特定技能「林業」とは?企業側の要件や雇用の際の注意点も解説
日本にはさまざまな産業がありますが、人手不足を解消するために、特定技能が利用されています。
特定技能とは、人材確保が困難な産業分野に、一定の専門性・技能を有している外国人を受け入れる制度のことです。
特定技能はさまざまな分野で利用されていますが、今回は「林業」を紹介します。
本記事では、受け入れのための企業側の要件や、外国人を雇用する際の注意点を解説します。
林業で外国人労働者の受け入れを検討している企業さまは、ぜひ参考にしてください。
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特定技能「林業」とは
「林業」は、令和6年3月29日に特定技能に新たに追加されました。
特定技能とは、国内人材だけでは人手不足の解決が難しい分野で、専門知識を有する外国人を受け入れる制度のことです。
特に林業は人手不足が深刻化しているため、業務に携われる知識や技能を有する外国人材の受け入れが必要だと考えられます。
対象業務
特定技能「林業」で雇用した外国人労働者が従事できる主な業務は、以下のとおりです。
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さらに、次のような関連業務にも従事できます。
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林業技能測定試験の合格により確認された技能を要する業務と、日本人が通常従事する関連業務に携われます。
外国人労働者が林業に従事することで、人手不足の解消や林業の発展にも期待できるでしょう。
参照元:林野庁 林業分野における特定技能外国人材受入れの 手引き
追加された背景
深刻化する人手不足を解消するため、特定技能に林業が追加されました。
総務省の国勢調査によると、林業従事者は昭和55年は14万6,000人でしたが、令和2年は4万4,000千人と減少傾向です。
参照元:林野庁 林業従事者数
人手不足の原因には、次のことが考えられます。
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林業は高齢化が進んでいるため、退職する人が増えてしまうことで人手不足につながります。
また、業務は肉体労働や危険な作業が多いイメージがあるため、若手人材や新たに就職する人が増えない可能性が高いです。
このような理由から、人手不足が深刻化し、国内の人材だけでは解消が難しくなったと考えられます。
雇用可能な期間
林業は特定技能1号になるため、雇用可能な期間は通算5年です。
特定技能1号の在留期間は、以下のいずれかです。
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在留期間は1年を超えない範囲ですが、定期的に在留資格の更新をすれば最大5年まで期間を延長できます。
5年以上の雇用契約を締結しても、通算5年以上は在留が認められないため注意してください。
特定技能「林業」で受け入れられる人数
特定技能「林業」で受け入れられる見込み人数は、令和6年度から5年間で最大1,000人です。
林業は人手不足が続いており、令和10年度末までに約2万人の人材が不足すると予想されています。
そのため、以下のように人材を確保すると想定しています。
方法 |
人数 |
生産性向上 |
1万5,000人 |
国内人材 |
4,000人 |
外国人労働者 |
1,000人 |
5年間で受け入れる外国人労働者の上限は1,000人と設定され、これ以上の受け入れは行わない方針です。
特定技能「林業」の企業側の要件
特定技能「林業」で外国人労働者を受け入れる企業は、次の要件を満たす必要があります。
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外国人労働者を受け入れるためには「林業特定技能協議会」への参加が必須です。
また、雇用は直接雇用のみと定められています。
特定技能外国人を受け入れる場合は、登録支援機関に委託するか、社内で特定技能外国人を管理する自社支援が必要です。
参照元:林業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針 (2)特定技能所属機関に対して特に課す条件
特定技能「林業」の外国人側の要件
特定技能「林業」で働きたいと考える外国人には、どのような要件があるのでしょうか。
そこで、ここでは特定技能「林業」の外国人側の要件について解説していきます。
技能水準をクリアする
特定技能「林業」に従事する外国人労働者は、次の技能水準をクリアすることが必要です。
育林・素材生産・安全衛生等に関する基本的な知識を有している
各種作業において安全確保を図りつつ、一定の時間内に正しい手順で的確に遂行できるレベル
日本語で指示された作業内容を聞き取り、理解できること
林業に関する基本的な知識やスキル、日本語で作業内容を理解する力が求められます。
日本語能力試験に合格する
外国人労働者は、次のいずれかの日本語能力試験に合格する必要があります。
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国際交流基金日本語基礎テストのA2は、自分に直接的関係がある事柄のよく使われる文や表現が理解できるレベルだとされています。
また日本語能力試験のN4は、基本的な日本語が理解でき、ややゆっくり話される会話の理解が可能です。
そのため、これらの試験に合格すれば、問題なく業務ができる日本語レベルだとされています。
特定技能「林業」の試験概要
特定技能「林業」に従事する外国人労働者は「木材産業特定技能1号測定試験」に合格する必要があります。
林業で特定技能の在留資格を取得するために必要な試験で、概要は以下のとおりです。
実施方法 |
ペーパーテスト方式 |
試験言語 |
日本語(すべての漢字にふりがなが付いたもの) |
試験時間 |
60分 |
問題数 |
全35問 |
問題内容詳細 |
学科試験(32問) |
合否基準 |
学科試験・実技試験の合計得点の65%以上 |
基本的な林業に関する知識を有しており、日本語での作業内容を理解できることが求められます。
試験に合格することで、林業に必要な知識や技能を有していると認められます。
特定技能「林業」に該当する外国人を雇用する際の注意点
特定技能「林業」に該当する外国人を雇用する際には、主に次の3点に注意が必要です。
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特定技能外国人を雇用する場合は、給与や労働時間は日本人と同等か、それ以上にしなければならないと定められています。
給与が最低賃金を下回ると、特定技能基準省令に違反し罰金が科されます。
林業は労働災害が発生しやすいため、安全対策を徹底することが重要です。
トラブルを防ぐためにも母国語のマニュアルの準備や、日本語での指示をゆっくりと伝えると良いでしょう。
また外国人労働者には、定められた範囲の業務のみに従事させなければなりません。
範囲外の業務を行うと入国管理法違反になってしまいます。
特に給与や労働時間、業務内容を守らないと、特定技能基準省令や入国管理法違反になってしまうため注意してください。
参照元:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令
まとめ
林業従事者は毎年減少しています。高齢化により引退者が増え、林業従事者はさらに減ってしまうでしょう。
特定技能「林業」で外国人労働者を受け入れれば、林業分野で深刻化している人手不足の解消が期待できます。
しかし外国人を雇用する際には、特定技能の条件を満たしているかの確認や特定技能外国人の支援計画の策定などの手続きが必要です。
特に初めて外国人を採用する場合は、必要書類を揃えるだけでもかなり手間がかかります。
なお「スタッフ満足」では、人材紹介から外国人人材の育成・定着まで一気通貫サポートが可能です。
特定技能外国人の採用を検討している企業さまは、お気軽にお問い合わせください。