異文化コミュニケーションとは?課題や失敗例も紹介
日本は少子高齢化に伴い、人手不足が深刻化しています。
外国人人材を採用する企業が増えており、言語や文化の違いが課題となっています。
本記事では、外国人人材を採用した際の異文化コミュニケーションについて失敗例を用いて解説します。
異文化コミュニケーションの重要性や課題が分かるので、外国人人材を採用する際の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.異文化コミュニケーションとは
- 2.文化コミュニケーションの重要性
- 2.1.グローバル化の進展
- 2.2.多様な人材の確保と活用
- 3.異文化コミュニケーションの課題
- 3.1.ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の違い
- 3.2.責任範囲の捉え方の違い
- 3.3.時間に対する感覚の違い
- 3.4.ヒエラルキーの違いに対する表現の違い
- 3.5.ミーティングスタイルの違い
- 4.異文化コミュニケーションの失敗例
- 5.異文化コミュニケーションを成功させるためのポイント
- 5.1.ポイント① 異文化の違いを理解する
- 5.2.ポイント② 価値観が違っても否定しない
- 5.3.ポイント③ 具体的かつ明確に伝える
- 5.4.ポイント④ 会話以外のコミュニケーションツールを活用する
- 5.5.ポイント⑤ 異文化コミュニケーション研修を受けておく
- 5.6.ポイント⑥ 外部機関のサポートを受ける
- 6.外国人材との採用ミスマッチを防ぐなら「人材紹介サービス」がおすすめです
- 7.まとめ
異文化コミュニケーションとは
異文化コミュニケーションとは、年齢や性別、言語、生活習慣など、異なる価値観の人と意思疎通を図ることです。
外国人だけでなく、日本人同士でも上記のような違いがあれば該当します。
異文化コミュニケーションで大切なのは、相手の文化や価値観の違いを認めることです。
相手との違いを理解して尊重し、信頼関係を築ければ、良いパートナーシップが形成できます。
違いを認められない場合、人間関係に摩擦やトラブルが生じる可能性があるので注意が必要です。
関連記事:介護現場で働く外国人と円滑にコミュニケーションをとるコツ
文化コミュニケーションの重要性
異文化コミュニケーションは、外国人人材を採用する上で重要です。
そこで異文化コミュニケーションの重要性について、主なポイントを2つ解説します。
【異文化コミュニケーションで重要なポイント】
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グローバル化の進展
日本企業におけるグローバル化の進展により、ビジネスを円滑に運営する上で異文化コミュニケーションは重要な役割を担っています。
他国企業と取引する際、日本の価値観をそのまま持ち込んでもビジネスは成功しません。
その逆もしかりで、外国人が日本で働く場合、母国の生活習慣や価値観を押し通しても摩擦やトラブルが生じる可能性があります。
適切な異文化コミュニケーションを取ることで、円滑な関係が築けます。
さらに、安定的に優秀な人材が定着すれば、人手不足の解消や生産性の向上などに貢献し、収益向上にもつながります。
多様な人材の確保と活用
現在の日本企業は深刻な人手不足に悩んでおり、高齢者や身体障害者、外国人人材など、多様な人材を確保する動きがあります。
しかし、従業員が働きにくい環境では定着率が向上しないので、労働者のニーズに沿った働きがいを提供する取り組みを行っています。
その一環として、異文化コミュニケーションは重要で、多様な人材を適切に活用できます。
適切な異文化コミュニケーションにより外国人の評価が向上し、ネットワークを通じて新たな人材確保にもつながります。
異文化コミュニケーションの課題
異文化コミュニケーションには、以下の課題があります。
【異文化コミュニケーションの課題】
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それぞれ詳しく見ていきましょう。
ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の違い
異文化コミュニケーションにおいて、ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の違いを理解しなければ、人間関係において摩擦やトラブルの原因になります。
ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の違いを理解することで、異文化コミュニケーションのスキルが向上します。
ハイコンテクスト文化 |
ローコンテクスト文化 |
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ハイコンテクスト文化とは、すべて言わなくても相手の考えや言いたいことなどを理解できるコミュニケーションスタイルであり、日本では「暗黙の了解」のことです。
一方、ローコンテクスト文化とは、相手から言われたことだけを理解するコミュニケーションスタイルです。
日本人は日常生活や仕事において、当然のように暗黙の了解で意思疎通が通用しますが、これは世界的に見ても極めて高いコミュニケーションスキルと言えます。
外国人の場合、指示以外のことは責任問題になるので敬遠する傾向にあります。
ローコンテクスト文化に馴染みのある外国人には、日本人のような暗黙の了解は通じないので、仕事を指示するときには結論から簡潔に1から10まで詳細に説明する必要があります。
また、業務上のトラブルを未然に防ぐためには、この2つの違いを理解した上で異文化コミュニケーションを取ることが重要です。
責任範囲の捉え方の違い
日本と海外では責任範囲の捉え方について、以下のような違いがあります。
日本 |
海外 |
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日本では組織の目標に対して、柔軟に周囲の人たちと協力してプロジェクトに取り組むので、個人としての責任範囲はあいまいです。
また、説明が不十分でも受けた者が責任を負い、自分が担当している業務が早く終われば仲間のフォローをします。
一方、海外では責任範囲が明確に分かれており、チームプロジェクトでも自分の担当業務は責任を持って取り組みます。
しかし、自分の担当以外は責任がないので、関わりを持たないという特徴があります。
このように責任範囲の捉え方の違いを明確に把握することが、異文化コミュニケーションでは重要なポイントです。
時間に対する感覚の違い
日本と時間に縛られない文化を持つ国々では、感覚が異なります。
例えば、打ち合わせをする場合、日本では時間厳守は当たり前ですが、時間に縛られない国々では時間通りに集合しないので、開始時刻が遅れることはよくあるそうです。
これは日本の制度が関わっており、社会人になれば新人社員研修で5〜10分前には集合するように教育を受けます。
一方、時間に縛られない文化を持つ国々では、時間通りに正確に行動するという感覚がないので、遅刻は当然のように起こります。
また、下表では日本と海外の時間に対する感覚の違いを表しています。
日本 |
海外 |
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日本と海外では、生活習慣や教育などの違いにより、時間に対する感覚に相違があります。
時間感覚の違いを理解しておくことでコミュニケーションが円滑になり、トラブルを未然に回避できます。
参考元:法務省 法曹有資格者による日本企業及び法人の支援の方策等を検討するための調査研究
ヒエラルキーの違いに対する表現の違い
ヒエラルキーとは上下関係のことであり、日本では上司に対して役職名や敬称で呼び、敬語を使って自分の意見を遠回しに伝えるような文化です。
一方、海外では上司を名前で呼び合い、部下でも上司に対して自分の意見を発言する文化です。
ヒエラルキーの違いを理解しておけば、外国人の部下が自分の意思を伝えてきたとしても円滑なコミュニケーションが取れます。
ミーティングスタイルの違い
日本と海外では、ミーティングスタイルが異なります。
日本では会議中に発言しているのは、幹部・上司・進行役が多く、部下が積極的に発言している光景はあまり目にしません。
その代わり会議が終わった後、上司と個人的に相談するケースが多い傾向にあります。
一方、海外ではミーティング中に発言しない人材は能力が低いとみなされる傾向で、部下でも積極的に発言してディスカッションを行います。
日本ではミーティング中に意見すると進行を妨げたと捉えられがちです。しかし海外の場合、意見するのは当然の主張と捉えられています。
この違いを把握しておけば、正しい視点で発言を捉えられるのでミーティングもスムーズに進行します。
異文化コミュニケーションの失敗例
異文化コミュニケーションにおける失敗例には、以下のようなものがあります。
【異文化コミュニケーションの失敗例】
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このように文化の違いによって許される事柄が異なります。
事前に相手の国のタブーや仕事の進め方、ユーモアの違いなどを把握することも必要です。
例えば、写真撮影のときなどに2本指でピースサインを出しますが、平和や勝利という意味がある一方で、ギリシャでは侮辱を意味するハンドサインに用いられます。
自分では悪気がなくても、相手の文化や価値観が違えば、同じ言動でも意味が変わります。
また、明確に指示・命令などを伝えなければ、相手は自己判断で作業する可能性があります。。
指示内容や責任の所在を明確にし、外国人人材が作業しやすい環境を提供することが重要です。
異文化コミュニケーションを成功させるためのポイント
異文化コミュニケーションを成功させるための6つのポイントを解説します。
【異文化コミュニケーションを成功させる6つのポイント】
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関連記事:外国人労働者に対する日本語教育の重要性と効果的な日本語教育の方法
ポイント① 異文化の違いを理解する
異文化コミュニケーションで大切なことは異文化の違いを理解することです。
相手の生活習慣や感情の抑え方、コミュニケーションの取り方など、文化の違いを理解するように務めることが、成功のポイントです。
ポイント② 価値観が違っても否定しない
異文化コミュニケーションを成功させるためには、価値観の違いを否定しないことです。
例えば、異文化で生活してきた者同士が話をすれば、お互いが自分の文化の方が正しいと主張しますが、相手の価値観と違っても否定しなければトラブルにはなりません。
「相手と価値観は違う」と認識することが重要です。
違いを認識できれば、価値観を否定するのは無意味と気付けるので、コミュニケーションも円滑に取れます。
ポイント③ 具体的かつ明確に伝える
指示や命令は、具体的で明確に伝えることが成功のポイントです。
日本語はあいまいな表現が多いですが、外国人の場合はそうはいきません。
例えば、「部品を倉庫に片付けてくれ」と指示したとします。
日本人であれば、倉庫の所定の位置に戻せという指示だと受け取ります。しかし外国人の場合、倉庫に部品を置けばいいと判断します。
倉庫を確認すると、入口に部品が置いてあるかもしれません。
外国人人材を採用する場合、指示内容に認識の相違がないよう、以下のことに注意して正確に伝えましょう。
【外国人人材に業務内容を指示するときの注意点】
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日本人では当たり前のことでも外国人の場合は、文化や価値観などが異なるのでコミュニケーションスタイルにも配慮が必要です。
ポイント④ 会話以外のコミュニケーションツールを活用する
会話以外のコミュニケーションツールを活用することも成功させるポイントです。
日本語や日本人の暗黙の了解を理解していなければ、相手にこちら側の意図が正確に伝わりません。
紙ベースのマニュアルや配置図、指示書、計画書、タブレット機器の翻訳機能を活用すれば、外国人人材の理解を深められます。
ただし、難しい日本語は理解できない可能性があるので、相手に伝えるときはできるだけ簡単な日本語や単語を使いましょう。
ポイント⑤ 異文化コミュニケーション研修を受けておく
異文化コミュニケーションを成功させるためには活用方法を知っておく必要があるので、異文化コミュニケーション研修を受けることもポイントの一つです。
日本全国で外国人労働者の増加に伴い、異文化コミュニケーションの研修やセミナーを行っている企業や自治体があります。
【異文化コミュニケーション研修およびセミナーを行っている企業・自治体の参考例】
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その他にも多くの研修機関などがあるので、研修やセミナーをうまく活用すれば異文化コミュニケーションに役立ちます。
ポイント⑥ 外部機関のサポートを受ける
外部機関のサポートを受けることも効果的です。
異文化コミュニケーションを理解しているつもりでも、国の数だけ文化や価値観が異なります。
同じ国の人材だけを採用し続けている場合は、対応できるかもしれませんが、経済状況や相手の都合によって同国の人材雇用が困難になる可能性があります。
その場合は、特定技能制度を活用した登録支援機関のサポートを受ける方法もあります。
登録支援機関は、入国前後の支援計画書の作成や実施をサポートしてもらえるため、円滑に外国人人材を雇用できます。
参考元:出入国在留管理庁登録支援機関
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まとめ
異文化コミュニケーションとは、年齢・性別・職業・出身地・社会的地位・言語・生活習慣など、自分とは異なる価値観や環境にいる人と言葉や身振り手振りで意思疎通を行うことです。
外国人に限ったことではなく、日本人同士でも用いられますが、特に外国人の場合は言葉の壁が大きく、文化や価値観の違いを理解するまでに時間を要します。
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