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外国人雇用時は助成金を活用!申請するときのポイントや注意点

人手不足に悩んでいる企業におすすめしたいのが、外国人雇用です。
ですが「日本人を採用するのと比べて何となく大変そう」と感じる方もいるのではないでしょうか。
費用も気になりますが、活用できる助成金が複数あります。
 
そこで、本記事では助成金を活用しながら外国人を雇用したいと考えている方のため、外国人労働者採用のメリットや助成金の詳細を解説します。
この記事を読むことによって助成金を申請する際のポイントなどもわかるようになるので、ぜひ参考になさってください。



目次[非表示]

  1. 1.外国人労働者に関するニュース
  2. 2.外国人労働者を採用するメリット
  3. 3.助成金と補助金の違いについて
  4. 4.外国人労働者の採用にあたって利用できる助成金
    1. 4.1.人材確保等支援助成金
    2. 4.2.雇用調整助成金
    3. 4.3.キャリアアップ助成金
    4. 4.4.トライアル雇用助成金
    5. 4.5.人材開発支援助成金
    6. 4.6.若年技能者人材育成支援等事業
  5. 5.助成金を申請するときのポイント
  6. 6.外国人雇用で助成金を利用する場合の注意点
    1. 6.1.受給要件を達成しなければならない
    2. 6.2.原本などを確認される可能性がある
    3. 6.3.申請後すぐに受給できるわけではない
    4. 6.4.併給できるか確認する
  7. 7.助成金以外で利用できる支援制度や支援団体
    1. 7.1.製造業外国人従業員受入事業
    2. 7.2.国際化促進インターンシップ事業
    3. 7.3.外国人雇用管理アドバイザー制度
    4. 7.4.国際研修協力機構(JITCO)
  8. 8.利用できる助成金をしっかり活用しよう

外国人労働者に関するニュース

日本ではさまざまな産業において労働力が不足しており、この問題を解決するための取り組みが行われています。
例えば、2018年には改正出入国管理法によって在留資格である「特定技能」が創設されました。
 
特定技能とは国内人材の確保が難しい産業分野で、一定の専門性と技能を有している外国人の受け入れができる制度です。
2種類の在留資格があり、特定技能1号では介護やビルクリーニング、建設などの12分野、特定技能2号では介護を除く11分野が対象になっています。
 
外国人の雇用ではほかに技能実習制度がありますが、政府は技能実習制度を廃止し、育成就労制度を設ける方針を決定しています。
育成就労制度は、特定技能への移行を促す新制度です。
 
このような取り組みもあって日本では外国人労働者数が増えており、厚生労働省の発表によると令和5年10月末時点で2,048,675人の外国人が日本で働いています。
これは届け出が義務化された平成19年以降で見ると過去最高です。

参考:厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点

外国人労働者を採用するメリット

外国人労働者を採用するメリットはたくさんあります。
特に大きなメリットとして挙げられるのが、人手不足の解消に繋がる点です。
 
少子高齢化の影響もあり日本人だけで十分な労働力を確保するのは難しいので、外国人材の採用も含めて検討をすると良いでしょう。
求職者の母数が広がることになるので、一気に人手不足解消に繋がる可能性もあります。
また、訪日外国人対応が必要となる企業の場合、外国人を採用することで対応力が高まることがメリットです。
 
さらに、外国人労働者を採用するためのさまざまな助成金が用意されています。
うまく活用していきましょう。
 
他にも、外国人を採用して他国の文化に対する理解を深めることで海外進出しやすくなる、日本人とは異なる価値観や視点が社内に加わり、会社が活性化するなどのメリットもあります。

助成金と補助金の違いについて

助成金のほかに補助金もありますが、外国人雇用で利用できるのは基本的に助成金です。
 
助成金とは雇用を増やしたり、人材育成をしたりした場合に交付されるものです。
交付の要件は各助成金で定められていて、その要件を満たすことで受け取れます。
管轄は厚生労働省です。
 
一方、補助金は経済産業省管轄の制度で、公益に繋がる事業の促進が目的です。
企業の事業をサポートする意味を持つ制度でもあります。
 
助成金は要件を満たすことで原則受給できるのに対し、補助金は厳しい選考によって交付が決まるのが大きな違いです。
申請の要件を満たした上で審査によって採択されなければ交付されません。
 
どちらも返済不要であること、後払いであることは同じです。

外国人労働者の採用にあたって利用できる助成金

外国人労働者を採用する際、具体的にどのような助成金が利用できるのでしょうか。
主な助成金は以下の6つです。
 
【外国人労働者採用時に利用可能な助成金】

  • 人材確保等支援助成金
  • 雇用調整助成金
  • キャリアアップ助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 若年技能者人材育成支援等事業

 それぞれ解説します。

人材確保等支援助成金

目的

外国人労働者の職場定着のために要した経費の助成

条件

【必須】

  • 外国人労働者を雇用している事業主である
  • 雇用労務責任者を選任する
  • 就業規則等の社内規程を多言語化する
  • 「外国人労働者離職率」と「日本人労働者離職率」に係る目標を達成
  • 外国人雇用状況届出を適正に届け出る
  • 就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が10%以下

【いずれか】

  • 苦情・相談体制の整備
  • 一時帰国のための休暇制度の整備
  • 社内マニュアル・標識類等の多言語化
金額

支給対象経費の合計額に以下の助成率を乗じた額
賃金要件を満たしていない場合:支給対象経費の1/2(上限額57万円)
賃金要件を満たす場合:支給対象経費の2/3(上限額72万円)
※賃金要件:最も遅い就労環境整備措置の実施日の翌日から起算して1年以内に賃金が5%以上増加している

手続き方法

管轄の労働局、ハローワークに申請

公式サイト

外国人労働者の雇用を検討する際、心配になるのが言語の違いや、労働法制や雇用慣行などに関する知識不足です。
これによってトラブルが生じる恐れがありますが、日本人特有の事情に配慮する形で就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組むことによりその経費の一部が人材確保等支援助成金として助成されます。

対象となる経費は、以下の5つです。

【経費】

  • 通訳費
  • 翻訳機器導入費(上限10万円)
  • 翻訳料
  • 弁護士、社会保険労務士等への委託料
  • 社内標識類の設置・改修費

なお、人材確保等支援助成金には「働き方改革支援コース」というものがありましたが、2021年3月31日に廃止され、現在利用できるのは「外国人労働者就労環境整備助成コース」です。

雇用調整助成金

目的

事業縮小を行う際、従業員に対して休業手当や出向などの雇用調整をして雇用を維持するのに要した費用の助成

条件

  • 雇用保険の適用事業主である
  • 最近3ヶ月間の売上高又は生産量などの事業活動を示す指標が前年同期より10%以上減少している
  • 最近3ヶ月間の雇用指標月平均値が前年同期よりも一定以上増加していない
  • 実施する雇用調整が一定の基準を満たしている
  • 過去に同助成金の支給を受けている場合は直前の対象期間の満了日の翌日から起算して1年を超えている

金額

休業時の休業手当または教育訓練実施時の賃金相当額、出向時の出向元事業主の負担額に以下の助成率を乗じた額
中小企業:2/3、中小企業以外1/2
教育訓練を実施したときの加算:1人1日当たり1,200円
※1人あたり8,490円が上限

手続き方法

管轄の労働局、ハローワークに申請(オンライン可)

公式サイト

何らかの事情によって事業縮小が必要になった際、雇用調整にかかった費用を一部助成するものです。
雇用調整とは、休業、教育訓練または出向のことをいいます。
これらを実施し、従業員の雇用を維持しようとする企業をサポートする制度です。
休業・教育訓練・出向でそれぞれ基準があり、それらを満たさなければなりません。

キャリアアップ助成金

目的

有期雇用労働者等の企業内でのキャリアアップのため正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対する助成

条件

  • 雇用保険適用事業所の事業主である
  • 雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている
  • 雇用保険適用事業所ごとに対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成・管轄労働局長の受給資格認定を受けている
  • 対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにするための書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにできる
  • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ

金額

コースや企業規模、加算条件に該当するかにより異なる
(例)正社員化コースで有機雇用労働者を正社員化した場合は、中小企業:570,000円、大企業:427,500円など

手続き方法

管轄の労働局、ハローワークに申請

公式サイト

社員のためのキャリアアップに取り組んでいる企業を支援するための助成金です。
正社員化コース、障害者正社員化コース、賃金規定等改定コースなど、複数のコースがあり、それぞれ条件が定められています。

トライアル雇用助成金

目的

求職者および求人者の相互理解を促進して労使間のミスマッチを防ぐため、安定的な就職が困難な求職者を一定期間試行雇用した場合に受けられる助成

条件

  • 原則として3ヶ月間のトライアル雇用を行う
  • ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対し、これらの機関の紹介によって雇い入れる
  • 1週間の所定労働時間は原則通常の労働者と同程度
  • 紹介日時点で安定した職業についていない労働者を対象とする
  • 労働者が定められた条件(紹介日前において離職している期間が1年を超えているなど)のいずれかを満たしている

金額

支給対象者1人に対して月額最大40,000円
※母子家庭の母または父子家庭の父である場合は月額最大50,000円

手続き方法

管轄の労働局、ハローワークに申請

公式サイト

職業経験や技能・知識不足などの理由で就職が難しい求職者の雇用機会を作るための助成金です。
試用期間とは異なり事業主企業側に採用義務がないので、本採用できないと判断した場合は解雇できます。
そのための手続きも試用期間と比較して簡易なメリットがあります。

人材開発支援助成金

目的

職務に関連した専門的な知識・技能を習得させる目的で職業訓練などを実施した場合に訓練にかかる経費や訓練期間中の賃金を助成

条件

コースにより異なる
(例)人材育成支援コースの場合:OFF-JTにより実施される訓練であること、実訓練時間数が10時間以上であることなど

金額

コースや内容により異なる
(例)人材育成支援コースの場合:中小企業が雇用保険被保険者に人材育成訓練を行った場合は45%の経費が助成されるなど

手続き方法

管轄の労働局、ハローワークに申請(オンライン可)

公式サイト

人材育成やスキルアップのために使用できる助成金です。
人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コースなど、複数のコースがあります。

若年技能者人材育成支援等事業

助成金というよりは実技指導によるサポートです。
ものづくりマイスターとして認定されたものづくり分野やIT分野の優れた機能・経験を有する方が若年技能者に対して実践的な実技指導を行います。
厚生労働省の公式サイトより条件を入力してものづくりマイスターの検索が可能です。

参考:厚生労働省:ものづくりマイスター制度

助成金を申請するときのポイント

助成金を申請するにあたり、当然のことではありますが採用する外国人労働者が就労可能な在留資格を持っていなければなりません。
事前に在留カードやパスポートなどで確認しましょう。
 
また、採用したあとは忘れずに外国人雇用状況の届出が必要です。
雇用する際と離職する際にハローワークに届け出ます。
 
必要になる書類は申請する助成金によって異なるので、事前に良く確認しなければなりません。
用意するのに時間がかかるものもあるので、余裕をもって準備に取り組みましょう。

外国人雇用で助成金を利用する場合の注意点

助成金を利用する際は、いくつか注意点があります。
以下の4つを確認しておきましょう。

受給要件を達成しなければならない

助成金を利用するためには、各助成金制度で定められている受給要件を達成する必要があります。
受給できる前提で進めていくのではなく、先に受給要件を満たせるか確認しましょう。

原本などを確認される可能性がある

助成金によっては各書類などの原本が必要になることがあります。
そのため、適正に原本を取り扱いましょう。
原本の提出を求められた際、応じられないと助成金の支給が受けられない可能性があるため、注意が必要です。

申請後すぐに受給できるわけではない

助成金は申請してすぐに受給できるわけではありません。
1年ほどはかかると考えた方が良いです。
 
これは、支給にあたり厳正な審査が行われるためです。
そのため「外国人を雇用するにあたり、今必要な費用を捻出できないから助成金を使おう」といった利用はできません。

併給できるか確認する

助成金を複数利用する場合、どちらも受給できる(併給)ものもあれば、できないものもあります。
支給対象が同じ場合は同時に受給できない併給調整と呼ばれる仕組みがあるので、注意が必要です。

助成金以外で利用できる支援制度や支援団体

助成金以外にも利用可能な支援制度・支援団体があります。
代表的なものは以下の通りです。
 
【主な支援制度・支援団体】

  • 製造業外国人従業員受入事業
  • 国際化促進インターンシップ事業
  • 外国人雇用管理アドバイザー制度
  • 国際研修協力機構(JITCO)

それぞれ解説します。

製造業外国人従業員受入事業

目的

国内生産拠点・海外生産拠点の役割分担と、国内製造業の空洞化を押しとどめて製造業の国際競争力を強化する

対象企業

経済産業省の所掌にある製造業事業で、当該事業者の外国にある事業所の職員に適切な職業訓練を行い、知識やノウハウを必要とする特定の専門技術の移転を計画する企業

支援内容

最大1年間製造現場で職業訓練が認められ、通常単純労働が許可されない製造現場での就労が可能になる

手続き方法

製造特定活動計画を作成、経済産業省の認定を受けて特定活動ビザの許可を申請

公式サイト

海外の事業所で働いている外国人に日本の事業所で働いてもらい、日本で学んだ技術的なスキルを海外拠点の事業所・子会社に持ち帰り普及させるための制度です。
経済産業省によって実施されています。

国際化促進インターンシップ事業

目的

中堅・中小企業での外国人学生等のインターン受入れを通じ、海外展開などに取り組むための体制強化の促進

対象企業

指定の条件を満たす日本国内に主な事業所を有する中堅・中小企業

支援内容

人材育成支援費:1日2,000円/人を支給
受入担当者向けの各種研修提供
専属コンシェルジュによるインターンシップ実施計画策定支援
高度外国人材の受入環境を整備するための伴走型支援

手続き方法

エントリー期間中に経済産業省国際化促進インターンシップ事業のサイトより申請

公式サイト

経済産業省によって実施されています。
就労ではなく、就業体験を目的とする制度です。
そのため、非正規社員、アルバイトの代替目的で利用することはできません。

外国人雇用管理アドバイザー制度

目的

外国人労働者の採用において悩みにつながりやすい問題点を外国人雇用管理アドバイザーが把握・分析し、企業にアドバイスすることで雇用管理改善につなげる

対象企業

外国人の雇用に関して相談したい企業

支援内容

外国人労働者の雇用に関する問題に対し、専門的な知識・経験を有する外国人雇用管理アドバイザーが各事業所の実態に応じた相談・指導を行う

手続き方法

ハローワークに申し込み後に事業所へアドバイザーが派遣されるか、ハローワークが設定している相談日に訪問して相談

公式サイト

外国人雇用に関するさまざまな悩み相談ができる制度です。
相談料は無料なので、気軽に利用できます。

国際研修協力機構(JITCO)

目的

技能実習生や特定技能外国人といった外国人材の受入れの促進を図り、国際経済社会の発展に寄与する

対象企業

監理団体又は企業単独型実習実施者や特定技能所属機関又は支援機関等の団体

支援内容

特定技能外国人の受入れ等の支援

手続き方法

JITCO事務所が担当する都道府県及びJITCOが申請書類を提出するOTIT事務所・支所へ申請

公式サイト

外国人材を受け入れるための活動を幅広く行っている団体です。
特定技能に関する支援なども行っています。

利用できる助成金をしっかり活用しよう

いかがだったでしょうか。
外国人雇用時に利用できる助成金について紹介しました。
 
自社で選択できる助成金や、申請する際の注意点などがご理解いただけたかと思います。
助成金は返済が不要な制度なので、利用できるものがあれば活用してみましょう。
 
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