特定技能の在留期間更新方法は?必要な書類・費用・注意点も確認!
日本では在留資格である特定技能で多くの外国人が働いています。
特定技能には在留期間が設けられているため、忘れずに更新しなければなりません。
特定技能外国人の採用を検討している場合も、在留期間の更新に関して確認しておきましょう。
そこで、在留期間の更新について知りたい方のため、在留期間と更新方法、更新のために必要な書類などを紹介します。
本記事を読むことで在留期間の更新にあたりおさえておきたいポイントがわかるようになるので、ぜひご覧ください。
目次[非表示]
- 1.特定技能とは
- 2.特定技能の在留期間について
- 3.在留期間の更新方法
- 4.在留期間の更新に必要な書類
- 4.1.企業が用意する書類
- 4.2.申請人が用意する書類
- 4.3.申請に関する連絡先
- 5.在留期間の更新にかかる費用
- 5.1.登録支援機関に委託する場合
- 5.2.企業単独型の場合
- 6.在留期間の更新が間に合わなかった場合の対応
- 7.在留期間が更新できないケース
- 7.1.労働条件が日本人と同等ではない
- 7.2.税金や社会保険料を滞納している
- 7.3.協議会に加盟していない
- 8.更新申請の準備は早めに済ませておこう
特定技能とは
特定技能とは、採用活動を行っても日本人だけでは十分な人手を確保できない分野で認められている就業可能な在留資格です。
日本人の人材が確保できず困っている企業でも、特定技能外国人を採用することにより人手不足解消につながるでしょう。
これまで、特定技能での採用が認められているのは12分野14業種でした。
それが2024年4月からは特定技能制度が拡大されています。
まず、これまでの12分野14業種は以下の通りです。
【12分野14業種】
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2024年4月からは、以下4つの分野が追加されました。
【追加分野】
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また、従来「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」だったものが「工業製品製造分野」となっています。
新たに追加された自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4つは、従来の分野と同様に人手不足が問題となっていた分野です。
今後はこれらの分野も含めて特定技能外国人が採用できるようになったので、この制度をうまく活用していきましょう。
特定技能の在留期間について
特定技能には、1号と2号があります。
在留期間はそれぞれ以下の通りです。
特定技能1号 |
特定技能2号 |
通算で最長5年 |
上限なし |
ここでは、在留期間と更新について解説していきます。
特定技能1号の場合
特定技能1号は、相当程度の知識や経験を必要とする技能を有する業務で働くための在留資格のことをいいます。
更新は1年ごと、6カ月ごと、4カ月ごとのいずれかです。
在留期間は通算で最長5年となっているため、期限内に延長の手続きを行うことにより最長5年まで在留できます。
中には、技能実習生から特定技能へ移行するケースもあるでしょう。
技能実習5年が修了してから特定技能に移行するケースでは、特定技能1号の在留期間最長5年とあわせて合計10年の在留が可能です。
なお、1号は永住権の取得ができず、家族の帯同も認められていません。
特定技能2号の場合
特定技能2号の場合は1号よりも熟練した技能が求められ、各分野の技能試験によって基本水準が確認されます。
更新は3年ごと、1年ごと、6カ月ごとのいずれかです。
1号とは異なり、在留期間に上限が設けられていません。
そのため、特定技能で日本に長く在留したいと考えている外国人は、1号から2号に移行し、更新を続けていく形となります。
家族の帯同に関しても条件を満たせば可能です。
通算の在留期間に上限は設けられていないものの、それぞれに定められている在留期限を迎える前に延長手続きを行わなければなりません。
在留期間の更新方法
在留期間の更新方法は、オフラインまたはオンラインで行えます。
どちらを選択する場合も準備に時間がかかることがあるため、更新期限を迎える4カ月前からは準備を始めておきましょう。
原則として、在留期限の3カ月前から更新の申請が可能です。
なお、1月~3月は4月に入社する外国人の申請が増えることから、更新に時間がかかってしまうケースがあります。
これらのタイミングで在留期限を迎える方は余裕を持って準備を済ませておきましょう。
ここでは、オフライン、オンラインそれぞれの更新方法を紹介します。
オフライン
オフラインの場合、以下の手順で更新手続きを行います。
【流れ】
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準備すべき書類については後ほど詳しく紹介します。
書類を提出する出入国在留管理局は、特定技能外国人を雇用している企業の住所地を管轄する出入国在留管理局です。
近くに出張所があれば、そちらでも構いません。
外国人と企業でそれぞれ必要な書類をそろえ、申請を行いましょう。
申請を行えるのは特定技能外国人本人のほか、親権者・後見人といった法定代理人、外国人から依頼を受けた申請等取次者の資格を有する方です。
申請した後、審査にかかる期間は1~2カ月程度です。
審査とは、在留期間中にきちんと日本の法律を守っていたのかなどを調べるためのものです。
滞在中に警察官に補導されたことがあるなど、素行が悪いことが認められてしまった場合は不許可となってしまう可能性もあります。
もちろん、申請した内容に虚偽があるような場合も同様です。
審査の結果は、一般的に更新が許可される場合だとハガキまたはメール、不許可の通知は電話や手紙で行われます。
オンライン
インターネットを活用し、オンラインで手続きも可能です。
インターネットから365日24時間いつでも手続きができるので、窓口に出向く時間を省きたい方はこちらを選択するとよいでしょう。
なお、システムの利用料は無料です。
誰が申請を行うのかによって手順や必要なものが変わります。
対象となる利用者は以下の通りです。
【オンライン申請ができる利用者】
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なお、外国人本人が申請を行う場合は、マイナンバーを所持している必要があります。
ここでは、所属機関・公益法人・登録支援機関の職員の方が申請を行う場合の流れを紹介します。
【流れ】
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はじめに利用申出書と必要書類を最寄りの地方出入国在留管理官署に提出し、審査を受けなければなりません。
承認された場合は登録したアドレスへ承認メールが送信されます。
手続きには1~2カ月程度かかるので、早めに済ませておきましょう。
いつでも利用できるからといって在留期間が切れてしまう直前などに利用申し込みをすると、間に合わなくなる可能性が高いです。
また、在留期間満了日の当日に在留申請オンラインシステムで申請することはできないので、このあたりも注意が必要です。
パソコンはインターネットへの接続が可能なもので、ブラウザーはGoogle Chromeバージョン72が利用できるものを準備してください。
在留期間の更新に必要な書類
在留期間を更新するためには、企業と申請人がそれぞれ必要な書類を準備しなければなりません。
必要な書類と、申請に関する連絡先を紹介します。
企業が用意する書類
企業が用意する書類は、法人なのか、個人事業主なのかによって異なります。
それぞれ解説します。
【必要書類:法人】
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※1の書類については、労働保険事務組合に事務委託していない場合は労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写しおよび申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写しが直近2年分必要です。
事務委託している場合は、労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写しおよび通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写しを直近2年分用意しましょう。
続いて個人事業主の場合です。
【必要書類:個人事業主】
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※1は法人と同様です。
※2は、健康保険・厚生年金保険の適用事業所の場合、社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写しを申請の日の属する月の前々月までの24カ月分用意しましょう。
適用事業所でない場合は、個人事業主の国民健康保険料(税)納付証明書が1年分または2年分と、個人事業主の国民年金保険料領収証書の写しまたは被保険者記録照会を提出します。
こちらは建設・農業・漁業分野を除く共通書類です。
建設・農業・漁業分野では他にも必要な書類が細かく定められているので、よく確認しておきましょう。
申請人が用意する書類
申請人が用意すべき書類として、以下のようなものが挙げられます。
【必要書類】
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準備に時間がかかるものもあるので、早めに取り組んでおくことが重要です。
関連記事:外国人採用の必要書類は?雇用前に確認しておくべきポイントや注意点
申請に関する連絡先
申請に関してわからないことなどがあれば、外国人在留総合インフォメーションセンターに問い合わせましょう。
電話で問い合わせる場合、以下となります。
電話番号 |
受付時間 |
公式サイトのURL |
0570-013904 |
平日8:30~17:15 |
休み明けの開庁日や午前11時~正午にかけては電話がつながりにくいため、その他の時間帯を選択するとよいでしょう。
日本語や英語のほか、各種言語に対応しています。
窓口で直接問い合わせたい場合は、上記URLより住所などをご確認ください。
なお、窓口によっては日本語または英語にしか対応していないところもあります。
在留期間の更新にかかる費用
在留期間を更新するのには費用が必要です。
個人で対応が難しい場合は登録支援機関に委託して行うとよいでしょう。
委託する場合としない場合の費用を紹介します。
登録支援機関に委託する場合
登録支援機関や行政書士に依頼して行う場合の費用相場は以下の通りです。
【委託する場合の費用】
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申請代行手数料は、委託先によって違いが大きいので、よく確認が必要です。
相場としては6万円前後となっており、数万円~10万円程度の費用がかかります。
企業単独型の場合
自力で申請する場合、申請代行手数料がかからないので、この分の費用を抑えることが可能です。
そのため、以下の費用で済みます。
【委託しない場合の費用】
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ただし、受付時間の関係もあり、場合によっては仕事を休んで手続きに行かなければならないこと、さまざまな必要書類を用意しなければならないことなどを考えると、個人で行うのは難易度が高いといえます。
費用だけを考えて個人で行おうと決めてしまうのではなく、本当に自社でできるのかも考えておく必要があります。
在留期間の更新が間に合わなかった場合の対応
在留期間は、期限を迎える前に更新をしなければなりません。
ですが、何らかの理由によって申請が遅れ、更新が間に合わなくなってしまうこともあるでしょう。
何の手続きもせずに在留期限が過ぎても在留を続ける場合は、不法滞在の扱いとなるので十分に注意しましょう。
ですが、在留期限が過ぎてしまったからといって、すぐに強制退去となるわけではありません。
例えば、出入国在留管理庁が混雑していたために審査期間が長引き、結果として在留期限が切れてしまうようなケースもあります。
こういった場合は審査を待っている間ということで、在留期間の満了の日から2カ月以内であれば在留を続け、雇用も継続可能です。
これは、在留期間の特例と呼ばれる制度です。
在留期間の特例を利用するためには、在留期限が満了するまでに更新のための申請を行っておかなければなりません。
申請を行っておけば、在留期間が満了した場合も申請の可否判断がなされる日か、在留期間の満了日から2カ月を経過する日のどちらか早い日までこれまでと同様に働けますし、生活もできます。
なお、出入国在留管理庁では更新申請の許可もしくは不許可といった決定を在留期間の満了日から2カ月以内に行うように努めてはいますが、保証されているわけではありません。
そのため、在留期間満了日から2カ月近くが経過している場合は現在どのような状況になっているのか出入国在留管理庁まで問い合わせてみるとよいでしょう。
また、何も手続きをすることなく在留期限を過ぎてしまった場合は、すぐに最寄の出入国在留管理局まで出頭する必要があります。
こちらの場合も在留期限から2カ月以内であれば更新できる可能性が高いのでそれほど心配する必要はないでしょう。
基本的に、在留期間を過ぎてから申請手続きを行う場合は、それが認められる理由が必要です。
例えば、天災や人災といったものが理由で手続きができなかったなどの理由が求められます。
期限内に更新ができなかったことを示す理由書などの追加資料が必要になるほか、更新のための審査も厳しくなってしまいます。
そのため、できるだけ期限内に問題なく更新できるように余裕をもって申請を行いましょう。
在留期間が更新できないケース
更新の手続きを行えば、必ずしも在留期間が更新されるとは限りません。
許可・不許可は個別に判断される形となり、中には不許可となってしまうケースもあります。
不許可になってしまった場合は、まずは理由を出入国在留管理庁に確認しましょう。
その上で、問題になっているポイントを修正した上で再申請することで許可が出ることがあります。
例えば、申請した書類に不備があり不許可となった場合は、正しく書類を申請し直すことで許可される可能性が高いです。
ですが、以下のケースに該当する場合は不許可となってしまう可能性が高いので注意しましょう。
代表的なケースを3つ紹介します。
労働条件が日本人と同等ではない
外国人を雇用する場合、労働条件は日本人と同等にすることと定められています。
これは、その会社で同じ作業を行う日本人と同等ということです。
「地域で定めている最低賃金を上回っていれば良い」と勘違いしないように注意しましょう。
また、日本人と同等にしなければならないのは、賃金だけではありません。
残業代の支払いや福利厚生、有給休暇といったものに関しても外国人だからといって条件を変えることは禁じられています。
在留資格を更新する際は、賃金の支払に関する書類を提出することになるので、ここで問題が発覚した場合は更新が認められない可能性があります。
税金や社会保険料を滞納している
日本で生活する以上、外国人であっても税金や社会保険料の支払いが必要になります。
社会保険料とは、厚生年金保険、健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つです。
日本人と同じ要件を満たしている場合は、外国人の方も対象となります。
給料から天引きしているのであれば外国人本人が支払う必要はないので、滞納の心配もありません。
ですが、外国人が国民健康保険や国民年金といったものに加入している場合、滞納している可能性がゼロではありません。
こういった場合も、滞納分を支払ってから更新の手続きを行えば許可される可能性はあります。
ただし、マイナス材料として判断されることにはなるので、十分注意しておきましょう。
なお、特定技能2号では永住権の申請も可能ですが、永住権を申請するにあたり、直近2年間で税金の滞納や年金の滞納暦がある場合は原則として申請が許可されません。
このあたりも注意しておきましょう。
協議会に加盟していない
特定技能外国人を受け入れる企業は、特定技能の各分野で定められている協議会への加盟が義務づけられています。
協議会とは、特定技能外国人や外国人を受け入れる特定技能所属機関をまとめるための機関です。
各協議会のホームページ上よりオンラインで加入手続きができるので、確認しておきましょう。
加入するにあたり基本的に費用はかからないのですが、建設業の建設技能人材機構のみ費用がかかります。
他分野も今後変更される可能性もあるので、加入のタイミングで確認しておきましょう。
加入は、初めて特定技能外国人を受け入れてから4カ月以内に行わなければなりません。
企業が協議会に加盟していない場合は更新が認められない可能性があるため、注意が必要です。
更新申請の準備は早めに済ませておこう
いかがだったでしょうか。
特定技能外国人を採用するにあたり、確認しておきたい在留期間の更新について解説しました。
いつまでに行わなければならないのか、何に注意すべきかなどがご理解いただけたかと思います。
準備には時間がかかり、審査も数カ月かかるので、余裕を持って進めておきましょう。
他にも特定技能外国人を採用するにあたり、おさえておきたいポイントはさまざまあります。
人材紹介サービスのスタッフ満足では外国人採用をワンストップでサポートしているので、わからないことや困ったことがあればお気軽にご相談ください。
在留期間の更新に関するサポートも行っています。