入管(出入国在留管理庁)とは?概要や役割を紹介
外国人人材を雇用する際に、必ず利用するのが「入管(出入国在留管理庁)」という公的機関です。
本記事では、入管とはどのような役割をもつ機関か、入管で対応可能な手続き、各地域の組織、外国人雇用の際に知っておきたい知識までを紹介します。
外国人雇用を検討している企業さまは、特に「フレスク(外国人在留支援センター)」を利用する可能性が高いです。
この記事を確認することで、外国人雇用に関する知識を習得できるでしょう。
目次[非表示]
- 1.入管(出入国在留管理庁)とは
- 1.1.出入国在留管理庁と入国管理局の違い
- 1.2.各地域の組織について
- 2.入管(出入国在留管理庁)の主な役割
- 2.1.① 諸手続き
- 2.2.②在留外国人のサポート
- 2.3.③フレスク(FRESC)の設置
- 2.4.④不法滞在者の摘発
- 3.知っておきたい入管に関わる諸問題
- 4.まとめ
入管(出入国在留管理庁)とは
入管とは、以下のような手続きを担う公的機関です。
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法務省管轄の組織で、東京の霞ヶ関に本部があります。
以前は「入国管理局」が外国人労働者の出入国に関する手続きをしていました。
しかし2019年4月1日に入国管理局が廃止され、新たに出入国在留管理庁が設置されました。
現在では、出入国在留管理庁が上記の手続き・管理を行っています。
出入国在留管理庁と入国管理局の違い
出入国在留管理庁は入国管理局をもとに2019年4月に再編された庁です。
組織再編が行われた理由は2019年4月に「出入国管理及び難民認定法」の一部改正があったためです。
特定技能外国人の在留管理など、スタッフの業務量が増加したため、司令塔の機能を果たす公的機関を設立しました。
出入国在留管理庁の規模感は、法務省と同格だといえます。
各地域の組織について
出入国在留管理庁だけでなく、各地方にも関連組織を設置しています。
・地方出入国在留管理局
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また地方出入国在留管理局の出張所は全国に161か所あります。
入管(出入国在留管理庁)の主な役割
入管(出入国在留管理庁)の役割は主に4つあります。
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それぞれ解説していきます。
① 諸手続き
入管(出入国在留管理庁)では、以下5つの手続きを行っています。
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これらの手続きは、入管(出入国在留管理庁)の中でも重要なものです。
出入国審査手続き
出入国審査とは、日本に入国する外国人や出国する日本人が受ける審査です。
外国人の場合は、日本の出入国港(空港や港)に到着した際に指紋・顔写真を提供します。
入国審査官は、外国人が入国に必要な条件を満たしているかをインタビューで確認するのが仕事です。
問題がなければ、外国人の日本への入国を許可します。
外国人が日本から出国、日本人が帰国する際も同様に審査します。
在留審査手続き
在留審査とは、日本に滞在している外国人が、在留資格の変更・在留期間の延長を申請した場合に実施する審査です。
日本に在留する外国人は、入国前に在留資格を取得します。
保有する在留資格によって、在留期間・活動可能範囲は異なるため、変更があった際に手続きをする必要があります。
在留管理制度に関する手続き
在留管理制度とは、日本に中・長期間滞在する外国人を対象にした制度を指します。
この制度の対象となるのは、以下4つの条件すべてに該当する外国人のみです。
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※特定活動告示3号:台湾日本関係協会の日本の事務所(台北駐日経済文化代表処等)の職員及びその家族
※特定活動告示4号:駐日パレスチナ創代表部の職員及びその家族
在留管理制度の対象となる中・長期在留者には、在留カードが交付されます。
在留カードとは、日本に中・長期間滞在する外国人のための身分証明証のことです。
在留資格「留学」「研修」や就労可能な在留資格を保有する外国人を受け入れている事業主・機関は、これらの手続きをする必要があります。
特別永住証明書の交付に関する手続き
特別永住者証明書とは「特別永住者」の法的地位を証明する在留資格です。
日本は第二次世界大戦で敗戦し、占領していた朝鮮半島・台湾などが領土ではなくなりました。
戦争で日本国籍を失った人々とその子孫に対して、日本への永住を許可したのが「特別永住証明書」です。
1991年11月1日に施行された「入管特例法」で定められた在留資格を持っている外国人が、特別永住者となります。
難民認定に関する手続き
難民認定や認定された外国人への保護措置も出入国在留管理庁が対応しています。
難民は、国連難民高等弁務官事務所(略称:UNHCR)が以下のように定義しています。
「難民」は、人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するという理由で、自国にいると迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れ、国際的保護を必要とする人々
引用元:国連難民高等弁務官事務所「難民とは?」
日本で外国人を「難民」として認定するかを決定するのが出入国在留管理庁です。
現在の日本では、難民申請をしても認定されにくいとされています。
「難民不認定」と判断されても、人道的配慮を理由に、在留資格を取得している外国人が多いといわれています。
②在留外国人のサポート
諸手続きだけでなく、在留外国人の支援も行うのも出入国在留管理庁の役割です。
外国人在留総合インフォメーションセンターの窓口を、各地方出入国在留管理局・支局に設置しており、仕事・留学目的で日本に滞在する外国人の相談を受け付けています。
外国人在留総合インフォメーションセンターでは、日本語以外の言語での相談にも対応しています。
対応言語は設置場所によって異なるため、詳しくは出入国在留管理庁のホームページをご覧ください。
窓口を設置するだけでなく、外国人生活支援ポータルサイトも運営しています。
在留外国人に必要な情報を発信しており、日本語だけでなく、英語や中国語など15か国語に対応しているのが特徴です。
またシンプルな日本語で書かれた「生活・就労ガイドブック」も配布しており、日本に滞在するうえの基本的ルールが学べます。
③フレスク(FRESC)の設置
「フレスク(外国人在留支援センター)」とは、外国人を雇用したい企業の支援や外国人からの相談を受け付けている窓口です。
そのほか、以下の対応が可能です。
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また無料・匿名で相談でき、東京出入国在留管理局をはじめとした4省庁8機関の窓口が、ワンフロアに設置されています。
企業は外国人雇用や雇用後の悩みを相談できるので、外国人を雇用するハードルも下がるでしょう。
④不法滞在者の摘発
不法滞在者の摘発をするのも出入国在留管理庁の仕事です。
不法入国や在留資格で定められている期間・活動を超えた不法残留、不法就労をしている外国人が不法滞在者に該当します。
日本に滞在する外国人は在留資格を保有しています。
保有資格によって、滞在期間・活動可能範囲は異なります。
雇用している外国人の在留資格はどのようなものか、企業側は把握しなければいけません。
もし外国人に不法就労をさせたり、斡旋したりすれば「不法就労助長罪」になってしまいます。
不法就労について詳しく知りたい方は、法務省の資料をご覧ください。
知っておきたい入管に関わる諸問題
外国人を雇用する際に知っておきたい知識として、難民・移民問題があります。
出入国在留管理庁は在留期間を超えて滞在しているなどの理由で、在留資格のない外国人を行政権限で全国9か所の施設で収容しています。
以前は在留資格のない外国人の正規化を図るという目的で行われていました。
現在は入管政策が厳格化され、不法滞在している外国人を日本社会から排除するようになっています。
そのことから収容が長期化し、仮放免の申請があっても許可せず、出国しない限り拘束する傾向が多いです。
長期収容されている人の中には「人生のほとんどを日本で暮らしている」「自国に戻ると命の危険がある」など、帰国できない理由のある方たちが多いといわれてます。
しかし、日本の入国管理及び難民認定法には「送還可能なときまで収容できる」としか規定されていません。
収容期間の明確な上限がないため、出入国在留管理庁は無期限で外国人を収容できます。
国連人種差別撤廃委員会などからも、問題だと指摘されているのが現状です。
外国人を雇用する企業は外国人人材が不法滞在にならないよう、さまざまな支援を行いましょう。
まとめ
入管(出入国在留管理庁)は、日本人や外国人の出入国手続きから難民保護までを担う公的機関です。
外国人を雇用したい企業は、必ず入管を利用します。
特に、在留管理制度に関する手続きやフレスク(外国人在留支援センター)を活用する場面は多いでしょう。
本記事で入管に関する知識を習得し、外国人雇用に役立ててください。