特定技能外国人採用時は住居の支援が必須!居室の基準・ルールとは?
現地から外国人を呼び寄せて特定技能外国人として雇用する場合、考えなければならないのが住居に関することです。
外国人にとって日本での住居探しは難しい部分もあり、適切な支援が求められます。
ですが、具体的にどのような支援をすれば良いかわからないと悩んでいる方もいるでしょう。
そこで、特定技能外国人を雇用するにあたり住居に関して知りたいと考えている方のため、必要な支援内容を紹介します。
本記事を読むことで住居探しの支援でおさえておきたいポイントや住居提供の際の決まりなどがわかるので、ぜひご覧ください。
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外国人が自ら住居を確保するのは難しい
外国人が自ら日本で住居を確保するのは非常に難しいことです。
言葉の壁だけではなく、ルールや文化の違いもあります。
出入国在留管理庁による「在留外国人に対する基礎調査(令和3年度)」を見てみると、外国人が住居探しで困ったこととして、以下を挙げています。
【住居探しで困ったこと】
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参考:出入国在留管理庁:在留外国人に対する基礎調査(令和3年度)調査結果報告書
また、同じく出入国在留管理庁による「令和4年度在留外国人に対する基礎調査」では、住宅に関する意見・要望として以下のことが挙げられています。
【住宅に関する意見・要望】
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参考:出入国在留管理庁:令和4年度 在留外国人に対する基礎調査
やはり、文化の違いによるものや、費用に関することで不安や不満を感じる方が多いようです。
日本人にとっては当たり前の文化であっても外国人にとってはそうではありません。
特に説明内容にわからない部分があると、よく理解できないまま契約をすることになるので後々のトラブルにもつながりやすくなります。
こういったこともあり、特定技能外国人を雇用する場合は企業側でしっかりとした支援を行っていかなければなりません。
関連記事:外国人採用の方法や手順を徹底解説!必要な手続きや注意点も確認
特定技能を受け入れる際に企業が行うべき支援
特定技能外国人を受け入れる場合は、法律で必ず行わなければならない「義務的支援」と、できれば行いたい「任意的支援」が定められています。
それぞれをよく確認しておきましょう。
なお、自社で対応が難しい場合は出入国在留管理庁長官の登録を受けた事業者である登録支援機関のサポートを受ける選択肢もあります。
ここでは義務的支援・任意的支援を紹介するので、これらの対応が自社で可能か確認したうえで登録支援機関へ委託することも検討してみると良いでしょう。
義務的支援
特定技能外国人を受け入れる企業が必ず行わなければならない義務的支援として、以下が定められています。
事前ガイダンス |
従事させる業務の内容、報酬の額、その他の労働条件に関する事項や日本で行える活動の内容、入国に関する手続きなど、必ず説明しなければならない内容をガイダンスする。 |
出入国時の送迎 |
上陸の手続を受ける港・飛行場と特定技能所属機関の事業所間の送迎を行う。 |
住居の確保・生活に必要な契約支援 |
特定技能外国人が住居を確保していない場合は各種住居探しの補助のほか、特定技能所属機関等が自ら賃借人となって提供する、社宅を用意するなどの支援を行う。 |
生活オリエンテーション |
入国後に行う情報の提供として職業生活、日常生活及び社会生活を安定的かつ円滑に行えるよう、国によって定められている生活オリエンテーションを実施する。 |
日本語学習の機会の提供 |
1号特定技能外国人の希望に基づき、日本語学習の機会を提供する。 |
相談又は苦情への対応 |
職業生活や日常生活、食生活などに関する相談・苦情の申出に対し適切に応じる。 |
日本人との交流促進支援 |
必要に応じて地域住民との交流の場に関する情報の提供など日本人との交流促進支援、現地への同行・説明などを行う。 |
転職支援 |
受け入れ側都合による契約解除では、転職に関する適切な支援、求職活動を行うための有給休暇の付与などを行う。 |
定期的な面談、行政機関への通報 |
労働状況や生活状況確認のための定期的な面談・報告を行う。 |
各項目で義務的支援が具体的に決められているので、よく確認したうえで実施しましょう。
任意的支援
できれば行うことが推奨されているのが任意支援と呼ばれるものです。
以下の内容となります。
事前ガイダンス |
義務的支援として提供する情報よりも詳細な情報の提供と、必要に応じた渡航準備費用・生活費の貸しつけを行う。 |
出入国時の送迎 |
当該支援の対象とはならない特定技能外国人の送迎を行う。 |
住居の確保・生活に必要な契約支援 |
契約を解除・終了したあと、次の受入先が決まるまでの日常生活の安定・継続性に支障が生じないよう配慮する。 |
日本語学習の機会の提供 |
日本語指導・講習の積極的な企画・運営や、日本語能力に係る試験の受験支援・資格取得者への優遇措置などを行う。 |
相談又は苦情への対応 |
相談窓口の情報を一覧にして渡す、事務所内に相談窓口を設けるなどの配慮を行う。 |
日本人との交流促進支援 |
業務に支障を来さない範囲で、実際に行事に参加できるよう有給休暇の付与・勤務時間の配慮などを行う。 |
定期的な面談、行政機関への通報 |
関係行政機関の窓口の情報を一覧にするなどして渡す。 |
特定技能外国人がより生活しやすくなるように支援しましょう。
もちろん、このほかにも自社で特定技能外国人サポートのためにできることがあれば実施して問題ありません。
丁寧な支援ができると日本での生活が快適なものになるため、定着にもつながりやすいでしょう。
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特定技能1号の外国人を雇用する際、企業の住居確保支援は必須
在留資格の中には、住居に関する支援は原則として定められていないものもあります。
ですが、特定技能1号の場合は住居に関する支援は義務的支援に該当するため、注意が必要です。
仮に住居の提供に関して適切な支援を怠った場合、特定技能外国人の受け入れが認められなくなってしまう可能性があります。
外国人の住居はどのように手配するのか
具体的な住居に関する支援は、大きく分けて3つあります。
それぞれ解説します。
本人が借りる場合
外国人本人が賃貸契約を結んで住居を確保することも可能です。
この場合も住居を探したり、賃貸契約をしたりする際の援助を行わなければなりません。
本人が希望する場合は住居探しから付き添い、必要な補助を行います。
契約する際は連帯保証人が必要になることがありますが、こういった場合も受け入れ機関が引き受けたり、債務保証業者を調達して緊急連絡先を受け入れ機関にしたりするなどの支援が必要です。
実際に保証人がいないために賃貸契約ができず困っている外国人は多いため、受入れ企業が連帯保証人になるケースは少なくありません。
企業が借りる場合
受け入れ企業がアパートなどを借りて外国人に提供するケースです。
この場合、企業側で勝手に探して契約をしてしまうのではなく、特定技能外国人に合意を得てから住居として提供する形となります。
賃料や管理費などを受け入れ企業が負担するケースもありますが、企業負担が大きくなるため、よく検討が必要です。
寮などを提供する場合
社宅や寮を提供する方法です。
複数の外国人を雇う場合は社宅や寮を提供すると外国人同士で交流しやすくなり、ホームシックを防ぐことにもつながります。
外国人に対する住居提供の際の決まり
外国人に住居を提供する際には、いくつかルールが定められています。
住居提供に関する決まりを確認しておきましょう。
部屋の広さ
居室(ロフトは含まない)としての部屋の広さは、1人当たり7.5平方メートル以上必要です。
これは、京間でいうところの4畳ほどの広さにあたります。
複数の外国人がルームシェアやシェアハウスで共同生活することもできますが、この場合も1人当たり7.5平方メートル以上の広さが必要です。
ただし、以下に該当する場合は1人当たり7.5平方メートル以上の条件を満たしていなくても認められます。
【例外として認められる条件】
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上記はいずれも特定技能所属機関がすでに確保している社宅等の住居に居住することを希望する場合に限ります。
居住費
受け入れ企業が住宅を借りて提供したり、寮や社宅を用意したりする場合、企業は利益を得てはいけません。
企業が賃貸物件を借りる場合、物件を借りる際にかかった費用は入居する外国人の人数で割った額以内で家賃として徴収できます。
ですが、敷金や礼金、保証金、仲介手数料などの初期費用は徴収可能な費用として含まれません。
また、寮や社宅などを提供する場合は、寮や社宅の建設や改築にかかった費用、耐用年数、入居する外国人の人数などを考えて合理的な額を家賃として徴収することが可能です。
ただし、それ以上の金額は徴収できません。
関連記事:特定技能外国人受け入れにかかる費用相場とコストダウンのポイント
敷金・礼金
受け入れ企業が住宅を借りて提供する場合は、敷金や礼金、保証料などの費用を本人に負担させることは禁じられています。
本人が貸借人として契約する場合については、本人に支払ってもらうことも、企業が支払うことも可能です。
特定技能と技能実習の住居に関する違い
特定技能と技能実習では、居室に関するルールが異なります。
特定技能外国人の住居基準は、1人当たり7.5平方メートル以上を満たすといったものです。
ですが、技能実習の場合は以下のようにより細かく条件が定められています。
【技能実習外国人の住居基準】
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これらの違いを確認しておきましょう。
住居提供の準備期間
住居提供の準備にかかる期間は、ケースによって大きく異なります。
自社で所有している寮や社宅がある場合は、ほんの数日程度で用意することもできるでしょう。
一方で本人が契約する物件を探す補助をしたり、受け入れ企業で賃貸物件を探して契約したりする場合は数週間程度かかることも考えられます。
実際に入居できるまでには1ヶ月以上かかる可能性も考えなければなりません。
準備に時間がかかることを考え、早めに動きましょう。
外国人への住居提供に関して義務付けられた届け出
外国人へ提供する住居の確保が完了したら、早めに自治体に届け出が必要です。
住居が決まってから90日以内に住民票の登録をしなければなりません。
もし、届け出を忘れてしまったような場合は在留資格が取り消されてしまう恐れがあります。
また、住民票の登録は法律で義務付けられていることから、住所を届け出ていないと特定技能外国人が日常生活を送るにあたり支障が出てしまうことも考えられます。
忘れないうちに早めに手続きしてもらいましょう。
そのためのサポートも必要です。
支援業務は登録支援機関への委託が可能
特定技能外国人を採用するにあたり必要となる各種支援業務を紹介しました。
ですが、これらを自社で対応するのは難しいと感じた方もいるのではないでしょうか。
そういった場合は、登録支援機関のサポートを受けることをおすすめします。
なお、直近2年間に外国人労働者の受け入れ実績がなかったり、生活相談に従事した役員・職員が用意できなかったりする場合は、すべての支援を登録支援機関に委託しなければならないと定められています。
登録支援機関とは
登録支援機関とは、受け入れ企業に変わって支援の委託を受け、代わりに実施する許可を得ている機関のことをいいます。
業界団体のほか、民間法人や行政書士、社労士などが登録支援機関として登録して活動しています。
専門的なサポートが受けられるので、自社で対応するよりも効率よく、かつ適切な支援が行えることも期待できるでしょう。
登録支援機関の選び方
登録支援機関には複数の選択肢があります。
どこに依頼するか検討する際は、自社で採用する外国人との言語・国籍に対応しているところを選びましょう。
また、登録支援機関といってもどこまで支援を依頼できるかは各機関で異なります。
人材の提案から総合的にお任せしたいと考えているのであれば、登録支援機関として登録されている人材紹介会社を選ぶと良いでしょう。
もちろん、無理なく利用できる費用設定であることも重要です。
関連記事:登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容や役割、選び方を解説
特定技能外国人が安心して働ける住居用意しよう
いかがだったでしょうか。
住居確保に関しておさえておきたいポイントを紹介しました。
細かいルールなども定められているので、確認が必要です。
外国人にとって安心して生活できる住居を用意することは欠かせません。
ただ、自社で住居の確保や各種支援が難しいと感じているのであれば、登録支援機関のサポートを受けると良いでしょう。
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採用から定着までワンストップ対応が可能なので、特定外国人の採用で困っていることがある企業さまはお気軽にご相談ください。