外国人が銀行口座を開設する方法は?条件や流れを解説
外国人が日本で生活を始める際は、給与の振り込みや光熱費の支払いなどで銀行口座が必要です。
また、自国への送金にも利用されるため、口座を持っておくと便利です。
しかし、口座開設の条件や言語の問題から、外国人がひとりで手続きを進めるのは難しいとお考えの企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、銀行口座開設の条件や必要書類、手続きの流れについて解説します。
これから受け入れ体制を整えようとお考えの企業さまは、ぜひ参考になさってください。
目次[非表示]
- 1.外国人が銀行口座を開設する際の条件
- 1.1.日本に6か月以上滞在している
- 1.2.住民票を取得している
- 2.外国人が銀行口座を開設するときに必要なもの
- 2.1.印鑑
- 2.2.電話番号
- 2.3.本人確認書類
- 2.4.住所確認ができる書類
- 3.外国人が銀行口座を開設するときの流れ
- 3.1.銀行窓口へ行く
- 3.2.申し込み手続きを行う
- 3.3.キャッシュカードを受け取る
- 4.外国人が銀行口座を開設するときはサポートが必要な理由
- 5.外国人が銀行口座を開設したときの注意点
- 5.1.注意点① 帰国時は解約する
- 5.2.注意点② 犯罪に巻き込まれないよう注意喚起する
- 6.外国人来日後の流れ
- 7.まとめ
外国人が銀行口座を開設する際の条件
外国人が日本で銀行口座を開設するためには、以下の2つの条件があります。
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銀行口座の開設には、在留期間が6か月以上で、在留カードと住民票の取得が条件です。
事前に2つの条件にあてはまっているかを確認しておきましょう。
日本に6か月以上滞在している
銀行口座を開設するためには、原則として6か月以上の在留期間が必要です。
6か月未満の滞在者は「非居住者」とみなされ、利用に制限のある「非居住者円預金」口座しか作れません。
在留期間6か月以上の確認方法は、在留カードの有効期限から判断されます。
例えば特定技能1号(最長5年)や技能実習(最長5年)の場合は問題ありませんが、短期滞在から就労ビザへの切り替え直後などは要注意です。
また、在留期限が切れる3ヶ月前には更新手続きを済ませ、新しい在留期間が記載された在留カードを持って、銀行窓口に行くことをおすすめします。
ただし、ゆうちょ銀行など一部の金融機関では、3か月以上の在留期間があれば普通口座の開設を認めているケースもあります。
在留期間が6か月に満たない場合は、選択の一つとして覚えておくとよいでしょう。
住民票を取得している
銀行口座の開設には住民票の提出が求められます。
住民票を取得するには、入国から14日以内に市区町村の役所で住民登録をしなければなりません。
その際、在留カードの他に賃貸契約書や会社の住所証明書など、居住地を証明する書類の提示が必要な場合があります。
しかし、在留期間が3か月未満の場合は在留カードが発行されないため、住民登録もできません。
外国人を雇用する際には、住民票を取得しているかの確認は不可欠といえるでしょう。
外国人が銀行口座を開設するときに必要なもの
外国人が銀行口座を開設するときに必要な書類や持ち物は以下の4つです。
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事前に準備しておくと手続きがスムーズに手続きができます。口座開設のサポートを企業側ができるようにチェックしておきましょう。
印鑑
海外では署名が一般的ですが、日本の銀行や手続きは印鑑での手続きが欠かせません。
一部の銀行ではサインでの手続きも認められていますが、銀行以外の契約でも印鑑は必要となるので作成しておきましょう。
外国人が銀行印を作成する場合、カタカナやアルファベット、漢字の当て字等の印鑑が認められています。
シャチハタ(インク内蔵型の印鑑)は使用できないので注意しましょう。
印鑑は日本独自の文化の為、印鑑の作り方がわからない外国人が大半です。
多くの書類の準備をしなければならない外国人のために、企業側で印鑑を用意しておくと手続きに戸惑いません。
電話番号
口座の開設には電話番号が必要です。
しかし、外国人の中には音声通話アプリの通話を利用し、電話番号を持っていないことも少なくありません。
携帯電話の契約には在留カードや住所が必要なため、来日直後は契約できないことも考えられます。
その場合は、一時的に会社の電話番号を登録し、後から本人の携帯電話番号に変更するという方法も可能です。
現在、政府は日本で働きたいという多くの外国人の為に、携帯電話の契約手続き等を円滑にできるように以下の取り組みを行っています。
事前に携帯ショップへ確認しておくのがよいでしょう。
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参照元:総務庁|外国人の携帯電話契約・利用の円滑化に向けた取組
本人確認書類
口座の作成には本人確認書類として、有効期限内の在留カードが必要です。
また、パスポートや在留資格証明書、特別永住者証明書(該当者のみ)の用意もしておくとよいでしょう。
書類の有効期限については、在留カードは有効期限内のもの、公共料金の請求書は発行から3か月以内のものが求められます。
また、本人確認書類は原本の提示が必須ですが、住所確認書類はコピーでも受け付けられる場合があります。
銀行によって要求される書類は異なるので、証明書類をすべて持参することをおすすめします。
住所確認ができる書類
住所確認ができる書類は、在留カード、住民票の写し、公共料金の請求書などです。
銀行口座の開設には、申告した住所に実際に居住していることの証明が必須です。
ただし、携帯電話の請求書は住所確認書類として認められないケースが多いので注意してください。
光熱費(電気・ガス・水道)の請求書を用意するのが確実です。
外国人が銀行口座を開設するときの流れ
外国人が銀行口座を開設するときの流れは以下の通りです。
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それぞれ詳しく見ていきましょう。
銀行窓口へ行く
口座開設は原則として、銀行窓口へ行って手続きを行います。
自宅や職場から近い支店を選ぶと、変更手続きがあった際にすぐ行けるので便利です。
一方、遠方の支店で口座開設を申し込むと、理由を詳しく確認されたり、場合によっては開設を断られる可能性もあります。
また最近では、ネット銀行で口座を開設する方法も選べます。
実店舗はありませんが、オンラインや郵送で申し込みが可能です。
申し込み手続きを行う
窓口では、氏名、住所、生年月日などの基本情報を申込書に記入します。
外国語の記入例を扱う銀行もありますが、一部の国の記入例しかないため、日本語で記入しなければなりません。
氏名の欄はアルファベットを記入し、カタカナでカナをふるなど、銀行によって異なります。
勤務先の名前や住所、電話番号、キャッシュカードの暗証番号(4桁)の記入も必要なので、書けるように準備しておきましょう。
また、マネー・ローンダリング防止の観点から、口座の使用目的や職業についても詳しく確認されます。
外国人だけでは答えられない場合もあるので、サポートしましょう。
キャッシュカードを受け取る
手続き完了後、通帳はその場で受け取れますが、キャッシュカードは後日郵送されます。
申込書に記入した住所に簡易書留で届き、受け取り時には在留カードなどの本人確認書類が必要です。
キャッシュカードが届くまでには1週間から10日程度かかりますが、即日発行の銀行もあるので、確認しておきましょう。
外国人が銀行口座を開設するときはサポートが必要な理由
外国人が銀行口座を開設するときは、さまざまな困難が伴います。外国人がひとりで手続きにいくのは不安もあるでしょう。
ここでは、企業側のサポートが必要な主な理由を3つ解説します。
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それぞれ詳しく見ていきます。
理由① 日本語でのコミュニケーションが難しいから
来日直後の外国人にとって、銀行での手続きを1人で対応しなければならない状況は、ハードルが高いと言えます。
銀行での手続きを行うには、ある程度の日本語能力が必要です。
申込書の記入や窓口でのやり取りは基本的に日本語で行われ、専門用語も多く使用されます。
特に、口座の使用目的や本人確認に関する質問は、単純な会話以上の日本語力が必須です。
銀行側も、日本語でのコミュニケーションが取れないと手続きを進めることができません。
企業のサポートや、専門のスタッフの付き添いを検討しましょう。
理由② 信用情報や金融履歴が不足しているから
日本で金融取引の履歴がない外国人は、銀行側からすると信用情報が不足している状態です。
収入の情報がない状態で口座を開設し、クレジットカードの使用があった場合、銀行側も判断材料がありません。詳細な確認が生じて、手続きが複雑になってしまいます。
雇用予定がある場合は、企業の在職証明や給与振り込みの口座にするなどの対応が必要です。
また会社の担当者の同行は、就労状況や身元についての保証となり、スムーズな開設が可能となるでしょう。
外国人が銀行口座を開設したときの注意点
外国人が銀行口座を開設するには、いくつかの注意点があります。
特に以下の2点については、必ず外国人本人に説明して理解してもらいましょう。
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それぞれ解説します。
注意点① 帰国時は解約する
帰国する際は、口座の残高が0円だとしても口座を解約しなくてはなりません。
解約せずに放置したり、他人に譲渡したりすることは、法律で禁止されています。
帰国して再入国の予定がある場合は、銀行に相談して適切な対応を取りましょう。
口座の解約には本人が出向き、通帳、キャッシュカード、在留カード、印鑑が必要です。
注意点② 犯罪に巻き込まれないよう注意喚起する
近年、外国人の口座が犯罪に利用されるケースが増えています。
口座の売却や譲渡をして犯罪に巻き込まれないような注意喚起が必須です。
口座の売却や譲渡は法律違反であり、発覚した場合は法的責任を問われる可能性があります。
悪質な場合は、入国禁止措置の対象となることもあるので必ず説明しておきましょう。
金融庁では、2018年2月に「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を策定・公表しました。
金融庁は金融機関に対し、ガイドラインで求めている対応の整備を要請しています。
この対策により、在留カードの有効期限が切れた時には、更新した在留カードのコピーの提出などの本人確認が求められます。
また、送金目的や資金源泉の確認が厳格に行われるので、企業側も把握しておきましょう。
参照元:金融庁|金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策について
外国人来日後の流れ
入国直後の手続きをスムーズに進めるためには、事前準備が重要です。
ただし、来日直後の日本語レベルでは本人だけで下記の対応は難しいでしょう。
雇用する企業のサポートが必要ですが、人手が足りない場合などは登録支援機関などの専門家のサポートの利用をおすすめします。
外国人来日後の流れは以下のとおりです。
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【携帯電話契約一覧表】
手続きのタイミング |
実施項目 |
所要時間 |
必要書類 |
入国時 |
在留カード取得 |
1時間程度 |
パスポート |
入国後1週間以内 |
市区町村での住民登録 |
1~2時間 |
在留カード ・印鑑 |
入国後1週間以内 |
住民票取得 |
即日 |
在留カード・ 手数料 |
入国後1-2週間以内 |
銀行口座開設 |
1時間 |
在留カード 印鑑・住民票 |
口座開設後 |
携帯電話契約 |
30分~1時間 |
在留カード |
ここからは、上記の流れに必要な情報を詳しく説明します。
1.入国 外国人が日本に入国する際は、パスポートとビザを持って入国審査を受けます。 は完了です。
印鑑は、会社側で事前に用意しておくといいしょう。 参照元:法務省|入国・在留手続|1-1在留カードの交付
4.住民票取得 住民票の登録が完了したら、住民票を取得します。 しょう。
銀行に向かうのが効率的でしょう。
この時点では携帯電話の番号がないので、会社の電話番号を仮登録しておきましょう。
ください。 |
まとめ
外国人の銀行口座開設には、在留期間や住民票などの条件があり、書類に不備があると口座開設はできません。
また、言語の問題や信用情報の不足から、ひとりでの手続きは困難な場合が多いため、企業側のサポートが重要になります。
特に来日直後は、各種手続きを計画的に進めておくのが望ましいでしょう。
しかし、来日後の手続きや、銀行口座開設の手続きを自社だけで行うのは大きな負担となります。
負担軽減のために、登録支援機関などの専門家に相談することをおすすめします。