特定技能外国人「事前ガイダンス」の内容・時間がまるわかり!
特定技能外国人を採用するにあたり、支援項目の中でも最初に実施していくのが事前ガイダンスになります。
あらかじめ制度として決められている内容を実施しておかないと、二度手間になったり、特定技能を受け入れる施設として不適格となったりする可能性もありますので、大事なポイントをしっかり押さえておきましょう。
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事前ガイダンスとは?
特定技能外国人が、日本で働き、生活するために必要な情報を事前に提供する支援のことです。
特定技能雇用契約の締結以後、1号特定技能外国人の在留資格認定証明書の交付の申請前(または在留資格の変更の申請前)に実施されます。
特定技能外国人の支援項目として挙がってる10項目の中の1つで、特定技能のルールについて双方しっかり確かめ合う大切な時間となります。
事前ガイダンスの実施方法と注意点
特定技能外国人が理解できる言語で実施すること
事前ガイダンスは、1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語により実施することが求められます。
自社で実施する場合は、特定技能外国人が理解できる言語を話せるスタッフがいる必要がありますので、事前ガイダンスのハードルは上がります。
郵送やメールでの対応は不可
事前ガイダンスは、対面やテレビ電話、ZOOMなどのビデオ通話などにより、本人であることの確認を行った上で、実施することが求められます。
文書の郵送や電子メールの送信のみによることは認められていません。
事前ガイダンスの内容
事前ガイダンスに係る義務的支援
業務の内容、報酬額など労働条件の提示
「労働条件」とは、1号特定技能外国人に従事させる業務の内容や報酬の額のほか、安全又は衛生に関する事項などの雇用条件書に記載された事項のことを言います。
危険又は有害な業務に特定技能外国人が従事すると見込まれる場合には、当該業務の内容と安全衛生に関する事項を説明することが当然に求められます。
日本で活動できる内容
介護で技能水準が認められているのであれば、介護以外の仕事には従事することができません。
特定技能外国人が活動できる範囲を明確に説明しておきましょう。
入国に当たっての手続に関する事項
新たな入国の場合は、交付された在留資格認定証明書の送付を特定技能所属機関(受け入れ施設および事業所)から受けます。
受領後に管轄の日本大使館・領事館で査証申請を行い、在留資格認定証明書交付日から3ヶ月以内に日本に入国することを伝えましょう。
また、既に日本にいる場合は、在留資格変更許可申請を行い、在留カードを受領する必要があることを伝えます。
在留資格の変更手続きは、登録支援機関に依頼することも可能です。
保証金や違約金などの契約がなく、今後も契約がないことが見込まれること
1号特定技能外国人支援に関する運用要領を抜粋して説明いたします。
1号特定技能外国人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該外国人と社会生活において密接な関係を有する者が、特定技能雇用契約に基づく当該外国人の本邦における活動に関連して、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産を管理されず、かつ、特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約の締結をしておらず、かつ、締結させないことが見込まれること(保証金等の支払や違約金等に係る契約を現にしていないこと及び将来にわたりしないことについて確認する。) |
特定技能外国人を利用した金銭のやり取りを防ぐ内容が記載されております。
本人にも、上記のような契約の締結はしてはいけない旨を十分に伝えておく必要があります。
定義の詳細については1号特定技能外国人支援に関する運用要領をご確認ください。
特定技能外国人が来日するためにかかる費用や内容について
特定技能外国人が来日する際に、現地の送出機関に費用を支払いが生じているケースがございます。
その場合、支払費用の有無、支払った機関の名称、支払年月日、支払った金額及びその内訳まで十分理解している必要がありますので、双方の合意が取れているかどうかを確認をしましょう。
義務的支援に要する費用は特定技能所属機関等が負担すること
特定技能外国人に対しての義務的支援は全10項目ありますが、その支援に生じる費用については、特定技能外国人に負担させることはできません。
そのような内容になっていることを、特定技能外国人にもしっかり伝えておきましょう。
入国時の送迎について
特定技能所属機関(受け入れ施設)は、港や空港まで特定技能外国人を出迎え、働いてもらう事業所または住居まで送迎を行う必要があります。
また、送迎を実施する旨を、事前に特定技能外国人にお伝えしておく必要もあります。
特定技能外国人に対する住居の支援内容について
特定技能所属機関(受け入れ施設)は、特定技能外国人の住居の確保を支援する義務がありますので、支援内容を事前に伝えておく必要があります。
また、社宅などで対応する場合は、広さや設備、家賃などの負担すべき費用についての説明を怠ってはいけません。
関連記事:特定技能外国人受け入れにかかる費用相場とコストダウンのポイント
事前ガイダンスに係る任意的支援
特定技能所属機関(受け入れ施設)は、義務的支援として提供する内容に加え、次の事項について任意的に情報の提供をすることが考えられます。
- 入国時の日本の気候、服装
- 本国から持参すべき物、持参した方がよい物、持参してはならない物
- 入国後、当面必要となる金額及びその用途
- 特定技能所属機関等から支給される物(作業着等)
事前ガイダンスを実施した後は、連絡を取る義務はありませんが、その都度分からない点に対して特定技能外国人から質問がくる場合が多々あります。
そのような現状から、就労開始前であっても1号特定技能外国人からの相談に適切に応じる体制を整えておくことが望まれます。
また、1号特定技能外国人の航空券代や入国後の当面の生活費などを、特定技能所属機関等が当該外国人に貸し付けをすることは差し支えありません。
ただし、その返済方法について、労働法令に違反することがないよう留意することが求められます。
事前ガイダンスの実施時間は?
事前ガイダンスは、3時間ほど実施することが必要だと明記されております。
これは、1号特定技能外国人が事前ガイダンスで情報提供する事項を十分に理解できるまでの時間が想定されております。
また、すでに同施設で働いている技能実習生を特定技能外国人として雇用する場合であっても、業務内容や報酬額、その他の労働条件などの必要な情報について、十分に理解させる必要があります。
なお、このような場合であっても、1時間に満たないような場合は、事前ガイダンスを適切に行ったとはいえませんので注意が必要です。
事前ガイダンスに必要な書類、確認書は?
事前ガイダンスを実施後は確認書が必要
事前ガイダンスを実施した場合は、事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)を1号特定技能外国人に示して確認の上、署名を得る必要があります。
事前ガイダンスを適切に実施したかどうかを確認する大事な書類になりますので、大切に保管しましょう。
確認書の様式ついて「出入国在留管理庁」のサイトをご確認ください。
特定技能外国人への「事前ガイダンス」まとめ
特定技能外国人への事前ガイダンスは、特定技能所属機関と特定技能外国人との就労前の接点になります。
安心して働いてもらえる環境を提供するためにもしっかり準備を進めましょう。
また、特定技能外国人が日本語の理解に乏しい場合、そのほかの言語を使用しなければいけません。
事前ガイダンスに不安がある場合は、登録支援機関への依頼も検討してみてください。