強制送還とは?強制送還になる理由や未然に防ぐための対策も紹介
強制送還とは、日本に在留している外国人を強制的に母国へ送還する制度のことです。
犯罪行為だけでなく、不法就労や不法滞在に該当する場合は、強制送還される可能性があります。
一定期間日本への再入国が許可されないため、雇用している外国人が強制送還された場合はしばらく就労できません。
そのため「強制送還を防ぐためにできることはないか」と考えている方もいるでしょう。
そこで本記事では、強制送還される事由や、未然に防ぐ方法を解説します。
外国人を長期雇用したい企業さまは、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1. 強制送還とは
- 2.外国人が強制送還される理由
- 3. 強制送還の手続きの流れ
- 4.強制送還に不服を申し立てることはできる?
- 5.強制送還にかかる費用の負担元
- 6.強制送還されたのちの再入国可否
- 7.強制送還を未然に防止するために
- 8.まとめ
強制送還とは
強制送還とは、日本に在留している外国人を国家権力により強制的に母国へ送還する制度のことです。
強制送還は通称ですが、以下の2種類の手続きがあります。
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これらの手続きについて、それぞれ解説します。
退去強制
退去強制とは、日本が好ましくないと認める外国人を強制的に退去させる行政手続きのことです。
入管法24条には、次のように定められています。
次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により本邦からの退去を強制し、又は第五十五条の二第一項の規定による命令により本邦から退去させることができる。
事由の判断は、外国人の違反事実についての故意または過失の有無は要件とされません。
その点は、刑罰とは異なります。
出国命令
出国命令とは、日本に不法滞在している外国人を自主的に出国させるための制度です。
対象は不法残留の外国人で、要件には次のものがあります。
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身柄は拘束されず、日本への入国拒否期間は1年間です。
外国人が強制送還される理由
外国人が強制送還されるのには、理由があります。
ここでは、外国人が強制送還される事由を3つ紹介します。
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それぞれ詳しく見ていきましょう。
➀ 犯罪行為
入管法24条により、犯罪行為で有罪判決を受けた外国人は強制送還できると定められています。
参照:入管法24条 退去強制
強制送還になる犯罪行為は、以下のとおりです。
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これらの犯罪行為で、懲役や禁錮刑に処せられた場合に該当します。
② 不法就労
不法就労とは、就労できる在留資格を所有していないまま日本で働くことです。
具体例が次のとおりです。
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適切な資格を持っていても有効期限が切れていると不法就労になるため、注意してください。
③ 不法滞在
不法滞在とは、日本の法令に違反して外国人が日本に滞在することです。
外国人は日本に滞在できる期間が決まっているため、期間を超過すると入管法違反になります。
例えば以下のような場合が該当します。
オーバーステイ |
在留資格の有効期間が切れた状態で日本に在留し続ける |
不法入国(不法上陸) |
在留資格を持たずに日本に入国する |
在留資格やパスポートを所持していなかったり、有効期限が切れたりしている場合も同様です。
不法滞在にならないためにも、在留資格や有効期限を確認しましょう。
強制送還の手続きの流れ
強制送還の手続きの流れは、次の場合で異なります。
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それぞれの手続きの流れを解説します。
➀ 退去強制の場合
退去強制の場合の手続きの流れは、以下のとおりです。
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入国警備官による調査が行われた後、身柄を収容され、入国管理官により調査されます。
容疑者に異議がない場合は、退去強制令書が発付され強制送還されます。
② 出国命令の場合
出国命令の場合の手続きの流れは、次のとおりです。
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外国人が出入国在留管理庁に出頭した後、入国警備官と入国管理官により調査が行われます。
出国命令の要件が認められると、主任審査官により「出国命令書」が交付されます。
出頭から2週間程度で手続きが完了し、要件に当てはまれば手続きの期間に身柄を拘束されないのが特徴です。
強制送還に不服を申し立てることはできる?
強制送還に異議がある場合は、不服の申し立てが可能です。
通知から3日以内に特別審理官に対して口頭審理の請求を実施し、審査後に認定に誤りがないと判断された場合は強制送還されます。
特別審理官の審査結果に異議がある場合は、法務大臣に対して意義を申し立てることができます。異議が認められなければ退去強制令書が発付され、強制送還されます。
強制送還にかかる費用の負担元
強制送還にかかる費用の負担元は、以下3つのパターンがあります。
負担元 |
詳細 |
本人 |
基本的には自費負担になる。 |
国 |
強制送還される外国人が自費で帰国できない場合、国が負担する |
運輸者 |
強制送還者が逃亡した場合や、自国に入国を拒否された場合に負担する |
自費負担のケースが多いですが、外国人の事情により国や運輸者が負担することもあります。
強制送還されたのちの再入国可否
強制送還された外国人は、日本への再入国が可能です。
しかし、日本への入国が一定期間禁止される「上陸拒否期間」があり、退去強制と出国命令で次のように異なります。
強制退去 |
強制退去の日から5年 |
出国命令 |
出国の日から1年 |
出国命令の場合は1年ですが、強制退去の場合は1回目が5年、2回目以降は10年と期間が長くなります。
なお、上陸拒否期間を過ぎれば入国可能です。
強制送還を未然に防止するために
雇用した外国人が強制送還になると、企業も不法就労助長罪に問われます。
強制送還を未然に防止するには、以下のような対策がおすすめです。
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外国人を雇用する場合は、在留カードの確認が必須です。
在留資格が仕事内容と合っているか、有効期限が切れていないかチェックします。
留学生の場合は、資格外活動許可を得ていないとアルバイトとして雇用できません。
資格外活動許可がないのに働かせたり、労働時間の上限を超えてしまったりすると、不法就労で強制送還されることがあります。
また、外国人労働者が知らないうちに犯罪に関わってしまう可能性もあります。
そのため、外国人が不審な行動をしていないか日頃から気にかけておくと良いでしょう。
まとめ
強制送還は、国家権力により日本に在留している外国人を強制的に母国へ送還する制度です。
強制送還された外国人は再入国が可能ですが、日本への入国が一定期間禁止される「上陸拒否期間」があります。
退去強制の場合は5年から10年、出国命令の場合は1年日本へ再入国できません。
このように雇用している外国人が強制送還されると一定期間就労できないため、未然に防止することが重要です。
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