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外国人労働者に対する日本語教育の重要性と効果的な日本語教育の方法

外国人労働者に対する日本語教育は、職場の業務効率や生産性などに影響を与える取り組みです。
外国人労働者だけの問題ではありません。
事業者は、重要性を理解して適切な対策を講じる必要があります。

ここでは、外国人労働者に対する日本語教育の重要性、効果的な日本語教育の方法などを解説するとともに、企業が利用できる自治体の補助金制度などを紹介しています。

日本語教育について理解を深めたい方は確認しておきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.日本における外国人労働者数の推移
    1. 1.1.全体の推移
    2. 1.2.特定技能外国人の推移
    3. 1.3.技能実習生の推移
  2. 2.外国人労働者に対する日本語教育の重要性
    1. 2.1.仕事を覚えやすくなる
    2. 2.2.外国人労働者のモチベーションが高まる
    3. 2.3.従業員の輪に加わりやすくなる
  3. 3.代表的な日本語の試験
    1. 3.1.日本語能力試験(JLPT)
    2. 3.2.国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
  4. 4.日本語のレベルについて
    1. 4.1.N1
    2. 4.2.N2
    3. 4.3.N3
    4. 4.4.N4
    5. 4.5.N5
  5. 5.職種によって求められる日本語レベルは異なる
  6. 6.外国人労働者の日本語レベルが低いことで発生する弊害
    1. 6.1.行き違いが生じる
    2. 6.2.業務効率や生産性が低下する
    3. 6.3.やる気を失う
  7. 7.外国人労働者への効果的な日本語教育の方法
    1. 7.1.日本語教室に入会する
    2. 7.2.日本語学校に入学する
    3. 7.3.社内研修を実施する
    4. 7.4.eラーニングを導入する
    5. 7.5.自習教材の用意や費用負担補助などのサポートを行う
  8. 8.外国人労働者への日本語教育の補助金制度について
    1. 8.1.東京
    2. 8.2.山梨
    3. 8.3.富山県
    4. 8.4.大阪
  9. 9.外国人労働者の日本語教育は重要な取り組み

日本における外国人労働者数の推移

厚生労働省が発表している資料によると、令和5年10月時点の外国人労働者数は2,048,675人です。
届出が義務化された2007年以降、初めて200万人を突破しました。

全体の推移

外国人労働者数の推移は次のとおりです。

外国人労働者数
2010年

65.0万人

2011年

68.6万人

2012年

68.2万人

2013年

71.8万人

2014年

78.8万人

2015年

90.8万人

2016年

108.4万人

2017年

127.9万人

2018年

146.0万人

2019年

165.9万人

2020年

172.4万人

2021年

172.7万人

2022年

182.3万人

2023年

204.9万人

参考に、2023年時点で外国人労働者数が多い産業を紹介します。
 
【産業別外国人労働者数】

  • 製造業:55.2万人
  • サービス業(他に分類されないもの):32.1万人
  • 卸売業、小売業:26.4万人

近年は、製造業、サービス業、卸売業、小売業が外国人労働者を多く雇用しています。
これらの産業を中心に、外国人労働者は欠かせない存在になりつつあるといえるでしょう。

外国人労働者が増えている背景

外国人労働者が増えている背景にあるのが、特定技能制度と外国人技能実習制度です。
公益財団法人国際人材協力機構は、特定技能制度を次のように説明しています。

国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。
 
引用:公益財団法人国際人材協力機構

国内の人手不足を解消する目的で創設された制度といえるでしょう。
2019年4月から、同制度に基づく外国人労働者の受け入れがスタートしました。
 
また、外国人技能実習機構は、外国人技能実習制度を次のように説明しています。

我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度です。


引用:外国人技能実習機構

外国人技能実習機構は、国内の人手不足対策ではなく、国際協力を目的としているといえるでしょう。
同制度は、1993年に創設され、2017年に新しい枠組みに生まれ変わりました。

特定技能外国人の推移

特定技能外国人の推移は以下のとおりです。

合計

上陸時に「特定技能」の許可を受けて在留する者

在留資格変更許可を受け「特定技能」で在留する者

2019年6月

20人

5人

12人

2020年6月

5,950人

1,762人

4,188人

2021年6月

29,144人

5,227人

23,917人

2022年6月

87,472人

14,088人

73,384人

2023年6月

173,101人

42,173人

130,928人

2023年12月

208,462人

64,649人

143,813人

上記の推移を見てわかる通り、特定技能外国人は急増しています。
2023年12月に、合計20万人を突破しました。
今後も、この傾向は続くと予想されます。
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況(令和5年12月末)」
 

技能実習生の推移

技能実習生は、どのように推移しているのでしょうか。
厚生労働省が発表している資料によると次のとおりです。

外国人技能実習生数
2013年

13.7万人

2014年

14.5万人

2015年

16.8万人

2016年

21.1万人

2017年

25.8万人

2018年

30.8万人

2019年

38.4万人

2020年

40.2万人

2021年

35.2万人

2022年

34.3万人

2023年
41.3万人

技能実習生数は、10年間で約3倍に増加しています。
特定技能外国人と外国人技能実習生の増加は、外国人労働者数の推移を評価するときに注目したいポイントです。

出典:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年 10 月末時点)」

外国人労働者に対する日本語教育の重要性

外国人労働者を雇用するにあたり、重要になるのが日本語教育です。
なぜ、日本語教育が重要なるのでしょうか。

仕事を覚えやすくなる

外国人労働者に対する教育、指導は、原則として日本語で行われます。
仕事を覚えるため、日本語は欠かせない能力のひとつです。
外国人労働者が成長すると、企業は仕事を任せやすくなります。

やりがいのある仕事は、外国人労働者の充実感や達成感につながります。
外国人労働者が成長は、企業の利益につながるでしょう。

双方にとってよい結果を導き出すため日本語教育が必要です。

外国人労働者のモチベーションが高まる

充実した日本語教育を行うと「わかること」や「できること」が増えるため、外国人労働者の働く意欲は高まる傾向があります。
「わかること」や「できること」が増えると、企業からの評価がよくなる点もポイントです。

これらの循環で、モチベーションがさらに高まる可能性があります。
外国人労働者の意欲を引き出すため日本語教育が必要です。

従業員の輪に加わりやすくなる

日本語教育を行うと、言語による従業員の分断が起こりにくくなります。
外国人労働者が日本人労働者と、日本語でコミュニケーションを図れるようになるためです。

職場で少数派の外国人労働者は、孤独感を抱きやすいといわれています。
職場から排除されているなどの感情は離職の原因になりえます。
日本語教育は、外国人労働者の職場における孤立の解消にも役立つ可能性があります。
外国人労働者が働きやすい環境をつくるため、日本語教育が必要といえるでしょう。

代表的な日本語の試験

外国人労働者の日本語能力を客観的に評価するため活用されているのが日本語試験です。
主な日本語試験として以下の2つがあげられます。
 
【日本語試験】

  • 日本語能力試験(JLPT)
  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

それぞれの概要を解説します。

日本語能力試験(JLPT)

独立行政法人国際交流基金と財団法人国際教育支援会が実施している日本語試験です。
試験の目的は、日本語を母国語としない方の日本語能力の測定ならびに認定といえるでしょう。

主な特徴を紹介します。

コミュニケーション能力を総合的に測定

日本語能力試験(JLPT)は、次の3要素で構成されます。
 
【試験の構成】

  • 言語知識(文字・語彙・文法)
  • 読解
  • 聴解

言語知識だけでなく、コミュニケーション上の課題を遂行する力まで測定する点が特徴です。
受験者のコミュニケーション能力を総合的に評価できます。

尺度得点で日本語能力を正確に測定

日本語能力試験(JLPT)は、素点ではなく尺度得点を導入しています。
尺度得点は、常に同じ尺度で測定できる得点です。
したがって、試験の難易度が多少変動しても、受験者の日本語能力を正確に測定できます。

レベル別Can-doリストで提供

結果とともにレベル別Can-doリストを提供している点も日本語能力試験(JLPT)の特徴です。
レベル別Can-doリストは、あるレベルの合格者が日本語を使ってできることをまとめたリストといえるでしょう。

現在の日本語能力を、具体的にイメージしやすくなります。

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

独立行政法人国際交流基金が実施している日本語試験です。
就労目的で来日した外国人が、生活上のコミュニケーションに必要な日本語能力を備えているか測定します。

主な特徴は次のとおりです。

JF日本語教育スタンダードに基づく

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、独立行政法人国際交流基金が「相互理解を理念とした日本語教育のための枠組み」として開発したJF日本語教育スタンダードに基づいています。

ポイントは、言語教育のスタンダードになりつつあるCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の考え(生涯学習・行動中心主義)を取り入れていることです。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)では「日本語でなにがどれだけできるか」を測定します。
 
出典:JF日本語スタンダード「JFスタンダードとは」

4セクションで日本語を評価

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、以下の4セクションで日本語能力を評価します。
 
【セクション】

  • 文字と語彙
  • 会話と表現
  • 聴解
  • 読解

CEFRに沿って、6つのレベル(A1、A2、B1、B2、C1、C2。C2のレベルが最も高い)に分けて「日本語で何がどれだけできるか(課題遂行能力)」を測定する点がポイントです。

「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」の目安はA2レベルです。
 
出典:JF日本語教育スタンダード「「学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠」(CEFR)共通参照レベル: 全体的な尺度」

日本語のレベルについて

日本語能力試験(JLPT)のレベル認定はN1~N5の5段階です。
N5~N1と数字が小さくなるにつれて、日本語能力が高いと判断できます。

各レベルの目安は次のとおりです。

レベル
目安
N1

幅広い場面で使われる日本語を理解できる

N2

日常場面で使われる日本語を理解でき、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できる

N3

日常場面で使われる日本語をある程度理解できる

N4

基本的な日本語を理解できる

N5

基本的な日本語をある程度理解できる

出典:日本語能力試験(JLPT)「N1~N5:認定の目安」
 
各レベルの詳細を解説します。

N1

「読む」においては、新聞の社説などを読んで、文の構成や内容を理解できるレベルです。
登場人物の心理、話しの流れなどを理解しながら小説を読むこともできます。

「聞く」においては、幅広い場面で自然なスピードの会話を、詳細に理解したり、要旨を把握したりできるレベルです。

N2

「読む」においては、自身が関心をもっているレポートや日常的な話題について書かれた雑誌の記事などを読んで理解できるレベルです。
敬語を使ったメール、手紙などの内容も理解できます。

「聞く」においては、日常的なシチュエーションだけでなく、より幅広い場面で自然なスピードに近い会話を聞いて、話しの流れを理解したり要旨を把握したりできるレベルです。
職場の会議で、全体の流れを理解できるレベルといえるでしょう。

N3

「読む」においては、日常的な話題について具体的に書かれた文章を理解できるレベルです。
短編の物語を読んで話の流れを理解できるレベル、パンフレットを見て商品の特徴などを把握できるレベルといえるでしょう。

「聞く」においては、日常的なシチュエーションで、自然なスピードに近い会話を聞いて、具体的な内容、登場人物の関係などをほぼ理解できるレベルです。
アニメなど単純なストーリーであれば、テレビや映画などの内容もおおよそ理解できます。

N4

「読む」においては、基本的な語彙、漢字を用いて書かれた身近な文章を理解できるレベルです。
具体的には、友人から届いたメールを理解できるレベル、職場の掲示板を見て必要な情報(ミーティングの場所や時間など)を把握できるレベルといえるでしょう。

「聞く」においては、日常的なシチュエーションで、ややゆっくりと話せば内容をほぼ理解できるレベルです。
たとえば、食べ物や趣味など、身近な話題であればほぼ理解できます。

N5

「読む」においては、平仮名、片仮名、日常生活で使用する基本的な漢字で書かれた定型的な語句、文、文章を理解できるレベルです。
具体的には、電車の時刻表を見て乗るべき電車の時間がわかるレベルといえるでしょう。

「聞く」においては、よくあるシチュエーションで、ゆっくり話す短い会話であれば、必要な情報を聞き取れるレベルです。
簡単な指示をうけて、やるべきことを理解できるレベルと考えられます。

関連記事:特定技能を取得するための試験とは?試験内容を詳しく解説

出典:日本語能力試験JLPT「日本語能力試験 合格者と専門家の評価による レベル別Can-doリスト-わたしが日本語でできること-」

職種によって求められる日本語レベルは異なる

外国人労働者が認められる日本語能力は在留資格などで異なります。

詳細は次のとおりです。

在留資格
日本語能力
特定技能

1号:N4以上
2号:日本語能力に関する規定なし

技能実習

【介護職種】
1年目:N4以上
2年目:N3以上
【その他の職種】
日本語能力に関する規定なし

高度専門職

日本語能力に関する規定なし

技術・人文知識・国際業務

日本語能力に関する規定なし

EPA看護師・介護士

インドネシア:N4以上
フィリピン:N4以上
ベトナム:N3以上

高度専門職は日本語能力に関する規定がありません。
ただし、一定の日本語能力は高度人材ポイント制の加算対象になります(日本語能力試験:N1=15点、日本語能力試験:N2=10点)。
 
出典:法務省「高度人材ポイント制の加点対象となる日本語能力一覧」

技術・人文知識・国際業務も日本語能力に関する規定はありませんが、一定以上の日本語能力は就職で有利になると考えられています。

外国人労働者の日本語レベルが低いことで発生する弊害

外国人労働者の日本語能力が低いと、さまざまなトラブルが生じやすくなります。
考えられる主なトラブルは次のとおりです。

行き違いが生じる

外国人労働者が日本語を十分に話せないと、コミュニケーションの行き違いが生じやすくなります。

たとえば、指示を理解していると思っていたら見当違いのことを始めた、報告で聞いていた内容と実際の状況が異なるなどが考えられます。

ケースによっては、重大な問題に発展するため注意が必要です。

業務効率や生産性が低下する

現場の業務効率や生産性が低下する恐れもあります。
外国人労働者が、業務内容を正確に把握できないためです。

作業の遅延などが起こりやすくなります。
教育に時間と手間がかかる点もポイントです。

他のスタッフが業務に集中できなくなるため、業務効率などは低下してしまいます。

やる気を失う

日本語能力が低いと、外国人労働者はやる気を失いやすくなります。
何をどうすればよいか正確に理解できず、やりがいを見出せないためです。
重要な仕事を任せてもらえない点もやる気に影響を与えます。
 
同様に、日本人労働者もやる気を失う恐れがあります。
時間をとって説明しても伝わらないためです。
成果を感じられないと、教育や指導を諦めてしまうことも考えられるでしょう。

外国人労働者への効果的な日本語教育の方法

外国人労働者の日本語能力が低いと、以上のトラブルなどが発生しやすくなります。
日本語教育を積極的に行うことが大切です。

ここからは、効果的と考えられている日本語教育の方法を紹介します。

日本語教室に入会する

外国人労働者の日本語能力を高めたい場合は、地域で開催されている日本語教室への入会を促すとよいでしょう。

日本語教室の主な特徴は次の2点です。
 
【特徴】

  • 地方公共団体やNPOなどが主に運営している
  • 日本語教師は報酬(交通費などの実費を除く)を受けないボランティアが中心

したがって、無料または安価で利用できる日本語学校が多いといえます。
金銭的な負担を抑えたい外国人労働者であっても通いやすい傾向があります。

ただし、すべての地域に日本語教室があるわけではありません。
文化庁が発表している「令和4年国内の日本語教育の概要」によると、都道府県別の日本語教室空白地域数は1,896です。
ここでいう空白地域は「地域における日本語教育」が実施されていない市区町村を指します。
居住地などによっては、遠方まで出かけなければ日本語教育を受けられないことがあります。

実情を把握したうえで、日本語教室への入会を促すことが大切といえるでしょう。
 
出典:文化庁「令和4年国内の日本語教育の概要」

日本語学校に入学する

日本語学校へ入学を促すことも、効果的な日本語教育の方法と考えられます。
ここでいう日本語学校は、学校法人などが設置している日本語の学校です。
主な特徴は、日本語教師から指導を受けられることと目的に合わせてコースを選択できることといえるでしょう。

また、日本語学校の中には、日本語に加えビジネスマナーやビジネス文化などを学べるビジネス日本語コースなどを開講しているところがあります。
職場で活かせる知識を学べる点が魅力です。
 
ただし、日本語教室に比べて授業料などは割高です。
年間で数十万円程度かかるケースが多いでしょう。

日本語教室の授業料には、多くの在留外国人が困っています。
出入国在留管理庁が発表した資料によると、在留外国人が日本語学習で困っていることの上位3つは次のとおりです(「特に困っていない」「日本語を学習していない」を除く)。
 
【日本語学習の困りごと】

  • 日本語教室・語学学校等の利用・受講料金が高い:21.1%
  • 無料の日本語教室が近くにない:17.7%
  • 学んだ日本語を活かせる機会がない:14.2%

出典:出入国在留管理庁「令和4年度在留外国人に対する基礎調査結果概要資料」

単に入学を促すだけでなく、企業が入学しやすい環境をつくることも大切です。

社内研修を実施する

社内研修を活用して、日本語教育を行うこともできます。
主なメリットは、業務で使用する日本語を教えられることです。
実用的な日本語を、効率よく教えられる方法といえるでしょう。
 
ただし、自社だけで取り組むと教育の質は低くなります。
研修の準備に一定の手間と時間がかかる点にも注意が必要です。
慣れていないと、コストに見合った効果を実感できないことも考えられます。
どのように取り組めばよいかわからない場合は、文化庁国語課が運営している「日本語教育コンテンツ共有システム」を参考にするとよいでしょう。
教科書、補助教材、テスト、練習問題などが用意されています。
 
参照:日本語教育コンテンツ共有システム
 
また、質の高い日本語教育を行いたい場合は、外国人労働者向けの日本語研修サービスを利用することもできます。

eラーニングを導入する

eラーニングの導入も、検討したい日本語教育の方法です。
eラーニングは、インターネットを使用する学習方法といえるでしょう。
主な特徴は、環境(パソコンなどとインターネット接続)を整えれば、場所や時間を問わず日本語を学べることです。
職場はもちろん、外国人労働者の自宅などでも学習できます。
 
注意点は、原則として導入に一定のコスト(初期費用+1人あたりの受講料など)がかかることです。
具体的な料金はサービスで異なります。
コストが気になる場合は、無料学習サイトなどを利用するとよいかもしれません。
たとえば、国際交流基金は「JFにほんごeラーニング みなと」で、無料で利用できる日本語オンラインコースを公開しています。
 
参照:JFにほんごeラーニング みなと

自習教材の用意や費用負担補助などのサポートを行う

外国人労働者が学びやすい環境をつくることも欠かせません。

日本語学校へ通いたくても、経済的な理由で諦めている方もいます。
学費や教材費の一部を負担する制度などを導入すると、外国人労働者が日本語を学びやすくなるでしょう。
経済的なサポートが難しい場合は、自習用教材の用意、紹介なども効果的な支援と考えられます。
 
以上に加え、日本語学習の動機づけを行うことも大切です。
日本語能力と評価制度を連動させると学習意欲を引き出しやすくなります。
評価制度との連動に疑問を感じるかもしれませんが、日本語能力は業務効率や生産性を高める重要な能力です。
最終的には、企業の利益につながると考えられます。

外国人労働者への日本語教育の補助金制度について

日本語教育などを行い、外国人労働者の定着を促進している事業者は、自治体から補助を受けられることがあります。

ここでは、一部の自治体が実施している補助金制度を紹介します。

東京

東京都は「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」を実施しています。
詳細は次のとおりです。

対象企業

都内中小企業

対象外国人従業員

以下の要件を満たすもの

  • 実施期間中に継続して直接雇用されている従業員で、所定の在留資格のうち、日本で就労できる在留資格を有しているもの
  • 常時勤務する事業所の所在地が都内であるもの

助成対象事

日本語能力試験N2レベル以下(おおむね)の外国人従業員を対象とする、ビジネスに必要な日本語教育などで以下の内容のもの

  • 日本語教員による日本語教育
  • 日本語教材の作成(日本語教員が作成したものに限る)
  • ビジネスマナー講座
  • 異文化理解にかかる講座

※3.4の単体実施は不可などの条件あり

助成対象経費

日本語教育などにかかる報酬費、消耗品費、旅費、印刷製本費、委託料、使用料および賃借料

助成額・助成限度額

  • 標準プラン:経費の2分の1(最大25万円)
  • 短時間プラン:経費の2分の1(最大15万円)

募集期間は、2024年4月4日から令和7年1月15日までです。
交付申請から交付決定まで1カ月程度かかります。

詳しくは、以下のページを参考にしてください。
参考:東京都TOKYOはたらくネット「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」

山梨

山梨県は、中小企業で働く外国人の受入、定着、活躍を支援するため「やまなし外国人活躍企業支援事業費補助金」を実施しています。
詳細は次のとおりです。

補助対象者

「やまなし外国人労働環境適正化推進ネットワーク」に参加している事業所を山梨県内に有する中小企業、社会福祉法人、医療法人、公益法人(新たに外国人を雇用する場合に限る)

補助対象事業

  • 外国人労働者の日本語能力向上を目的とする日本語学習に関する事業
  • 外国人労働者と地域住民の交流などに関する事業
  • 仕事で使う日本語学習に関する事業

※各事業に要件あり

補助率・補助上限額

  • 日本語教室への参加など、生活に関する日本語学習:補助率2分の1(補助上限額100万円。2を行う場合は150万円)
  • 専門用語リストを用意する仕事で使う日本語学習:補助率:10分の10(補助上限額100万円)
  • 地域行事への参加や地域住民との交流会への参加:補助率2分の1(補助上限額10万円)

※補助対象経費は要確認

申請受付期間は、2023年4月3日から2024年1月31日です。

2024年以降の取り扱いは、山梨県の窓口でご確認ください。 
参照:山梨県「やまなし外国人活躍企業支援事業費補助金」

富山県

富山県は「外国人材日本語習得サポート事業費補助金制度」を実施しています。
詳細は次のとおりです。

補助対象者

  • 外国人を雇用している中小企業または個人事業主
  • 外国人を雇用している常時使用する従業員が100人以上の企業で中小企業基本法に規定する法人以外の法人
  • 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律で規定する登録支援機関
  • 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律で規定する監理団体

補助事業

  • 補助対象者が雇用している外国人に対して、自らが費用を負担して行う日本語研修など事業
  • 日本語研修機関などが実施する日本語研修などに外国人を参加させる事業
  • 1、2に参加予定であったが、当日に参加できなかった外国人に、使用教材を配布する事業

補助対象経費

補助事業の経費のうち、会場費、講師謝金、講師旅費、委託料、受講料、テキスト代、交通費、通信料、印刷費、消耗品費、その他知事が適切と認める経費

補助率、補助限度額

補助率:2分の1(補助限度額15万円)

申請書類の提出期限は2025年2月28日です。

詳しくは、以下のページをご確認ください。 
参照:富山県「外国人材日本語習得サポート事業費補助金制度のご案内」

大阪

大阪府は「外国人介護人材受入施設等環境整備事業」で、介護施設などが実施する外国人介護職員の円滑な就労ならびに定着に貢献する一定の取り組みに対して、補助金を交付しています。

詳細は次のとおりです。

対象事業者

  • 指定介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 指定介護療養型医療施設
  • 指定地域密着型介護老人福祉施設
  • 認知症対応型共同生活介護事業所
  • 養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム

対象経費

  • 外国人介護職員とのコミュニケーションを促す取り組み
  • 介護人介護職員の介護福祉士資格取得を支援する取り組み
  • 外国人介護職員の生活支援に関する取り組み

補助率、補助上限額

補助率:3分の2(基準額30万円)
補助上限額:1施設などあたり20万円

交付決定から2024年3月31日までに事業を完了させる必要があります。

2024年以降の取り扱いについては、大阪府でご確認ください。 
参照:大阪府「外国人介護人材受入施設等環境整備事業」

外国人労働者の日本語教育は重要な取り組み

ここでは、外国人労働者の日本教育について解説しました。

日本語教育は、外国人労働者にとっても、企業にとってもメリットのある取り組みです。
外国人労働者が仕事を覚えやすくなる、職場の生産性が向上するなどの効果を期待できます。
日本語教育の方法として、日本語研修の実施、eラーニングの活用などがあげられます。
自治体の制度を利用して、補助金の交付を受けることも可能です。

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