「特定技能協議会」の活動内容・目的・加入方法と問い合わせ先
介護や建設業などさまざまな産業分野が、人手不足の改善に向けて海外から人材を受け入れています。
その中で近年注目されている「特定技能」は、一定の専門性をもつ人材の就労を可能にするための制度として設けられました。
この記事では、特定技能の概要と、業種ごとに設置されている特定技能協議会について紹介します。
協議会の活動内容、加入費用や加入方法・問い合わせ先についても取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.特定技能とは
- 2.「特定技能協議会」とは
- 2.1.活動内容
- 2.2.協議会の目的
- 2.3.特定技能協議会 への加入義務はあるのか
- 2.4.特定技能協議会に加入できない場合はあるのか
- 3.特定技能協議会一覧
- 4.特定技能協議会の加入にかかる費用
- 5. 特定技能協議会へ加入すべきタイミング
- 6.特定技能協議会への入会方法
- 6.1.介護業
- 6.2.ビルクリーニング業
- 6.3.造船・船用工業
- 6.4.建設業
- 6.5.自動車整備業
- 6.6.航空業
- 6.7.宿泊業
- 6.8.農業
- 6.9.漁業
- 6.10.飲食料品製造業
- 6.11.外食業
- 6.12.素形材・産業機械製造・電気電子情報業
- 7.「特定技能協議会」に関する問い合わせ先
- 8.省庁からの情報を確認して加入申請を
特定技能とは
特定技能制度とは、国内人材が不足している産業分野において、一定の専門性や技能をもつ外国人の人材を受け入れるために創設された制度です。
一定以上の知識・経験をもつ外国人材は「特定技能1号」の在留資格をもって就労し、さらに熟練した技能や日本語能力を有すると「特定技能2号」の在留資格が得られます。
特定技能1号と2号の違いは以下のとおりです。
【特定技能1号と2号の特徴】
特定技能1号 |
特定技能2号 |
|
技能水準 |
試験等で確認を行う |
試験等で |
在留期間 |
最長5年(1年・6ヶ月・4ヶ月ごと) |
上限なし |
職種 |
12分野 |
11分野 |
家族の帯同 |
基本的に認められない |
要件を |
転籍 |
可能 |
可能 |
日本語能力の |
試験等で生活や業務に必要な日本語能力を確認 |
試験等での |
受入れ機関または登録支援機関 |
対象 |
対象外 |
上記の12分野は介護/ビルクリーニング業/建設業/素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業/造船・舶用工業/自動車整備業/航空業/宿泊業/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業です。
特定技能2号は2分野のみに限られていましたが、2023年に介護を除く11分野まで拡大されました。
関連記事:特定技能とは?採用方法や企業にとってのメリットを解説
「特定技能協議会」とは
特定技能には、それぞれの産業分野ごとに「協議会」と呼ばれるグループが設けられています。
どのような活動内容と目的をもっているのでしょうか。加入義務や加入ができないケースについてもみていきましょう。
活動内容
特定技能協議会とは、所轄の省庁が設置した専門機関です。
省庁・企業・団体・登録支援機関などが構成員となって、特定技能外国人の受け入れに係る制度の趣旨・事例の周知や法令遵守の啓発活動、人手不足が起きている地域や企業の状況把握などを行っています。
労働者の就労先が大都市圏に偏りやすいことから、特定の地域に集中した場合の構成員への要請や受け入れを円滑・適性に実施するための協議、情報共有も行います。
協議会の目的
特定技能協議会は、特定技能制度を踏まえて特定技能外国人を保護する団体です。
具体的には、特定技能外国人を適性に受け入れ、保護を行います。
また、日本国内に居住し就労するための支援を行い、必要があれば協議会から受け入れ先企業に調査・指導を行います。
企業が特定技能外国人の受け入れをスムーズに行えるように、情報の調査・確認・対応などを行い、人手不足を解消する体制作りも実施します。
特定技能協議会 への加入義務はあるのか
特定技能外国人を雇用する企業は、すべての業種で協議会への加入義務があります。
登録支援機関については、産業分野によって異なります。
【登録支援期間の加入義務】
産業分野 |
加入義務 |
介護業 |
なし |
ビルクリーニング業 |
なし |
造船・舶用工業 |
あり |
建設業 |
なし |
自動車整備業 |
あり |
航空業 |
あり |
宿泊業 |
あり |
農業 |
なし |
漁業 |
なし |
飲食料品製造業 |
あり |
外食業 |
あり |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 |
なし |
特定技能協議会に加入できない場合はあるのか
協議会に加入できないケースとして、以下のケースが考えられます。
【協議会に加入できない場合】
|
特定技能外国人を受け入れてから4ヶ月以内に申請を行う産業分野では、受け入れの前や受け入れ後4ヶ月以降に申請を行うことはできません。
協議会に入れなかった場合は、特定技能外国人を雇用できないため注意が必要です。
書類・申請方法に何らかの不備がある場合は、協議会から再提出や再申請を求められます。
その場では加入とならないため、不明点は事前に協議会へ確認しましょう。
構成員としての要件を満たしていないケースでも、協議会への加入は難しくなります。
業務内容が対象外と判断されたときも同様のため、不明点や疑問点は協議会へお問い合わせください。
漁業では、自社が所属する2号構成員への申請が必要です。
正しくない2号構成員に申請すると、不受理となります。
造船・船用工業では、事前に「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者」の確認を受けておく必要があります。
特定技能協議会一覧
12の産業分野ごとの協議会は以下のとおりです。
産業分野 |
協議会 |
管轄省庁 |
介護業 |
介護分野における特定技能協議会 |
厚生労働省 |
ビルクリーニング業 |
ビルクリーニング分野特定技能協議会 |
厚生労働省 |
造船・船用工業 |
造船・舶用工業分野特定技能協議会 |
国土交通省 |
建設業 |
一般社団法人 建設技能人材機構 |
厚生労働省 |
自動車整備業 |
自動車整備分野特定技能協議会 |
国土交通省 |
航空業 |
航空分野特定技能協議会 |
国土交通省 |
宿泊業 |
宿泊分野特定技能協議会 |
国土交通省 |
農業 |
農業特定技能協議会 |
農林水産省 |
漁業 |
漁業特定技能協議会 |
農林水産省 |
飲食料品製造業 |
食品産業特定技能協議会 |
農林水産省 |
外食業 |
食品産業特定技能協議会 |
農林水産省 |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 |
製造業特定技能外国人材受入れ協議・ |
経済産業省 |
特定技能協議会の加入にかかる費用
特定技能協議会への加入費用は、ほとんどの産業分野が無料となっています(2024年1月現在)。
ただし建設業の建設技能人材機構(JAC)のみ、以下の費用がかかります。※
【協議会の加入にかかる費用】
会員種別 |
正会員 |
賛助会員 |
年会費 |
360,000円 ※1 |
企業および建設関連団体:240,000円 |
受入負担金 |
【対象となる特定技能外国人の別】
|
【対象となる特定技能外国人の別】
※1:傘下の特定技能外国人受入企業による(一社)建設技能人材機構への受入負担金の支払いについて収納代行業務を行い、かつ試験問題作成等の事業協力を行う者、傘下に特定技能外国人受入企業を有さない者は会費免除
※2:次の登録支援機関については、以下に掲げる賛助会費の年額となる:契約建設企業の数が20社未満の者:12万円/契約建設企業の数が10社未満の者:6万円/契約建設企業の数が5社未満の者:3万円
※参照元:建設技能人材機構「年会費と受入負担金」
関連記事:特定技能外国人受け入れにかかる費用相場とコストダウンのポイント
特定技能協議会へ加入すべきタイミング
協議会には、特定技能外国人を受け入れる前に加入が必要です。
特定技能協議会への入会方法
特定技能協議会への入会方法は、省庁のホームページから申請する方法や正会員団体に入会する方法と、業界ごとに異なります。
各協議会の入会方法を確認していきましょう。
介護業
介護分野における特定技能協議会への入会方法は、地方出入国在留管理局へ申請した後、協議会へ入会申請を行います。
手続き完了後申請システムから「協議会入会証明書」をダウンロードして手続きが完了します。
ビルクリーニング業
ビルクリーニング分野特定技能協議会への入会方法は、厚生労働省のホームページから申請した後、メールによる連絡を受けます。
「構成員資格証明書」をメールで受け取って完了です。
ビルクリーニング分野における新たな外国人材の受入れ |厚生労働省
造船・船用工業
造船・舶用工業分野特定技能協議会への入会方法は、「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること」の確認を先に受けなくてはなりません。
国土交通省海事局船舶産業課長に造船・舶用工業事業者の確認申請を行い、造船・舶用工業事業者の確認通知書が交付されてから船舶産業課長へ加入申請を行います。
造船・舶用工業事業者に係る加入通知書が交付されると手続きは完了です。
海事:造船・舶用工業分野特定技能協議会開催状況 - 国土交通省
建設業
建設技能人材機構への入会方法は、正会員団体の会員になる方法と、建設技能人材機構の賛助会員になる方法に分けられます。
正会員団体への入会は、それぞれが定める会費や受入負担金が必要です。
建設技能人材機構の賛助会員になるためには、建設技能人材機構のホームページから資料請求フォームに必要事項を入力し、メール登録の後で送られてくるURLにアクセスして、入会資料のダウンロードを行います。
ダウンロードした資料を読み、メールに記載されているエントリーフォームから入会申請を行い、会員証発行手続きの案内をメールで受け取って内容にしたがって手続きを完了させます。
JAC 建設技能人材機構|特定技能外国人の受け入れを推進
自動車整備業
自動車整備分野特定技能協議会への入会方法は、国土交通省のホームページから必要書類をダウンロードします。
次に、特定技能外国人を受け入れる事業所管轄の地方運輸局へ記入済みの書類を提出します。
自動車:自動車整備分野における「特定技能」の受入れ - 国土交通省
航空業
航空分野特定技能協議会への入会方法は、国土交通省のホームページから必要書類をダウンロードします。
協議会事務局へ電子メールまたは郵送で申請を行います。
航空:航空分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」) - 国土交通省
宿泊業
宿泊分野特定技能協議会への入会方法は、国土交通省のホームページから必要書類をダウンロードします。
次に、国土交通省観光庁観光産業課へ郵送して申請は完了です(「宿泊技能人材ポータル」からの電子申請も可能)。
宿泊分野における外国人材受入れ(在留資格「特定技能」) | 観光庁
農業
農業特定技能協議会への入会方法は、農林水産省の「農業特定技能協議会入会申込みフォーム」に必要事項を明記して申請します。
登録したメールアドレスで「加入通知書」を受け取って完了です。
在留資格「特定技能」について (農業分野):農林水産省
漁業
漁業特定技能協議会への入会方法は、水産庁のホームページから必要書類をダウンロードし、所属する2号構成員に提出します。
2号構成員を通じて資格証明書の発行を受けて手続きが完了します。
2号構成員は、令和5年11月10日時点で以下のとおりです。
【漁業特定技能協議会2号構成員】
|
飲食料品製造業
食品産業特定技能協議会への入会方法は、農林水産省の「食品産業特定技能協議会 加入申請フォーム」に必要事項を明記して申請します。
登録したメールアドレスにメールが届くので、入国管理局に提出した誓約書の写しを添付して返信し、審査後に加入証をメールで受け取ります。
食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について:農林水産省
外食業
食品産業特定技能協議会への入会方法は、農林水産省の「食品産業特定技能協議会 加入申請フォーム」に必要事項を明記して申請します。
登録したメールアドレスにメールが届くので、入国管理局に提出した誓約書の写しを添付して返信し、審査後に加入証をメールで受け取ります。
食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について:農林水産省
素形材・産業機械製造・電気電子情報業
製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への入会方法は、「特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト」から申請します。
製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会 (METI/経済産業省)
「特定技能協議会」に関する問い合わせ先
12の産業分野が設ける特定技能協議会では、以下の問い合わせ先を設けています。※
【特定技能協議会の問い合わせ先】
産業分野 |
問い合わせ先 |
介護 |
|
ビルクリーニング業 |
|
造船・舶用工業 |
|
建設業 |
|
自動車整備業 |
|
航空業 |
|
宿泊業 |
|
農業 |
|
漁業 |
|
飲食料品製造業 |
|
外食業 |
|
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 |
|
省庁からの情報を確認して加入申請を
今回は、特定技能の概要と12産業分野の協議会、加入方法や注意しておきたいポイントについて紹介しました。
業種ごとに申請方法や手順、協議会への加入タイミングが異なるほか、受け入れ状況やその他の事情により、加入に係る手続きや連絡先などが変更になることもあります。
加入の際には申請のタイミング・スケジュールを事前に確認し、管轄の省庁が提供する最新の情報を確認してから申請を行ってください。
スタッフ満足では、採用から定着、教育にいたるまでトータルでサポートを行っています。
豊富な知見とノウハウを持っているので、初めて特定技能外国人の採用を検討している方も、お気軽にお問い合わせください。