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特定技能「素形材産業」とは?おさえておきたい基本や受け入れ条件

人手不足が問題になっている企業で採用が進んでいるのが、外国人労働者です。
特定技能は在留資格の一つであり、素形材産業においても特定技能外国人が活躍しています。
 
ですが、特定技能外国人の採用を検討しているものの、制度についてよくわからないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事では特定技能「素形材産業」について、概要から従事可能な職種、試験の詳細などを紹介します。
 
この記事を読むことによって特定技能「素形材産業」とはどういったものなのかが分かるので、ぜひご覧ください。

目次[非表示]

  1. 1.特定技能「素形材産業」とは
  2. 2.特定技能「素形材産業」の設立背景や実態
    1. 2.1.素形材産業の実態
  3. 3.特定技能「素形材産業」で従事可能な職種
  4. 4.特定技能「素形材産業」に認定されるための方法
    1. 4.1.方法① 製造分野特定技能1号評価試験と日本語能力試験(JLPT)に合格する
    2. 4.2.方法② 技能実習2号から移行する
  5. 5.特定技能「素形材産業」に必要な試験の概要
    1. 5.1.会場・日程など
  6. 6.特定技能「素形材産業」の受け入れ条件
    1. 6.1.受け入れ側企業が対象産業に該当している
    2. 6.2.特定技能協議会への加入
    3. 6.3.適切な支援を実施する
  7. 7.特定技能「素形材産業」の採用の流れ
    1. 7.1.国外在住
    2. 7.2.国内在住
  8. 8.特定技能「素形材産業」の採用にかかる費用の目安
  9. 9.企業の人手不足解消に繋がる特定技能外国人の採用を検討しよう

特定技能「素形材産業」とは

特定技能とは、国内人材の確保が難しい産業分野において、外国人を受け入れるためにつくられた在留資格の一つです。
2019年に新設されました。
分野によって管轄が異なり、素形材産業の特定技能は経済産業省によって管轄されています。
 
制度が新設された際は「素形材産業」という分野だったのですが、2022年の5月に「素形材産業分野」「産業機械製造業分野」「電気・電子情報関連産業分野」の3つが統合され、現在は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」という分野になっています。
本記事ではこの素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業について紹介します。
 
基本的な概要は以下の通りです。
 
【特定技能「素形材産業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)」の概要】

雇用形態

直接雇用

受け入れ人数

49,750人

報酬

日本人が同様の業務に従事した場合の報酬額と同等以上

制度が始まった際の受け入れ人数は31,450人だったのですが、コロナ禍の影響を受けて協会の需要が拡大していることなどを踏まえ、49,750人に引き上げられています。
 
参考:経済産業省:特定技能外国人材制度(製造業分野)の制度改正について[PDF]

特定技能「素形材産業」の設立背景や実態

日本にはさまざまな産業がありますが、その中には少子高齢化などの影響を受けて日本人だけでは十分な人手を確保できない産業があります。
こういった産業のうち、国内人材を確保するために必要な取り組みや生産性の向上を行ったとしても人材の確保が難しいと認められた12分野の雇用確保を目的として作られたのが、特定技能です。
 
特定技能の資格を得るためには各分野で設けられている試験や日本語試験をクリアしなければならないこともあり、企業は一定の専門性と技能を持っている人材を雇用できます。
 
素形材とは、素材に熱や力を加えることによって形が与えられた部品などのことです。
金属や木材、ガラス、プラスチックなどが代表的で、日本にとって素形材産業は欠かせない産業といえます。
 
ですが、他の作業と同様に人手不足が問題となっており、その問題を解消するために素形材産業も特定技能の対象となりました。

素形材産業の実態

日本の素形材産業で大きな課題といえるのが、若年者の採用です。
素形材産業で活用できるさまざまな新しい技術が開発されていますが、これらを扱える若年者の採用がうまくいかず、悩んでいる企業さまもいるでしょう。
 
素形材産業では「きつい・汚い・危険」といった3Kのイメージがあり、これも若年者採用に関する課題といえます。
 
日本人の雇用がなかなか進まず困っているのであれば、特定技能による外国人労働者の雇用も検討してみると良いでしょう。
 
経済産業省が2020年7月に発表した資料によると、素形材産業の各分野では以下の人手不足状況となっていました。
 
【分野ごとの人手不足状況(見込数:5年間の最大数)】

  • 素形材産業:21,500人
  • 産業機械製造業:5,250人
  • 電気・電子情報関連産業:4,700人

特に素形材産業で人手が不足していることがわかります。[1]
 
また、出入国在留管理庁が発表している令和5年6月末時点のデータによると、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業として従事している特定技能1号在留外国人の数は35,641人でした。
これは、特定産業分野別割合でいうところの20.6%にあたります。[2]
 
受け入れ人数が49,750人であることから、まだまだ十分な数の外国人が採用できているとはいえません。
 
[1]参考:経済産業省:製造業における特定技能外国人材の受入れについて[PDF]
 
[2]参考:出入国在留管理庁:特定技能在留外国人数(令和5年6月末現在)[PDF]

特定技能「素形材産業」で従事可能な職種

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(製造業)において特定技能外国人材が従事できる業務は、以下の3区分です。
 
【特定技能「素形材産業」の業務区分】

  • 機械金属加工
  • 電気・電子機器組立て
  • 金属表面処理

それぞれ、以下の業務が行えます。
 
【特定技能「素形材産業」で行える業務】

機械金属加工

電気電子機器組立て

金属表面処理

  • 鋳造
  • ダイカスト
  • 金属プレス加工
  • 工場板金
  • 鍛造
  • 鉄工
  • 機械加工
  • 仕上げ
  • プラスチック成形
  • 溶接
  • 塗装
  • 電気機器組立て
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 工業包装
  • 機械加工
  • 仕上げ
  • プラスチック成形
  • 電気機器組立て
  • 電子機器組立て
  • プリント配線板製造
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 工業包装
  • めっき
  • アルミニウム陽極酸化処理

外国人が資格を取得する際は3つの区分から希望のものを一つ選択し、その中から科目を選択することになります。
以前は業務区分が「鋳造」「機械検査」「塗装」など19に分れており、例えば「塗装」で受け入れた外国人は塗装以外の業務に従事できませんでした。
ですが、区分が統合されたことにより、現在は該当区分内であれば複数の作業に従事可能です。

特定技能「素形材産業」に認定されるための方法

外国人が特定技能「素形材産業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)」に認定されるためにはどうすれば良いのでしょうか。

選択肢は、試験を受けて合格するか、技能実習2号から移行する、のいずれかです。
それぞれ解説します。

方法① 製造分野特定技能1号評価試験と日本語能力試験(JLPT)に合格する

特定技能の資格を得るための試験を受けて合格する方法です。
特定技能1号評価試験と、日本語能力試験(JLPT)の両方に合格しなければなりません。
 
特定技能1号評価試験は、学科と実技で構成されるものであり、国内外の試験会場で受けられます。
特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイトからは素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の各区分・科目ごとの学科・実技サンプル問題が確認できるので、どういった問題が出題されるのかあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
 
参考:特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト:製造分野特定技能1号評価試験
 
日本語能力試験(JLPT)  は、N4以上の日本語力が求められます。
これは、基本的な日本語を理解できるレベルです。
N4以上だと日常会話がある程度できて生活にも支障がない程度の日本語力を有していることが認められます。
 
採用する企業側から見ても日常会話ができる程度の日本語力を持った外国人を採用できるため、一から日本語を教える必要もなく、人手不足解消につながりやすいです。

方法② 技能実習2号から移行する

技能実習2号を良好に修了した方は、特定技能1号への移行が可能です。
この場合、日本語試験と技能試験が免除されます。
 
技能実習2号の職種と特定技能1号の職種では、対応関係が定められている点に注意が必要です。
2号の職種によって移行可能な特定技能の業務区分が定められています。
事前に確認しておきましょう。

関連記事:特定技能と技能実習の違いとおさえておくべきメリット・デメリット

特定技能「素形材産業」に必要な試験の概要

素形材産業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)の試験概要は以下の通りです。
 
【特定技能「素形材産業」における試験の概要】


学科試験

実技試験

出題形式

CBT 方式又はペーパーテスト方式

CBT 方式又はペーパーテスト方式

問題数

30問

10問

試験時間

学科試験・実技試験あわせて80分間

合格基準

65%以上

65%以上

学科は、各区分で共通の問題のほか、科目ごとの問題が出題されることになります。
試験言語は日本語で、ふりがなが振られています。

会場・日程など

会場は、国内試験の場合は全国複数会場で実施されています。
令和5年度の会場は、仙台、水戸、東京、金沢、浜松、名古屋、岐阜、大阪、広島、福岡でした。
また、海外試験は、インドネシアやフィリピン、タイなどで行われています。
 
試験の申し込みは、特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイトから可能です。
 
各日程の1ヶ月前程度より受付が始まり、先着順となります。
令和5年度を確認してみると、国内試験は第1回が6月下旬、第2回が10月中旬、第3回が12月下旬と、3回開催されました。
海外試験は9月上旬頃の1回のみです。
 
なお、試験日や定員は会場によって異なります。
2024年1月・2月の試験を確認してみると、定員の少ない会場は150名程度、多い会場は400名程度でした。

特定技能「素形材産業」の受け入れ条件

特定技能「素形材産業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)」の雇用を検討している場合、企業ではどういった受け入れ条件を満たさなければならないのでしょうか。
特定技能で認められている産業に該当していること、特定技能協議会へ加入すること、適切な支援を実施することといった3つが定められています。
 
それぞれ解説します。

受け入れ側企業が対象産業に該当している

まず、受け入れ側となる企業が、特定技能で認められている対象産業に該当しなければなりません。
日本標準産業分類(大分類:E製造業)で事業所の業種を確認しましょう。
 
以下のいずれかに該当している必要があります。
 
【受入れが認められる事業所の日本標準産業分類】

2194-鋳型製造業

225-鉄素形材製造業

235-非鉄金属素形材製造業

2422-機械刃物製造業

2424-作業工具製造業

2431-配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)

245-金属素形材製造業

2462-溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)

2464-電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)

2465-金属熱処理業

2469-その他の金属表面処理業(ただし、アルミニウム陽極酸化処理業に限る)

248-ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業

25-はん用機械器具製造業(ただし、2591消火器具・消火装置製造業を除く)

26-生産用機械器具製造業

27-業務用機械器具製造業(ただし、274 医療用機械器具・医療用品製造業 及び276 武器製造業を除く)

28-電子部品・デバイス・電子回路製造業

29-電気機械器具製造業(ただし、2922 内燃機関電装品製造業を除く)

30-情報通信機械器具製造業

3295-工業用模型製造業

判断は企業ごとではなく、事業所単位で行う必要があります。
 
また、製造品出荷額等が直近1年以内に発生している必要もあります。
製造品出荷額等とは、当該の事業所における1年かの製造品出荷額や加工賃収入額、修理料収入額、製造工程からでたくず及び廃物の出荷額の合計です。

特定技能協議会への加入

特定技能協議会は、経済産業省によって設置されている機関です。
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の在留資格申請前に加入しなければなりません。
 
手続きは特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイトのホームページ上から行えます。

適切な支援を実施する

雇用する特定技能外国人に対し、適切な支援をすることが義務づけられています。
日本で生活する上で必要となる情報の提供や、日本人との交流支援など、必要な支援を行っていきましょう。
 
なお、自社で行うのが難しい場合は登録支援機関に委託可能です。
 
具体的にどのような支援を行うのかについては支援計画書として作成し、入管に提出しなければなりません。
なお、この支援計画書は雇用する外国人も中身を理解する必要があるため、本人が理解できる言語で作成する必要があります。
 
支援計画書には入出国の際の送迎に関することや住居・口座・携帯電話の確保についてのほか、支援業務を委託する場合は委託契約に関する内容などの記載が必要です。
 
登録支援機関にすべてを委託する場合、外国人を支援する体制を自社だけで整えておく必要はありません。
 
また、自社で支援業務を行おうと考えたとしても、登録支援機関への支援委託が必須になる場合があります。
例えば、過去2年間に中長期在留者の受け入れや管理を適切に行った経験がない、適切な支援責任者及び支援担当者を役職員から選べないなどの場合は登録支援機関へ支援を委託しなければなりません。

特定技能「素形材産業」の採用の流れ

実際に自社で特定技能外国人を雇用する場合、どのような採用の流れになるのか確認しておきましょう。
国内から呼び寄せる方法と、国内在住の方を採用するのとでは流れが異なります。
 
それぞれの流れは以下の通りです。

国外在住

国外にいる外国人に特定技能資格を取得してもらい、自社で採用する方法です。
 
【流れ】

  1. 人材募集・面接
  2. 特定技能雇用契約を締結
  3. 支援計画を策定
  4. 在留資格特定技能「素形材産業」の申請
  5. 在留資格取得の許可が下りる
  6. 特定技能ビザを取得
  7. 渡航、就労開始

各ステップで時間がかかることもあるため、一般的には国内在住の方を採用するのと比較して時間がかかります。

国内在住

何らかの在留資格で日本に在住している方に特定技能資格を取得してもらい、採用する方法です。
 
【流れ】

  1. 人材募集・面接
  2. 特定技能雇用契約を締結
  3. 支援計画を策定
  4. 在留資格変更の申請
  5. 在留資格変更の許可が下りる
  6. 就労開始

すでに日本で暮らしている方であれば住居の手配が不要なケースが多いものの、現在の居住地と勤務先が離れている場合は新居の確保が必要になることもあります。
こういった場合は、住居の準備に関する支援も必要です。

関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説

特定技能「素形材産業」の採用にかかる費用の目安

特定技能「素形材産業」で外国人を採用するのにかかる費用としては、以下のようなものが挙げられます。
 
【特定技能「素形材産業」を取得した外国人の採用にかかる費用】

費用項目

費用相場

送り出し機関への手数料

20〜60万円

人材紹介の手数料

30~60万円

渡航費用

実費

在留資格申請費用

10〜20万円

住居準備費用

初期費用全般(住居の家賃によって異なる)

事前ガイダンス等の費用

1.5〜4万円

支援委託費用

2〜4万円/月

在留資格更新費用

4〜10万円

送り出し機関とは、現地で外国人を募集して日本に送り出す役割を持った機関のことをいいます。
技能実習制度の場合は送り出し機関の利用が必須ですが、特定技能の場合は必ずしも送り出し機関を経由する必要はありません。
 
ただ、国によっては政府が認定している送り出し機関を利用しなければならないと定めているものもあるため、そういった場合は送り出し機関へ手数料を支払う必要があります。
 
なお、国内在住の外国人を採用する場合、送り出し機関への手数料や渡航費用はかかりません。

関連記事:特定技能外国人受け入れにかかる費用相場とコストダウンのポイント 

企業の人手不足解消に繋がる特定技能外国人の採用を検討しよう

いかがだったでしょうか。
特定技能「素形材産業」とはどのようなものなのかについて紹介しました。
 
制度の概要や採用にあたりおさえておきたいポイントがご理解いただけたかと思います。
人手不足に悩んでいる企業さまは、特定技能外国人の雇用について検討してみてはいかがでしょうか。
 
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