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特定技能外国人として採用可能な国籍は?国別の注意点もチェック

外国人を特定技能の資格で採用したいと考えた際、どの国の方を採用しようか悩むこともあるでしょう。
そもそも、特定技能が取得できる国、できない国はあるのでしょうか。
 
本記事では特定技能外国人の採用を検討するにあたり国籍について詳しく知りたい方のため、おさえておきたいポイントを解説します。
この記事を読むことによって採用可能な国籍や国別の採用の注意点などがわかるようになるので、ぜひご覧ください。


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目次[非表示]

  1. 1.特定技能について
    1. 1.1.特定技能設立の背景
  2. 2.特定技能を採用できる国は原則自由
    1. 2.1.二国間協定について
  3. 3.特定技能は増えている?
  4. 4.国別に見た場合の傾向
  5. 5.業界別に見た場合の動向
  6. 6.国別の採用の注意点
    1. 6.1.ベトナム
    2. 6.2.インドネシア
    3. 6.3.フィリピン
    4. 6.4.ミャンマー
    5. 6.5.ネパール
  7. 7.特定技能に関する今後の見通し
  8. 8.外国人採用前に注意点などをしっかり確認しておくことが大切

特定技能について

特定技能は在留資格の一つです。
日本ではさまざまな産業で人手不足の状況が続いており、これを外国人労働者の採用によって解消する目的で特定技能制度が作られました。
 
特定技能の資格には1号と2号があり、1号では12の分野、2号では11の分野で特定技能の資格を取得した外国人の採用が認められています。
1号と比較すると2号はより専門的な知識や技術が求められる資格です。

特定技能設立の背景

在留資格として特定技能が設立された背景には、日本人労働力の不足があります。
特定技能が認められている分野は、いずれも人手不足が深刻化している業種です。
 
業務の中には単純労働と呼ばれる比較的簡単に取り掛かれて決まった作業を繰り返し行う労働があります。
特別なスキルや知識などは必要とせず流れ作業などが単純労働に該当するのですが、基本的に外国人の単純労働は禁止されていました。
 
ですが、特定技能ではこの単純労働か認められています。
単純労働を含む人手不足が深刻化している業種において、外国人の就労を認めるために設立されたのが特定技能です。

特定技能を採用できる国は原則自由

特定技能を採用できる国は指定されているわけではなく、原則として自由です。
そのため、基本的にどの国籍の外国人であっても特定技能の資格を取得すれば採用できます。
 
ただし、例外としてイランとトルコが挙げられます。
イランとトルコは帰国命令や退去命令を出したとしても入国不可の形をとることから、仮に雇い入れると移民や難民として受け入れる形になってしまいます。
こういった状況になるのを防ぐため、イランとトルコの国籍を持つ方が特定技能の在留資格で日本に入国することは認められません。

二国間協定について

特定技能外国人の採用を検討するにあたり、おさえておきたいのが「二国間協定」に関することです。
二国間協定とは、特定技能外国人を送り出す国と日本で締結した取り決めのことをいいます。
特定技能制度に関してルールが定められており、それぞれの国はこのルールに従う形で外国人の送り出し・受け入れを行わなければなりません。
 
日本では、以下の国と二国間協定を締結しています。
 
【二国間協定を締結している国】

  • フィリピン
  • カンボジア
  • ネパール
  • ミャンマー
  • モンゴル
  • スリランカ
  • インドネシア
  • ベトナム
  • バングラデシュ
  • ウズベキスタン
  • パキスタン
  • タイ
  • インド
  • マレーシア
  • ラオス
  • キルギス

※令和6年2月27日時点

先に紹介したとおり、特定技能の資格を取得するにあたり原作国籍は問われません。
ですが、現状では上記の二国間協定を締結している国からの採用が多くなっています。

特定技能は増えている?

特定技能の資格で働く外国人労働者は年々増えています。
 
例えば、制度が始まったばかりの時期である令和元年6月末時点の特定技能1号在留外国人数は20人でした。
令和2年6月末になると5,950人となり、令和5年6月末時点では173,089人もの方が特定技能1号の資格を取得して日本で働いています。
 
推移は以下の通りです。

-

令和5年6月末

令和4年6月

令和3年6月

令和2年6月末

令和元年6月末

総数

173,089

87,471

29,144

5,950

20

増加のペースが非常に速いことがわかります。
多くの企業が特定技能外国人を採用し、人手不足に対応している状況です。

参考:出入国在留管理庁:特定技能在留外国人数の公表

国別に見た場合の傾向

国別に見たときの人数と全体で見た時の割合の推移は以下の通りとなっています。
カッコ内の数字は全体で見たときの割合です。

国籍・地域

令和5年6月末

令和4年6月末

令和3年6月末

令和2年6月末

ベトナム

97,485人(56.3%)

52,748人(60.3%)

18,191人(62.4%)

3,500人(58.8%)

インドネシア

25,337人(14.6%)

9,481人(10.8%)

2,621人(9%)

597人(10%)

フィリピン

17,660人(10.2%)

8,681人(9.9%)

2,499人(8.6%)

558人(9.4%)

中国

11,402人(6.6%)

6,143人(7%)

2,338人(8%)

369人(6.2%)

ミャンマー

8,016人(4.6%)

4,107人(4.7%)

1,265人(4.3%)

291人(4.9%)

カンボジア

3,659人(2.1%)

1,872人(2.1%)

697人(2.4%)

243人(4.1%)

タイ

3,499人(2%)

1,793人(2%)

636人(2.2%)

177人(3%)

ネパール

3,428人(2%)

1,401人(1.6%)

329人(1.1%)

49人(0.8%)

その他

2,603人(1.5%)

1,245人(1.4%)

568人(1.9%)

166人(2.8%)

国別にみてみると、令和5年6月末時点で最も多い国籍はベトナムでした。
97,485人ものベトナム国籍を持つ方が特定技能1号の資格で働いています。
これは、技能実習生の多くをベトナム国籍の方が占めており、技能実習生から特定技能の資格に移行している方が多いためです。
 
全体ではベトナムがトップであるものの、令和5年6月末は令和4年6月末と比較して割合が低くなっていることがわかります。
一方、インドネシアは令和4年6月末よりも令和5年6月末の方が割合が高くなりました。
国によって現地で行われている試験の分野が異なるのですが、インドネシアでは多くの分野の試験が実施されています。
このことから、今後はインドネシア国籍の方の特定技能資格取得も増えていくでしょう。

参考:出入国在留管理庁:特定技能在留外国人数の公表

業界別に見た場合の動向

業界別に動向を見ていきます。
以下は各業界における受入れ見込数(5年間の最大値)と、令和5年6月末時点での特定技能1号在留外国人数で、カッコ内の数字は前年比です。


受入れ見込数(5年間の最大値)

特定技能1号在留外国人数

介護分野

50,900

21,915(+11,504

ビルクリーニング分野

20,000

2,728(+1,595

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

49,750

35,641(+17,776

建設分野

34,000

18,429(+9,937

造船・舶用工業分野

11,000

6,377(+3,601

自動車整備分野

6,500

2,210(+990

航空分野

1,300

342(+263

宿泊分野

11,200

293(+133

農業分野

36,500

20,882(+9,413

漁業分野

6,300

2,148(+1,098

飲食料品製造業分野

87,200

53,282(+23,665

外食業分野

30,500

8,842(+5,643

令和5年6月末時点で特定技能1号在留外国人数が最も多いのは、飲食料品製造業分野でした。
 
特定技能1号在留外国人全体のうち、30.8%が飲食料品製造業分野で働いていることになります。
また、前年比を見てみても令和4年6月末時点よりも23,665人も増加しました。
ただ、受入れ見込数にはまだ届いていません。
受入れ見込数とは人手不足状況のことです。
 
また、介護分野も数が増えています。
日本では介護業界で人手不足が問題となっているため、外国人労働者による働きが期待されています。
こちらも受入れ見込数の半分にも届いていません。
 
人数が伸び悩んでいるのは、宿泊分野や航空分野です。
ただ、新型コロナウイルス流行による渡航制限が解除されたことを受け、今後は人数が増えていくのではないかと予想されています。
外食業分野に関しても渡航制限の解除によって日本を訪問する外国人の数が増えている状況なので、今後さらに需要・採用人数が増えていきそうです。

国別の採用の注意点

どの国籍の人材を採用するのかによって注意しなければならないポイントが変わってきます。
ここでは、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、ネパールについて採用方法や注意点を紹介します。

ベトナム

日本在住のベトナム国籍の方ではなく、現地から呼び寄せて採用する場合は先にベトナム側と手続きを行わなければなりません。
「DOLAB」と呼ばれるベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局によって認定された送り出し機関と、ベトナム人を採用したい日本の会社で労働者提供契約を結ぶ必要があります。
 
送り出し機関とは、海外現地において日本で働きたい人を募集し、日本に送り出す役割を持った期間のことです。
送り出し機関の利用が必須かは国によって異なるのですが、ベトナムの場合は必ず利用しなければなりません。
DOLABによって送り出し機関との労働者提供契約が承認されると、ベトナム人と雇用契約が結べるようになります。
 
それから、ベトナム国籍の求職者と雇用契約を締結した後はDOLABの推薦者表交付申請が必要です。
当該ベトナム人労働者がベトナムの送り出し機関を通す形でDOLABへ申請を行い、推薦者表を取得しましょう。
推薦者表とは、就労予定のベトナム人労働者がベトナムの関連法令に従ってきちんと手続きを行ったことを証明するのに必要な書類です。
 
その後、日本に推薦者表を送付してもらうことになるのですが、発行には1ヶ月程度かかることもあるので余裕を持って準備を進めておかなければなりません。
日本入国時には在留資格認定証明書の交付申請が必要となりますが、推薦者表がないとこの交付申請ができないので注意しましょう。
 
なお、すでに何らかの在留資格で日本に滞在しているベトナム国籍の方を特定技能で採用する場合は、駐日ベトナム大使館による推薦者表交付申請が必要になります。
ベトナム語での問い合わせが必要になるため、自社で働いているベトナム国籍の方や就労予定のベトナム人労働者本人に対応してもらいましょう。

インドネシア

インドネシア国籍の方を採用する際、送り出し機関の利用は必須ではありません。
ただ、インドネシア政府はオンラインシステムであるIPKOL(労働市場情報システム)を管理しており、受け入れ企業はこのシステムに登録して求人することを強く希望していれるので、登録しましょう。
これにより、IPKOLに登録している求職者とのマッチングが可能になります。
 
求職者と雇用契約を結んだら出入国在留管理庁に対して在留資格認定証明書を申請しましょう。
交付されたものを求職者に送付し、大使館へのビザの申請へと進みます。
 
なお、インドネシア国籍の求職者はインドネシア政府の海外労働者管理サービスシステムである「SISKOTKLN」への登録も必要です。
登録すると「KTKLN」と呼ばれる移住労働者証の申請ができるようになります。
 
現地の方ではなく日本在住のインドネシア国籍の方を採用する場合は、同様に就労予定のインドネシア国籍の方がSISKOTKLNへの登録手続きを行い、E-KTKLNを受け取って駐日インドネシア大使館で海外労働者登録手続きに進む形です。

関連記事:インドネシア人を特定技能で雇用する際のポイントや注意点

フィリピン

フィリピン現地から特定技能外国人を受け入れる際は、送り出し機関と人材募集・雇用に係る募集取決めを締結しなければなりません。
その後、在東京フィリピン共和国大使館または在大阪フィリピン共和国総領事館の移住労働者事務所(MWO)に必要書類を提出しましょう。
 
受け入れ機関の代表者または委任された従業員がMWOに赴いて英語での面接を受ける形となります。
通訳の同席は可能ですが、コンサルティング業者や登録支援機関に面接を代行してもらうことはできないため注意が必要です。
 
必要に応じて受け入れ機関への実地調査が行われたあと、フィリピンの移住労働者省(DMW)への登録が認められます。
その後、雇用契約締結へと進む形です。
見地から採用する場合、特定技能外国人は海外雇用許可証(OEC)の発行をDMWに申請しなければなりません。

ミャンマー

ミャンマーでは、ミャンマー政府から認定を受けている現地の送出機関を通じて人材の紹介・雇用契約の締結を行わなければならないと定めています。
送り出し機関が求人を行う際には、受け入れ機関から提出された求人票をミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)に提出した上で許可・承認を得なければなりません。
 
その後、雇用契約を締結し、在留資格認定証明書の交付申請に進みます。
就労予定の特定技能外国人はMOLIPに海外労働身分証明カード(OWIC)の申請をしましょう。
 
日本在住の方を受け入れる場合は現地の送り出し機関を通す必要はありません。
直接採用活動が可能です。

ネパール

ネパールの場合、直接採用活動も可能ですが、有料で駐日ネパール大使館に求人申込を提出することもできます。
その後、雇用契約を締結し、就労予定の特定技能外国人はネパールを出国する前に海外労働保険への加入や海外労働者社会福祉基金へ一定額の支払いを行わなければなりません。
 
それが済んだらネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門にオンラインで海外労働許可証の発行を申請し、海外労働許可証を取得します。
健康診断・出国前オリエンテーションから海外労働許可証の取得までには10日間程度かかるので、余裕を見ておきましょう。

特定技能に関する今後の見通し

特定技能は日本人だけでは労働力が不足してしまうさまざまな産業を支えています。
現在も多くの外国人が日本において特定技能の資格で働いていますが、今後は対象分野が拡大する可能性もあるでしょう。
 
特定技能での採用が認められているのは、採用活動を行ってもなかなか雇用に繋がらず、人手不足に悩んでいる産業です。
現在は特定技能1号で12分野、2号で11分野が認められていますが、その他の産業に関しても人手不足が深刻化した場合には特定技能の対象となる可能性が考えられます。
 
また、特定技能外国人の採用を検討したいけれど制度が少しわかりにくいと感じた方もいるのではないでしょうか。
今後は多くの企業が検討しやすいように柔軟かつ効率的な制度になっていくことが期待されています。
 
現状でも特定技能外国人を対象としたさまざまなサポートがありますが、行政や関連団体などによる新たな支援策の導入・プログラムの充実なども期待されている状況です。
 
また、現在は特定技能外国人のほとんどが1号ではありますが、2022年4月には2号認定された方が現れ、今後もさらに増えていくのではないかと考えられます。
現状では特定技能の対象となる介護以外のすべての分野で2号が認められています。
 
1号から2号に移行すれば5年間と定められている在留期間の上限がなくなるので、自社で長く働いてもらうことも可能です。
これから特定技能外国人を採用したいと考えているのであれば、将来的に2号へ移行することを見据えた形での採用や人材育成を行いましょう。

外国人採用前に注意点などをしっかり確認しておくことが大切

いかがだったでしょうか。
特定技能外国人の概要や採用可能な国、採用における注意点などを紹介しました。
 
日本人を採用するのとは異なる知識や注意が必要となるため、よく確認のうえ採用活動に取り組んでいく必要があります。
 
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