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2014年から人材が集まらない、若返りが図りにくいといった悩みごとが高止まりしており、ビルクリーニング業界では人手不足が深刻な問題です。
一般清掃におけるパートタイマーの平均時給も年々高くなっており、2023年度には時給1,020円まで上昇しています。
人手不足に悩む企業において、賃金上昇は経営を圧迫する要因となり、人材確保が困難な状況に陥っています。
ビルクリーニング業界が抱える問題として、人手不足を解決するためには、外国人労働者の採用や業務の効率化などが急務です。
ビルクリーニング業界の人手不足の原因
ビルクリーニング業界では、人手不足に悩む企業が増加しています。
【ビルクリーニング業界における人手不足の原因】
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それぞれ詳しく見ていきましょう。
少子高齢化
公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が公表している2023年度の調査データによると、一般清掃業務に従事している従業員のうち、60歳以上が46.7%を占める一方で、40歳未満は12.2%にとどまっています。
ビルクリーニング業界では少子高齢化が進み、若年層の雇用が困難な状況です。
2020年のパンデミック以降は景気が低迷していましたが、インバウンドによってホテル業界の景気も上昇傾向です。
今後さらに、ビルクリーニング業界の人手不足問題は加速するでしょう。
女性の社会進出
女性の社会進出は、ビルクリーニング業界にも影響しています。
公益社団法人全国ビルメンテナンス協会の調査データによると、一般清掃業務に従事する男女の比率は、男性28.4%、女性71.6%という結果です。
正社員とアルバイト・パートの比率を見ても、正社員27.4%、アルバイト・パート72.6%、短時間労働者の中でも女性が5割以上を占めています。
ビルクリーニング業界は、女性スタッフや短時間労働者に支えられている状況です。
今後は、短時間労働者が働きやすきやすい労働環境作りが必要不可欠です。
労働環境
ビルクリーニングは、早朝・夜間の業務も発生するので労働時間が不規則になりがちです。
清掃する建築物は、商業施設や学校、オフィスビルなど、多くの人が利用する建築物で、清掃時間は依頼主の希望する時間帯に限定されます。
決められた時間および期日内で清掃を終えなければならず、従業員に長時間労働を強いることもあります。
不規則な時間帯の勤務や長時間労働なども人手不足の要因のひとつと言えます。
少子高齢化や女性の社会進出の増加を考えると、今後は、短時間労働者が働きたいときに働けるようなシフト管理や、労働環境の改善に取り組むことが求められます。
関連記事:人手不足になってしまう原因は?問題解決につながる外国人人材の採用
ビルクリーニング業界の人手不足の解消方法
ビルクリーニング業界の人手不足を解消するには、以下の内容に取り組みましょう。
【ビルクリーニング業界における人手不足の解消方法】
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それぞれ解説します。
外国人労働者を受け入れる
ビルクリーニング業界の人手不足を補うには、外国人労働者の受け入れも必要です。
特定技能を習得している外国人であれば、簡単な日本語やビルクリーニングに必要とされる専門的な基礎知識や技術を得ています。
ビルクリーニングに特化した人材を確保できるうえ、即戦力になり得ます。
ただし、一般的なビルクリーニングに関する知識なので、企業ごとに清掃方法や扱う道具などが異なる場合は、多少の指導が必要です。
しかし日本人労働者を雇用しても同じ状況で指導するならば、即戦力となりうる特定技能外国人を雇用した方が大きなメリットを得られます。
業務を効率化する
ビルクリーニング業界では、高齢化や女性の社会進出の増加により、短時間労働にシフトしています。
効率よく作業するためには、以下のような方法がおすすめです。
【作業効率を向上させる方法】
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作業効率を改善すれば人手不足の解消に役立ちます。
労働環境を改善する
労働環境を改善すれば、労働者の働きがいやスキルアップにつながり、人手不足の解消にも役立ちます。
例えば、以下のような環境改善があげられます。
【労働環境の改善方法】
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現代では、ライフワークバランスを重視する傾向にあります。
短時間労働や有給休暇の取得しやすい環境を構築できれば、離職率の低下につながります。
離職率が低下すれば、結果的に人手不足が解消できるうえ、企業の評判が良くなり、口コミで新たな人材を確保できる可能性があります。
特定技能“ビルクリーニング”とは?
特定技能とは、日本の労働力不足(人手不足が著しい産業分野が対象)の対策として、2019年4月に導入された制度です。
目的は、外国人労働者の受け入れを促進することです。
特定建築物(延べ床面積が3,000平方メートルを超える建築物)は、定期清掃が義務付けられています。
特定建築物の管理業者は、建築物衛生法で定められた建築物環境衛生管理基準に従い、ビルクリーニングの定期清掃を用いて衛生的に維持管理しています。
近年の特定建築物の件数は、令和4年度に47,910件でしたが、令和5年度には48,313件に増加し、毎年500件前後の特定建築物が増え続けています。
ビルクリーニング業界では、受注件数の増加によって対応に追われています。
人手不足が著しいので、業界全体で特定技能制度を活用する動きが活発化しています。
参考元:政府統計の総合窓口 e-Stat
関連記事:特定技能「ビルクリーニング」とは?採用の要件や費用を解説
特定技能1号・2号とは
特定技能には、1号と2号があり、それぞれの業務内容の違いは以下の通りです。
特定技能1号 |
建築物内部の清掃 |
特定技能2号 |
建築物内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する業務及び同業務の計画作成、進行管理そのほかのマネジメント業務 |
特定技能1号は、建築物内部の清掃だけです。
2号は複数名の指導や管理、マネジメントまで行えるので、高いスキルを保有しています。
関連記事:特定技能が16分野に!1号・2号の違いと新規4分野を含む職種一覧
特定技能“ビルクリーニング”が従事できる業務
特定技能ビルクリーニングが従事できる業務は、主たる業務と関連業務に分かれています。
それぞれの業務内容は以下の通りです。
主たる業務 |
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関連業務 |
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参考元:出入国在留管理庁
主たる業務とは、オフィスビルやホテルなどの建物における廊下や階段、トイレ、エレベーターなど、多く人が利用する場所の清掃です。
関連業務とは、日本人従業員が担当している業務に関して、特定技能外国人が補佐的に従事することです。
ビルクリーニングの客室清掃業務は、納品する商品の一連の流れに含まれるときのみ従事できます。
技能外国人を受け入れるための準備
特定技能外国人を受け入れる際は、以下の条件が定められています。
【特定技能外国人の受け入れ条件】
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それぞれの手続きや内容について解説します。
建築物清掃業もしくは建築物環境衛生総合管理業の登録
厚生労働省のビルクリーニング分野における特定技能制度に関する啓発資料によると、ビルクリーニング業で、特定技能外国人を受け入れる際には、以下のどちらかに登録する必要があります。
【特定技能制度を利用する際に必要な登録】
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登録は、各都道府県知事が許可の判断をするので、事業所の所在地を管轄する都道府県に申請書を提出します。
申請方法や手続きが分からない場合は、事業所を管轄している各都道府県の生活衛生担当部署にお問い合わせください。
支援体制の義務を果たす
支援体制の義務とは、1号特定技能外国人を受け入れる場合、在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行えるよう、職業生活、日常生活、社会生活における支援を実施することです。
特定技能所属機関に該当する企業は、1号特定技能外国人支援計画の作成や当該支援計画が、特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の基準に適合していることなどが求められます。
支援体制は、義務的支援と任意的支援の2通りに分かれています。
任意的支援でも、1号特定技能外国人支援計画に記載した場合、支援義務が生じるので注意が必要です。
下表が義務的支援と任意的支援の主な違いです。
義務的支援 |
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任意的支援 |
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義務的支援が、すべて実施されていない場合、1号特定技能外国人支援計画が適正に行われていないと判断されるので、注意してください。
特定技能協議会へ加入する
特定技能外国人を受け入れる場合、ビルクリーニング分野特定技能協議会に加入する必要があります。
これは特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領で、一部改正があり、令和6年6月15日に施行された内容に基づくものです。
参考元:出入国在留管理庁 特定技能運用要項
協議会に未加入の状態で特定技能外国人を受け入れた際は、受け入れから4カ月以内に、ビルクリーニング分野特定技能協議会へ加入しなければなりません。
登録費用は無料ですが、加入審査に1カ月ほど時間がかかるので、特定技能外国人を受け入れたい場合、事前に協議会に加入しておきましょう。
入会方法や手続きに関する詳しい情報は、厚生労働省のホームページに掲載されているので、ご確認ください。
関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説
特定技能外国人を受け入れることのメリット
特定技能外国人を受け入れると、以下のようなメリットがあります。
【特定技能外国人を受け入れた場合のメリット】
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各メリットについて詳しくみていきましょう。
メリット① コストを抑えられる
特定技能外国人を受け入れると、求人にかかるコストを削減できます。
人手不足を解消するには、広告や求人サイトなどで人材を募集するのが一般的です。
一度の求人募集で、人材を確保できるとは限りません。
未経験者であれば教育費用などにもコストがかかります。
その点、特定技能外国人を受け入れると、ビルクリーニングに必要な基礎知識はすでに持ち合わせているので、教育費用も抑えられます。
メリット② サービスの質が向上する
特定技能外国人を受け入れると、さまざまな視点で清掃できるので、サービスの質が向上します。
そのほかにも以下のようなメリットがあります。
【特定技能外国人から得られるサービス向上のメリット】
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特定技能外国人を受け入れると、日本人だけでは見落としがちなところまで対応できるので、サービス品質の向上に貢献できます。
メリット③ 従業員のモチベーションが上がる
他国の人と交流を持つことで、日本人従業員のモチベーションが上がります。
異文化交流は、職場に多様性をもたらし、馴染みのない文化や価値観、考え方など、刺激になる部分が多いです。
外国人と一緒に業務を円滑に行うには、相手を理解して尊重する姿勢が求められます。
日本人従業員の成長やチームワークが促進され、職場に活気が生まれるので、従業員のモチベーションに良い影響を与えます。
メリット④ 24時間体制を実現できる
特定技能外国人を受け入れることで、人材を確保できるため、24時間体制の業務遂行が実現できます。
ビルクリーニング業界では、早朝・夜間の時間帯でしか清掃できない場所もあります。
今まで、人手不足が原因で対応できなかった時間帯でも対応可能です。
企業の収益向上にもつながり、利益を従業員に還元すれば、さらなる品質向上や新たな人材確保に貢献できます。
関連記事:特定技能のメリットとは?注意すべきデメリットや採用方法も確認
ビルクリーニングの特定技能外国人採用なら「スタッフ満足」にお任せください。
特定技能外国人の人材・採用支援では、以下のようなサービスをご提供しております。
【特定技能外国人の人材・採用支援サービスの主な特徴】
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初めて外国人採用をご検討の企業様でも、安心してご利用いただけるようにさまざまなサポート体制を構築しています。
まとめ
ビルクリーニング業界では、少子高齢化や女性の社会進出、労働環境の悪化などの影響により、慢性的な人手不足に陥っています。
人手不足を解消するには、業務の効率化や労働環境の改善などに取り組む一方で、根本的な人手を補充できれば、解消の手助けになります。