
外国人採用にかかる費用は?具体例や日本人を雇う場合との違い
日本人だけでは人材が不足していると感じる場合、外国人の採用を検討することが選択肢となります。
しかし、採用にかかる費用に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで、外国人採用にかかる費用の目安や内訳について詳しく解説します。
本記事を読むことで外国人の採用にはいくらかかるのか、日本人と比較した場合にどういった違いがあるのかなどがわかるようになるので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.外国人採用に必要な費用は居住地によって異なる
- 2.【特定技能】採用費用の例
- 3.外国人労働者を雇用する際の賃金は?
- 4.外国人採用と日本人採用コストの比較
- 5.外国人を採用する際の費用を抑える方法
- 5.1.受け入れ方法を工夫する
- 5.2.リファラル採用を活用する
- 5.3.人材紹介会社を利用する
- 6.外国人を雇用する際に使える助成金
- 6.1.人材確保等支援助成金
- 6.2.雇用調整助成金
- 6.3.トライアル雇用助成金
- 6.4.人材開発支援助成金
- 7.外国人採用にかかる具体的な費用は事前に確認が必要
外国人採用に必要な費用は居住地によって異なる
外国人採用に必要な費用は、その外国人が海外に住んでいるのか、日本国内に住んでいるのかによって大きく変わることになります。
ここでは、海外在住の場合と国内在住の場合でかかる費用を紹介していきます。
海外在住の外国人を採用する際の費用と内訳
現在海外で暮らしている外国人に日本で就労可能な在留資格を取得してもらい、日本に招く方法です。
日本在住の外国人を採用する場合と比較して、コストと時間の両方がかかります。
かかる費用と内訳は以下の通りです。
現地求職者を集める費用
現地で自社の条件に合う求職者を集めるには、一定の費用が必要です。
たとえば、突然面接会を開催しても求職者が集まらない可能性が高いため、広告会社などに事前に募集情報を掲載してもらう必要があるでしょう。
この場合は広告費用も必要です。
求職者を集める方法によって、かかる費用は大きく異なります。
また、面接会を行う場合は会場を手配しなければなりません。
そのための費用も必要になります。
人材紹介会社への紹介手数料
自社で直接現地求職者を探すのではなく、人材紹介会社に紹介してもらう方法もあります。
この場合、一般的に1人あたり約50万円の手数料が必要となるため、事前に確認が必要です。
具体的な費用は利用する人材紹介会社によって異なります。
多くの人材紹介会社で採用しているのが、成果報酬型です。
そのため、費用を支払ったにもかかわらず外国人労働者を確保できないといった心配はほとんどありません。
なお、日本在住の外国人を雇用する場合でも、人材紹介会社を利用すれば同様に紹介手数料が発生します。
日本語教育の費用
外国人ごとに日本語能力の程度には差があります。
日本で働くためには、日本人とのコミュニケーションが欠かせないこともあり、日本語教育が必要です。
高い日本語能力が求められる場合は、基礎的な日本語を学ぶ教室ではなく、日本語学校に通う方が効果的です。
この場合、数十万円程度の費用が必要となりますが、採用する企業が費用を負担するのが一般的です。
ただ、独自に学んでいて非常に高い日本語能力を持つ外国人もいます。
こういった場合は日本語教育にかかる費用を抑えられるでしょう。
採用人数が多い場合は、個別に日本語学校に通わせるよりも、企業内に日本人講師を招いて指導する方が費用を抑えやすくなります。
在留資格を申請するための費用
海外在住の外国人を日本に招く場合、在留資格取得のための手続きに費用がかかります。
自社で在留資格審査に必要な書類を用意する場合は1.5~2万円ほどで済みますが、手続きは複雑です。
用意しなければならない書類も外国人の状況によって異なります。
そのため、自社で採用が難しいと感じる場合は現地エージェントへの委託を検討すると良いでしょう。
この場合、3~4万円程度の費用がかかります。
自社で行った場合と比較して費用は高額になりますが、手続きの複雑さもあり委託する場合がほとんどです。
なお、外国人を採用する場合は労働者の健康診断受診が義務付けられており、在留資格申請にかかる費用には、健康診断書の作成費用も含まれます。
渡航費
海外から日本に外国人を招くのに必要な渡航費は会社が負担することになります。
また、企業の担当者が現地で面接を行う場合は、そのためにかかる渡航費も検討しておきましょう。
渡航費の目安は10万円から15万円程度ですが、格安航空券を利用することにより渡航費を抑えることが可能です。
日本での生活に必要な費用
海外から来日した外国人が日本で生活を始める際には、多くの費用が発生します。
これらの中には会社が負担するものもあります。
【一例】
- 住居の準備
- 携帯電話の契約
- 銀行口座の開設
日本で生活するうえで必要不可欠な費用は、企業が負担するのが一般的とされています。
住居の準備にかかる費用としては、敷金や礼金を合わせて15~30万円程度が相場となっています。
ただ、家賃によって大きく左右される部分です。
なお、何らかの理由で本人が自身で住居を準備できる場合は、必ずしも受け入れ企業側が対応する必要はありません。
日本在住の外国人を採用する際の費用と内訳
続いて日本在住の外国人を採用する場合にかかる費用についてです。
すでに国内にいるので、渡航費はかかりません。
以下のような費用がかかることになります。
人材紹介会社への紹介手数料
国内にいる外国人を採用する際も、人材紹介会社を利用するケースが多いといえます。
この場合の費用は1人あたり50万円前後が相場です。
利用する人材紹介会社によって異なるので、確認しておきましょう。
なお、多くの場合は成功型報酬なので、採用できた場合のみ費用が発生する形になります。
健康診断の費用
海外から採用するのと同様に、労働者は健康診断を受けなければなりません。
そのための費用が必要です。
健康診断の受診料に加え、証明書の発行手数料も必要となり、費用の目安は合計で約1万円です。
在留資格変更申請のための費用
現在の在留資格から他の在留資格に変更して雇用する場合は、在留資格変更許可申請を行わなければなりません。申請には収入印紙や証明写真などが必要で、費用の目安は約5000円となります。
ただ、手続きが複雑であるため自社での対応が難しいため、行政書士へ業務を委託するケースが多く見られます。
業務委託する場合の費用目安は、5~10万円ほどです。
依頼する行政書士によって異なるので、よく確認しておきましょう。
【特定技能】採用費用の例
これまでに各費用の内容を解説しました。
日本で働ける在留資格のうち、どの資格を選択するのかによってもかかる費用が変わってきます。
ここでは、特定技能の在留資格で採用する場合にかかる費用を解説します。
まず、海外で暮らしている外国人を採用するのにかかる費用例についてです。
費用項目 |
費用相場 |
送り出し機関への手数料 |
20〜60万円 |
人材紹介の手数料 |
30~60万円 |
渡航費用 |
4〜10万円 |
在留資格申請費用 |
10〜20万円 |
住居準備費用 |
15~30万円程度(住居の家賃によって異なる) |
事前ガイダンス等の費用 |
1.5〜4万円 |
支援委託費用 |
2〜4万円/月 |
在留資格更新費用 |
4〜10万円 |
送り出し機関とは現地で仲介を行う機関のことであり、国によっては必ず送り出し機関を通して採用を行わなければなりません。
なお、送り出し機関への手数料の中に人材紹介の手数料や事前ガイダンス等の費用が含まれていることもあります。
なお、渡航費用を企業が支払うことは義務付けられているわけではありません。
ただし、外国人から見るとやはり渡航費用を負担してくれる企業の方が魅力的に見えます。
渡航費用を外国人に負担させる場合、他社と比較された際に不利になる可能性がある点に留意が必要です。
続いて、日本国内に在住している外国人を採用する場合の例です。
費用項目 |
費用相場 |
特定技能外国人の人材紹介手数料 |
30~60万円 |
在留資格申請費用 |
10〜20万円 |
事前ガイダンス等の費用 |
1.5〜4万円 |
支援委託費用 |
2〜4万円/月 |
在留資格更新費用 |
4〜10万円 |
渡航費がかからないため、海外から採用する場合と比較して費用が少し安くなります。
すでに日本で暮らしているということもあり、新たに住居を準備する必要はありません。
ただ、現在の自宅から職場が遠いなどの理由で本人から希望があった場合は住居の準備も必要です。
注意すべき点として、「義務的支援」に関する費用は、外国人本人に負担させることは認められていません。特定技能における義務的支援とは以下のようなものです。
【義務的支援】
- 外国人が出入国する際の空海港への送迎
- 外国人が日本人と交流するのに必要となる支援
- 企業都合で契約を解除する際の転職支援
- 特定技能雇用契約の内容に関する情報提供
- 適切な住居の確保に関する支援
これらに該当する費用を外国人本人に負担させないよう、十分に注意が必要です。
さまざまなものに費用がかかり、複雑でわかりにくいと感じた方もいるのではないでしょうか。
特定技能外国人の採用・支援を行っている「スタッフ満足」では、料金を一律に設定しており、わかりやすいのが特徴です。
費用を抑えて人材を確保したい場合は、ぜひご相談ください。
外国人労働者を雇用する際の賃金は?
外国人採用について考える際には、支払う賃金についても考えなければなりません。
何となく日本人と比較して安い賃金で済むように感じている方もいるのではないでしょうか。
ですが、外国人労働者の給与に関しては日本の労働基準法に基づき、公正かつ適正な金額を支払う必要があります。
基準は、同様の業務を行っている日本人と同等か、それ以上です。
外国人労働者に対して最低賃金を下回る報酬を設定した場合は、労働基準法違反となるため、十分な注意が求められます。
また、外国人に日本人と同等、またはそれ以上の給与を支払うことは特定技能の在留資格が認められる条件として定められています。
そのため、この条件を満たさなければ特定技能外国人の採用はできません。
時間外労働や休日出勤、夜勤といったものに対しても日本人と同様に割増賃金が適用されることになります。
手当、賞与に関しても同様の業務についている日本人労働者と同等のものでなければならないので、この点にも留意する必要があります。
外国人採用と日本人採用コストの比較
日本人の採用よりもコストを抑えられると考え、外国人採用を検討するケースも見受けられます。
まず、前述の特定技能採用費用の例によれば、海外在住の外国人を採用する際の費用は約86万5000円から198万円程度となります。
国内在住者を採用する場合、住居準備費用が発生するケースでは約62万5000円から128万円程度が必要です。
一方、就職みらい研究所が発表している「就職白書2020」によると、中途採用1人あたりにかかる採用コストの平均は103.3万円でした。(※1)
また「就職白書2022」ではコロナウイルスが流行した影響を受けて採用活動をWeb化した結果、採用活動費用が減ったと答えた企業が66.4%に達しています。
これは、Web化により説明会・面接会場費用、出張費用、交通費の支給などを抑えられたからです。(※2)
そのため、外国人採用は「コスト削減」よりも「日本人労働者の確保が困難であること」を背景とした検討が多くなります。
ここからもわかる通り、外国人採用は日本人採用よりも高額になる可能性があるといえるでしょう。
そのため、どちらかというと「安く採用するため」ではなく「日本人労働者が確保できないため」という理由で外国人採用を検討していくことになります。
採用活動をするにあたり、高額になりやすいポイントの一つが人材紹介手数料です。
総合的な費用を抑えたいと考えているのであれば、人材紹介手数料に注目してみましょう。
「スタッフ満足」では、特定技能外国人の採用支援を行っています。
紹介料は1人あたり30万円から、登録支援機関への業務委託料は1人あたり月額1万6000円からとなります。
追加の費用は一切かかりません。
また、1年以内に退職してしまった場合は無料で追加人材を紹介しているので、ご相談ください。
なお、上記費用は税抜きです。
能力や経験などにより紹介料は変動します。
関連ページ:料金について
(※1)参考:就職みらい研究所:就職白書2020[PDF]
(※2)参考:就職みらい研究所:就職白書2022[PDF]
外国人を採用する際の費用を抑える方法
外国人を採用する際の費用をできるだけ抑えるにはどうすれば良いのでしょうか。
以下のような方法があります。
受け入れ方法を工夫する
求職者を集める費用は、工夫次第で抑えることが可能です。
たとえば、以下のような方法を検討してみると良いでしょう。
【費用を抑えて求職者を集める方法】
- 現地の学校を訪問してスカウトする
- 国内の日本語学校や大学内に求人情報を掲載する
- SNSを活用する
これらの方法であれば、求人広告を掲載する場合と比べて費用を抑えられる可能性があります。
リファラル採用を活用する
リファラル採用とは、紹介による採用です。
すでに外国人を雇用しており、その従業員から紹介を受ける場合などは、求職者を見つけるための費用を抑えることが可能です。
紹介した社員に対して報酬を支払う制度を用意しておけば、積極的に紹介してもらえるようになるでしょう。
人材紹介会社を利用する
特に初めて外国人を採用する際などはわからないことがたくさんあります。
自社で無理に対応しようとすると費用がかかったわりに理想的な人材が見つからないこともあるので、このような場合は人材紹介会社を活用することで対応しやすくなります。
利用料はかかりますが、専門的な知識とノウハウを持って各社に適した人材を探せます。
外国人を雇用する際に使える助成金
外国人を雇用する際は、使える助成金がいろいろあるので、こちらもチェックしておきましょう。
代表的な助成金は以下の4つです。
人材確保等支援助成金
魅力ある職場づくりのため、労働環境の向上を図るのに必要な費用を助成する制度です。
目的は、人材の確保・定着となっています。
いくつかコースがあり、この中でも「外国人労働者就労環境整備助成コース」を活用できます。
助成金額 |
支給対象経費の1/2(上限57万円) |
主な要件 |
就労環境整備措置の導入・実施、離職率目標の達成など |
雇用調整助成金
経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を対象とした制度です。
雇用維持のため休業、教育訓練、出向に要した費用が助成されます。
助成金額 |
労働者1人1日あたり8,635円が上限 |
主な要件 |
雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標や、実施する雇用調整が一定の基準を満たしていることなど |
トライアル雇用助成金
職業経験の不足などにより就職が困難な求職者を、無期雇用契約へ移行させることを前提として、一定期間試行雇用(トライアル雇用)する場合に利用可能な助成金です。
求職者の早期就職の実現や雇用機会の創出などを目的としています。
助成金額 |
対象者1人につき月額4万円(母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は5万円) |
主な要件 |
対象労働者の条件を満たしている(規定時間以上の無期雇用による雇入れを希望している、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者に求職申し込みをしているなど) |
人材開発支援助成金
雇用する労働者に専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練の経費や訓練期間中の賃金の一部が助成される制度です。
いくつかコースがあり、たとえば、人材育成訓練や認定実習併用職業訓練、有期実習型訓練などを含む「人材育成支援コース」の活用が検討されます。
もともとは人材開発支援助成金の中に特定訓練コース、一般訓練コース、特別育成訓練コースといったコースがあり、これらが一つにまとめられ人材育成支援コースとなりました。
助成金額と主な要件は、選択する訓練によって異なるので、該当するものについて確認しておきましょう。
たとえば、人材育成訓練の場合は申請した事業所に雇用されている労働者が対象となり、主な受給要件としてはOFF-JTを10時間以上実施することなどが定められています。
OFF-JTとは、職場以外の場所で行われる研修やセミナーなどのことです。
人材育成訓練の賃金助成額は、1人1時間あたり760円(中小企業以外は380円)です。賃金要件などを満たす場合には、960円(中小企業以外は480円)まで引き上げられます。
利用可能なコースやメニューは、フローチャートを確認することで把握できます。
参考: 厚生労働省:人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内[PDF]
外国人採用にかかる具体的な費用は事前に確認が必要
いかがだったでしょうか。
外国人の採用にいくらかかるのか、日本人と比較するとコストにはどういった違いがあるのかなどについて解説しました。
採用にかかるコストを抑えるためのポイントもご理解いただけたはずです。
採用方法により費用は大きく異なるため、人材紹介会社の料金や補助金制度を確認し、総額を見積もる必要があります。
新規に外国人人材を採用したいと考えているのであれば「スタッフ満足」までご相談ください。
一律料金により、サービス内容が明確です。トータルサポートのほか、人材紹介のみや登録支援のみのプランにも対応しており、要望に応じた柔軟な提供が可能です。