特定技能「鉄道」とは?概要や企業側に求められる要件を紹介
日本にはさまざまな産業がありますが、深刻な人手不足に悩んでいる分野があります。
しかし、国内人材だけでは労働力不足を解決できない産業も多いです。
そんな産業では、特定技能外国人を受け入れています。
特定技能とは、人材不足が深刻な国内の産業分野に、一定の知識や技能を有している外国人労働者を受け入れる制度のことです。
特定技能はさまざまな分野で利用されていますが、今回は「鉄道」を紹介します。
本記事では、外国人労働者を受け入れるための企業側の要件や、特定技能「鉄道」の概要を解説します。
鉄道分野で外国人の雇用を検討している企業さまは、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.特定技能「鉄道」の概要
- 1.1.5つの業務区分
- 1.2.業務に求められる要件
- 1.3.受け入れ見込み人数
- 2.日本における鉄道分野の現状
- 3.特定技能「鉄道」の企業側の要件
- 3.1.鉄道分野特定技能協議会とは
- 4. 特定技能「鉄道」の外国人側の要件
- 5.特定技能「鉄道」の特定技能1号試験の概要
- 6.技能実習2号からの移行について
- 7.まとめ
特定技能「鉄道」の概要
特定技能「鉄道」は、深刻化する人手不足の解消のため、令和6年3月29日に新たに追加されました。
特定技能とは人手不足が深刻な産業分野で、一定の専門知識や技術を有する外国人を受け入れる制度のことです。
一定の知識や経験を有する外国人労働者を受け入れることで、若手職員の採用や高齢化などの課題解決を目指しています。
5つの業務区分
特定技能「鉄道」の5つの業務区分は、以下のとおりです。
軌道整備 |
軌道等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等 |
電気設備整備 |
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車両整備 |
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車両製造 |
|
運輸係員 |
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また、同じ業務に従事する日本人の関連業務に付随的に従事できます。
業務に求められる要件
特定技能「鉄道」の業務に求められる要件は、次のとおりです。
業種 |
技能水準 |
軌道整備 |
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電気設備整備 |
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車両整備 |
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車両製造 |
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運輸係員 |
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すべての業種で、指導者の指導・監督の下で適切かつ安全に作業できる技術水準が求められます。
参照元:国土交通省「鉄道分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領
受け入れ見込み人数
特定技能「鉄道」の令和6年から令和10年の受入れ見込み人数は、最大3,800人です。
鉄道分野は、令和10年には約1万8,400人の人手不足が見込まれており、以下のような解決策が想定されています。
技術開発等での生産性向上 |
約1,300 人 |
追加的な国内人材の確保 |
約1万3,200人 |
外国人労働者 |
約 3,800 人 |
一定のスキルや経験のある外国人労働者を受け入れることで、深刻な人手不足の解消につながるでしょう。
参照元:法務省 鉄道分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針
日本における鉄道分野の現状
鉄道業界では職員数が年々減少しており、人手不足が深刻化しています。
平成元年の職員数は27万7,092人でしたが、令和3年は19万1,136人です。
参照元:国土交通省 特定技能制度への 鉄道分野の追加に関する説明会
保線等に従事する作業員不足による終電の繰り上げや、運転士不足による運行本数の減便等につながっています。
一方鉄道の輸送人員はコロナ前の9割程度、新幹線の輸送人員はコロナ前の同程度まで回復しており、迅速な人手不足解消が求められています。
特定技能「鉄道」の企業側の要件
特定技能「鉄道」の業務に携わる外国人労働者を受け入れる場合、企業には次の要件が求められます。
- 鉄道事業法(昭和 61 年法律第 92 号)による鉄道事業者、軌道法(大正 10 年 法律第 76 号)による軌道経営者その他鉄道事業又は軌道事業の用に供する施設若しくは車両の整備又は車両の製造に係る事業を営む者であること。
- 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「鉄道分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
- 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
- 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
- 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委 託するに当たっては、上記イ、ウ及びエに規定する必要な協力を行う登録支援機 関に委託すること
特定技能「鉄道」で外国人を雇用するには「鉄道分野特定技能協議会」への入会や、鉄道事業者であることが必要です。
鉄道分野特定技能協議会とは
「鉄道分野特定技能協議会」とは、国土交通省が設置する特定技能協議会のことで、目的は以下のとおりです。
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受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知、 問題等への対応などを行います。
特定技能「鉄道」の外国人側の要件
特定技能「鉄道」で外国人労働者を受け入れる場合、技能と日本語を一定の水準にすることが必要です。
ここでは、外国人に求められる要件を解説します。
技能要件
特定技能外国人に求められる技能要件は、次のとおりです。
業種 |
技術要件 |
軌道整備 |
鉄道分野特定技能1号評価試験(軌道整備) |
電気設備整備 |
鉄道分野特定技能1号評価試験(電気設備整備) |
車両整備 |
鉄道分野特定技能1号評価試験(車両整備) |
車両製造 |
鉄道分野特定技能1号評価試験(車両製造) |
運輸係員 |
鉄道分野特定技能1号評価試験(運輸係員) |
携わる業務の「鉄道分野特定技能1号評価試験」を受験する必要があります。
日本語要件
鉄道分野の特定技能外国人は、以下のいずれかに合格する必要があります。
|
例えば日本語能力試験のN4は、基本的な日本語を理解できるレベルです。
そのため、日本語要件を満たせば、業務上必要な日本語能力水準に達していると評価されます。
特定技能「鉄道」の特定技能1号試験の概要
特定技能「鉄道」の特定技能1号試験の概要は、次のとおりです。
試験 |
実施方法 |
実施主体 |
鉄道分野特定技能 1号評価試験 (軌道整備) |
学科試験及び実技試験 |
一般社団法人日本鉄道施設協会 |
鉄道分野特定技能 1号評価試験 (電気設備整備) |
学科試験及び実技試験 |
一般社団法人鉄道電業安全協会 |
鉄道分野特定技能 1号評価試験 (車両整備) |
学科試験及び実技試験 |
一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会 |
鉄道分野特定技能 1号評価試験 (車両製造) |
学科試験及び実技試験 |
一般社団法人日本鉄道車輌工業会 |
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学科試験及び実技試験 |
都道府県 (一部事務は都道府県職業能力開発協会) |
鉄道分野特定技能 1号評価試験 (運輸係員) |
学科試験及び実技試験 |
一般社団法人日本鉄道運転協会 |
試験はすべて日本語で実施され、学科試験及び実技試験が行われます。
ただし車両製造のみ、鉄道分野特定技能1号評価試験と技能検定3級の受験が必要です。
技能実習2号からの移行について
鉄道分野で技能実習2号を良好に終了した場合は、特定技能1号試験と日本語試験が免除され、特定技能の在留資格へ移行できます。
ただし、移行できるのは、以下の業務区分のみです。
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電気設備整備と運輸係員は移行が認められておらず、特定技能1号試験と日本語試験を受験する必要があります。
まとめ
特定技能「鉄道」は、深刻な人手不足の解消のため、令和6年3月29日に新たに追加された在留資格です。
鉄道事業者の職員数は年々減少しており、人手不足による終電繰り上げや運行本数の減便などの影響が出ています。
そんな人手不足を解消するため、鉄道分野では外国人労働者の受け入れが始まります。
しかし外国人を雇用する際には、特定技能外国人の支援計画の策定などのさまざまな手続きが必要です。
特に初めて外国人を採用する場合は、必要書類を揃えるだけでもかなり手間がかかるでしょう。
なお「スタッフ満足」では、人材紹介から手続きなど、採用に関わるすべての業務を一気通貫でお任せいただけます。
特定技能外国人の採用を検討している企業さまは、お気軽にお問い合わせください。