特定技能「電気・電子情報関連産業」とは?採用の流れや取得方法
特定技能は在留資格の一つであり、人手が不足している産業で特定技能外国人が活躍しています。
「どのような業務が行えるのか、任せられるのかわからない」「採用や取得の流れを知りたい」と感じている方もいるでしょう。
そこで、本記事では特定技能外国人を採用したい企業担当者さまのため、特定技能の分野の一つである「電気・電子情報関連産業」について解説します。
この記事を読むことによって電気・電子情報関連産業で就業できる業務や採用のためのポイントがわかるようになるので、ぜひご覧ください。
目次[非表示]
特定技能「電気・電子情報関連産業」について
特定技能は、日本人の採用が思うようにできず、人手不足の状態になっている産業において認められているものです。
12分野14業種があり、制度が始まった当初、製造業分野は「素形材産業」「産業機械製造」「関連産業」といった3つの分野に分れていました。
現在は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」として一つにまとめられており「製造業分野」とも呼ばれます。
【特定技能「電気・電子情報関連産業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)」の概要】
雇用形態 |
直接雇用 |
受け入れ人数 |
49,750人 |
報酬 |
日本人が同様の業務に従事した場合の報酬額と同等以上 |
受け入れ人数の49,750人は「電気・電子情報関連産業」ではなく、統合された「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」全体での人数です。[1]
制度が始まった当初、電気・電子情報関連産業の分野では、受け入れ見込数(5年間の最大値)を4,700人に設定していました。
3つの分野でいうと、素形材産業が最も多く、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業と続く形です。[2]
雇用形態に関しては直接雇用のみとなっており、派遣での採用は認められていません。
[1]参考:法務省:在留資格「特定技能」が創設されました[PDF]
[2]参考:法務省:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針の一部変更について[PDF]
特定技能「電気・電子情報関連産業」が創設された背景
特定技能は、日本人だけでは労働力が不足してしまう産業分野において認められている在留資格です。
外国人を雇用することにより人手不足解消を目指しています。
そのため、電気・電子情報関連産業が創立された背景にあるのも、人手不足の問題です。
電気・電子情報関連産業を含む製造業分野では、令和元年度からの5年間で199,000人程度の人手不足が見込まれています。
労働効率化も進められていますが、それでも最大31,450人は人手不足が見込まれていました。
それを補うため、制度が始まった当初に設定されていた受け入れ見込み数は「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」あわせて31,450人です。
現在は新型コロナウイルスの流行拡大による影響もあり、令和5年度末までは見込み数が最大49,750人まで増えています。[1]
一方で、出入国在留管理庁が発表している令和5年12月末時点の特定技能在留外国人数を見てみると、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野で働いている特定技能1号在留外国人数は40,069人でした。[2]
特定技能では全部で12の産業分野がありますが、その中には目標の数値に全く届いていない分野があることを考えると、製造業は比較的目標に近い人数が確保できているといえます。
ただ、それでもまだ1万人ほど不足している状況です。
今後も製造業分野の人手不足を解消するためには、特定技能外国人の採用が重要なポイントになってきそうです。
[1]参考:法務省:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針の一部変更について[PDF]
[2]参考:出入国在留管理庁:特定技能在留外国人数(令和5年12月末現在)[PDF]
特定技能「電気・電子情報関連産業」を取得することで就業できる業務
電気・電子情報関連産業を含む製造業「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」では、機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理といった3つの区分が設定されています。
それぞれ、対象となる技能は以下の通りです。
機械金属加工 |
電気電子機器組立て |
金属表面処理 |
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上記以外に関しても、日本人が通常従事する関連業務に対し、付随的に従事するのは問題ありません。
例えば、クレーンやフォークリフトの運転、清掃・保守管理作業などです。
ただし、これらの業務のみを任せる形は認められないため、注意が必要です。
もともと特定技能の制度が始まった当初、製造業では19の業務区分が設定されていました。
それが業務区分の統合により、3区分に再編されています。
19の業務区分だった頃は非常に細かく、例えば「機械加工」で働いている外国人は「仕上げ」の業務はできませんでした。
対応できる仕事が限定されている形だったため、特定技能外国人は雇いにくいと感じていた企業もあるでしょう。
ですが、業務区分の統合によって同じ区分の中であればその他の業務も行えるようになったため、場合によってはこれまで限定的だった業務の範囲が広くなっています。
なお、業務区分が異なる場合はそれぞれの試験を受けて合格しなければなりません。
ですが、区分の再編によって制度が始まった当初よりもかなり特定技能制度の使い勝手が良くなっています。
特定所属機関(受け入れ企業)の要件
特定技能は外国人を採用するための特定所属機関(受け入れ企業)となるには、いくつか要件が定められています。
外国人の雇用を検討している企業は、以下の3つの要件を満たしましょう。
要件① 受け入れ側企業が対象の産業に当てはまる
特定技能の在留資格は、国から日本での採用活動を行っても十分な人手が確保できないと認められている産業分野でしか承認されていません。
電気・電子情報関連産業を含む素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野で認められているのは、日本標準産業分類に掲げる産業のうち、以下のいずれかに該当するものです。
【該当産業】
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まずは「日本標準産業分類の大分類-E製造業の一覧」で事業所の業種を確認し、自社が該当しているか調べてみてください。[3]
企業ごとではなく、事業所単位で判断される形となります。また、直近1年間で製造品出荷額と加工賃収入額の合計を指す「製造品出荷額」が発生している必要もあります。
[3]参考:国税庁:日本標準産業分類からみた事業区分(大分類-E製造業)
要件② 「製造業特定技能外国人材受入れ協議会・連絡会」に入会している
製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会に加入していることも必須条件です。
特定技能1号の外国人を受け入れる前に入会しておきましょう。
協議会とは、各産業分野で設定されている特定技能外国人や受け入れ先となる機関をまとめるための機関のことです。
産業分野によっては加入が必須ではないものもありますが、製造業は必須です。
協議会では、特定技能関連の制度趣旨や優良事例の周知、人権上の問題が発生した際の対応策の検討など、さまざまな活動を行っています。
入会するにあたり、費用はかかりません。
特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイトより申し込みが可能です。
要件③ 特定技能1号を取得した外国人を適切に支援できる
受け入れ先となる企業は、雇用する特定技能1号を取得した外国人に対し、適切な支援を行わなければなりません。
日本で生活する上で必要となる住居を確保したり、給料を受け取るのに必要な銀行口座開設の支援をしたりする必要もあります。
外国と日本では文化やマナーの違いがあるため、外国人が日本で問題なく生活できるように必要な支援を行いましょう。
特定技能外国人は転職が認められています。
外国人にとって生活や仕事がしやすい環境を用意できないと、せっかく採用した特定技能外国人が他社に転職してしまう可能性もあるので、注意が必要です。
自社で対応が難しい場合は、登録支援機関に委託することもできます。
費用はかかりますが、質の高い支援をしたい場合なども登録支援機関の利用を検討してみると良いでしょう。
関連記事:特定技能外国人は転職できる?自社で長期就労してもらうポイント
特定技能「電気・電子情報関連産業」を採用する流れ
電気・電子情報関連産業を含む素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野で人材を採用する際の一般的な流れは、以下の通りです。
【採用の流れ】
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外国人が海外にいる場合は、入国のための支援も必要です。
特定技能1号「電気・電子情報関連産業」を取得する方法とは?
電気・電子情報関連産業を含む特定技能「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」を取得するには、試験に合格するか、技能実習2号から移行することになります。
それぞれ解説します。
日本語能力の試験と特定技能1号評価試験に合格する
日本語能力の試験と、産業ごとに行われている特定技能1号評価試験に合格しなければなりません。
日本語能力検定でN4以上の日本語能力が必要になります。
これは、簡単な日常会話が理解できる程度のレベルです。
特定技能1号評価試験では機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3つの区分があり、区分ごとの共通問題と選択科目の問題が出題されます。
電気・電子情報関連産業分野に該当する職種の技能実習2号から移行する
技能実習生として該当の分野に当てはまる職種で働いている方の場合、技能実習2号を修了することにより技能試験や日本語試験が免除されます。
技能実習2号移行対象職種に関しては、以下から確認可能です。
参考:法務省:「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領[PDF]
特定技能「電気・電子情報関連産業」の試験の概要
特定技能「電気・電子情報関連産業」の試験の概要</h2>[荻遥1]
ここでは、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の試験について解説します。
【特定技能「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」における試験の概要】
実施方法 |
学科試験、実技試験 |
実施方式 |
コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式、ペーパーテスト方式 |
試験区分 |
3つの試験区分より、19の技能を選択 |
受験資格 |
試験日当日において満 17 歳以上の外国人で試験に合格した場合に日本国内で就業する意思のある者 |
試験会場 |
国内は全国複数会場、海外試験はインドネシア・フィリピン・タイなど |
申し込み方法 |
各試験実施日程の1ヶ月程度前から特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイトで先着順による受け付け |
試験は日本語で行われることになります。
受験回数に制限はありませんが、再試験はないため、次の開催まで待たなければなりません。
令和5年度の場合、国内では7月、10月、2月に試験が予定されています。
受験の申し込みは、インターネットからの申し込みのみとなっており、電話や郵送、メールでは行えません。
合格基準は学科試験が65%以上、実技試験が60%以上です。
試験実施後、3ヶ月以内にポータルサイトのマイページ内で結果の確認ができます。
労働力の確保に役立つ特定技能
いかがだったでしょうか。
特定技能「電気・電子情報関連産業」について解説しました。
現在は製造業として「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」になっており、多くの外国人が活躍しています。
日本人の労働力不足に悩んでいる方は、特定技能外国人の採用を検討してみてはいかがでしょうか。
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