
外国人採用の面接の注意点について解説!面接での質問例も公開
外国人採用は企業の人手不足を解消する有効な手段です。
しかし、日本人の採用とは異なり、いくつもの注意点があります。
本記事では、外国人における採用面接の注意点や具体的な質問例、採用後のミスマッチを防ぐ方法を詳しく解説します。
この記事を参考に、外国人応募者との面接に臨みましょう。
目次[非表示]
- 1.外国人採用の面接の注意点
- 1.1.簡単な日本語で面接する
- 1.2.文化・価値観の違いを把握する
- 1.3.就労ビザの違いについて把握する
- 1.4.威圧的な面接をしない
- 1.5.給与や勤務条件を明確に提示する
- 1.6.早めに合否をだす
- 2. 外国人採用の面接時の質問例
- 2.1.志望動機や希望の条件を知る質問
- 2.2.これまでの経験や強みを知るための質問
- 2.3.キャリアプランを知るための質問
- 2.4.日本への印象を知るための質問
- 3.面接でのNG質問例
- 4.採用後のミスマッチを防ぐために気を付けたいこと
- 4.1.雇用条件の齟齬がないかしっかり確認する
- 4.2.働き始める時期を確認する
- 4.3.家族の承諾が取れているか確認する
- 5.外国人採用の面接前までに確認すること
- 5.1.学歴・専攻の確認
- 5.2.在留資格・在留の確認
- 5.3.アルバイト事情の確認(勤務時間の確認)
- 5.4.業務経験年数の確認
- 6.特定技能外国人の面接から勤務開始までの流れ
- 7.まとめ
外国人採用の面接の注意点
外国人と面接する際の注意点は次のとおりです。
|
それぞれ詳しく解説します。
簡単な日本語で面接する
外国人の日本語能力には個人差があります。
面接では専門用語や難解な表現を避け、簡潔でわかりやすい日本語を使いましょう。
また、質問は短くし、要点を絞ることで内容を理解しやすくなります。
もし、外国人応募者が答えに詰まった場合は、言い換えや補足説明を加えるなど柔軟に対応しましょう。
場合によっては、ジェスチャーなどの非言語コミュニケーションを活用することで、面接をスムーズに進められます。
文化・価値観の違いを把握する
文化や価値観の違いを理解することは、外国人応募者との信頼関係を築く第一歩です。
例えば、アメリカ人は意見を率直に述べ、日本文化に近い東南アジア出身者は控えめな表現を好む傾向にあります。
なお面接では、応募者がリラックスできる雰囲気をつくることが重要です。
相手の文化的背景に配慮したジェスチャーを取り入れたり、自己主張を促す質問をしたりすることで、適性をより深く理解できます。
就労ビザの違いについて把握する
外国人が日本で働くには、適切な就労ビザを保有していなければいけません。
就労ビザの種類はさまざまですが、代表的なものを下表にまとめました。
項目 |
技術・人文知識・ |
特定技能 |
技能実習 |
対象分野 |
専門的な業務 |
労働力不足の分野 |
技能習得が目的 |
要件 |
学歴または専門知識 |
技能試験や日本語能力試験 |
技能実習計画の認定 |
就労期間 |
最長5年 |
1号:最長5年 |
原則1年 |
転職 |
基本自由(関連職種内) |
分野内のみ可能 |
不可 |
就労ビザはそれぞれ活動内容に制限があります。
応募者の希望する職務が、要件に適合しているか確認しましょう。
威圧的な面接をしない
威圧的な面接は、応募者本来の能力を発揮しにくくなる原因となります。
そのため、否定的なコメントや評価を押し付ける態度は避けてください。
面接の際は外国人応募者にとって、リラックスできる雰囲気づくりを意識します。
アイコンタクト・うなずきで安心感を与え、自然体で話せる環境を提供しましょう。
応募者に好印象を与えるだけでなく、面接の質も高くなります。
給与や勤務条件を明確に提示する
給与や勤務条件の明確な提示は、応募者との信頼関係を築くために不可欠です。
例えば、日本では給与に「総支給額」と「手取り額」の2種類があります。
しかし、外国人応募者は知らない場合があります。
面接時に「総支給額とは税金や社会保険料を引く前の額です」と丁寧に説明しましょう。
また、勤務時間や休暇制度、福利厚生(例:交通費支給や住居手当)についても、具体的な数字を用いてわかりやすく伝えることが重要です。
翻訳ツールや母国語を話せるスタッフの協力を活用すると、さらに効果的です。
早めに合否をだす
合否連絡は応募者の状況を考慮し、迅速に行いましょう。
なぜなら外国人は、在留資格の期限までに仕事を見つけないと、母国へと帰国しなければいけなくなるからです。
在留期限内に転職しても、3ヶ月以内に次の就職先を決めなければ、入管に在留資格を取消される可能性があります。
そのため、オンライン面接に対応している企業や、その場で即内定がもらえる企業を選ぶ傾向にあります。
また外国人応募者は、他社との選考を同時に進行しているケースが多いです。
合否対応が遅れると、企業側は優秀な人材を失うリスクが高まります。
もし応募者が多数いる場合でも、いつまでに返答できるか、具体的な日付を伝えましょう。
参照元:出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」
外国人採用の面接時の質問例
外国人の面接時に質問する内容をまとめました。
|
これらを質問することで、外国人人材の強みや意欲を測れます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
志望動機や希望の条件を知る質問
志望動機を知ることで、応募者のキャリア目標や価値観を把握でき、企業のビジョンとマッチしているかを評価できます。
<質問例>
|
これらの質問により、応募者が求める職場環境や条件が具体的に見えるようになります。
最初に会社の方針・目標・担当業務内容を伝えたうえで、質問した方が回答の精度もあがります。
これまでの経験や強みを知るための質問
応募者の経験・スキルは、職務適性を判断するうえで重要な要素です。
これまでの業務内容・成果・習得したスキルについて具体的に質問することで、応募者が会社の業務にどれほど貢献できそうかが明確になります。
また、成功体験を共有してもらうことで、応募者の強みや意欲を引き出せます。
<質問例>
|
これらを質問することで、外国人応募者の実績と能力を深く理解できます。
キャリアプランを知るための質問
応募者のキャリアプランを理解することは、長期的な雇用関係を築くために重要です。
特に外国人人材は、将来の展望や日本での目標を持っていることが多いです。
それを聞き出すことで、企業の成長戦略とどの程度、合致しているか確認できます。
<質問例>
|
これらの質問は、応募者のやる気やビジョンを評価する基準となります。
日本への印象を知るための質問
外国人応募者の日本に対する印象や期待は、採用後の適応に大きく影響します。
日本での生活・職場文化をどう感じているか確認することで、採用後の支援や対応を計画しやすくなるでしょう。
また、外国人応募者の日本文化への理解度や興味を知ることで、働く意欲も確認できます。
<質問例>
|
これらの質問を通じて、応募者の適応力や日本への興味を具体的に把握できます。
面接でのNG質問例
面接での質問内容は、慎重に選ばなければなりません。
不適切な質問は、法律違反や誤解を招く恐れがあるからです。
この章では具体的なNG質問例をあげ、避けるべき質問について解説します。
NG質問例 |
理由 |
国籍や宗教に関する質問 |
差別的と受け取られる可能性がある |
年齢や家族構成を尋ねる質問 |
プライバシーの侵害に該当する |
健康状態や障害についての質問 |
法律で禁止されている場合がある |
結婚や出産予定についての質問 |
プライバシーの侵害にあたり、性別差別と見なされることがある |
政治的な信条や思想に関する質問 |
応募者の基本的人権を侵害し、企業イメージを損なう可能性がある |
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」によると、以下に関する質問は就職差別につながる恐れがあります。
|
これらの質問は基本的にNGですが、合理的な理由があって、面接時に質問の意図を求職者に説明できれば問題ないようです。
例えば福利厚生で賄いを提供している場合、以下のように質問します。
「弊社では毎日ランチを用意しています。宗教上で食べられないものはありませんか?」
ただし、外国人応募者の返答によって選考結果が変わるのは望ましくありません。
採用後のミスマッチを防ぐために気を付けたいこと
外国人労働者を採用後、ミスマッチを防ぐために3つの事項を確認しましょう。
|
その理由も解説します。
雇用条件の齟齬がないかしっかり確認する
外国人人材を採用する際は、雇用条件を明確にしましょう。
特に給与・勤務時間・休暇制度は、応募者が重視する項目です。
契約書に記載される内容を事前に共有し、応募者の理解を得ることも効果的です。
<確認するポイント>
|
詳細を伝えることで、応募者の信頼を得られ、長期的な雇用関係を築きやすくなります。
働き始める時期を確認する
外国人人材を雇用する場合、就労ビザの取得や入国準備には時間がかかることがあります。
採用が決定したら、スムーズに勤務できるよう、事前にスケジュールを共有することが大切です。
例えば留学生や技能実習生の場合、特定技能の許可がいつ出て、いつから働けるのかという確認が必要です。
特に留学生の場合、特定技能の許可がないまま採用すると「週28時間まで就労可能」というルールを破ってしまう可能性があります。
<確認するポイント>
|
これらを確認し、必要な手続きをサポートすることで、企業の誠実さをアピールできます。
家族の承諾が取れているか確認する
外国人人材を雇用する際には、家族の同意が得られているか確認しましょう。
なぜなら面接を受けた本人に意欲があっても、家族が反対する場合もあるからです。
国によっては、働く場所・条件に対して、家族が干渉するのが一般的な文化も存在します。
家族の承諾がないまま、採用してしまうとトラブルを引き起こしてしまうかもしれません。
外国人採用の面接前までに確認すること
外国人採用の面接前までに確認することは以下の4つです。
|
その理由もあわせて解説します。
学歴・専攻の確認
応募者の学歴・専攻が職務要件にマッチしているか確認しましょう。
特に専門知識が求められる職種では、応募者が資格・関連経験を持っているかも質問してください。
<確認するポイント>
|
これらを事前に確認することで、採用後のトラブルを回避できます。
また留学生の場合、卒業証明書・成績証明書が、在留資格変更許可申請時に必要となります。
可能であれば面接前にメールで共有してもらいましょう。
在留資格・在留の確認
外国人が日本で働くには、適切な在留資格が必要です。
応募者の在留カードを確認し、就労可能かを確認しましょう。
<確認するポイント>
|
在留資格を確認することで、法的リスクを回避できます。
アルバイト事情の確認(勤務時間の確認)
日本でアルバイト経験がある場合、以下の2点を確認してください。
|
いずれか1つでも守っていなかった場合、不法就労に該当します。
ビザの変更許可申請や更新申請時に許可されない可能性があり、採用リスクが高いです。
課税証明書を提出してもらうことで、労働時間を守って働いていたかが確認できます。
業務経験年数の確認
経験者を求める場合、外国人応募者の実務経験が職務要件を満たしているか確認することが大切です。
過去の職務内容や役職を把握することで、即戦力としての適性を判断できます。
<確認するポイント>
|
これにより、企業にとって適切な人材であるかを見極められます。
特定技能外国人の面接から勤務開始までの流れ
特定技能外国人の面接から勤務開始までの流れは次のとおりです。
流れ |
詳細 |
|
1 |
受け入れ要件を確認す |
特定技能の受け入れ要件を満たしているかを確認する |
2 |
人材募集・面接をする |
求人票を作成し、人材を募集する |
3 |
雇用契約を結ぶ |
採用したい人材がいれば、特定技能雇用契約を締結する |
4 |
支援計画を策定する |
具体的な支援内容を記述する |
5 |
在留資格申請を行う |
協議会へ入会し、在留資格申請を行う |
6 |
就業開始 |
在留資格の取得や変更が完了すれば、就業開始 |
関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説
まとめ
外国人との面接は、日本人とは異なる文化や言語の違いに配慮することが成功の鍵です。
本記事で解説した注意点や質問例を参考に、応募者の志望動機やスキルだけでなく、価値観やキャリアプランを深く掘り下げてください。
また、雇用条件や就労開始時期を明確に共有し、応募者との信頼関係を築くことで、採用後のトラブルを未然に防げます。
外国人人材の採用を通じて、企業の成長と多様性の向上を実現しましょう。
スタッフ満足では特定技能外国人の採用・支援事業を展開しています。
外国人人材の雇用を検討している企業さまはぜひお問い合わせください。