外国人労働者に適用される法律とは?企業が守るべきものを紹介
外国人労働者を雇う際には、日本人労働者と同等の待遇が求められます。
国籍を理由に日本人と労働条件を差別することは、労働基準法によって禁止されているからです。
しかし「外国人労働者には、どんな法律が適用されるの?」と考える方もいるでしょう。
例えば、入管法や雇用保険法など、企業が守らなければいけない法律は多くあります。
そこで本記事では、外国人を雇用する際に企業が守るべき法律や待遇について解説します。
外国人の雇用を検討している企業さまは、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1. 外国人労働者を雇う際も日本人労働者と同等の待遇が必要?
- 2. 外国人労働者を雇用する際に企業が守らなければならない法律
- 2.1. 労働基準法
- 2.2.出入国管理及び難民認定法(入管法)
- 2.3.最低賃金法
- 2.4. 労働安全衛生法
- 2.5.労働者災害補償保険法
- 2.6. 雇用保険法
- 2.7.雇用対策法
- 2.8. 労働契約法
- 2.9.厚生年金保険法
- 3.まとめ
外国人労働者を雇う際も日本人労働者と同等の待遇が必要?
国籍を理由に外国人と日本人の労働条件に差をつけるのは、労働基準法によって禁止されています。
参照元:e-Gov 法令検索 労働基準法 第三条 均等待遇
例えば、以下のような差別をしてはいけません。
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在留資格を保有している場合も不法就労をしている場合も、全ての外国人労働者に対して労働関連法規に基づく扱いが必要です。
最低賃金以上の給与を支払うよう法律で定められているため、賃金を設定する際は最低賃金を下回ってはいけません。
技能実習生は実習先の企業と雇用契約を結び、労働関係法規の適用を受けているため、日本人と同等の待遇が必要です。
このように外国人労働者を雇う際には、日本人労働者と差別せず同等の待遇をするようにしてください。
外国人労働者を雇用する際に企業が守らなければならない法律
外国人労働者を雇用する際、企業が守らなければならない法律は次のとおりです。
法律 |
概要 |
労働基準法 |
1947年に制定された、労働条件の最低限の基準を定めた法律 |
出入国管理及び難民認定法 (入管法) |
1951年に交付された、以下について定められた法律 ・日本への出入国の管理 ・在留資格や不法滞在 |
最低賃金法 |
国が賃金の最低限度を定め 雇用主は定められた金額以上の賃金を労働者に支払わなければならない制度 |
労働安全衛生法 |
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労働者災害補償保険法 |
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雇用保険法 |
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雇用対策法 |
経済・社会の発展・完全雇用の達成に資する 目的をもつ、雇用政策の基本法となる法律 |
労働契約法 |
次の目的で定められた、労働契約の基本的な理念やルールを規定した法律 |
厚生年金保険法 |
労働者が加入する年金保険について定めた法律。 |
それぞれの法律について解説します。
労働基準法
労働基準法とは、労働者に適用される、労働条件の最低限の基準を定めた法律のことです。
また労働基準法第三条には、以下のように定められています。
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない
外国人労働者は日本人と同等に扱うことが定められ、労働条件を差別すると労働基準法違反になります。
外国人を雇用する場合は、日本人の労働条件と同等になるように注意しましょう。
出入国管理及び難民認定法(入管法)
入管法とは「出入国管理及び難民認定法」のことで、日本への入出国の管理や難民認定について定められた法律です。
在留資格にはさまざまな種類があり、日本での労働が認められている資格を持つ外国人しか雇用できません。
例えば、人材不足の分野で外国人労働者を受け入れる「特定技能」の場合は、雇う前に以下の確認が必要です。
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特定技能は在留期間が決まっており、期間を超えて雇用できません。
入管法は度々改正されているので、外国人を雇用する前には最新の内容を確認するようにしてください。
参照元:e-Gov 法令検索 出入国管理及び難民認定法
最低賃金法
最低賃金法とは、労働者に支払われる最低額の賃金を定めた法律のことです。
都道府県や特定の産業により、最低賃金額は異なります。
労働条件の改善や労働力の質的向上などを目的としており、最低賃金法の第四条には次のように定められています。
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない
最低賃金法は日本人と同様に、外国人にも適用される法律です。
例えば日本の技術や知識を学ぶために来日している「技能実習生」も、最低賃金額以下で雇用することは禁じられています。
最低賃金よりも低い金額で雇用契約を締結した場合、企業は最低賃金額との差額を外国人労働者に支払う必要があります
労働安全衛生法
労働安全衛生法とは、労働者の安全と健康の確保や、快適な職場環境作り促進のために制定された法律のことです。
労働契約法の第五条には、以下のように定められています。
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする
引用元:厚生労働省 労働契約法 第五条
厚生労働省の外国人労働者の雇用・指針では、日本人と同様に外国人にも労働安全衛生法が適用されると示されています。
例えば労働者を雇った際や作業内容の変更をした際には、企業は安全実習講習の実施が必要です。
雇用主は外国人労働者にも日本人労働者に対しても、安全に労働できるよう配慮するようにしてください。
労働者災害補償保険法
労働者災害補償保険法とは、労災保険制度について定めた法律のことです。
参照元:e-Gov 法令検索 労働者災害補償保険法
労災は、通常の外国人労働者はもちろん、不法就労であっても適用されます。
企業は雇用形態を問わず、労働者を一人でも雇っている場合は、労災保険への加入が必要です。
また労災保険に未加入の企業で労災が発生しても、労働者にはしっかりと補償されます。
外国人労働者が労災により負傷した場合は、労災指定病院で適切な治療を受けることが重要です。
治療や労災の適用に影響が出るため、適切な病院を選べるよう企業は外国人労働者をサポートしましょう。
雇用保険法
雇用保険法は雇用保険について定められた法律で、次の外国人を雇用する場合は、雇用保険への加入が必要です。
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参照元:厚生労働省
外国人を雇用した場合や離職した場合は、雇用対策法第二十八条により、以下の情報をハローワークに届け出ることが義務づけられています。
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参照元:e-Gov 法令検索 雇用対策法第28条 外国人雇用状況の届出等
外国人を雇用した場合は、雇用保険に加入手続きを忘れないようにしましょう。
雇用対策法
雇用対策法は、経済・社会の発展・完全雇用の達成を目的とした、雇用政策の基本となる法律です。
雇用対策法では、外国人の雇用に関して次のことが定められています。
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外国人を雇用した場合や外国人が離職した場合、企業はハローワークに外国人雇用状況の届出が必要です。
参照元:e-Gov 法令検索 雇用対策法第二十八条 外国人雇用状況の届出等
また外国人が能力を有効に発揮し、職業に適応できるようにするための措置の実施が必要です。
厚生大臣により、企業が適切に対処するための「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」が公表されています。
参照元:厚生労働省
雇用対策法に基づき、外国人労働者を安定して雇用できるようにしましょう。
労働契約法
労働契約法とは、労働者の保護や雇用主との紛争防止のための労働契約の基本的な理念やルールを規定した法律のことです。
外国人にも適用され、以下のことが定められています。
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外国人労働者も日本人と同じ待遇になるので、トラブルを避けるためにも労働契約法に基づいて雇用しましょう。
厚生年金保険法
厚生年金保険法は、労働者やその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的に定められた法律です。
参照元:e-Gov 法令検索 厚生年金保険法 第一条
厚生年金は70歳未満の会社員および公務員が加入する公的年金で、保険料は雇用主と労働者が折半で負担します。
加入条件は、次のとおりです。
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加入条件に該当する外国人を雇用した場合は、必ず手続きをしてください。
まとめ
外国人に中長期的に働いてもらうためには、企業に定着するようにサポートすることが重要です。
しかし、初めて外国人を採用する際、事務作業に手間がかかりサポートまで手が回らない可能性があります。
また、外国語を話せる従業員が在籍していない企業さまは、外国人労働者とコミュニケーションをとれるか不安に感じるでしょう。
「スタッフ満足」では外国人採用1,000名以上の実績があり、人材の紹介から定着までワンストップで対応します。
さらに、外国人コーディネーターが在籍しており、外国人労働者の母国語で相談を受けることが可能です。
そのため、コミュニケーション不足による退職や離職防止、職場への定着が期待できます。
外国人の採用を検討している企業さまは、お気軽にお問い合わせください。