特定技能で必要な定期報告とは?届出書の具体的な内容や注意点
特定技能は、在留資格の一つです。
日本人だけでは十分な働き手を確保できない産業分野において、一定の専門性や技能を有する外国人の受け入れが認められます。
この特定技能制度を利用するには、定期報告・届け出を行わなければなりません。
本記事では、必要となる定期報告や届け出の詳細と注意点などについて紹介します。
この記事を読むことで定期報告・届け出に関する基本と、関連業務の負担を軽減する方法がわかるので、ぜひご覧ください。
目次[非表示]
- 1.特定技能の定期報告・届け出について
- 1.1.定期報告での必要書類
- 1.2.提出期間・期限
- 1.3.提出方法(提出先)
- 2.オンラインで定期報告はできる?
- 3.届出書の具体的な内容
- 3.1.受入れ・活動状況に係る届出書
- 3.2.特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
- 3.3.賃金台帳の写し
- 3.4.報酬支払証明書
- 4.定期報告・届け出にあたっての注意点
- 4.1.本届出作成者の署名は本人が行う
- 4.2.在籍期間が短くても記入する
- 5.登録支援機関への委託で負担軽減
- 5.1.登録支援機関とは
- 5.2.登録支援機関の選び方
- 6.自社で対応が難しい場合は専門家に相談を
特定技能の定期報告・届け出について
特定技能で外国人を採用する場合、出入国在留管理庁に関して活動や支援の状況に関する必要な定期報告を行っていかなければなりません。
定期報告での必要書類
必要書類は、自社で支援を行っているのか、登録支援機関に委託しているのかによって異なります。
それぞれ解説します。
【自社支援の場合】
|
また、必要に応じて以下の書類の提出も必要です。
【必要に応じて提出を求められる書類】
|
定期面談報告書は定期報告で必ず提出しなければならない書類ではないものの、対象期間内に面談を実施した場合に届け出なければなりません。
面談は3ヶ月に1回以上行うことと定められているため、特定技能制度の定期報告における必要書類の一つともいえるでしょう。
自社での対応が難しい場合は、支援機関に委託して報告してもらうことも可能です。
この場合、必要書類は以下の通りとなります。
【登録支援機関に委託する場合】
|
委託する場合も追加で書類が必要になることがあります。
【必要に応じて提出を求められる書類】
|
必要な書類は不備なく揃えましょう。
提出期間・期限
提出は、4半期に一度必要です。
具体的には、以下の通りとなります。
【提出時期】
対象期間 |
期限 |
|
第1四半期 |
1/1~3/31まで |
4/1~4/15まで |
第2四半期 |
4/1~6/30まで |
7/1~7/15まで |
第3四半期 |
7/1~9/30まで |
10/1~10/15まで |
第4四半期 |
10/1~12/31まで |
翌年1/1~1/15まで |
翌四半期の初日から14日以内が提出期限であると覚えておくとわかりやすいです。
定期報告は、特定技能外国人の受け入れ企業で適切な労働環境が保たれているかを確認するためのものであるため、決められたタイミングで提出しなければなりません。
万が一定期報告を怠ってしまった場合、罰則の対象となります。
また、遅滞したり、虚偽の内容などで報告したりした場合も同様です。
ペナルティとして、今後特定技能外国人の受け入れができなくなってしまう可能性があります。
もし、提出した内容に誤りがあることが判明した場合は、提出済みの届出書等を補正した上で、補正した届出書を提出しなければなりません。
届け出を提出している地方出入国在留管理局宛てに問い合わせが必要です。
特定技能は、日本人労働者だけでは人手が不足してしまう産業分野において認められているものなので、特定技能外国人が採用できなくなると急速に人手不足に陥ってしまう企業もあるでしょう。
適切に対応していたものの定期報告を忘れてしまったといった場合もペナルティが課せられることになってしまうので、十分注意が必要です。
定期報告を忘れてしまうのではないかと不安に感じている場合は、登録支援機関に委託する方法も検討してみると良いでしょう。
提出方法(提出先)
定期報告は、特定技能所属機関の本店の住所を管轄している出入国在留管理庁に対して行います。
直接持参しても良いのですが、郵送のほか、オンラインでの電子届出も認められています。
郵送で提出する場合は、身分を証明する文書等の写しが必要です。
法人の場合だと健康保険証+名刺、個人事業主の場合は運転免許証+名刺などとなります。
また、封筒の表書きには朱書きで「特定技能届出書在中」と記載しましょう。
オンラインで定期報告はできる?
定期報告は、持参・郵送のほか、オンラインでも可能です。
その場合「出入国在留管理庁電子届出システム」を活用して提出することになります。
利用料は無料で、24時間365日利用可能です。
ただし、事前に利用者登録を済ませておかなければなりません。
利用者情報登録届出書の提出は、地方出入国在留管理官署の窓口または郵送で行うことになるので、あらかじめ準備しておく必要があります。
登録方法はそれぞれ以下の通りです。
【窓口】
本人確認資料を用意しましょう。職員証、申請等取次者証明書、在職証明書、機関の名称が記載されている健康保険被保険者証といった提出者や所属機関等の職員であることを確認できる資料が必要です。
【郵送】
窓口での申請と同様の本人確認資料の写しを同封しましょう。
受付印を押した届出書の控えの交付を希望する場合は、提出用の届出書とその写し、あて名を記載して必要な切手を貼った返信用封筒が必要です。
必要な書類は出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト上からダウンロード可能です。
記載例も用意されているので、こちらを確認しながら記載しましょう。
手続きが完了するとログインIDとパスワードが送られてくるので、それを利用して出入国在留管理庁電子届出システムから報告ができるようになります。
届出書の具体的な内容
届出書の概要について紹介してきました。
続いて、届出書の具体的な内容を見ていきます。
ここでは、登録支援機関に支援を委託している場合でも受入企業側が作成しなければならない必要書類を紹介していきます。
受入れ・活動状況に係る届出書
記載が必要な項目は以下の通りです。
【記載項目】
|
「労働保険の適用状況」以降では、おもにチェック欄が用意されており、該当する項目にチェックを付けていく形となります。
例えば「雇用保険の被保険者資格取得手続を行った」「雇用保険の被保険者資格取得手続を完了していない者がいる」などです。
また、書類の中に「従業員」と表現されている部分がありますが、ここはフルタイムで就労している方が対象となります。
なお、対象となるのは特定技能所属機関が雇用している全ての従業員です。
そのため、特定技能外国人が働いている事業所以外にも事務所があり、そちらに勤務している従業員がいる場合はきちんと含めましょう。
該当者がいない場合は空欄にするのではなく「0」を記載します。
特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
こちらの届け出書は、外国人本人に関する基本情報が中心です。
届出期間中の在籍者について記載することになりますが、届出期間中に受入れを終了した方がいる場合は、その方の受入れ終了までの事項を記載しなければなりません。
特定技能所属機関の氏名又は名称として、以下を記載します。
【記載項目】
|
給与の支払いがなかった月は斜線を記載しましょう。
報酬決定にあたって比較対象とした従業員については、比較対象となる日本人労働者がいる場合は「A」を選択して日本人労働者の賃金台帳写し等を添付します。
いない場合は「B」を選択して同一の業務に従事する従業員の賃金台帳写し等を添付する形です。
賃金台帳の写し
賃金台帳の写しは、特定技能外国人のものと、比較対象となる日本人のものを用意します。
特定技能の在留資格で働く外国人は、同程度の仕事内容に従事している日本人従業者と同等以上の条件を設定しなければなりません。
外国人労働者を安い賃金で作用するための制度ではない点に注意しましょう。
正しく日本人従業員と同等以上の賃金が支払われているかを確認するための書類を、賃金台帳の写しとして提出することになります。
もし、自社内に比較対象となる日本人がいない場合やすでに退職している場合については、特定技能外国人と同等の業務に従事している日本人従業員の賃金台帳を提出しましょう。
報酬支払証明書
支払った保守に対する証明書です。
給与を現金払いで支払っている場合に必要となります。
【記載項目】
|
報酬の総額には、控除前の報酬総額を記載しましょう。
また、現金支給額には控除後の手取り報酬額を記載します。
報酬支払証明書は、対象となる特定技能外国人1人につき1枚必要になる書類です。
そのため、複数人特定技能外国人を採用している場合は人数分の書類を提出する形となります。
関連記事:特定技能の賃金・給与の相場と決め方・賃金に関する注意点
定期報告・届け出にあたっての注意点
定期報告・届け出を行うにあたり、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
以下を確認しておきましょう。
本届出作成者の署名は本人が行う
架空書類には、作成責任者の氏名を記載し、本届出作成者が署名をすることになります。
このうち、本届出作成者の署名は必ず特定外国人の受け入れ企業の役員であり、届出を作成した方が署名をしなければならない点に注意しておきましょう。
なお、署名する方と作成責任者が同一である必要はありません。
また、作成責任者に関しては特定技能所属機関の役職員であれば届出を作成した本人でなくても問題ありません。
これは、外部の専門家に対して書類の作成を依頼する場合も同様です。
最終的な作成責任者の署名や捺印部分に関しては、特定技能所属機関が行わなければなりません。
在籍期間が短くても記入する
場合によっては、特定技能外国人の在籍期間が非常に短くなってしまうこともあります。
ですが、例えほんの数日しか在籍していなかった場合であっても、届出の対象期間内に在籍していた事実がある場合は省略することなく記入が必要です。
もし自己判断で必要ないだろうと省略してしまった場合、虚偽申告とみなされてしまう恐れがあります。
登録支援機関への委託で負担軽減
定期報告・届け出について自社で対応することも可能です。しかし、頻繁に報告をしなければならないことからすべて自社対応とすると負担が大きくなってしまう可能性があります。
そこで、登録支援機関へ委託することも検討してみると良いでしょう。
登録支援機関とは
特定技能外国人を受け入れる企業をサポートする機関のことです。
支援計画の実施や作成のほか、地方出入国在留管理局への対応などを依頼できます。
利用すると費用がかかるため、自社で対応しようと考えている企業さまもいるでしょう。
確かに、本来であれば受け入れ企業が支援計画を作成し、特定技能外国人に対して実施していく形となります。
ですが、特定技能外国人を採用するのはおもに人手が不足している企業です。
そのため、なかなか自社では対応ができず、苦戦してしまうことがあります。
また、お相手は外国人ということもあり円滑なコミュニケーションが取れず、困ってしまう方も多いようです。
登録支援機関は、そのような場合に受け入れ施設に代わって全部、または一部の業務をサポートする役割を持っています。
今回紹介したように、特定技能の定期報告は4半期に一度行わなければなりません。
複数人採用するとなれば、その分、報告や書類を準備するための手間もかかります。
受入れ・活動状況に係る届出書など、登録支援機関に依頼していても自社で対応しなければならない書類もあります。ですが、それ以外は任せられるので、企業の負担を大きく減らせることでしょう。
>登録支援機関をお探しの方は「スタッフ満足」へお任せください
登録支援機関の選び方
登録支援機関であれば、どこを選んでも同じサポートが受けられるわけではありません。
どこを選択するかによって提供しているサポートや、質はさまざまです。
登録支援機関を選ぶ際には、これまでどの程度の実績があるのか確認しておいた方が良いでしょう。
まだサービスを始めて間もない機関は過去の実績がわからないため、対応力も判断できません。
やはり、実績があるところの方が何かトラブルが発生した際、迅速に対応してもらえる可能性が高いです。
それから、現地からの採用だけではなく、在日外国人の紹介が可能なサービスを選んでおくと、国内からのスムーズな採用につなげられます。
もちろん、料金面も重要です。
紹介料や業務委託料がわかりやすく、かつ継続して利用しやすいような料金設定のところを選択しましょう。
関連記事:登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容や役割、選び方を解説
自社で対応が難しい場合は専門家に相談を
いかがだったでしょうか。
特定技能で必要な定期報告とは何か、どのような書類が必要になるのかなどについて紹介しました。
多くの書類を準備しなければならず手間がかかりますが、特定技能制度で外国人を採用することにより、人手不足解消が期待できます。
自社で定期報告・届け出に対応できるかわからないと不安に感じているのであれば、外国人材紹介サービスの「スタッフ満足」までご相談ください。
これまで外国人採用に関する専門家として累計1,000名以上の外国人スタッフ採用を支援してきており、豊富な実績でサポートします。採用のミスマッチを防いで長期雇用につなげることも可能です。
登録支援機関業務のほか、在日外国人の人材派遣・人材紹介にも対応可能なので、お気軽にご相談ください。