
【2025年最新】特定技能外国人の受け入れで使える助成金・補助金制度まとめ
近年、労働力不足が深刻化する中、外国人材の雇用は多くの企業にとって重要な選択肢となっています。
本記事では、特定技能制度で外国人雇用をする場合に使用できる最新の助成金・補助金制度について、県や各市町村が実施している主要な制度を詳しくご紹介します。
外国人材の受け入れを検討している事業者の方々にとって、これらの制度が円滑な雇用と職場定着の一助となれば幸いです。
目次[非表示]
国の制度として使える特定技能の助成金・補助金
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
制度の目的と概要
目的: 外国人雇用における労働条件や解雇などのトラブルを未然に防止するため、外国人が働きやすい就労環境を整備する事業主に対し、その整備にかかった経費の一部を助成すること。
支給対象となる事業主
以下の要件を満たす事業主が対象となります。
雇用保険の適用: 雇用保険の被保険者となる外国人労働者を雇用している事業主であること。
在留資格の不問: 雇用する外国人労働者の在留資格は問わず、対象となります。
技能実習生: 技能実習生を受け入れている企業も、上記の条件を満たせば対象となります。
助成金受給のための主な要件
受け入れ企業が助成金を受給するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
(1)外国人労働者を雇用している事業主であること
(2)認定を受けた就労環境整備計画に基づき、外国人労働者に対する就労環境整備措置(1及び2の措置に加え、3~5のいずれかを選択)を新たに導入し、外国人労働者に対して実施すること
- 雇用労務責任者の選任
- 就業規則等の社内規程の多言語化
- 苦情・相談体制の整備
- 一時帰国のための休暇制度の整備
- 社内マニュアル
(3)就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が10%以下であること
助成金の申請方法と申請の流れ
申請の流れについては、以下の通りです。

①~⑤の流れについては、それぞれ期間が定められており、例としては以下の通りとなります。

支給対象経費の例
実際に助成金の支給対象となる経費には、以下のようなものが含まれます。
- 通訳費(外部通訳者への依頼費用など)
- 翻訳機器導入費
- 翻訳料(就業規則等の多言語化にかかる費用など)
- 専門家への委託料(弁護士、社会保険労務士等への相談・委託料)
- 社内標識類の設置・改修費
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
1.目的
非正規雇用から正社員化をするなどの処遇改善に取り組むこと。
2.概要と対象条件
就業規則などの規定に基づき、「有期雇用労働者」または「無期雇用労働者」を正社員化した場合が対象です。労働者は以下の①~③のいずれかに該当する必要があります。
① 長く勤務している有期雇用労働者
- 雇入れから3年以上経過している者
② 雇入れから3年未満の有期雇用労働者 以下の2つの条件を両方とも満たしている必要があります。
- 自社で正規雇用労働者であった期間が、過去5年間で合計1年以下であること
- 自社で正規雇用労働者として、過去1年間に雇用されていないこと
③ 特定の属性・経歴を持つ者
- 派遣労働者
- 母子家庭の母等
- 人材開発支援助成金の特定の訓練修了者
3.申請手続きの重要ポイント
申請において最も重要なのはスケジュールの管理です。
- 必須要件 コース実施日(正社員への転換日など)の前日までに、労働局へ「キャリアアップ計画書」を提出する必要があります。 ※事後の提出は認められませんのでご注意ください。

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
制度の概要
有期契約労働者等の「正社員転換」を目的として、OFF-JT(座学等)とOJT(実務)を組み合わせた職業訓練を行った場合に助成される制度です。
- 対象となる訓練: 「10時間以上のOFF-JT」+「新卒者等のためのOJT」の組み合わせなど。
- 特定技能外国人: 対象となります(雇用保険の被保険者番号が必須)。
支給を受けるための必須条件
以下の「訓練内容」「対象者」「結果」の3つの条件をすべて満たす必要があります。
【A】訓練カリキュラムの条件
- 期間: 2か月以上であること。
- 時間数: 総訓練時間数が「6か月当たり425時間以上」であること。
- OJT比率: 総訓練時間に占めるOJTの割合が「1割以上 9割以下」であること(座学と実技のバランスが必要)。
【B】訓練受講者(対象労働者)の条件
- 経歴: 過去5年以内に3年以上通算して正規雇用されたことがない等、職業能力形成機会に恵まれなかった者。
- 手続き: キャリアコンサルタント等によるコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成していること。
- 認定: 事業主が実施する「有期実習型訓練」への参加が認められていること。
【C】終了後の条件
転換: 訓練終了後、支給申請日の時点で「有期契約労働者等」から「正規雇用労働者等」へ転換していること。
申請手続きのフロー(時系列)
期限が非常に厳格です。以下の手順で進めます。
① 計画届の提出
- タイミング: 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間
- 内容: 管轄の労働局へ訓練計画を提出します。※開始1か月を切ると申請できません。
② 訓練の実施
- タイミング: 計画認定後、予定通り実施
- 内容: 計画に沿ってOFF-JTとOJTを実施し、記録を残します。
③ 支給申請
- タイミング: 訓練終了日の翌日から2か月以内
- 内容: 管轄労働局へ支給申請を行います。
④審査・決定
内容: 労働局での審査を経て、支給決定・助成金の振込が行われます。
4. 重要な注意点
被保険者番号の取得: 外国人労働者等の場合、事前に雇用保険加入手続きを済ませ、被保険者番号を取得しておく必要があります。
- 準備期間の確保: 計画届の提出(開始1か月前まで)に間に合わせるためには、その前に「ジョブ・カード作成(キャリアコンサルティング)」を完了させる必要があります。余裕を持ったスケジュール管理が重要です。
雇用調整助成金
注意:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置)の適用期間は、既に2022年9月30日をもって終了しています。
制度の目的と概要
- 目的: 景気の悪化など、事業主の責に帰すべき事由によらない経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な休業(または教育訓練や出向)を行うことで、労働者の雇用を維持した場合に、事業主が支払った休業手当や賃金などの一部を国が助成すること。
- 支給対象
休業等を実施した事業主に対して支給されます。
休業の対象となる労働者の賃金や手当の一部が助成の対象となります。
コロナ禍における特例措置のポイント
新型コロナウイルスの影響が続く中、多くの企業が本助成金を活用しました。特例措置には以下の点が挙げられます。
- 対象範囲の拡大: 新型コロナウイルス感染症の影響による事業活動の縮小も支給対象となりました。
- 外国人労働者の扱い: 技能実習生を含む外国人労働者の休業についても、日本人労働者と同様に支給対象となる制度でした。
補助金額
中小企業の場合、助成額は1日あたりの休業で、賃金相当額×2/3(上限は8,205円)です。
また、助成金の支給限度日数は、1年間で100日分、3年間で150日分となります。
広島県で使える特定技能の助成金・補助金
広島県:(終了)特定技能外国人受入モデル企業支援事業補助金
制度の概要、目的
外国人が地域とつながりを深めながら,孤立することなく安心して生活し働くことができる環境の形成を図るため、特定技能外国人の円滑な受入や職場定着に必要な環境整備に取り組む県内の中小企業等の皆様に対し、予算の範囲内で補助金を交付する制度。
補助事業の対象者
次の(1)~(3)の要件を全て満たす必要があります。
(1)中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に規定する中小企業者であって、県内に主たる事業所を有する者。
(2)特定技能外国人を受け入れている又は受入れを予定していること。
(3)特定技能2号の輩出を目指していること。
対象となる経費
以下の(1)~(10)の取組等に要する経費が補助対象経費となります。
(1)特定技能1号及び特定技能2号取得に必要な技能試験等に要する経費
(2)特定技能1号から特定技能2号へのステップアップへの支援に要する経費
(3)特定技能1号又は技能実習生の日本語能力の向上につながる取組に要する経費
(4)特定技能1号又は技能実習生が地域との交流を図る取組に要する経費
(5)特定技能1号又は技能実習生が日本文化や県内の歴史・自然等の体験に要する経費
(6)特定技能外国人を受け入れるための住居等の環境整備に要する経費
(7)特定技能外国人を受け入れるための手続き等に要する経費
(8)特定技能外国人を受け入れるための組織体制の整備に要する経費
(9)特定技能外国人を受け入れるための送り出し機関・国等への調査に関する渡航費
(10)その他知事が必要と認める経費
補助金額(助成金額)
補助率:補助対象経費の総額の3/4以内
補助上限額:300万円
参考:特定技能外国人受入モデル企業支援事業補助金
宮崎県で使える特定技能の助成金・補助金
宮崎市:宮崎市特定技能人材雇用促進事業補助金
制度の概要、目的
宮崎市では、人材不足解消と経済活性化を目的として、市内で新たに特定技能人材を雇用する事業者に対し、雇用に要する経費の一部を補助する制度です。
補助事業の対象者
市内に事業所を有する法人または個人で、過去3年以内に特定技能人材を就労させた実績がない事業者
対象となる経費
登録支援機関等に支払う初期費用及び紹介手数料、在留資格の申請に要する費用、日本への渡航費及び国内移動費用、住居借上げの初期費用など住居環境整備費用など
補助金額(助成金額)
- 補助率
補助対象経費の2分の1 - 補助額
特定技能人材1名につき上限15万円で、1事業者あたり2名まで申請可能
鳥取県で使える特定技能の助成金・補助金
鳥取県:鳥取県特定技能外国人介護人材受入支援事業補助金
制度の概要、目的
特定技能制度に基づき外国人介護人材を受け入れる県内の介護事業所に対して、受入れに係る初期経費を支援します。
補助事業の対象者、経費、補助金額
対象事業者 | 鳥取県内に所在する介護サービス事業者(介護保険法、老人福祉法及び高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく介護サービス事業者とする) |
対象経費 | 人材紹介料、登録支援機関による義務的支援経費、住居費その他の特定技能外国人介護人材の受入れに係る初期経費 (詳細は交付要綱及び募集要領を参照ください。) |
補助率 | 1/2(上限:1人につき15万円 ※1法人4人/年まで) |
参考:令和7年度鳥取県特定技能外国人介護人材受入支援事業補助金
まとめ
特定技能制度においては、外国人材の雇用を支援する多岐にわたる助成金・補助金制度が用意されています。
これらの制度は、日本語学習支援や資格取得、生活環境の整備、初期費用の負担軽減など、外国人材の受け入れから定着までを包括的にサポートする内容となっています。
外国人材の雇用を検討している事業者にとって、これらの制度を積極的に活用することで、採用コストを抑え、安定した人材確保と職場環境の改善を図ることができます。
詳細な情報は各自治体の窓口で確認し、ぜひご活用ください。




