在留カード偽造にご注意を!見極め方や雇用前の確認方法を解説
2024年6月末の在留外国人数は、358万8,956人(前年末比17万7,964人、5.2%増)で、過去最高を記録しました。
多くの外国人が来日する中、在留カードの偽造手口が巧妙化し、企業の採用担当者を悩ませています。
そのため、外国人を採用する際は、本人が所持している在留カードの内容確認や、カード自体が不正なものでないか見極めることが重要です。
本記事では、雇用前に企業が取るべき偽造在留カード対策や、偽造在留カードの見極め方をご紹介します。
外国人の採用をお考えの企業さまは、ぜひ参考になさってください。
参照元:出入国在留管理庁|令和6年6月末現在における在留外国人数について
目次[非表示]
- 1.在留カードとは
- 1.1.在留資格の概要
- 1.2.在留カードに記載されている項目
- 1.3.外国人の在留カードの携帯について
- 2.在留カードの偽造問題
- 3.在留カードの偽造について
- 4.在留カードの偽造有無を確認する方法
- 4.1.目視で確認する
- 4.2.アプリケーションで確認する
- 4.3.カード番号の失効有無で確認する
- 5.在留カードで就労制限の有無を確認する方法
- 6.外国人を雇用する企業側の注意点
- 6.1.不法就労助長罪に注意する
- 6.2.在留カードのコピーを取る
- 6.3.再交付申請を14日以内に行う
- 7.まとめ
在留カードとは
在留カードは、採用した外国人従業員の身分を証明する公的な身分証明書です。
外国人従業員の採用手続きや銀行口座開設時には必ず必要となり、法務省出入国在留管理庁が発行します。
日本に3か月以上滞在する外国人に交付され、在留資格や在留期間、就労制限の有無などの情報が記載されており、16歳以上の場合は顔写真が表示されます。
在留カードは常時携帯が義務づけられており、警察官などから提示を求められた際は、応じなければいけません。
従業員に対しては、在留カードの常時携帯が法律で義務付けられていることを説明し、紛失や期限切れに注意するよう指導する必要があります。
在留資格の概要
在留資格とは、外国人が日本に滞在するうえで必要な資格です。
日本で働きたいと思っても、来日しただけでは働くことはできません。
出入国管理および難民認定法に基づいて定められた、一定期間における活動の従事、または一定の身分、地位を証明する法的資格が必要です。
例えば、留学生のアルバイトは週28時間までと制限され、在留資格の種類によって雇用形態や労働時間も異なります。
在留資格は、就労関係と身分関係など全部で29種類あり、それぞれの資格で認められる活動内容が明確に定められています。
在留カードに記載されている項目
在留カードに記載されている項目は以下のとおりです。
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日本での活動内容と身分証明内容が、在留カードの記載事項と同一であることが重要です。
参照元:出入国在留管理庁|在留カード及び特別永住者証明書の見方
外国人の在留カードの携帯について
在留カードの携帯は、16歳以上の外国人に法律で義務づけられています。
警察官などから提示を求められた際は、速やかに応じなければなりません。
入国管理法23条2項により、在留カードを不携帯だった者に対して20万円の罰金が科せられる恐れがあります。
事情がありその場で提示できない場合、最寄りの警察署などで後日提示をすることも可能です。
在留カードの提示を拒んだ場合、10万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、常時携帯することが重要です。
参照元:警視庁|旅券や在留カードは必ず携帯しなければいけないの?
在留カードの偽造問題
在留カードの偽造手口の巧妙化が問題になっています。
近年は、ICチップの機能までも精巧に模倣する事例が確認されており、一見しただけでは判別できません。
偽造の原因は、母国に戻らず日本に留まりたいと考える外国人が多いことが挙げられます。
SNSなどで、偽造在留カードが1枚約1,500〜7,000円で取引され検挙となった事例や、本物のカードを不正に入手し、記載内容を書き換えるという手口の報告が後を絶ちません。
こうした偽造在留カードは、不法就労や他の犯罪にも悪用される可能性が高く、社会的な影響も深刻な状況となっています。
在留カードの偽造について
在留カードが偽造かどうかは、以下の4点から確認できます。
項 目 |
確認事項 |
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1 |
氏名と写真 |
本人と相違がないか |
2 |
2在留期間 |
在留期限内か |
3 |
就労制限の有無 |
就労の可否 |
4 |
資格活動 |
可否と条件 |
※3は就労不可となっていても、週28時間以内なら働ける可能性があるため確認が必要です。
参照元:出入国在留管理庁|「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方
在留カードの偽造有無を確認する方法
就労予定の外国人が在留カードを持っていても、偽造在留カードである可能性も十分に考えられます。
在留カードの偽造有無を確認する方法は、以下の3つです。
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それぞれ詳しく説明します。
目視で確認する
在留カードは、偽造防止のために以下の5つの対策が施されています。
目視で5つの内容を確認しましょう。
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参照元:法務省|「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方
アプリケーションで確認する
2020年12月より出入国在留管理庁は、在留カードのICチップ内に保存されている身分事項や顔写真等の情報を読み取る在留カード等読取アプリケーションを発表しました。
読み取った情報と、券面に記載された情報を見比べることで、容易に偽造在留カードの有無が確認できます。
ただし、トラブルを避けるためにアプリを利用する際は、在留カードを所持する本人の同意を得てから、目の前で在留カードを読み取るようにしましょう。
使用方法やアプリの入手は以下のサイトを参照してください。
参照元:出入国在留管理庁|在留カード等読取アプリケーション サポートページ
カード番号の失効有無で確認する
在留カード番号による失効有無は、出入国在留管理庁の「在留カード番号失効情報照会」で確認できます。
ただし、偽造在留カードの場合、実在する有効な番号が使用されているケースもあり得るので注意が必要です。
そのため、在留カード等読み取りアプリケーションと併用したり、原本確認を徹底するなど、複数の確認方法を組み合わせるとよいでしょう。
在留カードで就労制限の有無を確認する方法
就労制限の有無は、在留カード表面の在留資格欄やカード裏面の資格外活動許可の記載で確認できます。
特定活動の場合は、個々の活動を法務大臣が認めるので、資格外活動許可の記載がなくとも働けます。
就労に制限がある場合「在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」などの条件が記載されます。
パスポートにどのような活動が可能か記載された「指定書」が留めてあるので、内容を確認しましょう。
参照元:厚生労働省|外国人の方を雇い入れる際には、就労が認められるかどうかを確認してください
外国人を雇用する企業側の注意点
外国人を雇用する前にできる企業側の注意点は、以下の3つです。
不法就労助長罪に注意する
- 在留カードのコピーを取る
- 再交付申請を14日以内に行う
- それぞれ詳しく説明します
不法就労助長罪に注意する
不法就労助長罪は、就労資格のない外国人を雇用したり、雇用を斡旋した際に適用されます。
外国人を雇用する際に、不法就労となることに気がつかなかった場合や、外国人雇用に関して知識不足や確認不足であった場合でも罪に問われる可能性があります。
違法雇用の例 |
罰 則 |
外国人留学生が週28時間の上限を超えて働いた |
3年以下の懲役 |
観光目的の短期滞在者を雇用した |
在留カードのコピーを取る
外国人を雇用する際は、必ず原本を確認し、本人の同意を得てから在留カードの両面コピーを取って保管してください。
特に裏面には、資格外活動許可や在留期間更新の記載が追加される可能性があるため、見落さないように注意しましょう。
また、在留期間が満了した後も、雇用関係書類として最低3年間は保管しておくとよいでしょう。
再交付申請を14日以内に行う
在留カードを紛失や盗難、著しく損傷した際は、事実を知った日から14日以内に再交付申請を行う必要があります。
申請手続きは、まず最寄りの警察署で遺失物届や盗難届を提出してください。
その後、地方出入国在留管理局に警察で受け取った遺失物届受理証明書を提出して再発行の手続きをします。
その際、再交付申請の手数料は発生しません。
再発行に必要な書類は以下のとおりです。
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しかし、14日以内に再交付申請をしなかった場合、最大1年の懲役または20万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
再交付の期間も在留資格は有効ですが、就労や各種手続きに支障が出る可能性があるため、迅速な申請手続きは欠かせません。
参照元:出入国在留管理庁「紛失等による在留カードの再交付申請」
まとめ
在留カードは、外国人が日本で中長期在留するために、携帯を義務づけている身分証明書です。
在留カードの確認は、外国人を雇用する際に最も重要なステップと言えます。
正しい確認手順を踏んで、偽造の在留カードではないかを判断することが重要です。