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特定技能「航空業」とは?基本的な概要と確認しておくべきポイント

新規採用のために求人情報を出しているものの、なかなか人手不足が解消されず困っている航空業関係者の方もいるでしょう。
 
そういった方にぜひ活用して欲しいのが、外国人を採用するための在留資格である特定技能制度です。日本国内の労働力不足を補うため、多くの企業で役立てられています。
 
本記事では、航空業の分野で特定技能外国人を採用したいと考えている企業さまのため、制度の概要から受け入れ要件など、おさえておきたいポイントを紹介します。
この記事を読むことによって航空業で特定技能外国人を採用するにあたり、必要な知識が得られるのでぜひご覧ください。

特定技能・外国人採用に関するお役立ち資料はこちら

目次[非表示]

  1. 1.特定技能「航空業」について
  2. 2.特定技能「航空業」が創設された背景
  3. 3.特定技能「航空業」の業務
  4. 4.特定技能「航空業」の1号と2号の違い
  5. 5.特定技能「航空業」の受け入れ要件
    1. 5.1.法令等に基づく事業所である
    2. 5.2.航空分野特定技能協議会への加入
    3. 5.3.適切な支援を実施する
  6. 6.特定技能1号「航空業」の取得に必要な条件
    1. 6.1.特定技能評価試験と日本語能力試験に合格する
    2. 6.2.航空分野の技能実習2号を修了する
  7. 7.特定技能「航空業」の試験の概要
  8. 8.特定技能「航空業」を持つ外国人を採用する流れ
    1. 8.1.国外在住
    2. 8.2.国内在住
  9. 9.特定技能「航空業」の採用にあたっての諸費用
  10. 10. 人手不足解消に繋がる可能性が高い

特定技能「航空業」について

特定技能における「航空業」とは、外国人が航空業界で従事する際に認められる在留資格のことをいいます。
2019年4月に創設されました。
 
【特定技能「航空業」の概要】

雇用形態

直接雇用のみと定められており、派遣は不可

受け入れ人数

最大1,300人

報酬

日本人が同様の業務に従事した場合の報酬額と同等以上

特定技能「航空業」では、派遣契約が認められていません。
そのため、直接雇用・フルタイムとしての雇用が求められます。
 
特定技能「航空業」は、もともとは最大2,200人の受け入れ人数が設定されていたのですが、新型コロナウイルス感染症流行の影響などもあり見直しが行われ、2022年8月以降は最大1,300人となりました。[1]
ただし、今後は変更される可能性もあります。
 
令和5年6月末現在のデータを確認してみると、航空分野の総数で働いている特定技能外国人は342人でした[2]
 
そのため、もともと掲げていた2,200人はもちろんのこと、現在設定されている1,300人にも全く届いていないことがわかります。
 
[1]参考:法務省:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針の一部変更について[PDF]
 
[2]参考:入出国在留管理庁:特定技能在留外国人数[PDF]

特定技能「航空業」が創設された背景

航空業の分野は日本において人手不足が問題となっている分野です。
これは、日本で高齢化が深刻化しており、それに伴い労働者が減少していることも理由といえるでしょう。
特定技能の在留資格は、日本人だけでは人手不足になってしまう産業を外国人労働者によって支えるためにつくられました。
 
新型コロナウイルスの影響によって訪日外国人数が激減してはいるものの、それ以前は外国人旅行者数の数が多く、航空業は需要拡大による人手不足が問題となっていた業界です。
 
国土交通省によると、航空分野に従事している主な職種で、平成29年度における有効求人倍率は4.17倍でした。[3]
 
ここからもわかるように、航空業において採用は非常に難しい状態といえます。
特定技能1号では12の受け入れ分野が定められているのですが、これらはすべて生産性の向上や国内人材の確保に向けた取り組みを行っても人材の確保が難しい状況にある産業上の分野です。
 
航空業も同様であることから特定技能の対象となりました。
 
[3]参考:法務省:航空分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針[PDF]

特定技能「航空業」の業務

特定技能「航空業」で対象となる業務は、大きく分けて「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2種類です。
これらは、それぞれ以下のような業務内容となります。
 
【特定技能「航空業」で就業できる主な業務】

空港グランドハンドリング

航空機整備

  • 航空機地上走行支援業務
  • 手荷物・貨物取扱業務
  • 手荷物・貨物の搭降載取扱業務
  • 航空機内外の清掃整備業務
  • 運航整備
  • 機体整備
  • 装備品・原動機整備

空港グランドハンドリング業務では、航空機の駐機場への誘導・移動といったもののほか、遺失物等の検索、機用品補充・機体の洗浄なども業務内容に含まれます。
 
もう一つの航空機整備業務は、エンジンオイル量の確認や客室内の照明交換、電線の交換など、さまざまな業務が含まれるものです。
 
関連業務として除雪作業や事務作業などがありますが、これらは同じ場所で従事する日本人が普段から行っているものであれば付属業務として任せられます。
ですが「除雪作業のみ」「事務採用のみ」といった形で関連業務を主として従事させることは認められないので注意しましょう。

特定技能「航空業」の1号と2号の違い

特定技能について知る上でよく理解しておかなければならないのが、特定技能1号と特定技能2号の違いです。
それぞれには、以下のような違いがあります。
 
【特定技能「航空業」1号と2号の違い】


特定技能1号

特定技能2号

在留期間

1年・6カ月・4カ月ごとの更新
(通算5年)

3年・1年・6カ月ごとの更新
(更新すれば期限の定めなし)

技術水準

相当程度の知識または経験を必要とする技能

熟練した技能 (各分野の技能試験によって確認)

家族の帯同

不可

条件を満たせば配偶者と子のみ可

永住権の取得

不可

要件を満たせる可能性がある

日本語能力
水準試験

有り

無し

評価方法

筆記試験及び実技試験

学科試験及び実技試験

このように、多くの項目において違いがあります。
 
1号と比較すると2号の方が求められるレベルは高くなりますが、条件を満たせば配偶者と子どものみ帯同が可能なほか、同様に条件を満たせば永住権の取得も可能です。
基本的に特定技能1号から2号を目指していく形となります。

特定技能「航空業」の受け入れ要件

在留資格特定技能「航空業」を用いて外国人を採用したいと考えているのであれば、まずはどのような受け入れ要件があるのか確認しておきましょう。

代表的な要件として以下が定められています。

法令等に基づく事業所である

受け入れ企業になるためには、空港グランドハンドリング業務、航空機整備業務のそれぞれにおいて承認を受けなければなりません。
承認を受けたことを証明するために以下の書類も必要です。
 
【空港管理規則に基づく構内営業承認を証明する書類(いずれかの写し)】

  • 国管理空港における空港管理規則に基づく構内営業の承認書又は会社管理・地方自治体管理空港における空港管理者による営業の承認、許可を証明する書類
  • 航空法に基づく航空運送事業の経営許可書

 
【航空法に基づく航空機整備等に係る認定承認を証明する書類】

  • 航空機整備等に係る能力について国土交通大臣による認定を受けた者であることを証明するもの(※)
  • 航空機整備等に係る能力について認定を受けた者から業務の委託を受けた者にあっては、委託元に係る上記書類及び委託契約書(写し)

(※)航空機整備等の能力について次の能力が必要(能力3:航空機の整備及び整備後の検査の能力、能力4:航空機の整備又は改造の能力、能力7:装備品の修理又は改造の能力)
 
不備なく準備しましょう。

航空分野特定技能協議会への加入

航空分野特定技能協議会に加入することが義務付けられています。
特定技能協議会とは、各産業分野に設置されているものであり、外国人の受け入れ機関である特定技能所属機関や特定技能外国人をまとめるためのものです
 
加入する際は、インターネット上からもダウンロード可能な届出書に必要事項を記入し、提出する形となります。
その他特定技能の分野では書類を直接持ち込まなければならないもの、郵送しなければならないものが多いのですが、航空業分野は郵送だけではなくメールで送信できるのもポイントです。
 
初めて外国人を受け入れる際は、外国人の受け入れまでに協議会に加入しなければなりません。
もし、入会が確認できないような場合は特定技能外国人の雇用が継続できない可能性もあるので、十分に注意しておきましょう。
 
特に新規採用を行ったあとは何かと忙しい日々が続くこともあるため、うっかり忘れてしまうことも考えられます。
 
基本的に協議会に入会したとしても入会金はかかりません。
遵守事項として、他の特定技能所属機関に雇用されている特定技能外国人に対する引き抜きを行わないことなどが定められています。その他の遵守事項も事前によく確認しておきましょう。
 
必要に応じて協議会に協力することも条件として定められているため、場合によっては調査や指導に関する協力を行うこともあります。

関連記事:「特定技能協議会」の活動内容・目的・加入方法と問い合わせ先

適切な支援を実施する

特定技能外国人は日本での生活に不慣れであるため、業務に関することはもちろん、日常生活を問題なく送れるように必要なサポートを行わなければなりません。
必要な支援計画については、法律で以下のように定められています。
 
【法律で定められているもの】

  • 日本で生活する上で必要となることを事前に説明する事前ガイダンスの提供
  • 出入国する際の手続を受ける港または飛行場までの送迎
  • 適切な住居の確保や生活に必要な契約に係る支援
  • 入社後に行う生活オリエンテーション(情報提供)の実施
  • 日本語教室の入学案内の情報提供など、日本語学習の機会の提供
  • 相談または苦情があった場合の適切な対応
  • 地域行事の案内など日本人との交流促進に係る支援
  • 受け入れ側の都合によって雇用の契約を解除する場合は転職支援

「適切な住居の確保や生活に必要な契約に係る支援」では、必ず行わなければならない義務的支援と任意的支援があります。
例えば、義務的支援では、本人が賃借人として賃貸借契約する場合は必要な情報を提供して補助を行うことなどが一例です。

特定技能1号「航空業」の取得に必要な条件

特定技能1号「航空業」を取得する場合は、以下の2つの条件を満たさなければなりません。

特定技能評価試験と日本語能力試験に合格する

特定技能評価試験と日本語能力試験の両方に合格する必要があります。
 
特定技能評価試験とは、航空業界で働くのに必要な技能・知識を評価するための試験です。
空港グランドハンドリング業務、航空機整備業務で、それぞれ以下のように技能水準が定められています。
 
【特定技能評価試験の技能水準】

空港グランドハンドリング業務

航空機整備業務

社内資格を有している指導者やチームリーダーといった存在の指導・監督のもとで、空港における航空機の誘導やけん引の補佐といった業務のほか、貨物・手荷物の仕分け、荷崩れを起こさないような貨物の積み付けができる。

整備に関する基本的な技術があり、国家資格整備しなどの指導・管理のもとで機体・装備品などの整備業務のうち、簡単な点検・交換などの基礎的な作業ができる。

筆記試験及び実技試験が日本語で年に数回実施されます。
実施場所は、国外および国内です。
 
このほか、日本語能力試験に合格にも合格しなければなりません。
日本語試験は「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)」から選択可能です。
 
【日本語能力試験概要】


国際交流基金日本語基礎テスト
(JFT-Basic)

日本語能力試験(JLPT)

レベルの分類

レベルでの評価なし

N1~N5の5段階でN4以上の合格が必要

受験実施回数

年6回

年2回

結果がわかる
タイミング

当日

約2ヶ月後

テスト方式

テストセンターでのコンピューター受験

ペーパーテスト

業務において必要となる一定の日本語力を持っているか日本語能力試験で判断します。

航空分野の技能実習2号を修了する

特定技能ではなく、同じく在留資格である技能実習2号からの移行も可能となっています。
移行可能なのは、技能実習の「空港グランドハンドリング」職種のうち「航空機地上支援作業」の2号を良好に修了した方です。
該当する方は特定技能評価試験・日本語試験が免除されます。
 
特定技能「航空業」には空港グランドハンドリングのほかに航空機整備がありますが、技能実習からは移行できないため、上記の試験合格が必要です。

特定技能「航空業」の試験の概要

特定技能「航空業」の試験について確認しておきましょう。
試験の概要は以下の通りとなります。
 
【特定技能「航空業」における空港グランドハンディング試験の概要】


学科試験

実技試験

出題形式

ペーパーテスト方式

写真・イラスト等を用いた判断等試験

問題数

約30問

-

試験時間

45分

30分

合格基準

65%以上

65%以上

空港グランドハンドリングに関する基本事項からの出題です。
 
【特定技能「航空業」における航空機整備試験の概要】


学科試験

実技試験

出題形式

〇×式、選択式によるペーパーテスト方式

写真・イラスト等を用いた判断等試験

問題数

約30問

-

試験時間

60分

30分

合格基準

65%以上

65%以上

締結、電気計測といった航空機の基本技術や作業安全・品質、及び航空機概要の基本事項に関する出題がされます。

特定技能「航空業」を持つ外国人を採用する流れ

特定技能「航空業」のビザを持つ外国人の採用を検討しているのであれば、まずは全体の流れを確認しておくと良いでしょう。
国外在住の方と国内在住の方は、それぞれ以下のような流れで採用する形となります。

国外在住

海外に住んでいて日本で働きたいと考えている方を特定技能の在留資格で採用する方法です。
 
【国外在住外国人採用の流れ】

  1. 人材募集と面接
  2. 特定技能雇用契約の締結
  3. 支援計画の策定
  4. 在留資格特定技能「航空業」の申請
  5. 在留資格取得の許可が下りる
  6. 特定技能ピザの取得
  7. 渡航、就労開始

日本国内から採用する場合と比較して時間がかかります。

国内在住

日本国内には、留学やその他何らかの在留資格を持って暮らしている方がいます。
そういった日本在住の外国人に対し、在留資格特定技能「航空業」を取得してもらって採用するのも一つの方法です。
 
以下のような流れで採用することになります。
 
【国内在住外国人採用の流れ】

  1. 人材募集と面接
  2. 特定技能雇用契約の締結
  3. 支援計画の策定
  4. 在留資格変更の申請
  5. 在留資格変更の許可が下りる
  6. 就労開始

海外在住の方を採用するのは異なり、日本国内にいるということはその他の在留資格を持っています。
そのため、現在の在留資格を特定技能「航空業」に変更するための手続きが必要です。
 
すでに日本国内に住居を構えている方であれば住宅の準備も不要であることからスムーズな採用につながりやすいです。

関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説

特定技能「航空業」の採用にあたっての諸費用

特定技能「航空業」で外国人を採用する場合は、以下のような費用がかかります。

費用項目

費用相場

送り出し機関への手数料

20〜60万円

人材紹介の手数料

30~60万円

渡航費用

実費

在留資格申請費用

10〜20万円

住居準備費用

初期費用全般(住居の家賃によって異なる)

事前ガイダンス等の費用

1.5〜4万円

支援委託費用

2〜4万円/月

在留資格更新費用

4〜10万円

国によっては送り出し機関への手数料が発生しないケースもあります。
また、国内在住の方を採用する場合は、送り出し機関への手数料や渡航費用は基本的にかかりません。

関連記事:特定技能外国人受け入れにかかる費用相場とコストダウンのポイント

人手不足解消に繋がる可能性が高い

いかがだったでしょうか。
特定技能「航空業」の採用を考えるにあたり、おさえておきたいポイントを紹介しました。
どういったことを確認しておけば良いかご理解いただけたかと思います。
 
日本国内で人材が確保できない場合は、特定技能「航空業」の採用も検討してみると良いでしょう。
ただ、採用にあたり、専門的な知識が求められる場面もあります。
 
スタッフ満足では、外国人の採用だけではなく、定着まで総合的にサポートしているので、ぜひご相談ください。
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