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特定技能外国人の受入れ機関「特定技能所属機関」になるための要件

一定水準の技能・知識・実績をもつ外国人は「特定技能」の資格を得て日本に在留し、就業できます。
この特定技能外国人を雇用する事業者は、「特定技能所属機関」として登録できますが、すべての事業者が対象ではなく要件や基準を満たしていなければなりません。
 
この記事では、特定技能外国人の受入れ機関である特定技能所属機関について、要件・基準・実績・義務などを中心に紹介していきます。
雇用した外国人を中立の立場でサポートする「登録支援機関」についても取り上げていきますので、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.受入れ機関(特定技能所属機関)とは?
  2. 2.受入れ機関(特定技能所属機関)が外国人を受け入れるための基準
    1. 2.1.欠格事由に当てはまらないこと
    2. 2.2.労働関係法令および社会保険関係法令などの遵守
    3. 2.3.非自発的離職者の未発生
    4. 2.4.行方不明者の未発生
    5. 2.5.保証金や違約金等の契約をしない
    6. 2.6.報酬の口座振り込み
  3. 3.特定技能外国人の受け入れに必要となる実績
  4. 4.受入れ機関(特定技能受入機関)の義務
    1. 4.1.雇用契約の履行
    2. 4.2.特定技能外国人への支援
    3. 4.3.各種届出の実施
  5. 5.登録支援機関との違い
    1. 5.1.登録支援機関に委託可能な業務
  6. 6.特定技能所属機関に必要な条件を確認する

受入れ機関(特定技能所属機関)とは?

受入れ機関(特定技能所属機関)とは、特定技能外国人を雇用する企業や個人事業主のことです。
指定された産業分野において、一定の知識と経験をもつ外国人の人材を特定技能外国人として雇用すると、特定技能所属機関となります。
 
特定技能は2019年に創設された新しい在留資格であり、2023年時点では12の産業分野で特定技能1号・2号の資格をもつ外国人が活躍しています。
 
ここからは、特定技能外国人を雇い入れる受入れ機関(特定技能所属機関)の要件や基準、実績と義務について紹介します。

受入れ機関(特定技能受入機関)になるための要件


受入れ機関(特定技能所属機関)とは、特定技能外国人を雇用する企業のことです。
企業のほかに個人事業主も特定技能所属機関として認められますが、規定されたルールを守っている必要があり、要件を満たしていなければなりません。
 
日本国内に在留しながら働いている外国人を雇う場合は、試験または技能実習2号を修了してから雇用契約を結び、ガイダンスや健康診断を実施します。
海外在住の外国人材を雇う場合も同様に、試験または技能実習2号を修了してから雇用契約を結び、ガイダンスや健康診断を実施します。
 
雇用契約を結んだ後は、その外国人への支援計画を策定し、地方出入国在留管理局などの専門機関へ在留資格の変更許可申請を行います。
初めて外国人を受入れる場合は、支援計画を第三者である「登録支援機関」に依頼することも可能です。
 
ここからは、受入れ機関(特定技能所属機関)になるための要件について確認していきましょう。

【特定技能所属機関になるための要件】

  • 特定産業分野に属している
  • 外国人と結ぶ雇用契約が適切である
  • 特定技能所属機関として適切である
  • 外国人への支援体制が整っている
  • 外国人を支援する計画が適切であること

特定技能所属機関となる企業や個人事業主は、12の産業分野のいずれかに属していなければなりません。
また、雇用契約および特定技能所属機関としての適正や支援体制・支援計画が整っていることも要件のひとつです。

関連記事:特定技能外国人を採用する際の流れとかかる費用を解説

受入れ機関(特定技能所属機関)が外国人を受け入れるための基準


特定技能所属機関が外国からの人材を受入れる際、以下の基準をすべて遵守する必要があります。
 
【特定技能所属機関に求められる基準】

特定技能雇用契約の適正な履行に関する基準

  • 労働、社会保険、租税に関する法令の遵守
  • 1年以内に非自発的離職者を発生させていない
  • 1年以内に外国人の行方不明者を発生させていない
  • 5年以内に入管法、労働法令等の違反がない
  • 暴力団排除の観点からの欠格事由に該当していない
  • 特定技能所属機関の行為能力、役員等の適格性に欠格事由がない
  • 特定技能外国人の活動状況に係る文書の作成
  • 保証金の徴収、違約金契約等による欠格事由がない
  • 支援に関する費用について特定技能外国人に負担させていない
  • 派遣形態による受入れに欠格事由や法令違反がみられない
  • 労災保険の保険関係について成立の届出を適切に履行している
  • 特定技能雇用契約の継続履行ができる体制を有している
  • 報酬の振り込み等について適切に説明や対応を行っている
  • 特定産業分野ごとの特有の事情に鑑みて定められた基準に適合している

特定技能1号外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準

  • 中長期在留者の受け入れ等に関する実績
  • 外国人が十分に理解できる言語で情報提供・支援を行う
  • 特定技能外国人への支援の実施状況に係る文書の作成
  • 支援責任者および支援担当者は中立的な立場で欠格事由に該当していない
  • 支援実施義務の不履行をしていない
  • 特定技能外国人と監督者が定期的に面談を実施する

適正な在留に関する基準

  • 特定技能外国人の健康状態、生活状況の把握
  • 本人が帰国旅費を負担できない場合は補助する

雇用に関する基準

  • 相当程度の知識、経験を必要とする技能を要する業務に従事させる
  • 労働時間は通常の労働者の所定労働時間と同等である
  • 報酬額を日本人と同等以上に設定している
  • 一時帰国の希望者には有給休暇を取得させる

参照元:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」
 
上記で取り上げた要件のうち、特に重視される6つのポイントを確認していきましょう。

欠格事由に当てはまらないこと

欠格事由とは、法令に違反して罰則を適用されたり、免許や許可の取り消しを受けたりする行動や事柄のことです。
事業者が以下のような欠格事由に該当すると、特定技能所属機関とは認められません。
 
【特定技能所属機関の欠格事由】

  • 労働関係法令違反
  • 関係法令による刑罰を受けた
  • 技能実習認定の取り消しを受けた
  • 暴力団排除の観点からの欠格事由
  • 特定技能所属機関の行為能力・役員等の適格性に係る欠格事由
  • 保証金の徴収・違約金契約等による欠格事由

禁錮以上の刑罰に処された者、暴力団関係法令・刑法に違反し罰金刑に処せられた者など、関係法令に違反した場合は欠格事由に該当します。
暴力団関係法令に違反した経歴がなくても、暴力団員等が事業活動を行う場合には欠格事由に当てはまります。
 
特定技能所属機関としての行為能力がない、役員の適格性に係る問題や保証金・違約金を徴収するといった行為も欠格事由となり、特定技能所属機関の認可を受けられません。

労働関係法令および社会保険関係法令などの遵守

特定技能雇用契約が労働基準法に則って締結されていること、事業所が厚生年金や健康保険への加入が、法令で義務付けられた税の納付も必須です。

非自発的離職者の未発生

特定技能所属機関は、外国人労働者を非自発的に離職させてはならないルールとなっています。
非自発的とは倒産や解雇による失業のことで、特定技能外国人だけではなく中長期にわたる在留者、日本人労働者も含めたフルタイムの従業員が含まれます。

行方不明者の未発生

雇用契約に則って正当に賃金を支払わない、特定技能1号外国人に支援計画を適切に実施していないといった事由は、いずれも特定技能所属機関の責めに帰すべき事由です。
雇い入れた外国人が雇用契約締結日の前1年以内〜特定技能雇用契約締結後に行方不明になることのないようにしなければなりません。

保証金や違約金等の契約をしない

特定技能所属機関は特定技能外国人およびその親族が保証金の徴収や財産の管理、違約金契約を締結させられている場合に、それを認識していながら特定技能雇用契約を締結してはなりません。

報酬の口座振り込み

特定技能外国人に対する報酬の支払いを確実かつ適切に行うために、報酬の支払い方法として預金口座への振込ができることを説明し、同意を得たうえで振込を実施しなければなりません。
振込以外の方法で支払った場合は、事後に出入国在留管理庁長官へ支払いを裏付ける客観的資料を提出します。

特定技能外国人の受け入れに必要となる実績

特定技能外国人の受入れについては、労働基準法の遵守や関係法令の遵守、欠格事由に該当しないといった基礎的な項目に加えて以下の3点も必須です。
 
【特定技能外国人の受入れに必要な実績】

  1. 過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績がある・役員または職員の中から特定技能1号外国人への支援計画実施に関する支援責任者および事業所ごとに1名以上の支援計画に基づく支援担当者を選任していること
  2. 役員または職員であって過去2年に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験がある者の中から支援責任者および事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること
  3. 1および2に該当する者と同程度に支援業務を適正に実施できる者として、出入国在留管理庁長官が認めるもの

※参照元:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」

ここでいう「実績」とは、特定技能外国人に対して正しく支援を実施できるように、支援計画に基づく支援責任者や支援担当者が選任されているかどうかを確認するものです。

受入れ機関(特定技能受入機関)の義務


次に、受入れ機関が守らなければならない義務について確認していきましょう。

雇用契約の履行

特定技能所属機関となった事業者は、特定技能外国人と結んだ雇用契約を確実に履行しなければなりません。
賃金や待遇などの契約内容を守らない、途中で勝手に変更するといった行為はもちろんのこと、契約を結ばないといった不履行は禁止されています。
 
契約内容を履行しなければ出入国在留管理庁からの指導・改善命令が下されるため注意が必要です。

特定技能外国人への支援

雇い入れた特定技能外国人に対しては、適切に支援を実施しなければなりません。
 
雇用して就業させるだけではなく、事前ガイダンス・出入国時の送迎・住宅の確保やその他の契約サポート・生活オリエンテーションの実施・公的手続きへの同行・日本語学習機会の提供・相談や苦情対応といった細やかなサポートが求められます。

各種届出の実施

日本とは異なる国々からやってくる特定技能外国人を雇う際には、事業者自身が定期的または随時届出を行わなくてはなりません。
届出にはすべての特定技能所属機関が定期的に提出するものと、自社支援を行っている事業者のみが提出するものとに分けられ、定期または随時提出します。
 
登記上の本店所在地を管轄する地方出入国在留管理局・支局のほか、FITS(一般財団法人国際建設技能振興機構)や厚生労働省へ提出する届出もあります。

登録支援機関との違い

特定技能所属機関が直接支援を実施できない場合は、専門的な支援のノウハウをもつ「登録支援機関」への委託が可能です。
特定技能所属機関と登録支援機関の大まかな違いは以下のとおりです。
 
【特定技能所属機関と登録支援機関の違い】


特定技能所属機関

登録支援機関

特徴

特定技能外国人を雇用する事業者

中立の立場で特定技能外国人を支援する機関

事業者の種類

企業・団体・個人事業主・業界団体

民間法人・行政書士・社労士など

支援内容

自社で支援計画を策定し、支援する

特定技能所属機関に代わって支援する

特定技能所属機関が自社で支援計画を策定・サポートをする場合と、登録支援機関が中立の立場で特定技能外国人材をサポートする場合に分けられます。

登録支援機関に委託可能な業務

特定技能所属機関が登録支援機関に委託できる業務は以下のとおりです。
 
【登録支援機関に委託できる業務】

事前ガイダンスの実施

日本に在留する上での注意点や資格変更の注意事項を説明する

出入国時の送迎支援

海外から日本への出入国時に空港や港へ赴き事業所や住居へ送迎する

住居の確保・生活に必要な契約の支援

住居の確保やその他の契約をサポートする

生活オリエンテーションの実施

日本での生活に必要な情報・ルールを提供する

公的手続きなどへの同行

市役所や区役所での申請、納税手続きへの同行

日本語学習の機会を提供

日本語教育の実施・オンラインレッスン・教材の提供

相談や苦情への対応

外国人が理解できる言語で相談や苦情に対応する

日本で生活する際に戸惑いやすい各種契約手続き、交通ルールや法律に関する諸注意などはガイダンスやオリエンテーションで説明します。
その際、外国人が十分に理解できる言語でわかりやすく説明し、理解と同意を得る必要があります。
 
注意点として、登録支援機関は特定技能1号資格の在留資格申請の代行は可能ですが、書類の作成は行えません。
行政書士のように専門の資格をもつ機関に作成を代行してもらい、登録支援機関が申請を行うといった手順を踏む必要があります。

関連記事:登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容や役割、選び方を解説

特定技能所属機関に必要な条件を確認する

今回は、特定技能所属機関の要件や基準、実績と義務を中心に、登録支援機関との違いについても説明しました。
 
特定技能所属機関になるためには、事業者としての適正と受入れ機関としての適正がそれぞれ確認されます。
各種法令の遵守や、支援計画・サポート体制が整っていることも重視されますので、特定技能外国人を雇用したいと考えている場合は一つずつ要件や義務を確認しましょう。
 
自社支援が難しい場合は、ノウハウをもつ登録支援機関を頼ることも可能です。
就労可能な人材の選考から就業後のサポートまで、必要なサポートを委託できますので、ぜひご検討ください。

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